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パーキンソン病は予防できる?効果が期待できる緑茶の習慣的な飲用

パーキンソン病という難治性の神経疾患があります。日本人でおよそ1000人に1人という割合で見られる病気で、神経疾患の中ではアルツハイマー病についで多い病気となっています。

難病に指定されている病気で、若くして発症する遺伝的要素のからむタイプと、そうでないタイプの存在が知られています。このパーキンソン病について詳しく見てみましょう。

パーキンソン病の発症要因は完全には判っていない

パーキンソン病は、ドーパミン(※)と言う神経伝達物質を分泌する、中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞が減ってしまって、ドーパミンが不足することで起こることが判っています。

しかし、なぜドーパミン神経が減ってしまうのかについては判っていません。ですので、医学的に根拠のある予防法というものもありませんが、病気の解説の後、ある程度統計的に意味がありそうな「保護因子として働くもの」を中心にお話しすることにします。

(※:医療分野では長音記号を使わずドパミンとしていることが多いようですが、この記事では、一般的に名前としてよく使われているドーパミンを採用しています。)

パーキンソン病は誰でもかかる可能性がある病気

パーキンソン病の罹患率は1000人に1人程度ですが、この数値は難病指定されているものとしては多い方だといえるでしょう。また、感染症ではないため、ワクチンは存在しません。

症状としては非常に多彩なものがありますが、メジャーなものには次のようなものがあります。

運動症状
  • 安静にしている時に手足が震える(動かそうとすると震えが止まる)
  • 動作がゆっくりになる
  • 動作が開始できなくなる
  • 筋肉の動きが固まる(力を抜いた状態で、他人が関節を動かそうとしても、カクカクして上手く動かない)
  • 立った姿勢でバランスが取れなくなる
非運動症状
  • 便秘
  • 頻尿
  • 発汗
  • 疲れやすい
  • 匂いがわからなくなる(味がわからないと感じる人もいます)
  • 立ちくらみ
  • うつ症状
  • 興味や意欲が低下する

こうした症状を中心に、衝動的な行動や認知症を合併することもあります。

50歳以降に発症するのが一般的な病気

パーキンソン病の多くは50歳以降に発症します。60歳以降になると、有病率は100人に1人まで上がります。このレベルになってくると、もはや「普通にある病気」といっても差し支えないでしょう。

一方、40歳以下で発病する若年性パーキンソン病というものも存在します。普通のパーキンソン病と若年性では発病のメカニズムが少し異なり、若年性では家族性(※)が認められます。

(※家族性:病気の原因になる遺伝子による病気の遺伝ではなく、「病気になりやすい体質」の遺伝が見られること。)

遺伝性と言い切るには、病気の原因になる遺伝子変異の遺伝と断言できるものがまだ確認されていませんので、現段階では家族性パーキンソン病と呼ばれます。

しかし一方で、20近くの遺伝子変異が家族性パーキンソン病に関わる可能性のあるものとして見つかっていますから、将来の治療に道が拓けつつあるとも言えるでしょう。

一方、そうした影響が明らかでない、孤発性のパーキンソン病のほうが全体から見ると多くなっています。これらは遺伝子変異に環境因子が加わって発生しているものです。

パーキンソン病は神経変性による病気です。なかなか決定打といえる治療法が見つかっていないのが現状ですが、それでも随分、自立した行動を取れる期間が長くなっているんですよ。

パーキンソン病は保護因子によって予防できる可能性はある

さて、詳細な病気の説明は少し後にして、読者のみなさんが気にしているであろう、「パーキンソン病の予防法」について触れておきましょう。

最初にお話した通り、これをやっておけばパーキンソン病を避けられると言ったものは存在しません。しかし、さまざまな研究によって、パーキンソン病を引き起こす神経細胞の破壊から、脳を守る保護因子は見つかっています。

パーキンソン病は環境因子も重要な発病要因

孤発性のパーキンソン病では、遺伝的な要因に加えて環境因子が作用することで、ドーパミン神経細胞が細胞死に導かれると考えられています。

ドーパミン神経細胞の中のミトコンドリア内部にはα-シヌクレインと言うたんぱく質が高濃度に含まれていて、これが凝集して蓄積することで、ドーパミン神経細胞が死んでしまうようです。

一方、このα-シヌクレインは脳の内部では珍しいものではなく、大脳皮質の細胞質にも豊富に存在しています。しかし、ミトコンドリア内部にはほとんど見られないということですので、そのあたりにも何か秘密があるのかもしれません。

また、家族性パーキンソン病ではDJ-1遺伝子に変異が見られます。このDJ-1遺伝子は発がんに関係する遺伝子として知られていたものですが、環境要因によって変異すると、元々持っていた強力な抗酸化作用が失われます。

その影響でミトコンドリア内部に障害が起こり、ドーパミン神経細胞の細胞死が導かれることも明らかになっています。

これらのことから、細胞内での酸化ストレスはパーキンソン病の発病に大きな関係性があるようだということを見ると、抗酸化物質の摂取にはパーキンソン予防の可能性が考えられます。

抗酸化物質ならなんでも良いというわけではない

抗酸化物質と言えばまず思い浮かぶのがビタミンCとビタミンEですね。しかし、ビタミンCとビタミンEについては、予防効果があるという報告がある一方で、多く摂ってもパーキンソン病の予防には繋がらないという報告もあります。

また、βカロテンも優秀な抗酸化物質ですが、これについても効果があるのかないのかがはっきりしていません。ただ、これらの栄養素については他の効果が期待できるので、常に摂るようにしておいて損はないでしょう。

ちょっと意外なものとしては、コーヒーやたばこがパーキンソン病リスクを下げるというものです。コーヒーについてはクロロゲン酸(※)やカフェインなどが有利に働く可能性も否定はできません。

(※クロロゲン酸:コーヒーに含まれるポリフェノールの一種。抗酸化作用があります。)

しかし、たばこについては、神経を保護する要因が発見できないのに、統計的にはリスクが下がっているのです。ただし、これを鵜呑みにして「パーキンソン病予防のためにたばこを吸っているんだ」などと言ってはいけません。

これは統計のマジックである可能性も否定できないのです。例えば加齢がリスクになる病気というと「がん」が有名ですね。世界を見渡すと、内戦などで平均寿命が50歳前後の国では、がんで亡くなる人の比率は低いです。

だからといって「がん予防には銃弾が良い」とは誰も思いませんね。つまり、リスクの高まる年齢まで生きていないとか、他の重い疾患で、パーキンソン病どころではないという状態になってしまっている可能性もあるのです。

パーキンソン病だけを見れば、統計的に喫煙によるリスク低減はありえます。しかし、そのために生命を危険に晒し、周囲に迷惑を振りまくことは感心しません。たばこは早々に止めましょう。

パーキンソン病予防に最も有望なのは緑茶

そうした中で、有望な生活習慣が「緑茶の習慣的な飲用」です。日本人にパーキンソン病が少ないのは、緑茶の飲用習慣があるからではないかとすら考えられているのです。

東北大学大学院医学系研究科・社会医学講座公衆衛生学分野によると、人間を対象にした疫学研究で、1日2杯以上の緑茶を飲む人ではパーキンソン病リスクが減るというデータをもとに、70歳以上の人を対象に独自の研究を行っています。

それによると、緑茶を週に3杯未満の飲用量である人に比べると、1日に2杯以上飲む人では、パーキンソン病を含めた認知障害のリスクが0.46倍と、半分以下に減っていました。

これは緑茶に含まれるカテキンの一種、エピガロカテキン-3-ガレートには抗酸化作用に加えて神経保護作用があるからではないかと推測されています。

(参照:高齢者における緑茶と認知機能との関連について|東北大学大学院医学系研究科・社会医学講座公衆衛生学分野)

と言うことで、パーキンソン病予防に最も可能性が高いのは「緑茶を飲むこと」だと言えるでしょう。この研究によると、比較的高齢の方を対象にしていますから、1杯と言うのは100mL~150mLくらいの湯呑みと考えて良いと思います。

急須で入れたにせよ、それほど極端に濃いものを飲んでいるとは思えません。ですから、若い人ではペットボトル茶でも緑茶であれば、1日1本程度で効果が期待できると思われます。

味に癖が強く出る渋みを嫌って、カテキン類の含有量を抑えていたとしても、湯呑み換算で3.5杯~5杯相当になりますから、エピガロカテキン-3-ガレートの絶対量は確保できる可能性は十分にありますね。

なお、エピガロカテキン-3-ガレートは酵素によって分解されますので、半発酵茶の烏龍茶や鉄観音茶、発酵茶の紅茶やプーアル茶では効果が期待できません。

実際に実験研究でもコーラや清涼飲料水などと並んで、紅茶や烏龍茶でも、パーキンソン病のリスク低減効果は見られないという結果が得られています。また、この研究ではコーヒーでも効果は否定されています。

緑茶以外の栄養素・飲食物の効果は五分五分

たばこについてはパーキンソン病を予防する効果がありそうですが、他の悪影響が大きすぎますので無視しましょう。病気はパーキンソン病だけではありません。

また、抗酸化物質の多くは効果が期待できますが、必ず効くとは言い切れません。ビタミンCとE、βカロテンなどのカロテノイド類・フラボノイドなど、「身体に良い成分」と言われるものは、抗酸化物質であることが多いです。

コーヒーにも効果があるという説もありますし、お医者さんの処方によるものになりますが、ある特定のNSAIDSs(非ステロイド性抗炎症薬)には、パーキンソン病予防効果があるとも言われています。

ですので、飲食物などからパーキンソン病予防効果を期待できるものはそう多くはありませんが、他の病気予防や健康維持のために、抗酸化物質を摂っておくようにすることには充分な意味があるでしょう。

2017年春のシーズンから、大手メーカーのペットボトル茶が一斉に525mLに容量アップしています。そのおかげで150mLの3.5倍という切りの良い数字に収まりました。

パーキンソン病のメカニズムと治療の関係

パーキンソン病ではドーパミン神経細胞が細胞死に導かれるというお話を上でしましたね。このドーパミンという物は中枢神経系に存在して、運動や学習、意欲などさまざまな機能に関わる神経伝達物質です。

また、アドレナリンなどのホルモンの前駆体ですので、ドーパミンの過不足は、さまざまな身体・精神状態に影響を与えます。

ドーパミンが過剰になることで起こるのは統合失調症の幻覚や妄想と言われていますし、ADHDの症状にも関係しているとされています。一方、ドーパミンの不足は、パーキンソン病の他、うつ病にも関係が指摘されています。

ドーパミンが不足するなら補充すれば良い?

足りないなら補充しようというのは基本的な考え方ですが、ドーパミンは血液脳関門(※)を通過できませんので、内服薬や注射でドーパミンを補充しても脳には届きません。

(※血液脳関門:中枢神経系を保護するために存在すると考えられている、血液と脳脊髄液の間の物質交換を制限するメカニズムです。多くの毒物はこれを通過できませんが、麻薬や覚醒剤、アルコールなどは通過します。)

そこで用いられるのが、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、通称レボドパ(商品名:ドパゾールなど・ジェネリックなし)です。これは血液脳関門を通過できるドーパミンの前駆体です。

これを投与すると、血流に乗って脳に入り込み、そこで酵素の働きでドーパミンに変化して不足したものを補ってくれます。大変効果の高いお薬で、それまで発病から5年で寝たきりになっていたパーキンソン病患者が、発病から10年経っても歩くことができるようになったと言われます。

しかし、長期間使っていると効き目が切れやすくなったり、多量に使うと体の動きがおかしくなる副作用が出たりします。ですので、複数のお薬との組み合わせで治療が行われます。

先にもお話した通り、ドーパミンは多すぎると統合失調症の症状が出ることもありますので、多ければいいというものではないのです。

代理が働いてくれることもある

ドーパミンの副作用を避けるために用いられるのが、ドーパミンの代わりに受容体に結びついて働く「アゴニスト」と呼ばれるお薬です。結構種類がたくさんありますが、特長や副作用が異なりますので、体質にあったものが選ばれるでしょう。

ペルゴリドメシル酸塩(商品名:ペルマックス・ジェネリックあり)、カベルゴリン(商品名:カバサール・ジェネリックあり)、プラミペキソール塩酸塩水和物(商品名:ビ・シフロール・ジェネリックあり)などは飲み薬です。

また、ロピニロール塩酸塩(商品名:レキップ・ジェネリックあり)、ブロモクリプチンメシル酸塩(商品名:パーロデル・ジェネリックあり)、タリペキソール塩酸塩(商品名:ドミン・ジェネリックなし)も飲み薬ですね。

さらに、ロチゴチン(商品名:ニュープロパッチ・ジェネリックなし)と言う貼付薬は、効き目は緩やかですが安定した効果があるので、比較的軽症で初期の患者によく使われます。

また、アポモルヒネ塩酸塩注射液(商品名:アポカイン皮下注・ジェネリックなし)は、レボドパの効果が突然切れる「オフ症状」用のレスキュー薬で、自分で注射するものです。

こうしたお薬は、お医者さんが慎重に診断した上で、飲み薬や貼り薬はレボドパより先に使われることもあります。

ライバルを減らすのも治療の一つ

ドーパミンは大脳皮質と脳幹を結びつけている部分にある線条体というところで働きます。そこではアセチルコリンという神経伝達物質も働いています。このアセチルコリンとドーパミンはバランスを取って働いています。

ですので、ドーパミンが不足してくると、相対的にアセチルコリンが過剰になってパーキンソン病の症状を引き起こします。そこで、アセチルコリンの働きを抑制することで症状を抑えるという方法もあります。

こうしたお薬を抗コリン薬と言います。具体的にはトリヘキシフェニジル塩酸塩(商品名:アーテン・先行医薬品多数・ジェネリックなし)や、ビペリデン塩酸塩(商品名:アネキトン・ジェネリックあり)が処方されるでしょう。

一方、アセチルコリンの不足はアルツハイマー病との関係が疑われていますので、こうしたお薬は、お医者さんの服薬指導に厳密に従うよう注意しておいて下さい。

他にも症状に応じてさまざまなお薬がある

例えば、商品名シンメトレルと言う抗ウイルス薬が、一部の患者でドーパミン分泌を促したり、パーキンソン病の一部の症状を抑えたりすることが知られています。

また、商品名トレリーフと言うパーキンソン病治療薬は、てんかん予防薬エクセグランの低用量版です。なぜパーキンソン病に効くのかは判っていません。

さらに、いくつかのお薬は、体内でレボドパを分解してしまう酵素の働きを阻害するお薬や、足のすくみをもたらすノルアドレナリンの不足を補うための前駆体であるお薬もあります。

こうしたパーキンソン病に対する治療は、完治を目指すものではなく、症状の進行を抑え込み、寝たきりになるのを防ぐのが一番の目的なのです。

非常にたくさんのお薬を紹介しましたが、これらですら、完治を目指せるレベルでないのが悲しいところです。でも、生活の品質の維持について言えば、昔よりはずっと良くなっているんですよ。

お薬では対応が難しくなったら脳手術で対応する

お薬での治療には、効き目がなくなって来るとか、副作用が強くなりすぎるとかの理由で、継続することが困難になる場合があります。そうした場合、手術で対応する場合もあります。

脳の手術ですから、受ける側にとっては、とんでもない恐怖感を伴うと言えるでしょう。しかし、思ったより効果的で危険性の低い治療法なのです。

パーキンソン病の手術治療には歴史がある

最初にパーキンソン病に対する手術治療が行われたのは、70年も前の1947年(昭和22年)です。CTもMRIもない時代に、頭蓋骨にフレームを固定して、3次元測量の手法を使って脳の奥深くの目標点を特定、そこに針を刺すという手術が行われました。

現在は針でターゲットを破壊するのではなく、脳のペースメーカーとでも言うべき装置を体内に埋め込んで、いつでも目標点に置いた電極で脳を刺激できるようにします。

これによって、お薬だけでは対応しきれなくなった病状の人でも、一定のレベルに回復させることができるのです。もちろん個人差はありますので、手術前にお医者さんの説明を充分理解してから臨んで下さい。

あまり高齢になってからでは手術に耐えられないこともあるので、ベストは50代後半から60代の人で、パーキンソン病発症から8年~10年くらいだということです。

「あの頃の自分を取り戻す」治療という位置づけ

東海大学病院脳神経外科によると、脳深部刺激療法と言うこの治療を受けた人の80%が、電気刺激を送っている間は完全に震えが止まるとか、薬の量を減らせたとかの効果を感じているということです。

また、薬の副作用が抑えられたり、歩行のトラブルが軽減できたりと言った効果が見られることもあるということです。ただし、この治療も完全にパーキンソン病を抑えられるものではありません。

パーキンソン病の自然経過の中で、一つ前の段階に戻れると言う効果を期待しての手術なのです。手術による効果は5年から7年程度持続するといいますから、その間は「あの頃の自分」に戻れるということですね。

(参照:パーキンソン病 脳手術でもう一度あのころの自分を取り戻す|東海大学病院脳神経外科)

その手術の内容については、理解が難しい部分もあるとは思いますが、家族の人と一緒に、しっかり説明を理解して取り組んで下さい。

脳手術と言われると、自分が自分でなくなるような恐怖感もあると思います。しかし、実際に治療対象になるのは、運動に関わるごく小さな部分だけですので、勇気を持って取り組んで下さい。

あまりお勧めはしないけれど民間療法もある

ここで具体的な薬草の名前を書いてしまうと、薬機法(旧薬事法)に抵触するおそれがあるので、名前は伏せておきますが、日本でも暖かい地方であれば栽培できなくもない、とあるツル性の豆が有効だと言われています。

この豆には、レボドパが自然に含まれているのです。ですから、パーキンソン病に効果があるといえば言えるのです。

しかし、先にもお話したように、お薬としてのレボドパですら、長期間の使用で効果がなくなったり、効果が変質したりしますから、あまりお勧めできません。漢方薬ではありません。どちらかと言うとアーユルヴェーダで使われていたようですね。

保護因子や治療方法には数多くの方法がありますが、まだ現段階では、現代医学ですら完全ではないと言うのが、パーキンソン病という病気の難しさなのです。民間療法的な治療や予防法は、行うにしてもお医者さんと相談してからの方がいいですね。

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