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大動脈瘤は自覚症状なし!死を招く大動脈破裂の原因と治療法

doctor has wounded heart

2015年の秋、映画やバラエティ番組で活躍する60代の俳優が大動脈瘤破裂で急逝しました。今回の訃報で「大動脈瘤破裂」という病気が気になった方もいるのではないでしょうか。

大動脈瘤破裂は元気な人の命を突然に奪う怖い病気です。事前に発症を予防することは難しいのでしょうか?

今回は、大動脈瘤破裂の原因と予防法について説明したいと思います。

大動脈瘤とその破裂とは?その症状とメカニズム

大動脈とは体のどこを通っているのでしょうか?頭部、太ももの付け根、それともワキの下?

俗称で太い動脈のことを大動脈ともと呼びますが、医学的には心臓から下腹部の一番太い血管を大動脈といいます。太さは胸部で25~30mm、腹部では15mm~25mmと想像していたよりもかなり太いでしょう。

この動脈に心臓から送り出された新鮮な血液が通っています。この動脈の一部に血液が溜まりはじめて、大きなこぶになってしまう病気、これが大動脈瘤です。

ほとんどの場合、血管の分岐点にできることが多いようです。

動脈の一部がこぶ状に膨らんで、内径が標準の1.5倍以上に拡張した状態を「動脈瘤」といい、大動脈に発生した大動脈瘤が破裂することを「大動脈瘤破裂」といいます。

また、心臓から横隔膜を流れる動脈に生じるものを「胸部大動脈瘤」、横隔膜から下を流れる大動脈に生じるものを「腹部大動脈瘤」と呼びます。

怖いのは痛みなどの自覚症状がほとんどないまま突然破裂するところ

動脈瘤そのものは悪性であるとか痛みを起こすといった性質のない病気で、動脈瘤があっても無症状で元気に過ごしている人も少なくありません。

血管が膨らんだだけなのでかなり大きく膨らんでも痛みはほとんど感じないのです。

しかし大動脈は心臓から全身に向けて血液が勢いよく流れ、常に血管に高い圧力がかかっているため、大動脈瘤が大きくなると突然に破裂してしまいます。

破裂時には胸または腹部に激痛が起こり、大量出血を伴います。

体内最大の大動脈が破裂することで急速に1~2リットルもの血液が流出し、失血のショックでそのまま亡くなる人も少なくありません。また運良く救命治療ができても、半数以上の人が命を落とすほど重篤な病気です。

年間で1万6千人以上もの方がなくなっており、若い年代である40代も増加してきました。
平成26年 人口動態統計(確定数) 第7表(PDF)

動脈瘤が胸部にできた場合は

  • しわがれ声
  • 飲みこみにくい
  • 呼吸が苦しい

などの症状が出ることがあります。しかし大半は気づかないままで突然破裂するのです!こわい!

しかし大動脈瘤破裂は予防することも十分に可能なんです。

大動脈瘤の主な原因は動脈硬化!発症リスクの高い人は?

残念ながら、大動脈瘤のはっきりした原因は分かっていません。

なんらかのきっかけで血管に炎症や細菌感染が起こり、血管の傷口がこぶ状に広がってしまう溜めに起こるのではないか、といわれています。

また少なくとも大動脈瘤には「動脈硬化」が大いに関係しているとも考えられています。動脈硬化によってしなやかさを失った大動脈に高い圧力が加わり続けることで、血管壁が徐々に広がってしまうのです。

またカロリーの高い食事をとり続けると余分なコレステロールが動脈にへばりつき(高脂血症)、動脈内が狭くなるため血圧が高くなります(高血圧)。

さらに糖尿病に罹患していると血管がもろくなりますので、ますます血管が破れやすくなります。

ちなみに、大動脈瘤のリスクが高いのは次に挙げるタイプだといわれています。

  • 男性
  • 60歳以上
  • 高血圧
  • 高コレステロール血症
  • 喫煙歴がある
  • 家族に大動脈瘤の人がいる

高血圧と高コレステロール血症が動脈硬化の要因になっていることはよく知られていますね。また家族に大動脈瘤の人がいると発症しやすいことから、遺伝も関係していると考えられています。

60歳以上で起こりやすいのは、加齢と共に血管の弾力を保つコラーゲンの量が減少して動脈が硬くなりやすいためです。また女性より男性のほうが発症率は5倍高く、大動脈瘤が最も多いのは60~80代の男性といわれています。

なお、喫煙は大動脈瘤の最大の危険因子になっています。喫煙がさまざまな健康被害を及ぼすことはみなさんも熟知している通りで、煙草の煙に含まれる一酸化炭素が血管壁を傷つけるため、大動脈瘤が発生しやすくなってしまうのが理由です。

動脈瘤を予防するには

つまり、大動脈瘤を予防するには「動脈硬化の予防」「禁煙」が重要です。

動脈硬化の原因となる生活習慣病の高血圧・糖尿病・高コレステロール血症・肥満は、「死の四重奏」とも呼ばれます。規則正しい生活習慣・栄養バランスの良い食事・適度な運動・十分な睡眠を心がけ、死の四重奏の餌食にならないようにしてください。

予防としては、やはり他の病気同様生活習慣病にならないことです。人間ドックや健康診断の血液検査項目でいうと、血圧・糖代謝(血糖値の上昇)・脂質代謝(総コレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪の上昇)をコントロールすることが重要です。

食生活・運動習慣・喫煙・飲酒習慣を含めた規則的な生活習慣が予防であり、改善につながります。

動脈瘤は突然に発生する病気ではありません。長い年月をかけてゆっくり血管が拡張していくものなのです。

ですから、若い時から健康に気を使って生活習慣病を予防することが大切なんです!

破裂を食い止めろ!大切なのは大動脈瘤の早期発見

しかし、先に説明したように大動脈瘤にはあまり自覚症状がないため、大動脈瘤が破裂するまで気づかないこともあるのです。もちろん大動脈瘤破裂は最悪の事態ですから、それまでに阻止しなければなりません。

どうすれば大動脈瘤破裂を阻止することができるのでしょうか。それは定期的に健康診断を受け、大動脈に異常がないかチェックしてもらえば良いのです。

大動脈瘤が見つかり次第に治療することで、大動脈瘤破裂を回避することが可能になります。

患者の多くは「大動脈瘤を疑って病院に来た」というよりも、会社の定期検診や消化器系の病気を診察してもらうために来て、偶然に大動脈瘤が見つかったケースです。

胸部大動脈瘤は動脈瘤が大きくなると声帯や気管が圧迫されて、しゃがれ声になったり物が飲み込みにくくなったりするので、症状に気付くこともできますが、腹部大動脈瘤は大動脈瘤が大きくなっても症状が出にくいので自分で気づくことは難しいのです。

また、腹部大動脈瘤も動脈瘤がかなり大きくなると腹痛や腰痛を引き起こすようになりますが、ここまで来ている時はすでに破裂の直前となっており危険な状態です。

とにかく大動脈瘤は自分で発見することは難しい病気なので、健康な人でも定期的な動脈硬化の検査と腹部超音波検査が欠かせません。大動脈瘤の管理とともに動脈硬化の進行を防止しなければリスクは高いままになります。

特に家族に大動脈瘤の人がいる場合は、積極的に検査を受けることをおすすめします。

「健康には自信あるし、まだ若いから」と油断してはいけません。

定期検診には体の異常をいち早く見つけ、発症を防いだり軽症のうちに治してしまう目的がありますよ。

40代に入ったら必ず受けるようにしてくださいね。

大動脈瘤が見つかった!治療法は経過を見る・投薬・手術

はじめにお伝えしたように、正常な大動脈の内径は胸部大動脈で25~30mm、腹部大動脈で15~25mmです。胸部大動脈はその1.5倍の40mm以上、腹部大動脈は4omm以上の大きさで、破裂のリスクが高くなります。

大動脈瘤が小さく破裂のリスクが少ないと考えられる場合は、血圧の上昇を抑える薬を用いて症状の進行を抑えます。

薬の内服で一度できた大動脈瘤が小さくなることはなく、大動脈の手術が根本的な治療法となります。破裂のリスクが高い場合は、大動脈瘤ができている部分に人工血管に取り付ける手術を行ないます。人工血管の原料はポリエステルなので拒絶反応はほとんどありません。

しかし、大動脈瘤が発見されてもすぐ手術を行なうわけではありません。大動脈瘤はゆっくりと大きくなるので、1年ごとの検査で1mm以上大きくならなければ、医師の判断によって手術をせずに生活習慣を見直しながら経過を見て過ごす場合もあります。

ところが大動脈の内径が40mmを超えると大きくなるスピードが速くなり、年に1~5mmのペースで大動脈瘤が広がっていくようになります。こうなると破裂する大きさになるまでそう時間はかからないので、早く手術をすることが薦められます。

人工血管を取り付ける方法は2種類あります。

切開手術
胸部または腹部を切開し、大動脈瘤のできた血管を人工血管に置き換える
ステントグラフト
脚の付け根の動脈からカテーテルで人工血管を動脈瘤に注入する

近年は、体を切開せずに軽い負担で人工血管を植え付けるステントグラフトを行なうことが増えています。4~5日で退院できることからも今後取り入れる病院は増加するでしょう。

しかし全ての患者にステントグラフが適応しているとは限らず、患者の体力や大動脈瘤の形状に合わせて適した方法が選択されます。

人工血管を取り付けることで大動脈瘤の破裂する危険性がなくなります。人工血管は耐久性が強く20年以上持つので、基本的に取り換える必要はありません。人工血管が入っていても通常の生活を送ることができるようになります。

後は動脈瘤が再発しないよう、健康管理に注意しながら生活することが必要です。

あの歴史的文化人も大動脈瘤破裂に!やはり不規則な生活習慣はNG

天才発明家のアインシュタイン、小説家の司馬遼太郎も大動脈瘤破裂でこの世を去りました。

多忙な日々を過ごし血管にかかるストレスもさぞかし強かったのでしょうが、二人とも共通して愛煙家だったと聞くと、やはり喫煙が良くなかったのかな?と思わざるを得ません。

最近は40代の働き盛りにも増えているとのこと。繰り返しますが、大動脈瘤を自分で見つけることは難しいですが、予防と検査による早期発見は十分に可能です。若くて健康な方も油断せず、健康管理を始めてくださいね。

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