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腸内細菌による新たな免疫が見つかる!ヨーグルトより食物繊維を

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すっかり日常用語になった感のある腸内フローラ(腸内常在微生物叢)と言う言葉。最近ではヤセ菌とデブ菌などと言って、代謝にまつわる働きについて注目されることが多いようです。

一方で、この腸内フローラは様々な病気や免疫系に影響があることでも知られています。つい最近、日本の研究グループによって、難病と腸内フローラの関係がまたひとつ明らかになりました。

そうしたことも含めて、腸内フローラと免疫・病気の関係を見て行きましょう。

ヤセ菌とデブ菌に関する疑問

今回の話題からは少し外れるのですが、ヤセ菌とデブ菌って科学的な裏付けがあるんでしょうか。皆さんも興味がおありかも知れないので、少し前置き的に触れておきましょう。

とは言え、私も何かの研究成果のデータを持っているわけではないので、なんとなく疑問な部分もあると言う程度です。まぁ、推奨されている食生活が良いものだから、それはそれで良いのかなとは思いますが。

デブ菌にはどんな菌が所属しているかを知ってびっくり

デブ菌と言われているのはファーミキューテスと呼ばれる菌のグループです。ファーミキューテスは英語読みで、ラテン語では”phylum Firmicutes”、日本語ではフィルミクテス門と言われます。

しかし、国際細菌学会では綱(こう:門の一つ下の分類)より上の分類は規定していないので、ファーミキューテスやフィルミクテスは、いわば一般名なんですけどね。

で、そのファーミキューテスに含まれる下位分類はバシラス網やクロストリジウム網など5網があります。

さらに、バシラス網の下にはラクトバシラス目があります。どこかで聞いた名前ですね。ラクト(乳)+バシラス(菌)、そう、乳酸菌ですね。

クロストリジウム網の下にはクロストリジウム目クロストリジウム科クロストリジウム属があり、そこには整腸剤として有名な酪酸菌も含まれているのです。

ヤセ菌の説明を見ると、ヤセ菌は短鎖脂肪酸を作り出すことでヤセ体質を作ると言われてますが、デブ菌のはずのファーミキューテスが作り出す乳酸も酪酸も短鎖脂肪酸なんですよね。ちょっと謎です。

また、バクテロイデスと言う菌がヤセ菌だとされていますが、これも少し謎なんです。ちょっと長ったらしい名前になりますがご紹介しましょう。バクテロイデスの代表格の細菌です。

バクテロイデス門バクテロイデス綱バクテロイデス目バクテロイデス科バクテロイデス属のフラギリス種は正常な腸内フローラの95%を占める、いわゆる日和見菌です。

なんとなく名前が混乱してるんじゃないかと言う気もしますが、乳酸菌や食物繊維を摂りましょうと言う、俗に言うヤセ菌培養方法自体は身体に良いと思うので、結果オーライと言うことにしましょうか。

腸内フローラと関係がある?自己免疫疾患である多発性硬化症

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さて本題です。多発性硬化症と言う病気があります。中枢神経系のさまざまなところに障害が起こり、様々な症状をもたらす神経難病です。視力に障害が出たり、喋りにくくなったり、痛みや運動障害もある病気です。

現段階では原因も治療法もまだ確立されていないもので、厚生労働省の指定難病にもなっています。この病気と腸内フローラにある種の関連性が見いだされました。

症状が多彩なだけに日常生活の上で困難を伴う病気

この病気は、中枢神経系のどこにトラブルが起こるかで症状が全く変わってきます。しかもどこか1か所ではなく、多発性ですから様々な場所に病変が発生するので、さらに厄介です。

(以下抜粋)

視神経が障害されると視力が低下したり、視野が欠けたりします。

脳幹部が障害されると目を動かす神経が麻痺してものが二重に見えたり(複視)、目が揺れたり(眼振)、顔の感覚や運動が麻痺したり、ものが飲み込みにくくなったり、しゃべりにくくなったりします。

小脳が障害されるとまっすぐ歩けなくなり、ちょうどお酒に酔った様な歩き方になったり、手がふるえたりします。大脳の病変では手足の感覚障害や運動障害の他、認知機能にも影響を与えることがあります。

脊髄が障害されると胸や腹の帯状のしびれ、ぴりぴりした痛み、手足のしびれや運動麻痺、尿失禁、排尿・排便障害などが起こります。

実に多彩な症状ですね。しかもまだ治療法が確立されていないだけに怖いです。

増え続ける自己免疫疾患と言う厄介な病気

この病気は、アジア・アフリカでは少なく、欧米諸国で多い病気でした。日本でも30年前には全国で1000人ほどしか罹患者がいませんでした。しかし、現在では約2万人にまで増えているのです。

また、アフリカからアメリカに移住した人たちの間では、罹患率がアメリカ生まれの人たちと変わらなくなったと言うデータもあることから、環境による影響も検討されています。

環境と言うと日照時間や喫煙習慣、栄養の状況、さらにはがんの原因になるとされるヘルペスウイルスの一種エプスタイン・バールウイルスなどの感染因子などが挙げられます。

この中でも従来から注目されていたのが食生活によって変化する腸内フローラの影響でした。それによって引き起こされる自己免疫疾患こそが多発性硬化症の原因ではないかと言う考え方です。

自己免疫疾患とは、本来異物を排除するための働きである免疫機能が、誤って自分の組織を攻撃してしまう病気です。

有名なところでは1型糖尿病(生活習慣病ではない方の糖尿病で子供の頃に発症することが多い病気、インスリン注射が必須になります)や関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどがあります。

腸内フローラが自己免疫疾患に影響を及ぼす!

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この自己免疫疾患には腸内フローラが関わっていることが多いと言う事が判ってきています。この30年間に非常に多くなったこの病気の原因は、食生活の変化による腸内フローラの悪化によるものではないかと考えられました。

そこで、研究グループは患者さんたちの腸内フローラを調べるところから研究を始められました。それまで、この病気と腸内フローラの関係については、ほとんどと言っていいほど判っていなかったのです。

その結果、病気の人と健康な人を比べても腸内細菌の多様性には目立った差はありませんでした。

一方、健康な人ではそれほど大きくなかった腸内細菌の種類のばらつきが、多発性硬化症の患者さんたちの間では大きくなっている事が判ったのです。

このことから、この病気の人の腸内フローラには、ある程度の構造的な異常が起こっていることが見いだされました。

そして、細かく調べた結果、健康な日本人の腸内フローラに比べて、多発性硬化症の日本人では19種類の菌が少なくなり、2種類の菌が増えている事が判りました。

さらにそれを調べると、減っている菌のうちの大半はクロストリジウム属菌のクロストリジア・クラスターXIVaとクラスターIVに属している事が判ったのです。

難病に関係のあった腸内細菌は免疫と関係のあるグループにいた

クラスターと言う言葉が出てきましたが、これはあらかじめ決められたグループ分類のルールがない状態で、たくさんのサンプルをグループ分けする統計的手法です。

実際にはちょっと複雑な計算が必要なのですが、一言でいうと性質が似た物を集めて、グループとして分類して行く作業ですね。分類されたグループをクラスターと呼んでいます。

この分析方法は細菌の分類だけではなく、あらゆるもののグループ分けに使われます。アンケート結果の統計的分析にもよく使われる手法です。

実際の分析について興味のある方は「クラスター分析 手法」で検索してみれば、いろいろ判ると思いますよ。

さてここで、多発性硬化症の人の腸の中で減っていた、腸内細菌のクロストリジア・クラスターXIVaとクラスターIVに属する菌について見てみましょう。

このグループに属する菌はクラスターXIVaで41種、クラスターIVには4種います。この難病にかかると減っていた菌はクラスターXIVaで12種、クラスターIVには2種いたのです。

そして、この菌種とは異なるものですがクラスターXIVa内の12種、クラスターIV内の2種は、別の難病であるクローン病や潰瘍性大腸炎を抑えてくれる制御性T細胞を誘導することが知られているのです。

潰瘍性大腸炎などを抑えるメカニズムは、この菌たちが腸内で食物繊維を発酵させることで生み出される酪酸に、その効果のポイントがあることも判っています。

多発性硬化症とは異なる菌種とは言え、同じグループに属する同属の菌であることも確かです。しかし、まだどのようなメカニズムでこの菌が減るのかはわかっていません。

菌が減ったから病気が現れたのか、病気にかかったから菌が減ったのかも、今後の研究に待たなければなりません。しかし、何らかの関係性がありそうだと言うことは見て取れますよね。

クロストリジウム属菌は種類がさまざま…増やすには食物繊維で

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クロストリジウム属菌は、偏性嫌気性(空気がないと発酵を行い、普通の空気にさらされると死ぬ)菌です。また桿菌と言う棒状の形をしています。さらにグラム染色と言う方法で良く染まります。

これらの特徴は腸内細菌の乳酸菌類の中のビフィズス菌と同じものです。ただ、クロストリジウム属菌は環境が悪くなると芽胞と言う殻の中に閉じこもってやり過ごせる、納豆菌と同じ強さを持っています。

一方、ビフィズス菌は芽胞を形成しませんので、環境が悪くなると死んでしまうんですね。

地球上で最も強い毒素を出すボツリヌス菌もクロストリジウム属

ボトックスで使われるボツリヌストキシンは最強の毒素とも言われています。どのくらいの毒かと言うと、体重1kgあたりボツリヌストキシンを100万分の1グラム飲めば人が死ぬと言うレベルです。

このボツリヌストキシンを発生させるボツリヌス菌は「クロストリジウム・ボツリナス」と言う学名です。その他、破傷風菌やウェルシュ菌もクロストリジウム属ですね。

一方、プロバイオティクスとして有用な酪酸菌(ミヤリサンの主成分)やがん細胞を選択的に攻撃する菌種なども知られています。さらに工業的にも有用な菌もあるだけに、多種多様なものがあると言えそうです。

有用腸内細菌としてクロストリジウムを増やすには食物繊維

以前、食物繊維が大腸がんを抑制するメカニズムとして、プロバイオティクスとしての酪酸菌を紹介しました。この時、食物繊維が酪酸を生む原料になっていました。

実は、食物繊維は酪酸菌を含むクロストリジウム属の細菌の栄養源になっていて、その代謝の産物として酪酸などの短鎖脂肪酸やアミノ酸などが生み出されているのです。

今回新たにその機能を見出された菌種は、まだどのようなメカニズムで効果をもたらしているのかはわかりませんが、少なくとも食物繊維がその菌にも栄養源になることは間違いないでしょう。

ですので、高繊維食がこの部分でも健康に大いに寄与するであろうことは充分考えられます。

食物繊維は積極的に摂りましょうね。

乳酸菌とクロストリジウム属を一緒に摂っても大丈夫?OKです!

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クロストリジウム属の免疫力強化は判りましたが、もう一つのプロバイオティクスである乳酸菌との関係はどうなるでしょう。

有用菌であるクロストリジウム属全部について検証されたわけではありませんが、その一つである酪酸菌と乳酸菌はとても相性が良いことが判っています。
ヨーグルトやお漬物は安心して摂って下さい。

乳酸と酪酸は比較的近いグループの有機酸

乳酸菌は代謝によって乳酸を生み出しますが、ピクルスに含まれるラクトコッカス属やヒトの大腸に住んでいるエンテロコッカス属は乳酸だけを産生するホモ乳酸発酵を行います。

それに対して、ビフィズス菌(ビフィドバクテイウム属)やヤクルト菌(ラクトバシラス属カゼイ菌シロタ株)などは、乳酸のほか、酢酸やプロピオン酸なども生み出すヘテロ乳酸発酵を行うのです。

実は酢酸もプロピオン酸も酪酸も、そして乳酸も短鎖脂肪酸なので、お互いに悪影響を及ぼす可能性はもともと少ないんですよね。強いて言うなら乳酸だけが微妙に構造が異なりますが、まぁ従兄弟みたいなもんです。

また、酪酸菌は乳酸菌と混合培養すると、単独培養の時の10倍にも培養効率が上がると言う事が判っています。

クロストリジウム属の免疫力増強効果を狙うなら、食物繊維を摂ってお腹の中で培養してやるのが一番なのですが、同時に乳酸菌食品を食べるのは大いに結構なことなのです。

腸内フローラはお腹の中のガーデニング?

フローラと言う言葉ですが、ファウナと言う言葉と対をなす言葉です。ローマ神話に出てくる花の女神さまで、そこから転じて「植物相」と言う意味を持っています。

ファウナは同じく大地の豊饒の女神さまで、転じて「動物相」と言う意味です。昔は細菌を植物に分類しており、腸内常在微生物叢のことを腸内細菌叢と呼んでいたことからこのような名前になったんですね。

そうしたことに詳しい女性が、プロバイオティクスと食物繊維などの食べ物をいろいろ摂って体調管理をしておられるんですが、彼女はそのことを「お腹の中のガーデニング」と呼んでいます。

きれいな花を見ることはできませんが、身体の調子が良くなるお腹の中のガーデニング、あなたもしてみませんか?

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