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【インフルエンザ講座】予防接種ワクチンの知識と予防対策法

インフルエンザと言う病気について、皆さんは様々なイメージを持っておられると思います。一番多いのは「ひどい風邪」と言ったイメージでしょうか。症状を見るとその通りである部分も多いですね。

今ではあまり言いませんが、インフルエンザの日本語訳は「流行性感冒」つまり「はやり風邪」です。厳密には違うと言う説もありますが、実際そういう意味で使われていることが多いようです。

これはインフルエンザの最も厄介な特徴を表していると言っていいでしょう。つまり、強力な伝染力によってあっという間に大流行を起こす危険性があると言うことです。なので、私たちはそれに巻き込まれないよう自衛しなければなりません。

まずはワクチンについて見てみることから始めましょう。

インフルエンザの予防接種を受けるか受けないかは個人の判断

インフルエンザの予防接種は65歳未満の人は定期接種ではありませんので、全額自費での接種になるため、決して安価なものではありません。だいたい3000円~5000円くらいでしょう。

また、接種したら100%効果があるわけでもありませんし、副反応による健康への悪影響もゼロではありません。ですので、予防接種を受けるかどうかは個人の判断にゆだねられています。

副反応の発生率は意外に高いが死亡する危険はわずか

インフルエンザワクチンの副反応が疑われる死亡例は、毎年数人程度発生しています。2010年以降でゼロだったのは2011/2012年のシーズンだけです。しかし、ほとんどの人が基礎疾患のある高齢者だったので、健康な成人の場合危険は極めて少ないでしょう。

一方で、軽い副反応は割合高率に見られます。もっとも軽い副反応は接種した場所が赤くなったり、痛みが続いたり、腫れたりするというものです。放っておいても2~3日で消えることが大半ですが、予防接種の痛みが3日も続くって嫌ですね。

この副反応は10%~20%の発生率だそうですから5人~10人に1人の割合で発生しているようです。さらに、全身性の副反応もその半分程度で起こっています。

悪寒を感じたり、熱が出たり、頭痛や全身のだるさを感じたりします。これも2~3日で自然に治まることが多いようです。

日本で使われているインフルエンザワクチンは生ワクチンではありませんから、ワクチン中に病気を引き起こすインフルエンザウイルスはいません。ですので、こうした副反応はインフルエンザウイルスによって病気が出たものではありません。

さらに、まれにアレルギー反応が起こることがあります。いわゆるアナフィラキシーで、接種後比較的早い段階でじんましんや痒み、呼吸困難などが見られます。接種後30分は医療機関の中に留まるよう言われるのはこの対策のためです。

インフルエンザワクチンは鶏卵を利用して作られますから、卵アレルギーの人は警戒が必要です。卵アレルギーの人が全員接種できないわけではありませんが、事前にお医者さんとよく相談してからでないと接種してはいけません。

なお、さらにまれな例ですが、肝機能障害や急性脳症、ぜんそくなどを含む、いくつかの重篤な副反応も報告されています。めったに起こるものではありませんが、リスクはゼロではないと言うことです。

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インフルエンザワクチンの有効率は100%ではない

インフルエンザワクチンを接種した場合にインフルエンザを発症しないと言う「発病阻止効果」はそれほど高くありません。接種者をたくさん集めた統計は見当たりませんでしたが、高齢者と乳幼児についてはデータがありました。

入院や高齢者施設に入所している65歳以上の高齢者を対象にした調査では、34%~55%の人の発病を阻止したとあります。

一方、乳幼児については、統計によってばらつきがありますが、20%~50%の発病阻止率だったということです。つまり、ほとんどの場合、半数以下の阻止率に留まっているのが現状です。

ワクチンには重症化予防が期待できると言う要素もありますが、これについては、先の高齢者施設での研究データを見ると、82%の死亡阻止ができたということです。

こうして見てみると、インフルエンザワクチンの有用性はかなり微妙な感じがしますが、副反応は出ない人の方がずっと多いわけですし、おそらくなら半数程度の人には発病を阻止する効果はある可能性があります。

ですので、あとは個人個人の感染機会の多さなども含めて、よく検討して接種の是非を決めて下さい。

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家族に学校に通う子供がいたり、医療・介護施設関係者がいたりすると感染機会は格段に増えますから、そうした場合は有効と考えても良いかもしれませんね。

インフルエンザは家族単位で予防するのも重要

乳幼児や高齢者に対してインフルエンザワクチンが充分に有効ではない可能性があるのであれば、感染機会を減らすということが重要になりますね。

幼稚園や保育園に通っていない子供や、デイケアなどにもあまり行かない高齢者であれば、感染はほとんどが家族からと言うことになります。つまり、家族単位で予防を行うことが重要になるでしょう。

インフルエンザウイルスを増やさない環境

インフルエンザウイルスは湿度の高い環境では感染しにくく、およそ50%以上の湿度があると感染者が減ることが判っています。このため乾燥しやすい冬場に流行が起こりやすいのです。

言い換えれば、室内環境を50%~60%程度の湿度に保っておくだけで、かなりインフルエンザウイルスによる感染を防ぐことが可能だということになります。

その原因は、乾燥が気道粘膜の防御機能を大きく損なうからです。特にインフルエンザウイルスが湿度に弱いわけではありませんが、気道粘膜が健全だと感染しにくいのです。

寒い冬にエアコンや電気ストーブを使って暖房を行うと、非常に湿度が下がってしまいます。オイルヒーターや床暖房、ホットカーペットなどでも同じです。

一方、熱を出す際に水蒸気を発生させるガス暖房や石油暖房は湿度が下がりにくい代わりに、高齢者や乳幼児がいるところではやけどや火災の危険性が上がってしまいます。

そこでお勧めしたいのは加熱式の加湿器です。超音波式の加湿器は手入れが悪いと、感染性の細菌などをまき散らしてしまう可能性があります。また、加熱式の方が静かだというメリットもありますね。

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さらに、マスクと眼鏡は外出時にはお勧めのアイテムです。マスクは飛沫感染を防ぐのに非常に有効です。よくウイルスはマスクの目より小さいから無意味だという意見が聞かれますがそんなことはありません。

ウイルスが単体で大量に飛来してくるなら、通常のマスクでは効果がないでしょう。しかし、インフルエンザウイルスは感染者の咳やくしゃみによって飛ばされる飛沫によって広がります。

飛沫の大きさであれば、通常の不織布マスクで充分食い止められます。さらに、マスクの内側は自分の呼気によって高湿度の環境ができあがっていますから、気道粘膜を健全に保ち、ウイルス感染を防ぐことができるという訳です。

さらに、ウイルスは粘膜である眼からも感染します。それをある程度防止してくれるのがめがねです。飛沫の飛距離は最大で2mくらいですから、運悪くその中に入った時に眼鏡とマスクで防ぐと考えて下さい。

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手洗いとうがいは大切

飛沫感染であると言うことは、感染者から飛び散った飛沫が、そのあたりに付着していて、ウイルスが不活化される前に誰かがそれを触ってしまって感染することがあります。

ウイルスは感染者の体外に出ると、せいぜい15分くらいしか感染力を保っていられません。しかし、その15分の間にそれに触れて体内に潜り込まれると感染してしまいます。

一方、インフルエンザウイルスはウイルスを分解する酵素を持っている皮膚からは感染しにくいので、こまめに手を洗うことで、手を経由して鼻や目、さらには口から感染することを防ぐことができるのです。

うがいについては、青いうがい薬で知られるアズレン系のうがい薬を使って行ってください。のどの粘膜の荒れを修復してくれますので、感染予防に役立ちます。

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最後は自分の免疫力こそが自分を守ってくれる

私たちの身体には外敵から身を守ってくれる免疫と言うシステムが存在しています。これは大きく分けて2種類あり、ひとつはワクチンの接種や感染経験によって、その病原体専用の撃退機構を備える「獲得免疫」です。

それに対して、一定のルールのもと、入ってきた異物はすべて攻撃対象になる「自然免疫」と言うものがあります。一般に「免疫力」と呼んでいるものはこちらを指しているように見受けられます。

自然免疫で活躍するものの1つにナチュラルキラー細胞があります。これは入ってきた外敵を無条件に攻撃すると同時に、ウイルスに侵入された細胞が侵入されたという合図を出すと、それも殺してしまいます。

そうして、感染細胞から新たなウイルスが生まれてくるのを防いでいるのです。

免疫力を強くしておくには、健康的な生活こそがポイントになりますが、その中でも「食べると良い」「飲むと良い」と言った民間療法的なものもたくさん紹介されていますので、利用するのも悪くないでしょう。

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特に小中学生が家族にいると、学校から持って帰ってしまう可能性が高くなりますね。そんな時に、大人がしっかりした免疫力を持っていて移されないということができるのがベストと言えるでしょう。

運悪くかかってしまったら早く治療する

それでも運悪くインフルエンザにかかってしまったら、一刻も早く治療をすることが大切です。現在最もよく使われている抗インフルエンザ薬の3種類は、基本的に同じ作用機序を持っていますが、発症から2日経つと効果がなくなります。

ですので、「3日前から調子が悪くって、症状が重くなってきたから受診した」と言う感じでお医者さんに行った場合、抗インフルエンザ薬を処方してもらえない可能性もあります。

お薬で治癒が1~2日早まる

抗インフルエンザ薬を使用すると、だいたい1~2日くらい治るのが早まります。たったそれだけかと思われるかも知れませんが、このお薬はウイルスの増殖を抑え込みますので、家族の人に移る危険性も早く消えると言うことなので、利用価値は充分です。

不運なことに、原因不明の副作用で有名になってしまったオセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル・ジェネリックなし)だけが飲み薬なのでよく処方されます。社会問題にもなった副作用は、10代の人が使用すると異常行動に走ることがあると言う物です。

そのため、現在では10歳以上20歳未満の人には処方されないようですが、小さい子供用にはドライシロップもあります。このお薬は、発症から40時間以上たってしまうと有効性が認められないということですので、特に早めの受診が必要です。

また、粉末を吸入するタイプのザナミビル水和物(商品名:リレンザ・ジェネリックなし)と、日本で開発された同じく吸入薬のラニナミビルオクタン酸エステル水和物(商品名:イナビル・ジェネリックなし)と言うお薬もあり、10代の人にはこちらが使われます。

また、タミフルでは効かないA型ウイルスもありますが、それに対してもリレンザとイナビルは有効です。ただ、吸入薬なので小さい子供には使うのが難しいという難点があります。

さらに、リレンザは1日2回5日間の使用が必要ですが、イナビルは処方されたら薬局で受け取って、その場で1回吸うだけでOKという便利さがあります。どのお薬がいいかはお医者さんとよく相談して下さい。

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抗生物質・抗菌薬が必要とされることもある

抗生物質・抗菌薬は細菌を殺す薬だから、ウイルス性のインフルエンザには無意味なのに、お医者さんが抗生物質を処方したと言って不審に思う方もおられるようです。しかし、これは予防的な意味も含めて必要な措置ですので、しっかり飲んでおいて下さい。

ちょっとややこしい話ですが、インフルエンザにかかった時にはインフルエンザ菌感染が見られることが少なくないのです。インフルエンザ菌は名前の通り細菌です。しかし、インフルエンザの原因病原体ではありません。

インフルエンザウイルスによってインフルエンザを発症した人の、防御機構が弱まった身体に感染して、風邪のような症状を引き起こす細菌なのです。つまり二次感染という訳ですね。もちろん細菌ですから抗生物質が有効です。

インフルエンザでは、その他の細菌によっても二次感染が起こることがよくありますから、お医者さんはそれを見越して抗生物質を処方されるのです。

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このように、お医者さんでは必要なお薬を処方してくれますので、あとは保温・安静・栄養・補水と言う原則を守っておとなしく寝ておいて下さい。

このインフルエンザ菌はインフルエンザウイルスより先に患者から見つかったのでそう命名されました。でも、いい加減改名した方がいいと思うんですけどねぇ。ややこしくっていけません。

インフルエンザはウイルス感染による全身症状の病気

さて、ここで病原体についても見てみましょう。インフルエンザの原因病原体はインフルエンザウイルスです。そして、症状としてはかぜ症候群(感冒)と同じような呼吸器症状が特徴的ですが、全身の痛みや激しい発熱などの全身症状もインフルエンザの症状の特徴です。

ウイルス感染症ですから、ウイルスに入り込まれた細胞は自分の免疫細胞の攻撃対象になります。そのため炎症や痛みが全身に現れ、発熱も高くなりやすいのです。

季節性インフルエンザと新型インフルエンザ

毎年のように「新型インフルエンザ」と呼ばれる物が話題になります。これは見つかって間もないもので、症状の傾向なども不明な点が多く、場合によっては予防のためのワクチンもまだできていないため、充分な警戒が必要になるものです。

その新型インフルエンザも、見つかって数年経つとワクチンもできますし、感染経験者も増えて獲得免疫を持つ人も多くなります。さらに、治療体制も確立されますので、発見当初ほど危険性の高いものではなくなります。

そうなると、それまで新型インフルエンザとして扱われていたものも、季節性インフルエンザの1つとしてまとめられ、通常の対応に移行します。

近年では、2009年に世界的大流行を引き起こした、通称「豚インフルエンザ」※は、日本とアメリカだけでも1億人を超える発症者が見られた大きな流行をもたらしました。しかし、2011年には季節性インフルエンザとしての取り扱いに変わっています。

※ (風評被害をもたらす不適切な名称として言い換えが進められましたが、長くこの言葉で報道も行われていました。豚を食べてもインフルエンザにはかかりません。)

季節性インフルエンザと言うのは、毎年冬になると流行するインフルエンザのことです。つまり、インフルエンザは新型としてデビューし注目を集めますが、数年後には「普通の」インフルエンザとしてまとめられると言うことです。

めったにないことだと思われますが、例えばなかなかワクチンが開発できないと言ったような特殊な事情がある場合は、ずっと「新型インフルエンザ」のままになるかも知れませんね。

メジャーなインフルエンザウイルスはA型とB型

インフルエンザにはA型・B型・C型の3つの型があります。そのうち、季節性インフルエンザになっているのはA型とB型で、C型は季節性がなく一年中患者の発生があります。

ただ、C型は季節性がないだけではなく、ほとんどの人が乳幼児期に感染して獲得免疫を持っていることや、感染した時にも症状が出ないことも多いため、全く別の病気として扱われることが多いです。ですので、インフルエンザと言えばA型かB型と言うことになります。

また、B型インフルエンザウイルスにはいくつかの種類がありますが、基本的には2種類のグループのどちらかに属しています。具体的にはB/ビクトリア系統とB/山形系統の2つで、ワクチンも最近ではこの2種類を混合しているようです。

B型インフルエンザは人間とアザラシぐらいにしか感染しないため、遺伝子の変異も少なく、次々新型が現れると言うこともありません。

ただ、B型インフルエンザは日本国内でも夏場に局所的流行をひき起こしたこともありますし、A型とは少し様相が異なるようです。それでも、毎年のワクチンでもしっかり対策されていますから過剰な心配は不要です。

それに対して、鳥にも感染することから世界中に広がりやすいと言われているA型インフルエンザは、豚にも感染します。人間と鳥の間には共通の病原性を持つ物は少ないのですが、豚は鳥と人間の両方のインフルエンザに感染します。

そのため、豚に感染した時に人間にも感染するように変異することがあって、新型インフルエンザが生まれるのではないかとも考えられています。

つまり、鳥インフルエンザが豚に感染して、人間にも感染できるように変異してから再度鳥に感染すると、鳥によって世界中に運ばれてしまう危険性があると言うことですね。

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デビューの時は注目されても、数年で「その他大勢」になってしまうのって、なんだか悲哀を感じますね。でも、病原体はそのほうが治療しやすくていいです。

インフルエンザウイルスは亜型・株が多いのでワクチンも毎年変わる

毎年秋の終り頃になるとインフルエンザの予防接種が話題に上ります。それほど安いものでもないし、副反応も気になるし、毎年打たなければいけないのかと言う疑問も浮かんできますね。

予防接種の必要性はさておき、A型インフルエンザはタイプが多いため、毎年流行を予測してそれに合うようなワクチンを接種することになっているのです。

A型は144種類の亜型があるが人間に感染するのは一部だけ

インフルエンザウイルスには、表面にスパイクたんぱく質と言う物が並んでいます。ヘマグルチニンと言うものは、宿主の細胞に取り付くためのもので、HAと略されA型で16種類、B型で1種類が知られています。

一方、ノイラミニダーゼと言うスパイクたんぱく質は、ウイルスが増殖できないような誤った細胞に取り付いてしまった時や、宿主細胞の中で増殖したウイルスがその細胞を離れる時に結合を切る働きをしていて、NAと略されA型で9種類、B型で1種類が知られています。

このスパイクたんぱく質の組み合わせで、A型インフルエンザウイルスは16×9=144種類の亜型が存在しています。現在までのところ、9~10種類で人への感染事例が見られており、その中でメジャーなのは3種類です。

人間を主な宿主にしているインフルエンザウイルスの亜型

  • H1N1:スペインかぜ・Aソ連型・2009年新型
  • H2N2:アジアかぜ
  • N3N2:香港かぜ・A香港型

鳥を主な宿主にしているが、人間にも感染が起こったことのあるインフルエンザウイルスの亜型

  • H5N1:高病原性株あり
  • H7N2:2016年11月猫への感染も確認
  • H7N3:2012年メキシコで鳥から人に感染
  • H7N7:2003年以降ヨーロッパで発生・人と鳥のほか豚・馬・ねずみなどにも感染する
  • H7N9:2013年以降中国に多い
  • H9N2:1999年以降中東から東アジアで発生(日本を除く)

そして、H1N2亜型も人間に感染しますが、もともとH1N1とH3N2の遺伝子から生まれたものではないかと考えられていて、病原性も低いうえ、H1N1とH3N2用のワクチンが有効なので、あまり注目されません。

一方、B型インフルエンザウイルスにはHAもNAも1種類しかありませんので、亜型は存在しません。ビクトリア系か山形系のグループ分けだけです。

同じ亜型の中でも株が違うと特性も変わる

上のリストの先頭にあるH1N1亜型に分類されるスペインかぜは、1918年~1919年に世界中に広まったインフルエンザの世界的大流行です。もちろん当時はインフルエンザウイルスは知られていませんでしたのでスペインかぜと呼ばれました。

実際にH1N1亜型であったと言うのは、偶然保存されていた遺体試料から20世紀終盤に分離されるまでわからなかったのです。

このスペインかぜは人類史上最悪の厄災として知られています。戦争でも飢饉でも疫病でも、これほど多くの被害を出したものは他にありません。感染者5億人、死者5000万~1億人と推定されています。

しかも時は第一次世界大戦のさなかでしたので、戦死者と数えられた人の中にもインフルエンザの病死者が少なくなかったのではないかと言われています。

当時の世界人口は20億人ぐらいでしたから、とてつもない大流行ですね。日本でも当時の人口5500万人に対して40万人前後が死亡しています。

一方、1977年から1978年にかけて当時のソビエト連邦で大流行したインフルエンザはA/USSR/90/1977 (H1N1)、通称Aソ連型と言うウイルス株によるものでした。これはスペインかぜと同じH1N1亜型ですが、まったく違った流行です。

さらに、まだ記憶に新しい2009年の新型インフルエンザの世界的流行もH1N1亜型のウイルスによる物です。

これらはいずれもH1N1亜型のA型インフルエンザウイルスですが、株が異なるため性質も異なるということなのです。しかし、亜型が共通しているため、ある程度共通性も見られます。

この株という感覚は、ヨーグルトの乳酸菌と比べてみると判りやすいでしょう。例えば明治プロビオヨーグルトのLG21に入っているLG21乳酸菌はラクトバチルス属ガッセリー種に属している、ピロリ菌退治に役立つ菌です。

一方、雪印メグミルク・恵ヨーグルトに入っている内臓脂肪を減らす乳酸菌もラクトバチルス属ガッセリー種なのです。

この2つは同じ菌ですが「株」が異なるため有効性が異なるのです。LG21はOLL2716株が、恵にはSBT2055株が使われています。感覚的には種が国籍とするなら株は「一族」のようなイメージです。

インフルエンザワクチンはその年の流行を予測して準備される

このため、毎年流行シーズン直前から接種が始まるインフルエンザワクチンは、そのシーズンに流行するであろう亜型と株を予測して、それに沿ったものが準備されます。

以前は3価ワクチンと言って3種類のウイルス株に対応したワクチンが準備されてきましたが、世界的な流行に鑑み、2015/2016年シーズンからは1種類増やした4価ワクチンが供給されています。2015/2016年シーズン用のものでは、

  • A型H1N1:A/カリフォルニア/7/2009(X-179A)pdm09
  • A型H3N2:A/スイス/9715293/2013(NIB-88)
  • B型山形系統:B/プーケット/3073/2013
  • B型ビクトリア系統:B/テキサス/2/2013

この株の名前についている地名と年号は、最初にその株が分離された場所と年号です。一方、2016/2017年シーズン用のものは、次のようになっています。

  • A型H1N1:A/カリフォルニア/7/2009(X-179A)pdm09
  • A型H3N2:A/香港/4801/2014(X-263)
  • B型山形系統:B/プーケット/3073/2013
  • B型ビクトリア系統:B/テキサス/2/2013

この1年間では1種類だけが変わっていますね。H3N2は、かつて香港かぜと呼ばれた大流行で見つかったウイルスで、今でもH3N2をA香港型と呼ぶこともあります。

ここでは、2013年にスイスで見つかったものから、2014年に香港で見つかった株に変更されています。もちろんかつての香港かぜのものとは、たまたま見つかった場所が同じだけで異なる株です。

このように、インフルエンザワクチンは毎年その年の流行が予測されるものに更新されています。また、ワクチンの有効期間は5か月程度だという数値も示されていますので、接種するのであれば毎年受けた方が良いでしょう。

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ワクチンに入っているH1N1の株の最後についているpdm09と言うのは「2009年にパンデミック(世界的大流行)を起こした」と言う意味です。あの新型インフルエンザも、このように季節性として扱われています。

インフルエンザは最も危険な病気

個人レベルで見た場合、特に日本では「悪い風邪」ぐらいにしか思われていません。それは日本では衛生状態も栄養状態も良く、医療体制も整っているからです。それでもその日本ですら、毎年数百人から千数百人がインフルエンザを直接の死因として亡くなっています。

先にお話ししたスペインかぜの例を見ても判る通り、高病原性・強毒性の変異を起こしたインフルエンザウイルスがパンデミックを起こすと、推定死者1億人と言う、並の核兵器では太刀打ちできないほどの破壊力を持ってしまいます。

それを防ぐには、普段から予防に努め、健康と衛生に関する意識を高めておくと言う、個人レベルでの地道な努力がもっとも重要なのです。

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