健康生活TOP 免疫力 抗がん剤の原料にもなる椎茸は免疫を高める栄養が一番多いきのこ

抗がん剤の原料にもなる椎茸は免疫を高める栄養が一番多いきのこ

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きのこと言えば美味しいだけでなく、「がんに効く」と言うイメージで見られることが多い食品ですよね。しかし残念なことに、きのこの成分にそれ単体でがんをやっつける効果を持った物はまだ見つかっていません。

でも、きのこ由来の3種類の抗がん剤と言うものは存在しています。これらは、放射線療法や化学療法をサポートする強力な免疫療法剤として働くのです。

一等賞は椎茸!きのこ由来のレンチナンという抗がん剤

きのこ由来の抗がん剤は3種類と言いましたが、言葉通りの意味できのこ由来と言えるのは椎茸から抽出精製されたレンチナンだけです。これは椎茸の子実体(傘の格好をしたきのこの部分。草で言えば花や実の部分)から抽出されています。

あとの2つは菌糸体を培養して抽出したものです。菌糸体とは植物としてのきのこ本体で、草で言えば根や茎や葉っぱの部分です。ここからきのこが生えますが、菌糸体だけでは見た目に何があるのかよく判らない状態で、食べても美味しくないです。

マツタケが生えるエリアのことをシロと呼びますが、これはマツタケの菌糸体が地下で広がっていて地面が白っぽく見えています。私たちが目にする可能性が高い菌糸体はこれかも知れませんね。

きのこ由来の抗がん剤

さて、ここできのこ由来の抗がん剤を紹介しましょう。

レンチナン

椎茸の子実体(きのこの部分)から抽出したβ1,3グルカンと言う多糖類が主成分の物質を精製したものです。胃がんや大腸がんなどの治療のために使われています。

昔は単独の抗がん剤として使われたこともあったようですが、現在では他の化学合成による抗がん剤を使った化学療法の補助として、免疫増強の効果を担っています。

クレスチン

サルノコシカケの仲間のカワラタケの菌糸体から抽出された、β1,3グルカンとたんぱく質が結合した糖たんぱくを精製した抗がん剤です。消化器系のがんの他、肺がんや乳がんにも使われます。

このお薬は飲み薬で便利なのですが、やはり単独では効果がないため、他の抗がん剤との組み合わせで使われます。これも免疫療法の抗がん剤と言う扱いになっています

シゾフィラン

スエヒロタケと言うきのこを培養する時の培地から抽出されるβ1,3グルカンが主成分の物質を精製したものです。主に子宮頸がんに対して放射線療法と併用されるお薬です。

もしかすると肺がんにも効果があるかもしれないと言うことで、現在研究されているようですね。これもまた免疫療法の抗がん剤で、放射線治療を補助する働きがあります。

βグルカンと言う多糖類にもいろいろな種類がある

単にβグルカンと呼ばれることもあるβ1,3グルカンですが、上の3つのお薬も全部そうですね。でも、それぞれ名前も違うし対象になるがんも違うようです。同じ多糖類でもきのこ毎に中身が違うのでしょうか。

実はその通りなのです。グルカンと言う物質は、その名の通りグルコース(ブドウ糖)がいくつも繋がってできている高分子化合物です。1,3と言うのは他のグルコースとの繋がり方を示す数字です。

普段、栄養を考える時には気にすることもありませんが、ブドウ糖には種類があります。水に溶けた時にはその割合が一定のバランスを取ることが知られています。

ブドウ糖の水溶液には4割程度のα(アルファ)グルコースと6割程度のβ(ベータ)グルコース、そしてほんのわずかですが、そのどちらでもない物が含まれているのです。

いずれも結晶として純粋抽出はできますが、水に溶かすと相転移と言う現象を起こして、上のバランスに落ち着くようになっています。

そのβグルコースがいくつも繋がってできているのがβグルカンなのです。ブドウ糖がいくつも繋がるのですから、繋がり方にはいろんなパターンが考えられますよね。同じ1,3であっても、いくつ繋がるかによっても変わります。

ですから、その繋がり方によって、様々な性質を持つ多糖類が出来上がるんです。ここでは一般的な呼び名であるβ1,3グルカンと言う名前を使っていますが、中身はもっともっと複雑なことが多いですね。

例えば、1,3で結合して鎖になったグルコース分子に、1,6で結合している脇の枝が生えていることも多いんですよ。そこから先はまた1,3で伸びて行ったりもします。

さらにに1,3では結合していないβグルカンの一つ、β1,4グルカンは一般的にはセルロースと呼ばれています。つまり紙の主成分ですね。このようにひとくちにβグルカンと言ってもさまざまなものがあるのです。

もちろんαグルカンも存在

また、βがある以上、当然αもあります。αグルコースでできているのはαグルカンと言います。

例えばα1,4グルカンには硬いでんぷんの成分、アミロースがありますし、α1,4(1,6)グルカンには柔らかいでんぷんのアミロペクチンがあります。つまりでんぷんもグルカンなのです。

さらに、現在ではマツタケから抽出したαグルカンに免疫賦活機能があるかもしれないと言う研究もされているようです。

なお、αとβのグルコースが混じってグルカンになることはありません。必ずどちらか一方だけです。

一部の高価な健康食品では、さもグルカンが特別なもののように宣伝していますが、このようにグルカンと言うのは、最も一般的な多糖類なのです。

きのこはどれも優秀!効率よく免疫力をあげる成分を摂るには

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昔からの経験や最新の研究など様々な情報から見てとれるように、きのこと言うのは免疫賦活作用(いわゆる免疫力アップ)に貢献する優秀な食べ物であることは間違いありません。

そして、その機能は多くの場合β1,3グルカンに由来するものであることもまた確かなようです。β1,3グルカンはきのこに普遍的な成分ですから、きのこを常食することは、多かれ少なかれ免疫力アップには有効と言えるでしょう。

椎茸を活用しよう

その中でも特に椎茸をお勧めするのにはもちろん理由があります。そのうちの一つは上に挙げたレンチナンと言う成分ですね。先にお話しした通り、抗がん剤として使う場合には化学合成の抗がん剤と組み合わせる必要があります。

しかし、普段から免疫力の向上を求めてきのこを食べる場合にはそんな必要はありません。レンチナン自体には強力な免疫力アップ機能があるわけですから、普通に食べるだけでも充分です。

またレンチナン自体も椎茸固有の多糖類と言うわけではなく、例えばエノキダケなどにも結構多く含まれています。お値段と言うか、安売りの頻度から言ったらエノキダケを選びたくなるかもしれませんね。

実はきのこ類と言うのは生の状態でほとんどが水分なのです。平均して90%前後が水分ですね。カロリーも100gあたり20kcal前後のものが多いようです。

さらに含まれている炭水化物のうち70%内外が食物繊維で、この中には先にお話ししたβ1,3グルカンも入っています。こうしたことから、きのこ類は低カロリーの健康的な食品とされているわけです。

きのこにも日光浴させよう

でも、椎茸が優秀なのは他にも理由があります。椎茸やキクラゲ、マイタケなどには乾燥させた製品が市販されていますね。これが優秀さの秘密なのです。

β1,3グルカンは主にきのこの細胞の一番外側、細胞壁に含まれています。細胞壁は菌類や植物にしかない細胞の部品ですね。動物にはありません。

細胞壁の内側には細胞膜があります。私たち動物の細胞膜はコレステロールを原料にして作られていますが、きのこの細胞膜はフィトステロールで作られています。

その中でもきのこのフィトステロールはエルゴステロールと言うもので、これが紫外線を浴びるとエルゴカルシフェロール(ビタミンD2)になるのです。

日光浴するとビタミンDができるのは、人間だけじゃなくきのこも一緒だったんですね。なお、人間の場合はコレステロールからビタミンD3が紫外線によって作られています。

市販の干し椎茸は機械乾燥のものが多いので、買ってきたら天気のいい日に2~3時間日光浴させましょう。ビタミンDの含有量が数十倍に跳ね上がりますよ。

ビタミンDは、やはり免疫力アップに非常に重要な役割を果たしています。

もちろん、市販されていなくても、自分で好きなきのこを天日干しして作れば効果は近いと思います。でも、手間を考えると市販品に手を加える方が簡単で良いですよね。

ビタミンDも食べ物から摂ろう

ビタミンDの免疫力アップ機能は、今のところ確定した効果ではありませんが、それでもさまざまな方面から効果が期待されています。

一方で、ビタミンDは脂溶性ビタミンで、身体の中から簡単には排泄されません。一旦摂ったものは一か月くらいたってやっと半分の量まで減ってくれる程度です。

そして、摂りすぎによる過剰症もさまざまなものがあります。ですので、サプリなどに頼るのは危険ですね。

食べ物や日光浴だけでは追いつかないようなビタミンD不足による身体の異常がある場合は、必ずお医者様に適切な量を処方してもらい、適時血液検査で濃度を測って貰うようにしましょう。

一方、食べ物から摂れる量で過剰症を起こすことはまずあり得ませんので、安心してビタミンDをたくさん含むものを、効率よく食べるように心がけましょう。

消化吸収されないのに体に良いってどういうこと?βグルカンの謎

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先にお話ししたようにグルカンにはαとβがあります。このうちα型はでんぷんやグリコーゲンなどで、人間の体内で消化吸収することができます。

一方、β型はセルロースなどを見てもお分かり頂ける通り、人間の消化酵素では分解したり消化吸収したりすることができません。消化吸収できないβグルカンなのに、どうやって体に良い影響を及ぼしているのでしょう。

食物繊維と言う位置付け

人間の消化酵素で分解できない炭水化物と言うことは、とりもなおさず食物繊維であると言うことですね。そう、β1,3グルカンは食物繊維の一つなのです。

食物繊維と言うことになると、例えば腸内細菌の働きで発酵分解されて水素ガスを出し、それが強力な抗酸化物質になると言う話がありますよね。あるいは、乳酸菌や酪酸菌のエサになる、いわゆるプレバイオティクスとしての働きも期待できます。

でも、食物繊維は他にいくらでもあるのに、なぜきのこの食物繊維だけがこれほど抗がん効果などの免疫力アップに注目が集まるのでしょう。

実はまだ確定的な答えは出ていません。しかし、どうやら腸で働く免疫機能に直接働きかけているのではないかと言う仮説が有力になってきているようです。

働くメカニズムはまだ解明されていませんが、少なくとも観察の積み重ねによって実際の効果がみられる事が判ってきていますから、きのこは積極的に食べたいものですね。

きのこの健康食品で気を付けたいことや知っておきたいこと

よく健康食品の宣伝などで「幻のきのこ」とか「奇跡のきのこ」などと言うキャッチフレーズで宣伝されたものも数多くありました。面白い事にいずれもがβグルカンを有効成分に挙げていました。

でも、βグルカン自体は真菌類、つまりカビや酵母、きのこ類全体に普遍的な存在の物質です。実際、こうした「いわゆる貴重なきのこ」の効果はどうだったんでしょうね。

β-D-グルカンと言う名前

きのこの効能を謳った健康食品の中には、β-D-グルカンと言う呼び名を使っていることもよく見受けられましたが、これは今話題にしているβ1,3グルカンと同じものです。

グルカンはグルコースが連なったものだと言うお話を先にしましたが、グルコースにはαとβだけでなく、構造が鏡に映したように左右対称になるD体とL体と言うものが存在するのです。

私たちが一般にブドウ糖と呼んでいるのはD体の方で、L体の方は栄養にもなりませんし、自然にはあまり多く存在するものでもないのです。

ですから、わざわざD-グルカンと言う呼び名を使わなくても、普通グルカンと言えばD-グルカンのことなので、そう読み替えて頂けばOKです。

アガリクスも一世を風靡しました

もうずいぶん前になりますが、アガリクスががんの特効薬みたいに喧伝されたこともありましたね。実際のところ大した効果もなく消え去ったように思えますが。

でも考えてみればもったいない話で、アガリクス自体は香りも個性的で強く、結構美味しいきのこだったんですよね。ブナシメジなんかと同レベルの価格で売ってくれたら嬉しかったんですが。

一応、効果があるとされたのは、アガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体だったんじゃないかと思います。アガリクスって言うのはラテン語系の言葉、スペイン語やポルトガル語、イタリア語などで「ハラタケ」のことです。

結局のところ、きちんとした科学的検証もされないまま一過性のブームで終わった感がありますね。

メシマコブは希少すぎます

メシマコブは日本の長崎県島嶼部の特産品ですが、中国やオーストラリア、中米にも分布しているきのこです。

今まさに人気を集めているものですが、どうも実験データが揃っていないようですね。国立健康栄養研究所も有効性は確認されていないとしています。

また、外国での実験データがわずかに見られましたが、動物実験で、投与した群としていない群と言う安直な対比しかしていないようでした。他のきのこの投与との比較データを見てみたかったですね。

中には長崎県の女島で採れたものだけに効果があると謳っているものも見かけましたが、それではあまりに希少すぎるでしょう。科学的裏付けすら取れないんじゃないかと思います。

カバノアナタケは危険かも

お茶(せんじ薬)にして飲むカバノアナタケですが、国立健康栄養研究所の調査によると日本国内で死亡例が出ています。

ビタミン剤を飲んでいた女性がカバノアナタケ茶を4か月飲んだところ劇症肝炎を発症、1か月後に亡くなったそうですね。

もともと食べておいしいものでもないですので、敬遠しておいた方が安全でしょう。他にも肝臓に関する被害例がいくつかあるようです。

基本的に食用きのこが良いんです

とどのつまり、きのこの有効成分はβ1,3グルカンで間違いなさそうですが、これはきのこや酵母に共通の物質ですから、どれを選んでもある程度の効果は期待できるでしょう。

その中でも、椎茸には実際抗がん剤の原料になっていると言う実績があるので特におすすめです。

また、きのこの細胞膜に含まれるフィトステロールであるエルゴステロールに、紫外線を当てて得られるビタミンDも、きのこ類に共通の免疫力アップ成分です。

ですから、普段は様々なきのこをお値段優先、味優先で買い求めて毎日の食卓に乗せるのが良いと思いますよ。でも、干し椎茸は「うっかりきのこを切らしちゃった」っていう時にも便利です。

お休みの日にでも、買ってきた干し椎茸を日光浴させてビタミンDを増やし、免疫力アップに貢献してもらいましょう。

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