健康生活TOP インフルエンザ タミフルとクラリス?インフルエンザの薬に抗生剤処方のわけ

タミフルとクラリス?インフルエンザの薬に抗生剤処方のわけ

カプセルタイプの薬

ウイルスの感染による風邪の中で最も症状が強く重症化しやすいのが「インフルエンザ」であり、これはインフルエンザウイルスに感染することで発症します。

症状が重症化しやすいインフルエンザは感染しやすく流行しやすい特徴もあることから、特効薬の開発を急務として進められた結果、現在では「タミフル」などの抗ウイルス薬が開発されています。

この抗ウイルス薬には他にリレンザなどがあげられますが、これらはクラリスなどの抗生剤と同時に処方される場合があります。

さて、この理由はなんなのでしょうか?ウイルスと抗体、抗ウイルス薬と抗生剤のそれぞれの働きについて勉強しておきましょう。

まずはインフルエンザ感染症の症状や抗体について

感染しやすく伝染性の高いインフルエンザは、世界の歴史の中で度々大流行を繰り返してきました。その度に多くの死者を出し、世界の人口にさえ影響を与えていたのです。

インフルエンザの大流行の記録は「ローマ帝国時代」には見られ、その以降も各時代において大流行の記録が見られます。20世紀に入ると有名な「スペイン風邪」「アジアインフルエンザ」「香港インフルエンザ」などが大流行しています。

近年では「新型インフルエンザ」が発見されており、「豚インフルエンザ」「鳥インフルエンザ」などウイルスの由来によって命名されているようです。

インフルエンザの流行は各時代で多くの死者を出しており、スペイン風邪の流行では世界中で5000万人から1億人規模の死者が出たとの記録が残っています。

インフルエンザはウイルスの感染が原因で発症

インフルエンザの発症は「インフルエンザウイルス」に感染することで発症します。その特徴は症状が重いことで、一般的な風邪とは比べられないほど重症化し、明らかな違いが見られるのです。

インフルエンザウイルスは喉や気管支に感染し増殖することで、気道に炎症を引き起こし各症状が発症します。

インフルエンザウイルスには大きく分類して「A型インフルエンザ」「B型インフルエンザ」「C型インフルエンザ」と3種類ありますが、主に大流行をもたらすのはA型とB型であり、C型は感染力が弱く流行することはほぼないでしょう。

インフルエンザウイルスにはヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)と呼ばれるスパイクタンパクがあり、その種類の組み合わせによって様々な識別を行っています。

実はB型やC型のインフルエンザウイルスにはHAとNAは1つしかありません。つまり一種類しかウイルスは存在していないのです。ウイルスの識別が必要なのはA型であり、理論上は170種類ものA型ウイルスが出現する可能性が指摘されています。

よくインフルエンザの種類の中に「H1N1型」とか「H3N2型」の型式を見かけると思いますが、これはスパイクタンパクによって、A型インフルエンザウイルスの種類を識別していたのです。

「新型インフルエンザが出現」などのニュースを見ると思いますが、新型インフルエンザの場合このHAとNAの型が今までに発見されておらず、新しい型が発生したことを意味していたのです。

インフルエンザの症状は風邪よりも重症

病気の種類としてインフルエンザの立ち位置は医師によっても見解に違いがあるようで、「あくまで風邪の一種だ」との見解を持つ医師もいれば、「いやいや風邪とは区別して治療するべき」と指摘している医師も少なくありません。

「原因が他の風邪と同じく気道に対するウイルス感染だから」…これが風邪とインフルエンザが同じとの根拠ですが、そうであれば全ての感染症は風邪になってしまいます。

私としてはどんなに似ていても症状に違いがあれば、区別して管理した方が安心だと思っています。そこでインフルエンザと一般的な風邪の症状を比較してみました。

インフルエンザの症状
  • 38℃~40℃の高熱
  • 喉の炎症、咳、鼻水
  • 関節痛、筋肉痛、倦怠感
  • 意識障害、混濁など
  • 肺炎などの合併症の併発
  • 急激に症状が悪化する
  • 全身に症状が表れる
  • 悪化すると死亡する
  • その他
一般的な風邪の症状
  • 微熱(38℃以下)
  • 喉の炎症、咳、鼻水
  • 2~3日で自然治癒する
  • その他

このようにインフルエンザで特徴的なのは、症状の重さと全身に症状が表れる点です。一方風邪は喉や気管支に症状はあるものの、全身に対しての症状が出ることは稀と言えます。

またインフルエンザでは合併症を引き起こすこともあり、最悪では死亡することもある怖い病気です。やはりインフルエンザを風邪と見るのは危険な感じがしますね。

インフルエンザの感染はどうして起こるのか?

インフルエンザは呼吸や口への接触によりウイルスが体内に入り込むことで感染します。一般的によく見られるのがインフルエンザ感染者の咳で飛散されたウイルスです。感染原因を見てみましょう。

  • 電車など狭い空間で飛散されたウイルスを呼吸で吸い込む
  • 感染者と会話中に呼気からウイルスを吸い込む
  • 感染者が触れたものから手に付着したウイルスを口から侵入させる
  • 感染者と直接接触してウイルスを付着させてしまう
  • その他

このようにインフルエンザウイルスとの遭遇は、特別なことではありません。流行時に外出すると沢山の感染者が近くにおり、ウイルスも大気中に飛散されています。

そして呼吸によって気道の粘膜に付着することで、「喉」「気管支」「肺」の細胞で増殖するのです。

インフルエンザウイルスの増殖は比較的早く、感染2日後程度でピークを迎えると言われており、症状の発症までの潜伏期間も1日~3日と他の感染症よりも早いことも特徴で、急激な症状の悪化はウイルスの増殖の早さと関係しています。

インフルエンザはなぜ爆発的な流行をもたらすのか?

インフルエンザはしばしばパンデミック(爆発的)な流行をもたらします。これは先ほど説明した通り、インフルエンザウイルスの種類が多く、ウイルスの特定や型の予測が難しいことが上げられます。

人間には免疫システムが備わっており、「抗体」と呼ばれる同じウイルスに感染しないような防御システムがあります。しかし、毎年流行するインフルエンザの種類が違えば、その抗体も役には立ちません。

せっかく去年流行したウイルスの抗体を手に入れても、今年は違う型が流行することで全くの無防備状態となってしまうのですね。

また新型ウイルスでは抗体を持っている人が、ほぼいないことから流行しやすいと言われています。ところで抗体ってよく聞く言葉ですが、何のことでしょう?

ウイルスと抗体の関係とはなんだろう

よく感染症の予防に関して「抗体を作る」とか「抗体ができていない」など聞くことがあります。インフルエンザの流行原因も抗体の有無が関係していますし、抗体とはどのようなものなのでしょうか?

抗体を知る前に免疫をおさらいしよう

日常生活を普通に生活していても、私たちの周りには様々な「細菌」や「ウイルス」などの異物が溢れています。「家の中」「家の外」どこにいてもこれらの異物から逃げ出すことは、基本的に不可能と言ってもよいでしょう。

今流行りの「潔癖性」の人の部屋でも、細かく観察すると様々な細菌が間違いなく生息しているのです。

このような環境の中で私たちが健康に生活できる理由は、人間に備わっている「免疫システム」のおかげと考えてよいでしょう。免疫とは体内に入り込んだ細菌、ウイルスなどの異物を死滅させて体外へと排出する機能のことです。

もともと免疫の語源は「疫から免(まぬ)がれる」であり、「伝染病から免れる」との意味を持っています。つまり、伝染病にかからないための機能が免疫だったのです。

免疫システムの働きを解りやすく紹介しましょう。

  1. 異物(細菌、ウイルス)が口から体内へ侵入
  2. 免疫が異物の侵入を察知する
  3. 免疫システムによって白血球の一種であるキラーT細胞が作られる
  4. キラーT細胞が異物を攻撃し死滅させる
  5. 同時に抗体が作られ攻撃を加勢する

このように異物が体内に侵入すると、偵察隊である免疫が異物を察知し、攻撃するためにキラーT細胞(白血球の一種)に指示を出します。

そしてキラーT細胞が異物を攻撃し、死滅させるのですが、ここでもう一つ仕事をしていますよね?そう攻撃指令と同時に「抗体」を作る仕事も行っていたのです。

抗体は異物を認識して結合攻撃する免疫の一種だった

異物が侵入によりB細胞で作られる「抗体」は、異物の「抗原(目印)」を認識することで、特異的に結合し動きを阻害します。

つまり抗体とはウイルスや細菌毎に作られる、専門の防衛隊であり、担当する外敵が侵入した時に結合することで死滅させる働きを行います。

あくまで抗体は専門家であり、一つの抗体が様々な種類の異物に対応することはできません。したがって私たちの身体には、今まで侵入した異物の抗体ができており、その数は膨大な数となっています。

しかし抗体には一度作られると一生働くものもあれば、一定期間で無くなるものあり、定期的に同じ感染症にかかる理由はここにあります。

そしてインフルエンザが大流行を繰り返す秘密も抗体にあったのです。

インフルエンザの流行とワクチンが対応できるウイルス型

インフルエンザの大流行の原因として最も大きいのは、インフルエンザウイルスの種類が多いことです。前述したとおりインフルエンザA型には、理論上170種類ものウイルスが存在することになります。

インフルエンザウイルスが全て同じ型であれば、大流行が起きることは考えにくく、人類全てが抗体を持つことになるでしょう。しかし、毎年違う型のウイルスが流行っていてはそうはいかないのです。

インフルエンザの予防には「インフルエンザワクチン」が有効とされ、厚生労働省からも定期的な接種を推奨されています。

このワクチンはインフルエンザの抗体を作るための薬なのですが、もうご理解された通りウイルス型が一致しないと意味がありません。

そこで厚生労働省の作業チームが翌年の流行を予測して、その結果により各製薬会社がワクチンを製造していたのです。まぁこれは一種の賭けと同じで「ワクチンの予想が当たったことなんかない!」と主張している人もいますが、専門家の意見ではそうとも言えないようです。

インフルエンザワクチンは一種類のウイルス型だけでなく、3種類程度のウイルスに対応できるように作ることで予測の幅を広げています。

また南半球の発生状況などを踏まえて予測していることから、大幅に予測が狂うことは珍しいことだと専門家は指摘しているのです。

免疫が強いと多くの病気を発症し辛くなります。そのためには抗体が重要だったのです。

インフルエンザのワクチンと治療薬の違い

インフルエンザは治すことよりも、予防することの方が大切と長い間言われてきました。これはウイルスに対する治療法が確立されておらず、発症すると対処療法に頼らざるを得ない状況だったからだです。

しかし、現在では複数のインフルエンザ治療薬が開発されており、大きな効果を上げています。

インフルエンザワクチンには限界があった

インフルエンザワクチンは体の中に抗体を作り、ウイルスの侵入を防御する予防法ですが、ワクチンで作られる抗体には問題があります。

ここで質問、「ワクチンで作られる抗体」と「インフルエンザを発症して作られる抗体」には違いがあることを知っていますか?

日本で作られているワクチンは「不活化ワクチン」と言ってウイルスから病原性を取り除いたワクチンです。これに対して「生ワクチン」があるのですが、これはウイルスを弱毒化したもので生きたウイルスが使用されます。

生ワクチンであれば体内でウイルスが増殖して沢山の強い抗体を作ることができますが、不活化ワクチンではウイルスの増殖はなく作られる抗体も少なくなるのです。

また不活化ワクチンでは強い(多くの)抗体が作られないために、徐々に効力は低下してしまうことから、効果は約5か月と言われています。

毎年のようにインフルエンザワクチンを接種しなくてはいけない理由は「ウイルスの型の違い」だけではなく、「不活化ワクチンで作られる抗体には期限がある」のも原因だったのですね。

抗ウイルス薬と抗生物質の違いって?インフルエンザの治療薬とは

実は知っているようで知らない話の中に「多くのウイルス感染症の治療薬は存在しない」と言うものがあります。インフルエンザ以外のウイルス性風邪症候群の薬も基本的に存在していません。

その状況の中でインフルエンザウイルスに関しては抗ウイルス薬が治療薬として普及しています。

抗生物質と勘違いしやすいので注意して!

一般の人が薬に詳しくないのは当たり前ですよね。そして勘違いの中でもよく聞くのが「抗生物質」と「抗ウイルス薬」の違いではないでしょうか?

抗生物質は感染症の中でも「細菌性」の病気に対して使用される薬です。風邪には「細菌性」と「ウイルス性」がありますが、細菌性の風邪に対してのみ抗生物質の効果が表れます。

病院で抗生物質を処方される場合は、細菌性の感染症を疑われた場合であり、ウイルス性の感染症では使用されることはありません。しかし、ウイルス性の風邪でも「抗生物質を下さい」と言う患者は多く、医師の中には説明に苦慮するケースもあるそうです。

それなら「風邪薬って何だろう?」と考えてしまいますが、実は風邪薬とは原因ウイルスをやっつけるのではなく、熱や鼻水、咳などの症状を抑える薬でしかありません。

風邪の治療とは対処療法で身体の負担を軽減して、自己治癒能力を高める治療だったのです。

しかし、症状の重いインフルエンザを発症すると、対処療法だけでは命を落としてしまう危険性もあることから、世界中の製薬会社でインフルエンザ治療薬を開発していました。

そして2001年に日本で初めての抗インフルエンザウイルス薬である「タミフル」が発売されたのです。

インフルエンザウイルスの増殖を阻害するタミフル

タミフルは1996年にアメリカのギリアド社が開発して、スイスのロシュ社がライセンス製造を行っている抗ウイルス薬で、日本においては中外製薬が製造輸入販売を行っています。

タミフルはインフルエンザウイルスを殺す薬ではなく、ウイルスの分裂を阻害することで、ウイルスの増殖を防ぐ薬です。

インフルエンザウイルスが分裂する場合に必要な酵素を阻害することで、増殖を防ぎ増殖できなくなったウイルスは自然に弱まり体外へと排出されます。

あくまでタミフルはウイルスの増殖を阻害する薬なので、ウイルス量が増えてインフルエンザの症状が出てしまってからでは意味がありません。つまり、ウイルスに感染して増殖が少ない時点で使用する必要があるのです。

タミフルの有効服用期限が「感染後48時間」以内とされているのは、これが理由だったのです。

インフルエンザの治療は時間との闘いだった

インフルエンザ治療の基本は「感染後どれくらい早く抗ウイルス薬を飲むか」が重要で、早ければ早いほど症状が軽く済ませることが可能です。

稀に「ゴホゴホ」と重い症状が出た後にタミフルを処方される場合もありますが、これはあまり効果がないと思います。症状がピークに達した後では自然にウイルスは排出されつつあり、今さら分裂を阻害してもあまり意味はないからです。

検査でインフルエンザと判明しても、抗ウイルス薬を処方されないこともありますが、これは医師が感染からの時間を推測した結果であり、効果がないと判断した結果なのです。

「あの医者、私にはタミフルを出してくれなかった」なんて怒っていた友人がいましたが、発症して3日後に行っても意味がないのですよ。

タミフル服用後の副作用が衝撃的

当初インフルエンザで使用されていた抗ウイルス薬はタミフルのみで、多くの医師が治療に使用していましたが、同時に副作用も報告されています。

特に若年層における「異常行動」は有名で、無意識化で「大声を上げて自宅から飛び出す」「窓から飛び降りる」などの副作用は、タミフルが精神的に何らかの影響を与えていると疑われました。

しかし、「厚生労働省 管轄医薬品安全対策調査委員会」の報告では異常行動はインフルエンザの症状によっての行動であり、タミフルとの因果関係はないと関係性を否定しています。

Q.14 : タミフル服用後に、異常行動による転落死が起きている等の報道が以前ありましたが、現在はどのような対応が行われているのですか?

その後、タミフルの服用と転落・飛び降り、又はこれらにつながるような異常な行動や突然死等との関係について、平成19年4月以降、薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において調査・審議を行い、副作用等報告、

非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査等の結果を検討してきました。平成21年6月の同調査会において、

・タミフルと異常な行動の因果関係について、疫学調査の解析結果のみから明確な結論を出すことは困難であると判断された。

・タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴って発現する場合があることが明確となった。

・平成19年3月の予防的な安全対策以降、タミフルの副作用報告において、10代の転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていない。

現在では未成年者の使用は控えるように指導されており、重症患者以外への投与は原則行なわれていないはずです。しかし、医師の判断で使用した場合では、このような副作用があることを理解して対応して下さい。

インフルエンザ用の抗ウイルス薬の種類

2001年当時はインフルエンザに使用する抗ウイルス薬はタミフルだけでした。しかし、現在では種類も増えて基本的に4種類の抗ウイルス薬が処方可能となっています。

タミフル以外の抗ウイルス薬について説明しましょう。

リレンザ

「リレンザ」はA型、B型のインフルエンザウイルスに効果がある薬で、口から吸入することで薬剤を投与します。

前述したとおりインフルエンザウイルスは、気道に入り込んで増殖を開始します。リレンザを吸入することで、効率よく気道に薬剤を送ることができることから、早期にウイルスの増殖を阻害することが可能です。

タミフルと同様にウイルスが増殖してからでは意味がなく、感染が確認されたら少しでも早く吸入する必要があります。リレンザを処方する場合、一回目の吸入を自宅ではなく、病院や調剤薬局で行うのはこのためです。

リレンザには副作用として

  • 下痢
  • 発疹
  • 吐き気
  • 動悸

が報告されていますが、重い副作用は見られないようです。

イナビル

「イナビル」も吸入式の抗ウイルス薬ですが、その最大の特徴が「1回の吸入」で完結してしまう点です。

リレンザでは1日2回5日間の吸入が必要ですが、イナビルは一回のみで終了します。

しかし、正しい吸入が必要なために、医師や看護婦の立ち合いの元、行う必要があります。イナビルの使用は便利な反面、不安もあるようで、「本当に一回でいいの?」「ちゃんと効くのだろうな?」などの疑問を持つようです。

いくら医師や看護婦が「イナビルは一回でいいのよ」と説明しても、納得しない高齢者も多く、他の面で医師が苦労しているかもしれませんね。副作用はリレンザと同様程度です。

ラピアクタ

「ラピアクタ」は点滴によって投与するタイプの抗ウイルス薬です。

タミフルは錠剤、リレンザ、イナビルは吸入でしたが、ラピアクタは点滴によって直接血液中に薬剤を投与します。

「今さら点滴なの?」と疑問を持つ人もいると思いますが、高齢者の中にはインフルエンザの初期症状によって、体力が低下して薬を上手に飲んだり吸入したりできないことが珍しくありません。

また基本的には1回の点滴で終了するために、身体の負担も少なくすみます。高齢者以外にも病気で薬を飲めない人は大勢いることから、点滴タイプの抗ウイルス薬は重要な位置づけにあると思います。

大きな副作用も見られないので、身体が不自由な人にとって嬉しい薬ですね。

タミフル以外に3種類の抗ウイルス薬を紹介しましたが、抗ウイルス薬の全てに言えるのが使用するタイミングであり、感染後48時間以内に使用しないと大きな効果は望めない点です。

せっかくの抗ウイルス薬も症状が悪化したら使用する意味がありません。感染を疑ったら早急に病院で検査を受けるようにしましょう。

抗ウイルス薬によって抗体を作るチャンスを逃していた

感染後すぐに抗ウイルス薬を使用することは、ウイルスの増殖を防ぎ症状を悪化させないようにするという点では問題ないのですが、実は再発に関しては弊害をもたらせているようです。

インフルエンザが再発する理由は弱い抗体?

先ほども説明しましたが、インフルエンザワクチンの効果が弱い理由に「抗体が弱い(少ない)」ことがあります。これは不活化ワクチンが原因で、体内でウイルスが増殖しないために強い抗体が作られないのです。

そうであれば一度インフルエンザウイルスに感染すれば、強い抗体が作られ同じ型のウイルスには感染しないことになります。これはある意味で正解です。

例えばAさんはインフルエンザA型(N1H1)のウイルスに感染して、不運にも症状が悪化してから2週間程度で完治したとします。

このケースではウイルスも沢山増殖して、強い抗体も作られたと推測できます。

きっとこの人は同じA型(N1H1)のインフルエンザに苦しむことは無いでしょう。ここでのポイントは「沢山のウイルスが増殖した」と言う部分で、ウイルスが増殖したからこそ強い抗体が作られたと推測できます。

抗体はウイルスが少ない状態では多くは作られにくく、抗体が少ないと同じ型のウイルスに再度感染する可能性があります。これが再発の理由なのです。

抗ウイルス薬がインフルエンザの再発の理由だった

インフルエンザ抗ウイルス薬の摂取とウイルス抗体の関係

説明した通り抗ウイルス薬はインフルエンザウイルスの増殖を阻害する薬です。そして感染後48時間以内に使用しなくてはいけません。

これは「ウイルスが少ない状態」で「ウイルスの増殖を阻む」ことを意味しており、結果的に体内で増殖するウイルスには限りが出てしまうのです。

つまり、抗ウイルス薬を適切に使用したケースでは、体内にはウイルスの数が少なく、強い抗体が作られなくなり、同じ型のインフルエンザを再発するリスクが増加します。

一度感染したインフルエンザウイルスに再度感染する理由は、十分な抗体が作られていないことが原因です。抗ウイルス薬は有効ですが、それ故に抗体を作るチャンスを逃す結果も招いていたのですね。

抗体は病気が発症することで作られます。

病気を早期に治療することが抗体を作りにくくしていたなんて…ちょっと驚きですよね。

抗ウイルス薬と抗生剤の併用の理由は「免疫作用の強化」と「抗体を強くする」ため

抗生剤(抗生物質)はウイルスには効果がなく、細菌性の感染症で処方されることを説明しましたが、インフルエンザの治療においてタミフルとクラリス(抗生剤)を同時に処方されることがあります。

何となく意味がないような気がしますが、どのような理由があるのでしょうか?

クラリスには粘膜免疫作用を高める働きがあるのだ!

クラリスはマクロライド系抗生物質の一種で、喉や気管支、肺における感染症に対して効果があります。

あくまでクラリスは抗生物質なので抗ウイルス薬としての効果はなく、インフルエンザ治療薬としては不適格な薬ですが、実は免疫を向上させる作用があることが解明されたのです。

特にクラリスは粘膜免疫作用を増強させて、その作用によってウイルス感染症にも効果を発揮します。

インフルエンザではウイルスが気道で増殖しますが、クラリスを服用することで気道状にある粘膜の免疫を強化してウイルス排除を促進させます。

インフルエンザ治療においてのクラリス処方は、抗ウイルス作用を求めたものではなく、免疫作用の強化によって自己治癒力を高めるのが狙いだったのですね。

クラリスは強い抗体を作りやすくする

服用することで免疫力を強化するクラリスですが、気道の粘膜免疫を高める以外に抗体を作りやすくする作用も見られます。

クラリスを併用することで、少ないウイルス(抗原)であっても十分な抗体を得ることが可能であり、インフルエンザの再発予防に有効なことが研究で明らかになっています。

クラリスが抗体を作り出す理由の全ては解明されていませんが、免疫が高まることで抗体を作り出すB細胞が活性化することが関係していると考えられています。

つまり早期に抗ウイルス薬を使用した結果、ウイルスの増殖が少なくなってもクラリスを併用することで強い抗体を得ることが可能なのです。

インフルエンザ治療薬の使用と抗体の関係図

クラリスを併用する治療法では今まで問題となっていた、同じシーズンに2回感染する事態を回避することができ、さらに翌年以降の感染率も減少するとのデータがあります。

抗生剤が抗体の生成を促進させるなんて驚きですね。

タミフル以外の抗ウイルス薬でも抗生物質の併用が効果的

タミフルだけではなくリレンザにおいても、クラリスを使用することで同じく抗体促進効果が期待できます。

またクラリスは「クラリスロマイシン」が成分名であり、「クラリシッド」などの薬も成分が同じであり、全く同じ効果が期待できます。

  • タミフル+クラリス
  • タミフル+クラリシッド
  • リレンザ+クラリス
  • リレンザ+クラリシッド

でも問題はなく、インフルエンザを治療しながら再発予防も効果があります。

イナビルなど他の抗ウイルス薬については比較的新しい薬で報告は見当たらないのですが、効果は同じだと推測されます。

クラリスは二次感染予防に処方されることも

インフルエンザを発症すると体力も低下してしまい、免疫も弱くなってしまうことがあります。そうなると普段は大丈夫な細菌に感染してしまい、細菌性の肺炎などの症状を発症させる危険性が出てきます。

それを防ぐ目的で予防措置として抗生剤を処方することがあります。特に高齢者がインフルエンザを発症すると、みるみる体力が無くなり二次感染を起こすリスクが高まるので注意が必要です。

クラリスの使用は抗体を作りやすくするだけでなく、二次感染を防ぐ目的もあったのです。

処方された薬は指示通りに服用する

インフルエンザ対策のタッグと言ってもよい2種類ですが、注意したいことがあります。実は抗ウイルス薬が効かないウイルスが増加しており、今やその数が増加していることが報告されています。

これらは「薬剤耐性ウイルス」と言って、抗ウイルス薬を投与しても効果がなく、増殖を阻害するこができません。この薬に対する耐性はウイルスだけでなく細菌でも問題になっており、それらが作られる原因の一つが「使用方法」です。

耐性ウイルスや耐性菌ができる原因は、「遺伝子異変」や「薬剤の誤使用」が考えられ、医師の指導通りに薬を服用せずに中途半端でやめることです。

必ず医師の指示通りに薬を飲み切るようにしましょう。

抗生剤の安易な使用は耐性菌を生み出す危険性があります。

医師の指示は絶対と思って服用しましょう。

同じウイルスに何回も感染しないために

同じ病気に何回もかかる人がいます。「この前風邪を引いたばかりなのに、もう次の風邪を引いている…」何ともなく情けない話ですが、珍しい話ではありません。

軽い病気であれば笑い話で済みますが、インフルエンザではそうはいかないですよね。

私の友人も12月と2月にインフルエンザを発症して、その言い訳が「去年と今年だから違うシーズンだ!」と言っていました。なかなか酷い言い訳ですが、彼も抗ウイルス薬を使用していたのは事実です。

人間には免疫システムがあり抗体があります。これらを如何に強化するかが感染症対策には大切であり、せっかくインフルエンザウイルスに感染してしまったのだから、強い抗体を作らないと損と言うものです。

抗ウイルス薬と抗生剤の組み合わせは、全く意味が違うように見えてそうではありませんでした。抗ウイルス薬はウイルスをやっつけて、抗生剤は抗体作りを促進して二次感染を予防していたのです。

「損して元とれ」とは日本の商売人の心意気であり、「損したのだから、他のところで得してやる」との意味はいかにも商売人の言葉ですよね。

抗体の獲得にも同じことが言えます。「せっかくインフルエンザに感染したのだから、強い抗体つくっちゃえっ」てね。

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