健康生活TOP 感染症 ジカ熱感染で子供が小頭症に!日本でも妊婦はヤブ蚊を防げ

ジカ熱感染で子供が小頭症に!日本でも妊婦はヤブ蚊を防げ

jika virus

私たちの身近ではあまり知られていないウイルス感染症に「ジカ熱」と言う病気があります。日本ではほんの数例が渡航歴のある人で見つかったことがあるだけの輸入感染症です。

もともとそれほど危険な病気ではなかったのでこれまでそれほど注目を集めた事のない病気なのですが、ブラジル政府の緊急警報を受けて、汎米保健機構PAHOと世界保健機関WHOが2015年12月にアラート(感染症警戒警報)を上げました。

一体どうなっているのでしょう。そして、日本に危険が及ぶことはないのでしょうか。

もともと風邪レベルの怖くない病気だったジカ熱が凶暴化した?

ジカ熱はもともとそれほど怖い病気ではありませんでした。蚊によって伝染し、感染し発症すると盛り上がった小さな発疹が出ますが、感染者の内1/4くらいしか発症しません。最初は軽い頭痛と発疹に始まり、やがてそれほど高くない発熱に繋がります。

発症してからおよそ1週間で症状は消えてしまい、後遺症も残りません。症状としてはデング熱に似ていますが、重篤化することもなく、ブツブツのできる風邪レベルなので、これまであまり警戒されてこなかったのです。

ブラジルで始まった流行は重篤化するタイプのものだった

ブラジルで最初の感染者が確認されたのは2015年5月でした。それが2015年11月末の発表では、ブラジル国内だけでも1人が死亡、6人が重態、そして感染した妊婦さんから生まれた赤ちゃんに、1248例もの先天性異常が見つかったのです。

さらに、感染は中南米を中心とした諸国に拡がっています。WHOがアラートを上げているのは、

  • ブラジル
  • コロンビア
  • エルサルバドル
  • フランス領ギアナ
  • グアテマラ
  • ホンジュラス
  • フランス海外県マルティニーク島
  • メキシコ
  • パナマ
  • プエルトリコ
  • パラグアイ
  • スリナム
  • ベネズエラ

国名だけではイメージしにくいかもしれませんね。地図にまとめてみました。

zika fever epidemic distribution map

たった半年で、これだけの国々にWHOがアラートを上げる必要があるくらい感染が広がってしまったのです。メキシコが警戒区域に入っていると言うことは、アメリカも油断できない状況だと言うことですね。

これはもうアウトブレイクと呼ぶにふさわしい感染爆発ですね。

今のご時世、地球の裏側のことだと油断しているとある日突然危険に見舞われるかもしれませんから、しっかり対策しておきましょう。

ジカ熱の影響のうち最も危険性が高いのは胎児の小頭症

今回の感染爆発でも、最も重視されているのがこの小頭症と言う先天性異常です。

正常と小頭症の脳の大きさと頭のかたちの比較

小頭症は生まれた赤ちゃんが発症する病気で、脳の発育に障害があるために脳が十分に大きくならない病気です。具体的には脳の発達が遅れたり、完全に停止したりします。

脳の発育が阻害されることで、頭の大きさが同じ月齢の赤ちゃんと比較して著しく小さくなります。

小頭症の赤ちゃんは「知的障害」を発症することが多く、中には慢性的な「けいれん発作」を起こす場合もあります。また小頭症の患者には「興奮しやすい」特徴が見られ、これも脳の発育に障害があることが原因と言われています。

小頭症を発症した場合の一般的な症状

  • 夜鳴きが酷い
  • かんしゃくを起こしたような泣き方をする
  • 知的発達が遅い(反応が薄い)
  • 食欲がない
  • けいれん発作を起こす
  • 低身長など発育が遅い
  • その他

このように小頭症では脳の発達が阻害されているために、様々な悪影響を生み出します。特に知的発達に影響があることから、呼びかけに反応しなかったり、何も興味を示さなかったりすることが多いようです。

小頭症の中でも上記に紹介した症状を「先天的な小頭症」と呼ぶことがあります。これは頭蓋骨の生育不良によって脳の発達が阻害される「狭頭症」を「後天的な小頭症」と呼ぶことがあるからです。

しかし、小頭症と狭頭症は完全に区別されており、本来小頭症は先天的な病気を意味しています。

小頭症を疑うきっかけとして月齢に対する頭の大きさの比較が重要であり、頭の大きさが小さい場合、脳の発達に問題があることから小頭症を疑うことになります。

赤ちゃんは生まれた時に約33cmの頭囲で生まれてくるのが一般的です。この場合、脳の重さは約300gですが、この状態が1歳になっても2歳になってもさほど変わらないのです。

ジカ熱は蚊によって媒介される感染症!治療法はまだない!?

ジカ熱はウイルス感染症です。日本脳炎や黄熱病、デング熱などの仲間のウイルスが病原体ですが、怖い病気として有名な仲間たちとは異なり、これまで目立たない存在でした。

また、黄熱病や日本脳炎はワクチンによる予防が可能ですし、デング熱も発売待ちの状態ですがワクチンが開発されました。しかし、ジカ熱にはワクチンがないため人工免疫による予防はできません。

また、他の仲間の病気と同じように特効薬はありませんので、対症療法で症状を抑えて自然に治癒するのを待つしか治療法もありません。

ジカウイルスに対するワクチンも治療薬も存在しない

もともとそれほど危険視されていなかった感染症だけに、治療薬もワクチンも存在していません。

現在、各国でジカウイルスに対するワクチンの開発を行っています。しかし、WHOの発表では「大規模な臨床までに1年半、ワクチンの実用化には2年~3年かかる」との見通しを発表しています。

このスケジュールで行くとワクチンの普及は2018年以降になりそうです。

また、ジカウイルス感染は抗体の検出によって測れることから、一度感染するとその有効期間は不明ながら、免疫ができることは間違いありません。

ただし、日本では渡航歴のある人数人でしか報告されていない病気だけに、日本人に免疫を持った人は、ほとんどいないと言っていいでしょう。

ジカウイルスは蚊によって媒介される病原体で、幸いなことに、人から人への直接感染はありません。ですので、蚊を徹底して駆除しておくことが一番の予防策になるのです。

小頭症の原因はウイルスだった可能性がある?

小頭症は母親の胎内にいる時点で発症しています。エコーなどの画像をコンピュータで解析することで診断は可能ですが、実際には妊娠後期まで見つかりにくいのが現状です。

小頭症の発症原因は妊娠中の妊婦の状況にあると考えられており、発症要因については以下の項目が疑われているのです。

  • 遺伝的な遺伝子異常
  • 妊娠中の酸素や栄養が赤ちゃんに不十分だった
  • 化学物質の中毒
  • 薬物やアルコール、喫煙
  • 体内感染
  • その他

例えば妊娠中に胎児に対して十分な血液が送られていないと、酸素不足や栄養不足を起こします。そうなると胎児は十分に成育できずに小頭症が発症する可能性があります。

また、妊婦が麻薬などの化学物質の中毒症状を持っている場合も、胎児の成育を阻害してしまいます。アルコールも同様ですね。

そして今回WHOが緊急事態宣言を行ったのは、ジカウイルスによる「胎内感染」です。つまり、妊婦がジカウイルスに感染することで、胎児が小頭症を発症してしまうことが強く疑われているのです。

小頭症を発症した赤ちゃんの母親からはジカウイルスが検出されており、さらに小頭症を発症した赤ちゃんからもジカウイルスが検出された例もあります。このことから今回のブラジルの小頭症の増加はジカウイルスが原因との認識がされたのです。

しかし現状ではジカウイルスによって小頭症が発生する科学的根拠は見つかっておらず、現状証拠で判断する以外に方法はありません。そのためWHOでも両者の関係を「強い疑われる」的な表現で関係付けているのです。

科学的にジカウイルスによる小頭症の発症を解明するのは暫く時間がかかりそうですが、現時点では完全にクロと思って間違いないでしょう。

ジカウイルスによるジカ熱が拡大中!その感染原因と症状は?

ブラジルを中心とした中南米でジカウイルス感染によるジカ熱が急速に拡大を見せています。またジカ熱の拡大と比例して小頭症の赤ちゃんの出生も増加しています。

ブラジルでの小頭症は1年間に150件程度の発症でしたが、2015年10月から2015年12月末までの数ヶ月で、3500件以上の小頭症が発症しています。

この数を年間で比較すると100倍近くの増加となり、爆発的な拡大と言えるでしょう。

ジカ熱の感染原因は「ネッタイシマカ」「ヒトスジシマカ」

2014年の夏は日本である感染症が大きな話題になりました。それはこれまで熱帯地域でしか見られなかった「デング熱」が、日本で流行の兆しを見せたからです。

デング熱は「デングウイルス」の感染症であり、その感染原因は「ネッタイシマカ」と呼ばれる蚊です。日本ではネッタイシマカは生息していませんが、同じ仲間の「ヒトスジシマカ」が原因とされました。

日本ではデングウイルスを持ったヒトスジシマカに刺されることで、ウイルスに感染してデング熱を発症していたのです。東京の公園で防虫剤を撒いていた映像を覚えている人も多いと思います。

そしてジカウイルスに戻りますが、ジカウイルスの感染原因も蚊です。そしてやっぱり原因は奴、ネッタイシマカが媒介していたのです。

現在拡大しているジカ熱の大部分は、ジカウイルスを持ったネッタイシマカに刺されたことが原因です。ジカウイルスとデングウイルスの違いはその症状で、ジカウイルスに感染しても通常の人であれば症状も軽く、重症化することはほぼありません。

しかし、妊婦にウイルスが入り込むと高い確率で、胎児が小頭症を発症すると疑われているのです。

ジカ熱発症時の症状と治療

前述しましたがジカ熱自体は症状の重い病気ではなく、感染しても80%以上の人は無症状で感染したことにも気が付きません。症状が出ても

  • 38.5℃までの軽い発熱
  • 頭痛
  • 筋肉痛

など、普通の風邪と変わらず一般的な医師では診断は難しいと思います。

通常は風邪と同じく数日で自己治癒することから、特に積極的な治療を受ける必要もないのです。症状が出ている人に対しても対処療法が基本で、ジカ熱専用の薬はありません。

ジカ熱の潜伏期間は1週間前後ですので、帰国後に異常があったら、症状は軽くても医療機関を受診して海外から帰国したことを報告しておいて下さいね。

ジカ熱の予防は蚊に刺されないことしかない!あなたは渡航しますか…?

妊婦が感染すると胎児に小頭症を発症させる恐ろしいジカウイルスですが、感染を防止する予防法はあるのでしょうか?

ネッタイシマカなどが媒介するジカウイルスですが、その予防法は蚊に刺されないことしかありません。日本では幸いなことにジカウイルスは確認されていませんので、過度に注意する必要はありません。

しかし先にお話しした通り、日本人でも海外で感染して帰国後発病した例がありますから、日本に持ち込まれる、あるいは既に持ち込まれた可能性は充分にあります。

さらに、この病気はネッタイシマカとヒトスジシマカによって媒介されます。ネッタイシマカは小笠原諸島や琉球諸島、天草諸島などで発生の記録がありますが、現在はほとんどいないようです。

一方、ヒトスジシマカはそのへんにいっぱいいます。いわゆる「やぶ蚊」と言うのがこれですから、注意しないと病気を持ってこられるかもしれませんね。

  • 蚊の多く生息している藪に近づかない
  • 蚊は昼以降に活動を活発化させるので散歩は午前中に
  • 蚊に刺されないないように虫除けスプレーを使用する
  • 自宅周りの水溜りを撤去する
  • 夏も場所によっては長袖を着用する
  • その他

この対策は蚊を寄せ付けなくすることで、ウイルス感染を防止するものです。そのためには環境を整えて、蚊を発生させないことが重要です。

再興感染症として注意が呼びかけられているマラリアについて記事を書いた折にも、ぼうふら対策をご紹介しましたが、全く同じ注意を行うことでこの病気が日本国内で二次感染を起こすことを避けられます。

マラリアの場合ハマダラカと言う蚊でしたが、ジカ熱はやぶ蚊ですから本当にどこにでもいる蚊です。蚊の対策は屋外に水たまりを残さないことが鉄則です。

ぼうふらのサイズは数ミリなのでちょっとした水たまりで繁殖する

一人前の蚊になった時のサイズからも想像がつくと思いますが、その幼虫ですからぼうふらは小さいです。例えば鉢植えの受け皿に溜まった水の中で充分生きて行けるのです。

ですので、家の周りには水たまりを残さないことがポイントです。また、蚊の生活環から見て1週間以内に水たまりを掃除すると、羽化に間に合わないため死んでしまうようですね。

側溝などは一週間に一度掃除しましょう。掃除できないタイプの雨水ますなどは、自治体に確認してから殺虫剤を定期的に投入するのも良いでしょう。

もちろん家の周りをきれいにしても、自然にある池や森の中の木の洞に溜まった水などからも蚊は発生します。でも、蚊の飛行距離は例外的にたくさん飛ぶ個体や、風に乗って飛んでしまう個体を除けば、せいぜい数百メートルです。

ですので、まずは家の周りに注目して、蚊の発生源を減らしましょう。

毎週日曜日には、植木鉢の受け皿などに溜まった水を、地面の上に流しましょう。夏場なら焼けたコンクリートやアスファルトが良いですね。側溝や雨水ますに流れ込まないよう注意して下さい、そこで繁殖します。

自然の中の蚊を減らすのにトンボが活躍する

昔はトンボが蚊を駆除してくれると言って大事にしたものですが、最近ではそうしたことをあまり聞きませんね。トンボ自体も減っているようですし。

トンボの幼虫のヤゴは、水中にいるぼうふらをエサにしますし、成虫のトンボは成虫の蚊を捕食します。一方、トンボは幼虫のヤゴが生育する池などの水質が悪化すると減ってしまいます。

環境保護の意味からも、池や川などの水質を良い状態に保つことが、長い目で見れば伝染病の危険性を減らしてくれることにもなるんですよ。

トンボが幼虫を含めて蚊を食い尽くしたら生きていけないんじゃないかと言う心配は無用です。トンボは蛾やハエも捕まえて食べちゃうんです。

妊娠を計画している人は虫除けに注意を払おう

いくら環境をきれいにしても、蚊をゼロにするのはなかなか難しいです。そこで、防虫と言うことに意識を向けましょう。

妊娠を予定していたり、すでに妊娠初期に入っている人は、絶対に蚊に刺されないようにすると言うことを意識してほしいです。

エアコンを使うほどでもないと言う季節には蚊帳や網戸を上手く利用して下さい。網戸には防虫剤をスプレーしておくことをお忘れなく。ピレスロイド系の殺虫剤が同時に忌避剤にもなりますから良いです。

市販されているピレスロイド系の殺虫剤は比較的早く分解しますので、月に2回ぐらいは噴霧した方が良いと思いますが、説明書をよく読んで効力が落ちないようにしましょう。

なお、妊婦さんご本人が使われても問題ないとは思いますが、念のため他の人に作業してもらう方が精神的にも安心ですね。

DEETなどの虫除けスプレーも効果的ですが、妊娠中はそうしたものを身体に付けることも避けたいものです。ですので、妊娠初期は蚊の発生しやすそうな場所を避けることも重要になるでしょう。

日本に持ち込まれた時は冬だったことが幸いしたのかもしれない

ニューヨークを本拠地に、この健康生活と同じように健康情報を発信しているサイトを見ると、「日本にもジカ熱が持ち込まれたが、感染は広がらなかった」とされています。

その原因として、感染者の血液中に充分なウイルスがいなかった可能性や、媒介する蚊がいなかったことを挙げています。

最近日本に持ち込まれたのは2013年12月から2014年1月にかけての2例で、いずれもポリネシアから帰国した20~30代の旅行者でした。国立感染症研究所でウイルスを分離できていることから、ウイルス数は充分だったと思われます。

しかし、12月から翌年1月と言うことになると、普通やぶ蚊が飛び回っていることはありませんよね。

でも…もし梅雨から秋にかけてだったらどうだったでしょう。

また、今回流行している中南米地域は、アジア・ヨーロッパや北米に比べると日本人旅行者がそれほど多いわけではありません。それでも国内に持ち帰ってしまう可能性はゼロではありません。

オリンピック・パラリンピックが影響する微妙な関係

WHOの警告では2016年からの1年でジカ熱が爆発的に流行する可能性を示唆しており、その数は数百万人に及ぶと想定されており影響も甚大です。

しかし、不思議なことに今回の緊急事態宣言では、ブラジルなどへの渡航自粛は含まれていません。通常であれば緊急事態宣言を行うほどの状態であれば、各国への拡大防止策として渡航自粛が含まれるはずです。

これは私の推測ですが、これには2016年夏のオリンピック・パラリンピックが関係しているのではないでしょうか?今年のオリンピック・パラリンピックの開催国はブラジル。開催地はリオデジャネイロです。

つまりは緊急事態宣言を行った場所で、世界中の人間が集まるオリンピック・パラリンピックが開催されることになります。

これはとても危険なことで、世界中からブラジルに集まった選手や観客がジカウイルスに感染し、それを自国に持ち帰ってしまう可能性が考えられるからです。

前述しましたがジカウイルスに感染しても約80%は自覚症状がありません。まさか自分が感染しているとも思わないで、ウイルスに感染したまま自国へと帰国してしまうでしょう。

そこで2016年リオオリンピックが原因で、ジカウイルスが日本で拡大するシナリオを考えてみましたので紹介します。

  1. ブラジルでジカウイルス感染症が拡大
  2. リオデジャネイロでオリンピックが開催
  3. 日本から多くの観戦客が渡航する
  4. 現地でネッタイシマカに指されジカウイルスに感染
  5. 気が付かないまま日本に帰国
  6. 日本でヒトスジシマカに刺される
  7. ヒトスジシマカにジカウイルスが入り込む
  8. ヒトスジシマカが他の人を刺す
  9. 次々に感染拡大する
このシナリオはフィックションではありません。

デングウイルスもこのように、渡航者が他国から持ち帰ったことが流行の原因になったと指摘されており、絵空事ではないのです。

あなたは渡航しますか?観戦で感染しないために

リオデジャネイロは、ブラジルの中でも今回のジカ熱流行地域の一つです。ですので、見に行かれることは止めませんが、くれぐれも蚊に刺されないよう厳重な注意をして下さい。

新婚旅行など、妊娠される可能性のある時期にはオリンピック観戦を含め、アラートの上がっている地域への渡航は避けた方が良いでしょう。

日本ではマスコミが大きく取り上げているジカ熱も、一般的な認識はまだまだ低いと言わざるを得ません。「まぁ大丈夫でしょ!」と甘く考えていたら、大変な事態を招いてしまうこともあるのです。

当初、WHOは渡航自粛を出していませんでした。しかしアメリカのCDC(米疾病管理予防センター)は、アメリカ国民に対して当該地域への渡航制限を早期に勧告していたそうです。

アメリカでは、自国民に対してしっかりと渡航制限を勧告していたのですね。

そして2016年2月16日のWHOの会見において、ようやく渡航に関する警告が出されました。これは「妊婦に対して感染拡大地域への渡航延期を検討する」ように求めた警告です。

今回の警告はいよいよ「オリンピックなんか関係ない」くらいの危機的な状況になっていることを示しているのではないでしょうか?

オリンピックに行きたい気持ちは解りますが、オリンピックの「観戦」で「感染」したいですか?と問いかけたいのです。

国立感染症研究所が発表したジカウイルス感染症のリスクアセスメント

2016年、国立感染症研究所がジカウイルスの感染についてリスクアセスメントを発表しました。リスクアセスメントとは危険に対しての回避方法という意味です。

・日本では、ジカウイルス感染症は、感染症法上の4類感染症と検疫感染症に追加されている。また、「蚊媒介感染症の診療ガイドライン」(第2版)が公表され、診療体制の整備が進められている。

・妊婦及び妊娠の可能性がある人の流行地への渡航は控えるとともに、流行地への渡航者に対しては、ジカウイルス感染症の情報提供及び防蚊対策の徹底を、より一層周知することが重要である。

その他に、日本人の症例はジカウイルス感染症の流行地への渡航が原因であること、流行地に滞在中、また帰国後には男女どちらも性的な接触については慎重になるべきということが書かれています。

先進国の責任として国内の蚊は徹底駆除を

人口が密集している先進諸国で感染爆発が起こったら、他の国との往来も多いだけに世界中に病気をばらまいてしまう可能性は、途上国に比べてずっと大きなものになります。

これはジカ熱に限った話ではありませんが、これを一つの契機として、国内での衛生状態の改善に一層力を入れたいものです。

蚊の駆除は先進国の責任ですね。

途上国に蚊の駆除の手助けをしている話をテレビで見たこともありますが、ああいった地道な援助こそが世界の役に立つのです。

ジカウイルスはマイナーな存在?

例えば、この記事を読んだ皆さんが、ジカウイルスってどんなものなんだろうと思って調べてみても、日本語のものではしっかりした情報には行き当たらないかもしれません。

ジカウイルスはフラビウイルス属に分類されていますが、フラビウイルス属で探してもなかなか見つけることはできないでしょう。

フラビウイルス属と言うのは遺伝情報を一本のRNA(リボ核酸)状に持っていて、それを取り囲むエンベロープと言う構造を持った物です。

日本脳炎ウイルスやデング熱ウイルス、西ナイル熱ウイルスなどもこのフラビウイルス属です。また、野口英世博士で有名な黄熱病ウイルス(febre flava virus)は、このフラビウイルス属の名前の由来になったものでもあります。

ご覧になってお分かりの通り、フラビウイルス属に属している他のウイルスが重い病気を呼ぶメジャーなウイルスだけに、あまり目立たなくなっていたのでしょうね。

これまではマイナーでも、このようなアウトブレイクが見られ今後パンデミック(世界的流行)が予測されるかもしれない状況ですね。

悪い意味でメジャーになって行くのでしょう…

中南米でもあまり知られていない病気だった

こうした病気は、ややもすると熱帯地方では普通の病気のように思われがちですが、実はあまり一般的ではない病気なのです。

※クリックで拡大画像が見られます
8x11-FirstSection

これは汎米保健機構PAHOがインターネット上で配布しているスペイン語版啓蒙バナーです。ブラジルの公用語はポルトガル語なので、もちろんポルトガル語版もありますが、アラートが上げられている国々の大半はスペイン語を公用語にしているのです。

バナーの内容は「ジカ熱とはどんなもの?」というタイトルで、蚊が媒介することや潜伏期間が2~7日であること、4人に1人が発病することなどが書かれていて、デング熱やチクングニヤ熱と同類であると書かれています。

さらに、発熱・発疹・関節痛・結膜炎が出ること、まれに重篤な合併症に見舞われることなどの、症状に関する情報も示されています。

つまり、デング熱やチクングニヤ熱が良く知られた地域でも、ジカ熱の知名度は低いと言うことなんですね。

最近ではデング熱など熱帯性の病気や再興感染症のマラリア、そしてこのジカ熱など、蚊の媒介する病気が良く話題に上ります。

私たちも今一度、蚊のいない環境を作るよう意識しましょう。

WHOから緊急事態宣言が出されるということの意味

WHO(世界保健機関:World Health Organization)は国際連合の専門機関であり、「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目標とした団体です。

簡単に表現しますと世界の「保健所」みたいな存在であり、世界中で発生している病気に対して目を光らせています。

WHOの出す緊急事態宣言とは

世界中の各国で流行している病気を監視しているWHOは、特に危険と思われる病気が確認された場合、発生国に対して助言など様々な対策を行います。しかし、新型の感染症や感染スピードが速い病気では、一国だけでは対応できないこともあります。

特に発展途上国では衛生状態も悪く、疾病対策が思うようには進まないことが多いのです。さらに、これを放置することで病気が隣国へと広がり、最終的には世界的な流行をもたらす結果を招くかもしれません。

そこで感染率が高い病気が発生し、対策を行ったにも関わらず収束の兆しが見えない場合、他国に対して支援を要請する意味で「緊急事態宣言」を出すことがあります。

最近では2013年に西アフリカで流行した「エボラ出血熱」において緊急事態宣言が出されており、各国の支援によって2015年末に終息宣言が出されています。

このことからWHOの緊急事態宣言は以下のような条件下で発動されると言えます。

  • 感染率の高く症状の思い病気が発生する
  • 発生国だけでは収束させることが難しい
  • 放置することで隣国ないし世界中で流行する可能性がある
  • 他国の支援が必要と見られる
  • その他

WHOの緊急事態宣言は「他国の積極的な支援」を要請する意味合いがあります。しかし、反対にWHOから緊急事態宣言を出されることは、その国に対応力がないと思われることから、国のイメージがダウンすることにも繋がるのです。

衛生的なイメージが低下した国では、経済的な投資が減少したり、株価が下がったりするなど経済的なダメージも大きく、緊急事態宣言を嫌がる国も少なくありません。

過去にはWHOが緊急事態宣言が必要と判断したにも関わらず、当事国の猛烈な反対により、宣言を断念するケースもありました。WHOの緊急事態宣言とはそれくらいに重いものなのですね。

緊急事態宣言とは、早急に対処が必要な問題が発生したことを世界中に宣言することです。世界各国で協力して対処することが重要なのです。
キャラクター紹介
ページ上部に戻る