健康生活TOP 高脂血症 本当にコレステロールの制限は不要か?新見解に潜む真の意味

本当にコレステロールの制限は不要か?新見解に潜む真の意味

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日本人は世界の中でも健康に対して、関心を持っている民族だと思います。たしかに「世界一の長寿国」を自負するともなれば、政府に任せず自ら健康維持に努めなくてはなりません。

健康診断や人間ドッグはもちろんのこと、少しの体調不良でも病院で治療を受けられるのも長寿の秘密かも知れません。

しかし、今まで健康に良いと思っていたことが崩れてきたら、貴方はどう対応しますか?

日本人が長寿なのは情報化社会が理由だった!日本人が思う健康に悪い習慣とは?

日本人が長寿で健康である理由には色々と説がありますが、その中の一つに「社会の構造」があるのではないでしょうか?昔から日本は新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどから様々な情報が発信されています。

インターネットが普及した現代では溢れるくらいの情報が毎日のように発信されています。そう日本はまさしく「情報化社会」なのです。

もちろんこの大量の情報の中には、「健康」「病気」「長寿」など医療に関係するものも多く、少なからず医学的な情報に触れることが多くなります。

その情報が積み重なることで「健康意識」が生まれてくるのではないでしょうか?しかし日本人が健康に良いと思っている常識の中には、少なからず正しくないことも含まれているのです。

日本人であれば健康に悪影響を及ぼす生活習慣をある程度理解していると思いますが、本当にその知識は正しいのでしょうか?

喫煙習慣

喫煙が健康に悪いことは今や常識となっています。タバコに含まれている「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」が原因で様々な病気を引き起こすと言われており、肺がんが心臓疾患の原因としても有名です。

近年では分煙(喫煙と非喫煙を分ける)も盛んで、喫煙者は肩身の狭い状況に追いやられている感じも受けます。

また、公共スペースだけでなく民間企業の中にも「全面禁煙」が増加しており、個人レベル以上の健康対策となっています。

メタボ予防

一定以上の内臓脂肪や皮下脂肪により体重が増加した場合、「メタボリックシンドローム(メタボ)」と診断されてしまいます。メタボはその体型だけでなく「高血圧」「糖尿病」などの生活習慣病の予備軍とされ改善が求められます。

多くは健康診断や人間ドッグで指摘され、生活指導により改善策を指摘されます。「スマートな体型=健康」これが日本の常識みたいですね。

カロリー摂取

メタボの原因の中に「大食い」があります。これは一日に必要なエネルギー(カロリー)を大幅に超過する行為で、身体に脂肪を蓄積させる原因になります。

日本には伝統的な日本食があり、これを理想とする健康指導法も人気です。お腹一杯食べ過ぎない「腹八分目」が健康のバロメーターとされているようです。

運動促進

健康対策の中でも特に一般的なのが「運動」ではないでしょうか?「毎週月曜日にジムに行っているよ!」とか「昨日は野球の試合だったんだ」と聞くと、「この人は健康なんだ」と思ってしまうのは私だけではないですよね。

運動は蓄積されたエネルギーを消費させて脂肪を燃焼させます。また筋肉を強化したり、代謝を促進したりする作用もあります。

適度な運動は免疫作用を強化して感染症などから身体を守る働きも期待できます。その意味では最も効率的な健康法とも言えますね。

ストレス解消

現代人にとってストレスは気が付かない間に健康を悪くさせる要因の一つです。「仕事」「人間関係」「生活環境」など、ストレス要因を数え上げるときりがありません。

過剰なストレスがかかると自然に防御反応を起こしてしまいますが、その過程で「うつ病」などの精神疾患が発症することもあるのです。

ストレスとどう向き合うかが健康にとって重要なポイントとなっています。

脂質制限

動物性脂肪に含まれる脂質には「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」「中性脂肪」などがありますが、これらは一部を除いて様々な病気を引き起こすとされています。

「高脂血症」は血液中に含まれるコレステロールが増加する症状ですが、放置すると「高血圧」「動脈硬化」「脳梗塞」「心筋梗塞」などの原因となります。

そのために健康的な食生活では、あるべく脂質性食品(肉、バターなど油脂食品)を避けて、コレステロールを体内に入れないことが重要とされています。

健康診断の血液検査においてコレステロール値が高い人は、食生活の改善を求められるのはこれが理由だったのです。私もそうですが豚肉の脂身が苦手で食べない人って案外多いですよね。

脂質の制限は意味がない?新見解に皆ビックリ

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先ほど説明した健康的な生活習慣はほんの一部であり、誰もが知っている内容ですよね。しかし、最近アメリカの政府機関や学会である新見解が発表されました。それは日本人が疑わない健康習慣を覆す内容だったのです。

脂質制限は不要?アメリカの新常識に驚愕

日本と同じく健康大国であるアメリカで新しい健康指針が発表されました。この健康指針は定期的に改定されている「アメリカ人の食生活ガイドライン」のレポートであり、アメリカにおいての健康的な食生活を定義しています。

ガイドライン作成にはアメリカ厚生省や農務省を始め様々な医学学会も参加しており、5年毎に改定されているようです。

実は今年(2015年)が改定の年だったのですが、今回の改訂で日本の医学会を驚かせる変更がありました。それが「脂質制限の撤廃」なのです。

少し前から噂になっていた脂質制限の撤廃

先ほども説明した通り脂質制限は、血液中のコレステロール(悪玉)を減少させて様々な病気を予防する健康法です。悪玉コレステロールや中性脂肪は血管壁に入り込んで、血管を狭くしたり硬くしたりしてしまいます。

最近では健康のバロメーターとして「血管年齢」が注目されていることもあり、血管を硬くもろくするコレステロールは悪者とされていたのです。

そしてコレステロールを削減する方法として、日本でも多く取り入れられていたのが「食生活における脂質制限」です。要は油物を取り過ぎないように注意する食生活のことですね。

油物の食生活とは「肉類(豚肉やひき肉)」「バターやマーガリン」「マヨネーズなど調味料」「フライ、天ぷらなどの調理法」を指しており、このような食生活を行わないことが健康の第一歩とされていました。

しかし、今回のアメリカのガイドラインでは、「食事によるコレステロールの制限は血液中のコレストロール値と因果関係はない」との結論が出されているのです。

実は少し前から「食事と血中のコレステロー値の関係」に疑問を呈する専門家が増加しており、今回のようなガイドラインの改定があるとの噂はありましたが、実際に改定されてみるとちょっと驚きですよね。

食事での脂質制限が撤廃された理由とは

今回の改訂を詳しく説明しますと「食事で油物を一生懸命制限しても血液中に含まれるコレステロールの値には影響しません。」と言っています。

つまり、「健康診断でコレステロール値が若干高かったので、大好きなから揚げやしょうが焼きを我慢しても、コレステロール値は下がるとは思えませんよ。」と言うことなのです。

「今まで何やらせているんだ~(怒)」って怒りだす人もいそうですが、脂質の食生活については今までの説と真逆になった感じもします。

この変更はアメリカでの追跡調査によって食生活とコレステロールの関係を調べたのがきっかけです。食事指導による脂質制限を行っても、血液中のコレステロール値に影響は与えないことが解明されました。

また、脂質制限などの食事指導を行っても、心筋梗塞の発症リスクにも変化がないことも確認されたのです。

実は血液中に含まれるコレステロールの約8割は体内で生成されており、一部分のみが体外から供給されます。また、食事を制限して体外からの摂取コレステロールを少なくしても、減らした部分を体内で生成することも解っています。

人間の身体はよく出来ており、足りない部分は自分で作り出すのです。「今までなぜ解明できていなかったのか?」との疑問は置いておいて、中々奥の深い内容です。

アメリカの健康政策におけるジレンマがある

今回の改訂に繋がる様々な調査の背景には「アメリカの健康政策についてのジレンマ」があると私は考えています。皆さんもご存知だと思いますが、アメリカの社会問題として「肥満」があります。

それは日本のレベルではなく、人口の35%程度が肥満と言われています。

国民に占める肥満患者が増加すると、それに従い病気の発症率増加してしまいます。また働けない人も増加することから社会福祉や医療の分野での負担が増加します。

このような状況は国を弱体化させる原因になるため、肥満対策はアメリカの重要な政策として位置づけられていました。そして脂質制限を推進していたのです。

しかし、アメリカにおける脂質制限が面白い(失礼)状況を生み出しました。「脂質=悪」と植えつけられたアメリカ国民は、脂質をさけて「炭水化物」へと食事の内容を変化させたのです。

もともと肉食の白人が多いアメリカで、アジア人が行っている炭水化物食へと食生活がシフトしたのですね。確かに一時期の日本食ブームでも「寿司=ヘルシー」などと騒がれていたように覚えています。

また肉食は噛み応えがありますが、炭水化物食は柔らかいので白人には物足りなく、食べる量が増えてしまう悪影響も出てしまったのです。

結局、この状況下では肥満は減少しませんでした。反対に微増したとの報告もあるようです。また、糖質が増えることで「糖尿病」などの生活習慣病も増加してしまったと言うオマケまで付いてしまいました。

最近話題の「低炭水化物ダイエット」は、糖質を制限してタンパク質や食物繊維を中心とした食生活を行うのですが、昔のアメリカはこれとは真逆のことを推進していたのですね。

良いと思って悪いことをしていた…何と言うジレンマでしょう。

今回の改訂における日本医学会の反応

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厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書にはコレステロールの摂取基準に「目標の設定に至らず…」と記載されました。

これは「数値での基準を設けない」と言う意味で、健康であれば制限は設けないとも受け取れます。

また日本動脈硬化学会も「コレステロール摂取量に関する声明」をホームページ上に発表しています。

【日本動脈硬化学会「コレステロール摂取量に関する声明」抜粋】

我が国の「2015年日本人の食事摂取基準」では、健常者において食事中コレステロールの摂取量と血中コレステロール値の間の相関を示すエビデンス(証拠)が十分ではないことから、コレステロール制限は推奨されていない。

日本動脈硬化学会も健常者の脂質摂取に関わるこの記載に賛同している。

日本においても食事における脂質制限が血液中のコレストロール値に影響を与えるエビデンスがないと認めた上で、摂取基準を設けないことに賛同しています。

しかし、日本動脈硬化学会の声明には更に重要な記載が書かれています。それはあくまで基準を設けないのは健常者であって、血液中の脂質異常(高悪玉コレスロール異常)が見られる患者には適用されないことです。

何らかの原因で血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪が高い患者は、今まで通りの脂質制限が必要とされています。これは重要なポイントではないでしょうか?

健康診断で高コレステロール異常と診断された場合は、今まで通りに脂質制限が必要になりそうですね。

医学の常識は真逆へ変わることもあり、混乱してしまうこともありますが、それだけ進歩していると考えることが大切です。「騙されてたっ~!」なんて言わないで毎日の生活に取り入れる工夫を考えませんか?

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