健康生活TOP 高血圧 耳をすまして高血圧改善!血圧を下げる音楽療法の効果がすごい

耳をすまして高血圧改善!血圧を下げる音楽療法の効果がすごい

仕事やスポーツ、あるいは家事に取り掛かる前にお気に入りの曲を聴いてやる気を出したり、ノリの良い曲をドライブやウォーキングなどに活用している方もいらっしゃるでしょう。

一方、音楽の持つリラックス効果もすでに有名ですね。夜眠る前に静かな曲を聴いたり、休日などに自然の中に出かけて行き、小鳥のさえずりなどを聞いたりすることはリラックス・リフレッシュに効果があるとされています。

CD 屋さんや雑貨屋さんなどに”癒し”の効果があるとする波の音や雨の音を集めたCDが置いてありますね。さらには頭が良くなる商品も見かけます。実際に手に取ったことのある方もいらっしゃるでしょう。

今回取り上げる音楽とは実に主観的なものです。ですからどの程度効果があるのか、なぜ効果があるのかということまではあまり知られていません。例えば、モーツァルトの曲は本当に、またどの程度効果があるのでしょうか。

この記事では、音楽を聴くことによる私たちの身体にあらわれる影響、とりわけ高い血圧を下げる効果があるという話題を取り上げます。

音楽を聴くとこんなにいいことがある!研究中の様々な効果

私たちは音や音楽に囲まれて生活しています。中には不快に感じる音もありますが、心地よい音や音楽を聴いていると本当に癒されますよね。

文字ではなかなか表現できないこの”癒される”感覚は実際に太古の昔より共通の感覚なのです。哲学者や思想家の言葉を持ち出さなくても、誰もが感じてきたものです。そう考えると感動的な話ですね。

音楽のそうした癒しの力は、実験や研究によってきちんと根拠があるということがわかってきました。

今回お話する血圧への影響は中でも研究結果が蓄積されつつあり、よく取り上げられるようになっています。

歯医者さんは狙っている?音楽はこんなトコロにもあふれている

歯医者さんにかかったことのない方はあまりいないと思います。確かに歯を削る音や痛い思いをするかもしれないという待合室のあの不安と緊張は誰でも思い出したくないものですよね。

大抵の場合はどの病院やクリニックでも音楽がかかっていることにお気づきでしょうか。私がよく通っている歯医者さんでは、いつもハワイアンが流れていますし、そういえば別のところでもオルゴールの曲がかかっていました。

そこには不快な音を和らげるためであったり、患者さんの不安や緊張を軽減する狙いがあるのかもしれません。歯医者さんに限らず、小児科でもいいですね。今度かかることがあったら耳をすましてみてください。

以前より世界中の実験室・研究室では、実際に緊張から引き起こされる不安や、ふさぎこんだ気持ち(抑うつ)に対する音楽の効果についての研究がされてきました。

例えば、癌の患者さんの抑うつ、不安、痛み、疲労に対して音楽がそれらの症状を和らげるという研究報告があります。

音楽を評価することは簡単ではありませんよね。そこで、以下に挙げるような項目を音楽を聴いた時の身体の変化を観察する際のバロメーターとして用いています。

  • 発汗(汗の量)
  • 血糖
  • ストレスホルモンなどの分泌量
  • 血圧

次に、それらのバロメーターの実際の変化をご紹介します。

音楽が身体に及ぼす影響

音楽を聴くと身体にはどのような変化があらわれるのでしょう。主なものをご紹介していきます。

まず、音楽をテンポの速いもの、逆にゆったりとしたものに分けて聴き比べます。すると、身体には以下のような変化があらわれることが確認されています。

テンポの速い曲 ゆったりした曲
発汗(量) 正常化
血糖値 上昇 正常化
コルチゾール分泌量
血圧 上昇 正常化

注目していただきたいのは、これらの項目は自律神経が深く関わっているということです。自律神経は、私たちの身体の働きをコントロールしている神経系で、アクセル役の交感神経とブレーキ役の副交感神経に分かれます。

これらはバランスをとりながら私たちの睡眠-覚醒や脈拍や、血圧を管理しています。

交感神経は、別名闘争-逃走神経とも言われるように、戦場で兵士がまさに生死をかけて戦っている状態を再現します。呼吸は浅く速くなり、筋肉はこわばり、心臓は速く鼓動を打ちます。これらの変化を表にしてみました。

交感神経 副交感神経
興奮 リラックス
目、口 瞳孔拡大、唾液減少 瞳孔縮小、唾液増加
血管 収縮 拡張
心臓 心拍数上げる 心拍数抑える
筋肉 緊張 弛緩
運動抑制 運動促進
発汗 促進 抑制

極端に聞こえるかもしれませんがテンポの速い音楽を聴くことで交感神経を興奮させているのです。行進曲など、気持ちを鼓舞するために利用しているのはそのためなのですね。

血管は不安、緊張するような場面では収縮します。交感神経優位だと収縮するということですね。それと同時にドキドキし、心拍数が上がります。

一方の副交感神経は、兵士の心身の緊張をほぐし、癒す方向に働きかけます。交感神経は迫った身の危険にすぐ対応できるように備わっている神経で、どちらも私たちの身体を維持するには欠かせません。

交感神経、副交感神経のバランスが”健康”を作っているのです。

モーツァルト効果は本当?音楽が与える血圧への効果とは

“モーツァルト効果”とは、1990年代にフランスの医師アルフレッド・トマティスによって造られた用語です。

彼はクラシック音楽で有名なヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの楽曲が3歳未満の子供の脳の発達を促進するという研究報告を発表しました。

実際に有名になったのは、アメリカの心理学者であるフランシス・ラウシャーらによる研究によります。モーツァルトの「二台のピアノのためのソナタ」K.448を学生に聴かせたところ、心理テストの成績が優れていたというものです。

以後、世界中の研究者たちがこぞってモーツァルトの楽曲を分析・研究し始めたのでした。モーツァルトの曲は他の作曲家よりも有名ですし、高周波を多く含んでいるからとの理由が最も多いものでした。

ラット、子供、成人を対象にした研究では、発作性障害及びアルツハイマー病の成人の学習能力に効果的であったという研究報告もありますし、モーツァルトの音楽が他のタイプの音楽よりもリラックスを促すことが報告されています。

やっぱりクラシック音楽がベスト?

ところがラウシャーらが報告したモーツァルト効果は限定的なものでした。時間が経過すると、効力は消えてしまったのです。

しかし、それよりも後に行われた研究では、クラシック音楽は心拍数の変動を安定化させたというものが多かったのです。どうやら、モーツァルトにこだわり過ぎたようですね。

ではどのような楽曲が効果的なのでしょうか。関心の集まるところですね。

  • モーツァルト
  • 「ウィーンのワルツ王」と呼ばれるヨハン・シュトラウスJr
  • スゥエーデンのポップスグループ、ABBA

の楽曲と血圧低下の効果を比べた研究をご紹介します。

研究者らは60人の被験者を、曲を聴くグループ、何も聴かず沈黙しているだけのグループにランダムに割り付け、

  • 血清コルチゾール濃度
  • 心拍数
  • 血圧

を尺度とし、それぞれの楽曲を聴く前と聴いた後で測定をしました。

その結果、モーツァルトとシュトラウス(いずれもクラシック音楽)は被験者の血圧及び心拍数を下げ、特にモーツァルトでは収縮期血圧が低下しました。

次の表から見て取れるように、ABBAでは顕著な低下は見られませんでした。

モーツァルト、シュトラウス、ABBAの楽曲を聴いて比較した時の収縮期血圧の変化

モーツァルト シュトラウス ABBA 沈黙
初期値(mmHg) 123.9 123.9 123.9 123.9
聴いた後(mmHg) -4.7* -3.7 -1.7 -2.1

楽曲を聴いて比較した時の収縮期血圧の変化を表したグラフ

この表の数値は簡潔にお伝えするために平均値のみ記載しました。また、初期値とは、音楽を聴く前の血圧です。

注目すべきは、モーツァルトを聴く前と聴いた後の血圧の変化です。*印はこの数値が統計的に有意であったことを示しています。

ABBAは他の2曲に比べて血圧にあまり影響がなかったということになります。これに対して研究者らは、ボーカル(話し言葉)はネガティブな結果をもたらすかもしれないと分析しています。

また、この研究では被験者の音楽を聴く習慣(好み、頻度含む)と結果には関連が見られませんでした。

では、モーツァルトの楽曲が一番なのかというとそうでもないという別の研究報告もあります。モーツァルトの楽曲とリラクゼーションを目的として作られた音声ガイド付きCDでやはり聴く前と聴いた後の血圧を比べたものです。

リラクゼーションCDは12分のもので、波の音と深い呼吸を促す音声ガイドが含まれているものを使用しました。モーツァルトを聴いたグループと比べたところ、収縮期血圧はリラクゼーションCDの方が有意に低下していました。

この研究結果からも、モーツァルトの楽曲のみが血圧低下に有効というわけではなさそうですね。研究者らは、血圧を下げる効果はモーツァルトに限ったことではないと言っています。

音楽が作る未来!音楽のサプリをぜひ日常に

音楽療法というセラピーがあるように、音楽は私たちの心身に良い効果をもたらします。いわばサプリメントのように古くから注目され、様々なアプローチで研究され続けています。

音楽を聴くことは、笑うことと同様に免疫力を上げる効果があるという報告をご存知の方がいらっしゃるかもしれません。近年になって技術が進み脳の画像や映像を用いた研究もされるようになってきました。

ますます活発な研究がなされている分野の一つです。音楽の話題は尽きませんね。

心地良い音楽を聴くことは、病院や施設でなくてもできることです。しかも、個人が好みの曲で効果があるということになれば、リーズナブルで誰の手にも届きやすい優れたサプリメントと言えるのではないでしょうか。

これまであまり音楽に関心を持たなかったという方も、これを機会にご自身にあった音楽を見つけてはいかがでしょうか。喧騒の中でも、心地よい音楽があるだけで救われることがあるでしょう。

投薬治療の代わりにはまだまだ及びませんが、ご紹介してきたような研究報告からは、音楽が血圧を下げるのに一定の効果があることがわかりました。

さらに技術が進歩して、研究が進めば音楽もより強力な治療法の一つとして認められ、さらに効果的なリラクセーションプログラムが開発されるでしょう。

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