健康生活TOP 高血圧 極端な減塩は高血圧治療には逆効果?取り入れたいDASH食とは

極端な減塩は高血圧治療には逆効果?取り入れたいDASH食とは

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塩分の摂り過ぎは高血圧を招きます。ですので塩分は控えめにして高血圧を予防し、高血圧と診断されたらしっかりとした塩分制限を行って血圧を正常化させましょう。

今回の記事のタイトルにかかわらず、このことは厳然たる事実です。今回お話しするのは「極端な減塩」は心臓に悪いかもしれないと言う話題なのです。

高血圧が原因になるのは心臓病・脳卒中・腎不全

いずれも生命に関わりかねない重い病気ですね。今回はその中でも主に心臓の疾患について的を絞ってお話しします。

高血圧が原因で起こる心臓の病気には、動脈硬化が大きな原因になっていることは皆さん想像がつくでしょう。しかし、実はちょっと複雑な関係があるのです。

高血圧が原因で起こる心臓病にはもちろん狭心症や心筋梗塞が含まれます。でも、もっと多いのは高血圧性心肥大と鬱血性心不全なのです。

動脈硬化には種類がある

高血圧性心肥大は、全身の血管が固くなることで血液を送り出す心臓に過負荷がかかり、心臓が大きくなってしまう病気です。これが原因で心不全や心筋梗塞になることも多い病気ですね。

一方、鬱血性心不全は心肥大からも起こる病気で、心臓の働きが低下して全身の血流が不足しむくみや動悸、息切れなどに始まる症状が起こる病気です。

これらの病気は細い血管の動脈硬化が原因で起こります。細い血管の動脈硬化は高血圧が原因で起こるんですね。一方、血栓症などによる心筋梗塞は太い血管の動脈硬化が原因になることが多いのです。

太い血管の原因になる動脈硬化は、良く知られている通り酸化LDLなどの悪玉コレステロールが増えすぎて起こる、アテローム性と言う病態が中心です。

酸化LDLや小粒子LDLはLDL受容体に取り込まれず、異物として白血球の一種の大食細胞(マクロファージ)に取り込まれ、血管内壁に入り込みます。それがたまることで血管内部が狭くなったり、それが破れて血栓になったりします。

これがアテローム性動脈硬化で、皆さんが肥満やコレステロール値の異常から起こるとしてよくご存知の動脈硬化の形です。

動脈硬化に苦しむ男性イラスト

一方、細い血管では、血圧が高い状態が続くとそれを支えるために血管自体が固く強くなることで、血流を阻害すると言う現象が起こります。

この細い血管の動脈硬化は、脳や腎臓など、細い血管がたくさんある場所で起こり、心臓では起こりにくいものの、結果として心臓に負荷をかけると言う流れになっているのです。

余談ですが、マクロファージの日本語名「大食細胞」は「大食・細胞」ではなく「大・食細胞」です。ですので、読み方も「だい・しょくさいぼう」です。

食細胞とは病原体を食べて始末してくれる免疫細胞のことですね。なんとなくコレステロールに関わると言われると「大食」のイメージが付きまといますが、それは誤解です。

高血圧は必須ミネラルのナトリウム過剰によって引き起こされる

塩、つまり塩化ナトリウムを主成分とする天然調味料をたくさん摂ると、身体の中のナトリウム分が多くなりすぎます。

ナトリウムが多くなりすぎると、身体は血液中の水分量を増やして濃度を一定に保ちます。そして、腎臓でそれをろ過して尿としてナトリウムを排出してしまうと言う作業を行うのです。

この結果、腎臓は余分なナトリウムを排出するために多くの仕事をすることになりますから、傷みやすくなるわけですね。細い血管にトラブルが出ることも相まって、塩分過多の高血圧は腎臓を傷めつけるのです。

しかし、一時的にとは言え水分によって血液自体の量が増えますから、パンパンになったホースのように血管の中の圧力が上がります。

そうして腎臓が弱ると、今度は多すぎる水分とナトリウム分の排出が追い付かなくなるため、常に血圧が上がった状態になりますね。これが高血圧と言うことなのです。

高血圧のメカニズムを示す画像

ですので、高血圧の予防改善には塩分、すなわちナトリウム分の制限が何より大切になると言うわけなのです。

塩分を制限しすぎると心臓病による死亡リスクが高まる

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カナダの大学が中心になって、世界中の大学や研究所の連携で行われた、17か国のおよそ10万人を対象にした研究があります。

それによると、摂取塩分量が増えると心臓死のリスクが高まるのと同時に、塩分を制限しすぎてもリスクが高まる事が判りました。

最もリスクが低かったのは意外にも10~15g/日

この研究は、対象となった人々の尿の一日分にどれだけナトリウムが含まれていたかと言う数値を基準に行われました。

ナトリウムは金属元素ですので、何らかの化合物になっていても、ナトリウム自体の量が化学変化によって増減することはありません。

ですので、近似値ではありますが排泄されたナトリウムの量は、摂取された量と同じになると考えても差し支えないでしょう。

その結果、最もリスクが低かったのは一日当たり4.00g~5.99gが尿中に排泄された人のグループでした。これは食塩換算すると10.16g~15.21gに相当します。

それに対してナトリウム量が7.00g、食塩換算で17.78g以上だった人の心臓病リスクは最も低いグループの1.16倍になっています。

一方、ナトリウム量が3.00g、食塩換算で7.62g未満だった人のグループでも、心臓病リスクが1.27倍に高まっていたのです。

他の数々の研究によって、塩分を控えることと高血圧を予防改善することには正の相関が確認されていて、高血圧を防ぐには塩分の制限は不可欠だとされていますし、制限しすぎと言うことに触れた情報はありません。

ですので、この二つのデータのどちらもが正しいとすると、高血圧のリスクと心臓病のリスクは必ずしも相関しないと言うことになってしまいます。

現在、高血圧が様々な病気の原因になっているのは確かです。今回紹介したこのようなデータが出た以上、厳しすぎる塩分制限は危険かもしれませんが、日本で一般に行われているレベルの塩分制限では問題は少ないでしょう。

どちらかと言うと、WHOやアメリカが推奨している数値に、ナトリウム不足による危険があるかもしれないと言う程度ですね。

食が洋風化した現在、アメリカの減塩事情を参考にしよう

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食の洋風化と言う現象が言われて久しい現在ですが、アメリカでも塩分過多による高血圧が問題になっています。

アメリカ食品医薬品局(FDA)は、食品の栄養表示の基準となる一日摂取量として、ナトリウム2400mg(食塩換算で約6g)を提示しています。

同じアメリカでも、心臓病の世界的権威であるアメリカ心臓協会は1500mg/日(食塩換算で約3.8g)を推奨しています。

それに対して、日本の厚生労働省は一日当たり男性で8g、女性で7gの食塩相当量を摂取基準にしています。この値ですら、2015年4月に1g引き下げられた数値なのです。

なお、世界保健機関WHOは、一日当たりナトリウムで2.0g未満、食塩換算で5.0g未満を推奨しています。

しかし、この数値についても実際問題としてはそれぞれ暫定値的な意味合いが濃いようなイメージですね。まだまだこれから研究が行われることでしょう。

参考までに、アメリカ人の平均塩分摂取量は食塩換算で約8.7g/日、日本人は同じく約10.5g/日です。

FDAが紹介するアメリカ人を塩分過多にしている犯人

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FDAは次のような食習慣や食べ物が、アメリカ人の塩分摂取量の40%を占めているとして警告を発しています。

  • 食パンやロールパン
  • ハムやベーコン、加工された七面鳥などの冷たい肉
  • チキンやカモなどの加工肉
  • ピザ
  • スープ
  • ハンバーガーやサブマリン、ホットドッグなど、サンドイッチ類
  • ナチュラル・プロセスに関わらずチーズ類
  • パスタ料理
  • ひき肉・混合肉料理
  • スナック菓子

日本でもよく食べるものが多いですよね。日本人は伝統的に漬物・味噌汁とご飯と言った、塩分が多量に含まれる食事の習慣があります。そこにこうしたものが加わると、決して好ましい方向には向かないでしょう。

アメリカでは食塩摂取量の77%が外食・中食・加工食品・インスタント食品に由来し、家庭での調理や食卓で食塩を使うことによって11%、自然食材に含まれる分が12%であるとしています。

日本人としても、ちょっと耳が痛い気もしますね。

FDAが紹介する塩分を減らす10個の方法

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ここでFDAが紹介している、塩分を減らすのに効果的であるとされる、具体的な行動ポイントをみていきましょう。

1:栄養成分表示を良く見よう

日本でも栄養成分表示には「食塩相当量」などの形でナトリウムの量が表示されています。

アメリカのように1日量の何%と言う表示がないのは残念ですが、これをしっかり見る習慣をつけるだけでも塩分過多を予防する一助になるでしょう。

2:自炊し、食塩使用量を控えよう

加工食品は便利ですが塩分が多くなります。外食・中食は美味しいですが、美味しさの裏には塩分があります。

自分で調理し、その際には食塩の使用を控えましょう。

3:塩以外のもので風味付けをしよう

ハーブやスパイスでしっかり風味付けすることで、食塩が少なくても物足りない味にはなりません。

4:加工肉の使用はやめよう

缶詰のランチョンミートやコンビーフ、ソーセージなどはもちろん、生肉であっても塩蔵肉などは使わないようにしましょう。

5:野菜は生が一番

新鮮な野菜が一番ですが、塩分を追加せずに冷凍したものもOKです。缶詰も塩分の少ないものを選びましょう。

6:塩抜きをしましょう

豆類や野菜、油漬けでない魚の缶詰などは、一度水に放して塩抜きをしてから使いましょう。

7:乳製品に注意

チーズやバターは塩分の多い食品です。牛乳やヨーグルト、豆乳などでうまく代替しましょう。

8:スナック菓子は塩分無添加のものを選ぼう

一般のスナック菓子は塩分が多いです。野菜をそのまま加熱乾燥して塩分を添加していないスナックなどを選びましょう。

9:食卓の調味料に注意

醤油やケチャップ、市販のドレッシングは塩分の多い調味料です。減塩しょうゆや減塩ケチャップを選び、市販のドレッシングはビネガーとオイルを追加して、塩分を薄めて使いましょう。

(アメリカの情報ですが、はっきり”Soy-sauce”と書いてあります。醤油どころか、減塩しょうゆまで普及してるんですね。)

10:外食は減塩オプションが選べる店で

レストランはナトリウム含有量が明示してある店を選び、メニュー選びの参考にしましょう。高級店ならば塩分を控えるようにオーダーして下さい。

FDAはアメリカ国民に対して、このように啓蒙活動を行っています。日本とは食文化が違うとはいえ、日本の食事も洋風化していますので参考になる部分があるかもしれません。

日本では塩分の多い料理が文化的に存在するので無理は禁物

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日本には米食文化があります。銀シャリに一番合うおかずは「塩」と言っても過言ではないでしょう。特に日本は島国であることから上質の海塩が採れます。

ヨーロッパの岩塩のように、ほぼ純粋な塩化ナトリウムであるものに比べると、塩そのものに上質なうまみがあるためどうしても塩の利用が進んでしまったんでしょう。

塩分制限をするなら岩塩は使わない方が良い

岩塩は日本の食塩や昔ながらの製法で作られた海塩に比べると水に溶けにくいと言う性質を持っています。このため、同じ量を使っても塩の効きが悪く、塩味が感じられにくいからなのです。

しかし、一旦体の中に入れば溶けるための十分な時間がありますので、ナトリウム摂取量としては海塩と同じことになります。

日本には美味しい塩がたくさんあるので、わざわざ岩塩を使う必要性はないと思いますが、嗜好品として使われる場合は、重さをしっかり測って使う習慣をつけた方が良いでしょう。

DASH食の利用で減塩による効果を向上させる

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別の研究では、通常食といわゆるDASH食とを摂ったグループの間で、減塩による血圧低下効果がどのように変化するかを比べたデータがあります。

それによると、やはりDASH食を併用した方がずっと効果的に高血圧の改善ができたと言う結果が出ています。

しかし、一方でもともと塩分摂取が少ないグループではDASH食の効果が限定的になります。これはDASH食の性格が「塩分の排泄」に重きを置いたものだからと考えられています。

日本人の方がDASHの導入が簡単かもしれない

DASHとは”Dietary Approach to Stop Hypertension”(高血圧を抑えるための、食事からのアプローチ)と言う言葉の頭文字です。

具体的には五大栄養素のうち、ビタミン以外の物のバランスを変えて食べると言うだけのシンプルなものです。

アメリカ人の食事について、脂質を抑え、炭水化物とたんぱく質でカロリーを代替します。そして、ナトリウムの摂取量はそのままにカリウムとカルシウム、マグネシウムを増やすと言うものです。

これを日本人の平均的な食事と見比べた場合、脂質や炭水化物は最初からほぼクリアしています。むしろ脂質はアメリカ人の目標より少ないくらいですね。たんぱく質は1~2割増やした方が良いでしょう。

一方ミネラルですが、やはりナトリウムは3~4割減らす必要があります。そして、カルシウムとマグネシウムは2倍、カリウムは3倍くらい現状より増やすと言うことになります。

具体的には果物と野菜をたくさん摂ればOKです。もともと日本人の食生活はナトリウムをたくさん摂っていても、栄養バランスの関係で排出効率も高かったようですね。

ですので、意識して野菜と果物を多く摂る、特に果物は塩分なしで美味しく食べられますから、カロリーに注意しておけば一番お勧めです。

特に高血圧が気になる世代には、脂質の摂取量が減っている分、果物でカロリーを摂ってもリスクが少ないので、効果が大いに期待できると言えるでしょう。

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