健康生活TOP 低血圧 血圧が低いのは病気かも!自律神経障害や薬の副作用等の低血圧の原因

血圧が低いのは病気かも!自律神経障害や薬の副作用等の低血圧の原因

めまいを感じる女性

低血圧と言うのは、高血圧に比べるとそれ自体が生命の危機をもたらすことの少ない症状ですので軽視されがちな症状です。しかし、低すぎる血圧と言うのは決して良いものではありません。

低血圧の典型的な症状としては、朝に弱く身体のだるさが取れないと言うものと、ふと立ち上がった時に立ちくらみを起こして、ひどい場合には倒れてしまうと言う物があります。

この立ちくらみが見られる起立性低血圧が最も多い症状なので、今回はそれを中心に、その他の低血圧も含めて見て行くことにしましょう。低血圧が何らかの危険を知らせていることもあるのです。

高血圧は危険だが低血圧は心配ない、と決めつけてはいけない

極論ですが、生命の危機にあって病院で生体情報モニターを取り付けられている時には、心拍数や血中酸素濃度、呼吸数だけでなく、血圧があらかじめ設定した一定値まで下がるとアラームが鳴ります。

これは血圧の低下がそのまま生命の危機に直結するからです。突然の病気やけがで血圧が急に低下するとショック状態になります。その場合、それまで元気であった人が突然亡くなる場合もあるんですよ。

一応、収縮期血圧(最高血圧)で90mmHgぐらいがショック症状を警戒する血圧ですが、どちらかと言うと普段の血圧との差の方が重要です。普段の収縮期血圧より40mmHg以上下がるとショックを起こす危険性があります。

普段の血圧が低い人は80mmHgくらいでも平気な場合はあります。とは言え、低血圧で普段の収縮期血圧が95mmHgだから、55mmHgまで平気と言うことは絶対にありません。この血圧では手首で脈が触れないレベルです。

収縮期血圧90mmHg未満、あるいは普段の血圧より40mmHg以上低い値の、どちらか高い方がショックを警戒する目安になると考えればいいでしょう。

ショック症状で有名なのはスズメバチなどに刺された時のアレルギー反応によるアナフィラキシーショックや、事故などで大量に出血した場合の出血性ショックですね。これらは直ちに生命に危険が及ぶ症状です。

今回はこうした急性の血圧低下ではなく、むしろ慢性の低血圧にスポットを当てますが、低血圧を軽視してはいけないと言う意味で急性低血圧症について少し紹介してみました。

低血圧だけでは受診しにくいと言う人が多い

低血圧の人のイメージとしては、宵っ張りの朝寝坊で、午前中は動けないとか、疲れやすく、立ちくらみなどを良く起こすと言う物ですね。

しかし、こうした症状だけでお医者さんを訪れる人は少ないかもしれません。もう一歩進んで、立ちくらみから失神に至って初めて受診する人が増えるようです。

低血圧の原因になる病気は意外に多い

低血圧を引き起こす病気と言えば、最も多いのが自律神経失調症でしょう。本態性低血圧と言って、原因不明の低血圧と言う物もありますが、どちらかと言えば患者さんが納得しやすいように自律神経失調症と言っていることもあるように思います。

実際に、血圧が上がらないと言う症状の原因は自律神経のトラブルであることが多いことに間違いありませんし、その自律神経失調症の原因が判らないから特発性低血圧とか本態性低血圧と言う名前が付いているということなのでしょう。

一方、自律神経のトラブルを引き起こす病気が判っている場合もあります。例えば糖尿病やビタミンB12欠乏症などは自律神経障害から低血圧を引き起こす可能性のある病気です。

また、けがや内臓の病気による出血は、先にお話しした通りショックによる低血圧を起こしますし、慢性的な出血では血液量不足によって症状が出ることもあります。その他にも、様々な危険性を伴う病気が低血圧の原因になります。

大動脈弁狭窄症よる低血圧は危険

心臓にトラブルがある場合にも血圧が下がることがあります。危険性の高さでまず挙げられるのは大動脈弁狭窄症です。この病気は先天性であったり、加齢や動脈硬化で起こったり、感染症で起こったりします。

どのような原因で起こっても最初のうちは無症状であることが多いのですが、心臓に余力がなくなってくると急激な血圧低下によって失神を中心にした症状が現れます。

その他、狭心症発作や身体を動かした時の息苦しさ、両足のむくみなどの心不全症状なども起こってきます。

失神まで行かなくても前失神症状として、目の前が黒く(白く)なってしまうとか、人の声が遠くに聞こえるとか、血の気が引いて冷や汗をかき気分が悪いと言った症状が出る可能性も高いです。

原因の如何を問わず、大動脈弁狭窄症で低血圧を含むこのような症状が現れると、数年で症状が一気に悪化して死に繋がることも珍しくありません。

特に胸の痛みを伴う狭心症発作や心不全症状が出たらすぐに受診して適切な治療を受けて下さい。現段階において基本的には心臓の大動脈弁を人工弁に交換する手術でしか完治は望めません。

肥大型心筋症もある程度の危険を伴う

大動脈弁狭窄症に比べると、薬物療法で対処可能な場合も多い肥大型心筋症ですが、低血圧の問題を抱えやすい閉塞性肥大型心筋症では、激しい運動の直後に突然死するケースがあります。

普通の人ではそれほどの危険性はありませんが、競技スポーツはできないと考えて下さい。この病気は遺伝性である場合が多いので、ご家族に肥大型心筋症の方がおられた場合、症状がなくても受診して検査を受けて下さい。

閉塞性肥大型心筋症は、心臓から送り出される血液の通路が狭くなっている病気ですので、肥大型心筋症の中でも特に低血圧をもたらしやすい病気です。

これを含めて肥大型心筋症は難病指定されている病気ですから、診断を受けたら公的な手続きについて病院と相談して下さい。条件を満たせば医療費の公費補助が受けられます。

血圧を作り出しているのは心臓ですから、心臓が弱ると血圧が下がります。ですので、たかが低血圧と軽く見ないで、原因疾患がないかどうかはしっかり調べておきましょう。

自律神経自体の病気による低血圧は治療が難しい

自律神経失調症の中でも特発性と呼ばれる物は、神経自体がダメージを受けて発症するものだけに、治療が難しいものです。一部では治療法が確立しつつありますが、基本的には対症療法になります。

シャイ・ドレーガー症候群のように、100万人に数人と言うレベルでしか患者さんがいない非常にレアな病気もありますし、1000人に1人以上のレベルで患者さんがおられるパーキンソン病も、特発性の自律神経障害を伴う病気なのです。

パーキンソン病は運動障害と思われがちだが低血圧も引き起こす

パーキンソン病と言うとじっとしていても震えが出たり、筋肉が硬く固まったりと言う運動障害が注目される病気です。一部の神経が変成してしまうことが原因で起こる病気ですね。

ところが、最近では運動機能と関係ない自律神経の症状が注目されるようになってきました。その中でも精神障害を伴わない物として起立性低血圧などが注目されています。

起立性低血圧は、低血圧の中でもよく見られる調節障害で、立ち上がった時に脳貧血を起こすと言う表現をされることの多いものです。

パーキンソン病は様々な治療方法が開発されていますので、もし、それに伴う低血圧であった場合は、パーキンソン病の治療を行うことが低血圧の治療になります。

先に挙げたような震えや筋肉の硬直が見られるようであればすぐに受診して下さい。患者さんの数が非常に多い割に難病指定されていますので、一定の要件を満たせば医療費の補助が受けられます。

純粋型自律神経不全症とシャイ・ドレーガー症候群

純粋型自律神経不全症と言うのはブラッドバリー・エッグルストン症候群とも呼ばれる病気で、治療方法は対症療法にならざるを得ない病気です。

疫学的なデータが見当たらなかったので、どの程度の患者さんがおられるのかはわかりませんが、症状の中心が起立性低血圧に代表される自律神経失調症と言う、割合よく見られるものです。

ですので、他の病気の可能性がないかどうかを検査して、消去法的に確定診断される病気と言っても良いでしょう。

この病気は、背骨や内臓の近くにある自律神経節と言う神経細胞が集まった部分で、神経細胞が破壊されることで起こるとされています。

主に40代~50代の人で良く起こるのですが、資料によって男性に多いと言う物と女性に多いと言う物がありました。ですので、どちらに多いのかはわかりません。

ただ、男性の場合EDを伴うこともあるので、結構深刻かもしれません。バイアグラは有効だと言う情報もありますので、心配な男性は受診されることをお勧めします。診療科は内科で良いでしょう。

そして、シャイ・ドレーガー症候群は、やはり起立性低血圧を首相譲渡する病気ですが、上でも紹介した通り非常にレアな病気です。人口10万人に対して患者数は0.3人程度です。

こうした自律神経が侵される病気と言うのは往々にして低血圧を伴います。それもほとんどが起立性低血圧ですので、いわゆる脳貧血で倒れて怪我をしないように気を付けておく必要があります。

糖尿病が原因で低血圧を起こすことがある

ちょっと意外な感じがするかもしれませんが、糖尿病によって低血圧が起こることがあります。それも、複数の原因で起こることがあるのです。

糖尿病と言うと普通は高血圧との関係が思い浮かびますので、イメージがつながらないかも知れませんが、実は低血圧と糖尿病と言うのも深いつながりがあるんですよ。

糖尿病性神経障害は起立性低血圧を引き起こす

糖尿病の合併症として、様々な神経症状があることは有名ですね。足を針で刺されているようなチクチク感があったり、逆に痛みを感じなくなっていて怪我に気付かなかったりと言う物です。

こうした症状が自律神経にも起こることがあります。その場合、起立性低血圧によって失神することがあるだけではなく、糖尿病性網膜症が進みやすくなると言う危険もあります。

さらに、低血圧と同じく循環器系に様々な症状が出ることがありますが、これらの症状は突然死に繋がったりすることもある危険な症状です。しかも、自律神経症状は自覚症状が出た時にはかなり進んでいることも多いです。

普段から血糖コントロールをしっかり行うと同時に、立ちくらみなどの症状があった場合、主治医の先生に報告して、合併症に関する検査を今一度受けておきましょう。

糖尿病と同じ全身性疾患に全身性アミロイドーシスがある

全身性アミロイドーシスと言うちょっと難しい名前の病気はあまり聞き覚えのないものです。しかし、全身性ではない限局性アミロイドーシスには脳アミロイドーシスと言う物があり、その大半がアルツハイマー病と言う病気です。この名前になるとなじみがありますよね。

アルツハイマー病では脳にアミロイドβと言う異常たんぱく質が蓄積しますが、全身性アミロイドーシスでは、身体のあちこちにアミロイドが蓄積して病気が発生しています。

狂牛病で一躍有名になった異常たんぱく質のプリオンもアミロイドの一つですので、狂牛病も脳アミロイドーシスの一つと考えても良いでしょう。このアミロイドーシスの症状には立ちくらみや起立性低血圧があります。

アミロイドーシスの症状は心不全・不整脈・腎不全・ネフローゼ・消化器障害・自律神経障害・末梢神経障害などがあります。アミロイドーシス特有の症状と言うのはありませんので、不調を感じたら受診して検査を受けて下さい。

全身性疾患が原因で低血圧が起こるのはこの二つが最も多いようですね。特に糖尿病はもはや国民病ですので、高血圧だけではなく起立性低血圧にも十分注意しておきましょう。

栄養の面から見た低血圧症の原因と対策

低血圧症の人の場合、イメージとして「食事が足りてないんじゃない?」と思ってしまうこともあるでしょう。実際に食べない人が低血圧で、食べる人が高血圧と言うわけではないのですが、やはり栄養不足は低血圧を招きます。

その中でも特に注意したいのがお酒とビタミンB12なのです。

お酒は起立性低血圧による失神を招く

これはほとんどが男性に起こるものですが、酔っぱらってトイレに立ち、小用をしている最中に気を失って倒れると言う現象があります。こんなことが起こったら、周りの人は脳卒中で倒れたと思ってすぐに救急車を呼びます。

もちろんその対応は正しいものですので、それでOKですが、これは脳卒中ではなく、放尿失神と言う起立性低血圧の一種であることが非常に多いのです。

そして、救急車が到着しストレッチャーに乗せられて、病院に到着するまでには低血圧によって脳に充分届いていなかった血流が、横になったことで回復しますので、本人は何事もなかったように意識を取り戻します。

これがアルコールを飲んだことによる状況失神と呼ばれるもので、一時的に血圧が急に低くなることで起こる現象です。頭を打ったりしない限り後遺症が残ることもありませんが、非常に恥ずかしい思いをするのは確かです。排尿中に倒れると、服も大変なことになるでしょう。

アルコールは起立性以外の低血圧も引き起こす

アルコールは血管を拡張させる働きがあり、低血圧の原因になりますから、低血圧に悩む人はアルコールを避けた方が良いでしょう。

また、お酒を飲むとトイレが近くなりますね。アルコールには利尿作用がありますから、お酒を飲むと脱水状態になって血圧が低下してしまいます。

ビールは水分が多いから良いと言うことは決してありませんので、どんなお酒であっても、アルコールが入っている飲み物は低血圧に良くないと覚えておいて下さい。

血圧を下げてしまう働きがあるなら、高血圧にはお酒を飲むことが薬になるのではないかと考える人もおられるかもしれませんね。しかし、アルコールの働きとはそんなに単純ではありません。

長期にわたる習慣的な飲酒は高血圧をもたらすと言うことも判っているのです。自分は低血圧だと思っていた飲酒習慣のある人が、何らかの不調で病院を訪れたら高血圧と診断されたと言う話もそれほど珍しいものではないようです。

ビタミンB12不足が低血圧を招く

ビタミンB12の欠乏症と言えば、代表的なのが悪性貧血です。しかし、起立性低血圧を招くこともあるのです。これは直接的な症状ではなく、ビタミンB12欠乏症による神経症状の一つとして起立性低血圧が起こっていると考えて良いでしょう。

ビタミンB12は非常に微量の摂取で間に合いますし、身体の中の備蓄で結構長期間維持できるので、よほどのことがない限り欠乏症は出ません。但し、胃を切除した後だったり慢性胃炎があったりする人では吸収不良から欠乏症が起こります。

また、ビタミンB12は動物性食品からしか得られませんので、完全なベジタリアンでは不足します。そうした人はビタミン剤で補給して下さい。

さらに、加齢によって胃酸の分泌が減ると吸収効率が落ちますし、小腸での吸収不足も欠乏症の原因になりますので、低血圧に合併して慢性的な下痢など消化器症状がある、ある程度以上の年齢の人は受診して検査を受けて下さい。
ビタミンB12は構造中にコバルトと言う金属を持っているビタミンの総称です。コバルトと言うと医療・産業用放射線源としてのイメージが強いですが、放射性のコバルト60は人工的に作らないとできない物なので安心して下さい。

低血圧をもたらす病気は枚挙にいとまがない

例えば加齢によって低血圧がもたらされる場合があります。加齢では高血圧になる人も多いですね。これは加齢によって弱い部分がさらに弱くなると言う、昔の人の言い回しのような説明が適当かも知れません。

先にお酒が良くないと言う話をしましたが、二次性起立性低血圧の原因疾患としてアルコール中毒(アルコール依存症)も挙げられています。

あまりに原因疾患が多いので列記してみる

起立性低血圧の原因疾患として挙げられるものは、ここまで紹介した病名よりずっと多く存在します。全部紹介するのは到底無理なので、名前だけ列記しておきましょう。良くある病気の場合も、非常にレアな病気である場合もありますので、あくまで参考程度に。

  • 多発性硬化症
  • 脳腫瘍
  • 視床下部・中脳の血管病変
  • ウェルニッケ脳症
  • 傍腫瘍性神経症候群
  • ドーパミンβ-水酸化酵素欠損症
  • 家族性高ブラジキニン症
  • 腎不全
  • I型遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー
  • ポルフィリン症
  • ファブリー病
  • タンジール病
  • 脊髄の病変
  • シャーガス病
  • 梅毒
  • HIV感染症
  • ボツリヌス中毒
  • 混合性結合組織病
  • 全身性エリトマトーデス
  • ランバート・イートン筋無力症候群
  • 関節リウマチ

このようなものです。研究データからリストしましたので、めったに見られない病気もリストされていますし、その病気で必ず低血圧が見られると言うわけではない物も含まれていることを了解しておいて下さいね。

ギラン・バレー症候群は念のため注意しておこう

ギラン・バレー症候群は、運動神経が侵され四肢に力が入らなくなる病気として知られています。一方、自律神経症状が現れることも稀ではなく、そのうちの一つに起立性低血圧があります。

ギラン・バレー症候群では、安静にしている時はむしろ高血圧で脈拍も早くなっているのですが、立ち上がると血圧が急に下がってしまい、失神することもあるのです。

この病気は単一の原因で起こるのではなく、様々な先行イベントがあることが知られています。その中でも特に多いのは感染症ですね。ほぼ2/3のケースで、何らかの感染症がギラン・バレー症候群に先行することが判っています。

先行する感染症の病原体を同定できることは、全体の1~2割程度ですが、その中で最も多いのが食中毒菌として有名なカンピロバクター・ジェジュニです。その他サイトメガロウイルスやEBウイルスのようなウイルスも観察されています。

さらに、肺炎マイコプラズマやインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスではありません)などの細菌によって引き起こされることもあります。

ですので、こうした病原体による感染症にかかった時や治った後からでも、四肢に力が入らないと言った症状や起立性低血圧の症状が出たら、すぐに受診して下さい。

また、けがをしたり大きな手術を受けたり、何かのワクチンの接種を受けたりと言うことが先行する場合もあります。

ギラン・バレー症候群では、疲労回復に温泉に入りに行って、立ち上がった拍子に起立性低血圧でしゃがみこみ、さらに四肢に力が入らなくなって、浴槽から出られなくなったと言う事例を知っています。

もちろんその場で救急車を呼んで搬送することになりました。

低血圧はお薬の副作用で起こることが珍しくない

お薬の副作用で低血圧を起こすのは、当然と言えば当然なのですが、高血圧の治療薬である場合が多いです。高すぎる血圧を下げるお薬は、効きすぎると低血圧をもたらすのは物の道理ですね。

また、抗うつ薬の一部にも低血圧の副作用を持つものがありますし、先にお話ししたアルコールによる物も薬物性低血圧の一種であると言っていいでしょう。

高血圧のお薬は広く低血圧と言う副作用を持つ

高血圧のお薬には大変多くの種類があります。例えば利尿剤で、血液中に多くなりすぎた水分を排泄して血圧を下げると言う物がありますが、水分が身体から出て行きすぎると、血液の絶対量が不足して血圧が下がり過ぎることもあります。つまり脱水症状ですね。

今回は低血圧の話題ですので、具体的なお薬の名前は紹介しませんが、薬局でお薬と一緒に渡される「薬剤情報提供文書」に書かれた内容をチェックしてにらえばわかると思います。

薬剤情報提供文書とは、薬局で処方箋薬を求めた時に、お薬と一緒に渡される説明書です。

薬剤情報文書例
(薬局実務実習指導 パーフェクトマニュアル付録 薬剤情報提供文書作成例 より)

高血圧に処方される利尿薬については「尿の量を増やし、血圧を下げるお薬です。」といった説明がついていますので判りやすいでしょう。

また、カルシウム(Ca)拮抗剤と言うお薬は、高血圧治療の第一選択薬になっています。薬剤情報提供文書には「血圧を下げるお薬です。心臓や体の血管を広げて血流をよくします。」と言った説明が載ります。

さらに、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と言う物もよく使われますね。

これらには「血圧を下げるお薬です。心臓や腎臓の負担を軽くする効果もあります。」と言う説明が共通して付けられているでしょう。

他にも高血圧のお薬はある

いわゆる第一選択薬ではありませんが、第一選択薬では充分な効果が得られなかった場合にはα遮断薬・β遮断薬と言うお薬が処方されることがあります。

これらは交感神経の刺激を末梢血管、あるいは心筋に伝えるルートを遮断することで、血管の収縮を防いだり、心臓の拍出量を抑えたりすることで血圧を下げるものです。

ですから、効きすぎると低血圧が起こります。

抗うつ剤や狭心症おお薬でも低血圧が起こる

抗うつ剤にもいろいろな種類がありますが、古くから使われている三環系抗うつ薬では低血圧の副作用が知られています。またSSRIやSNRIと言った、セロトニンの再取り込みを阻害する新しいタイプの抗うつ剤でも低血圧が起こります。

これらのお薬では、セロトニン症候群と言う重い副作用によって、逆に血圧が上がる場合もあります。抗うつ薬の効果と副作用は非常に複雑ですので、「何かおかしい」と感じたらすぐに主治医の先生に相談して下さい。

狭心症のお薬として有名なニトログリセリンの舌下錠などの硝酸薬と言うジャンルのお薬は、全身の血管を強力に拡張させます。その結果血流が良くなって心臓発作が治まるのですが、血圧の急降下もあり得ます。

ふらつきや立ちくらみに注意して、できるだけ座ったり横になったりするなど、転倒の恐れのない安全な姿勢で使用して下さい。

この他、有名どころでは肺塞栓症や甲状腺機能低下症でも起立性ではない低血圧が起こる場合があります。こうした病気は他にも重い症状が出やすいので、異常を感じたらすぐに受診して下さいね。

低血圧だからと片付けないで身体の不調は積極的に治療を

いわゆる不定愁訴的な症状に対しては「私は低血圧だから」で我慢してしまっている人も多いのではないかと思います。しかし、低血圧症もこの記事に書いたように様々な原因や危険性が潜んでいることがあります。

ですので、身体に不調を感じたら、しっかり受診して原因を探っておきましょう。その上で本態性低血圧であれば、それに対応する生活習慣の見直しを行えば良いのです。

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