健康生活TOP 病院 交通事故で健康保険は使える?使えない?公的保険制度の謎

交通事故で健康保険は使える?使えない?公的保険制度の謎

普段普通に生活していても免れないのが「事故」ですよね。中でも交通事故は突然のように貴方を襲うかもしれません。

交通事故と言ってもまずは「加害者」「被害者」での立場も違いますし、車の運転を「していたか?」「していないか?」でも違いが出てきます。

どちらにしても交通事故で怪我をしてしまうと、まずは治療を行わなくてはいけません。しかし、病院で治療を受けようにもちょっと困ったことに巻き込まれる可能性があるのです。

ある日突然の交通事故に巻き込まれたら

交通事故を起こしたくて起こす人はいません。当たり前の一日を過ごそうとしていても事故は突然のようにやってきます。

【ケース1】自転車に乗っていたら車にはねられた

ある日の夕方、Aさんはいつもと変わらず自転車で買い物に行っていました。帰りに歩道を走っていたのですが、突然横道から飛び出してきた1台の軽自動車とぶつかって、転んでしまったのです。

幸いAさんは軽症でドライバーも自分の非を認めて謝罪したのです。警察を呼んで事情を説明し、加害者も任意保険に加入していることから対応は保険会社に任せることにしました。

軽症だったAさんはそのまま救急車を呼ぶこともなく自宅に帰ったのですが、翌日になって首に痛みを感じたのです。

「もしかしてムチ打ち症?」心配になったAさんは、近くの総合病院に行って治療を受けることにします。

病院では「昨日の交通事故の状況」「現在の痛みの具合」などを説明して、適切な治療を受けたそうです。そして治療を受けた後の会計で衝撃的なことを告げられたのです。

【ケース2】車を運転していて車に衝突

Bさんは毎日忙しく働いています。久しぶりの休日なのでBさんは大好きなゴルフの練習に行くことにしました。自宅から30分程度の距離にあるゴルフ練習場で気持ち良い汗をかいたBさんは、休むこともなく自宅へ帰ることにしました。

日頃の仕事で疲れが溜まっている状態でのゴルフは、更に疲労が溜まる原因でしたが、Bさんはリフレッシュできたと満足していたそうです。

しかし、実際に車を運転して10分もすると、急に眠気が出て「ウトウト」してしまい、気が付いた時には別の車が目に前にあったのです。慌ててブレーキを踏んだBさんですが、それも間に合わずに車に衝突してしまいました。

車はそこそこ壊れてしまったそうですが、幸い相手のドライバーは無傷。Bさんにも軽症で済み、救急車で病院に搬送された後に1日だけ入院することになったそうです。

そして翌日、帰ろうと思って会計にいったBさんは驚くことになります。

【ケース3】自転車を運転中におじいさんとぶつかった

Cさんは毎日の通勤で自転車を使用しています。車では渋滞で30分かかる通勤が、自転車では15分で行けることが魅了だったのです。

Cさんはあまりスピード出さない人だったのですが、毎日のように乗っているとだんだん慣れてきてついついスピードを出すようになっていました。

ある日、いつものように自転車で走っていて、ついよそ見をしてしまいました。ハッとした瞬間、前を歩いていたおじいさんとぶつかってしまい、自転車もおじいさんも転倒してしまったのです。

幸いCさんはヘルメットをかぶっていたので擦り傷程度の怪我で済んだのですが、おじいさんは腰を打ったらしく立ち上がることはできません。

その場で救急車を呼んで搬送されました。Cさんはよそ見をした自分が加害者の立場であることを理解しており、おじいさんにも治療費は全て自分が払うと話したそうです。

おじいさんは2日間入院したそうですが、大した後遺症もなく退院し普通の生活に戻ったそうです。

そして後日、おじいさんから衝撃の話を聞かされたのです。

事故は突然にやってきます。当たり前の生活の中にも危険は隠されていると思いましょう。

知っていますか?交通事故では健康保険が使えないという話

これまで紹介した交通事故の話は、「自動車事故の被害者」「自動車事故の加害者」「自転車事故の加害者」を紹介しています。皆さん大きな怪我もなく良かったのですが、なんだか最後には思ってもみない結果が待っていたみたいです。

それはお金に関する内容だったのです。

交通事故と健康保険の関係

AさんとBさんは病院での会計を済ませようとした時に、衝撃の話を会計担当者から言われました。またCさんは被害者が退院した時点で、被害者のおじいさんから聞かされたそうです。

そう共通していたのは治療にかかった「医療費」の金額の話だったのです。

実は病院の会計担当者から「交通事故は公的な健康保険は使用できません。したがって自由診療になります。」と告げられたのです。Cさんのケースでもおじいさんから、同じことを聞かされたそうです。

そして驚くのはその金額です。Aさんは約5万円、Bさんは約10万円、そしてCさんは20万円もの医療費を請求されたのです。

健康保険を使用できないと高額の支払いになる

交通事故で健康保険が使用できないと言う話は昔からよく耳にする話です。日本は国民皆保険制度を導入しており、国民誰もが高品質の医療を受けられることを保障されているはずです。

しかし、交通事故で使用できないのはちょっとおかしい話ではありませんか?

高齢者を除く一般的な健康保険は「3割負担」が原則です。つまり治療費が10万円でも実際に窓口で支払うのは3万円で、残りの7万円は健康保険で支払われます。

このように健康保険を適用する診療を「保険診療」と言います。反対に健康保険を適用せずに診療することを「自由診療」と言って、治療にかかった全ての費用を自分で支払うことになるのです。

健康保険での医療行為は点数制度

日本の健康保険制度では実際に行う医療行為毎に点数が付けられており、その合計で医療費が算出されます。以下に例を紹介します。

1 初診料 270点
2 心電図検査 130点
3 レントゲン撮影 224点
4 処方箋料 68点
合計 692点
健康保険では1点あたり10円で計算しますので、「692点×10円」になり、医療費の合計は6920円になります。

さらに3割負担の健康保険を使用すると、患者の負担は2076円で済む計算です。

自由診療ではどうなると思いますか?「簡単じゃないですか!6920円を払えばいいでしょう。」と思った貴方は不正解。そんなに世の中は甘くないことを知って下さいね。

自由診療とは病院と患者の合意による価格設定だ

先ほどの問題で「6920円を支払えばよい」と応えた人は、素直な人だと思いますが、世の中はそんなに甘くはありません。自由診療とは病院が医療の価値を決めることができる診療で、値段も自由に決めることができます。

つまり、健康保険において「270点:2700円」に設定している初診料でも、5000円でも8000円にしても問題はありません。

実際には便宜上保険点数はそのまま利用して、1点あたりの価格を操作している病院が多いようです。

例えば自由診療を1点20円にすれば、単純に医療費が健康保険の倍かかる計算になり、先ほどの例では13840円の医療費が必要になります。

中には自由診療も健康保険と同じ割合で計算する病院もありますが、多くの病院では自由診療を割高にしているのです。

「自由診療とは病院と患者の合意による価格設定だ」と言いますが、それなら病院の受付に自由診療のメニュー表が欲しいと思うのは私だけでしょうか?

交通事故を自由診療にしたい理由

自由診療でも健康保険を適用しても医療費に差がない病院であれば、交通事故を自由診療にする意味はありません。しかし、多くの病院で自由診療が割高になっている状況では、病院としても割高な治療を行いたいですよね。

6920円しか入らないところ13840円も入ってくるのですから、病院としては美味しい話には違いありません。

まぁこのような不届きな病院があることは間違いありませんが、中には良心的な病院も沢山ありますので安心して下さい。

日本の病院で医療費が変わらないのは健康保険制度のおかげです。自由診療では病院が自由に価格を設定できるのです。

昔から交通事故で健康保険は使用可能

それでは本当に交通事故で健康保険は使用できないのでしょうか?実はこれは完全な誤りで、使えないと言う病院の説明は「勘違い」か「嘘」だと思って下さい。

厚生労働省からも使用可能との通知が

昭和43年10月に当時の厚生省(現厚生労働省)から一通の通知が出されています。その通知は当時の厚生省保険局保険課長国民健康保険課長が各都道府県に宛てたもので、交通事故においての健康保険使用を認めています。

【昭和43年10月12日 保険発106号「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱いについて」】

「最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものであるので、

この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい。」

この通知は昭和43年に出されたもので今から48年前の通知ですが、それ以来この通知内容を変更する通知は出されていないため、これが生きているのです。

病院でも曖昧な対応が目立つ

病院の会計で「交通事故は自由診療になります。」と言われて内心は疑問に思っているのですが、これからの治療もあってなかなか言い返せないこともありますよね。このような時にはあるおまじないを覚えていると、この状況を打破できます。

それは「厚生労働省の通達で健康保険は交通事故にも適用できるって聞いています。確認して下さい。」と言うおまじない。このおまじないを覚えているだけで、10万円の支払いが3万円になるくらいの破壊力が見込まれるのです。

実際に私の友人もこの方法で高額な医療費を支払わなくて済んだそうです。

病院の中には故意なのか、しらばっくれて自由診療で請求するところもありますので、十分に注意が必要かもしれません。

古い通知ですが現在でもこれが有効とされています。病院も知らないはずはないと思うのですが…

公的健康保険の第三者行為に対する規定がある

公的健康保険の第三者行為による流れ

交通事故においても健康保険が使用できることを説明しましたが、使用するにはある条件があります。それが「第三者行為による傷病届」の提出です。

第三者が原因による怪我を届ける

健康保険は被保険者の病気や怪我の治療にかかった医療費一部を負担しますが、第三者が原因の怪我については第三者が負担すべきとの取り決めがあります。

つまり、その怪我の責任が第三者にあった場合、加害者が医療費を負担するべきとの考え方です。

交通事故でも同様で、上記したAさんであれば、車を運転していたドライバーが加害者であり第三者に該当します。BさんのケースではBさんが加害者ですが、事故の過失割合がありますので100%Bさんが加害者ではありません。

Cさんのケースでも若干ながら過失割合があるかもしれません。

第三者が原因になる事故では健康保険はあくまで医療費を立て替える形であって、場合によっては後から加害者に立て替え金を請求することがあります。

そのために交通事故で健康保険を使用するには「第三者行為による傷病届」の提出が必要になるのです。届出には「どのような経緯で事故が起こったのか?」などの詳細を平行して提出することになります。

喧嘩でも届出が必要?加害者への請求は健康保険から

第三者行為による怪我は交通事故だけではありません。例えば「喧嘩」による怪我も同様で、第三者に殴られた怪我を治療する場合には「第三者行為による傷病届」の提出が必要です。

喧嘩や暴力が原因の怪我の場合においても、交通事故と同様に加害者が医療費を負担する原則は変わりません。

健康保険は届出を受けることで医療費の立替を行いますが、同時に立て替えた医療費の請求権も得ることになります。従って後日、加害者に医療費を請求することが可能になるのです。

第三者行為が原因の怪我をしたのですが、症状の都合ですぐに届出ができない場合は、取り急ぎ健康保険組合(団体)に電話で連絡するようにしましょう。

届出を忘れると面倒なことになるかも!交通事故で健康保険を使用したら最低でも電話連絡して下さい。

民間の自動車保険との兼ね合いが難しい

基本的に交通事故は健康保険を使用することが可能です。しかし、民間の自動車保険が絡んでくるとちょっと難しくなってきます。

交通事故は自動車保険の適用が基本

日本では全ての自動車で「自賠責保険」に加入する義務があります。自賠責保険は「強制保険」とも呼ばれており、交通事故における被害者救済を目的とした自動車保険です。

自賠責保険の保険金は以下の通りです。

死亡 最高3000万円
怪我 最高120万円
後遺症 最高4000万円

自賠責保険の適用は被害者救済なので、対人事故の損害賠償にのみ適用されます。また、請求は加害者からでも行うことが可能で、医療費の仮払いを請求することも可能です。

交通事故で加害者側保険会社の対応が早い場合、被害者が病院で治療を受けている間に保険会社で自賠責の手続きを進めることがあります。

この場合は病院で医療費を支払う必要がなく、健康保険を使用する必要もありません。しかし、通常では病院での支払いは一旦被害者が行って、後から精算することが多いようです。

健康保険を使用してもしなくても、医療費の明細や領収書は必ず保管するようにしましょう。

任意保険は加害者も救済してくれる

自賠責保険は被害者の救済が目的であって、加害者の怪我の治療にかかる保険は含まれていません。例えばBさんの事故では相手が怪我をした場合、自賠責保険で医療費が払われるのですが、加害者であるBさんは微妙な立場です。

もちろん相手の車にも自賠責保険がかかっていますが、事故の過失割合が100:0になった場合ではBさんには相手の自賠責保険からは医療費は出ないことになります。

さらに90:10となっても僅かな金額にしかならずに、大部分を自分で負担することになります。そこで民間の自動車保険(任意保険)の登場です。

任意保険では被保険者(加入者)の過失割合に関わらずに医療費を負担してくれる「人身障害保険」があります。この保険では加害者、被害者に関わらず損害を補償してくれるので、医療費や休業補償なども該当されます。

「じゃー別に病院で健康保険を使用しなくてもいいじゃないか!」と思われるかもしれませんが、多くの保険会社では人身障害保険の適用には「健康保険を先に使用すること」との規定があります。

つまり、健康保険を使用した残りの金額の損害に対して保障を行うのです。自分の加入している任意保険を一度確認してみましょう。

自賠責保険だけの交通事故には注意せよ

多くの人が加入している任意保険ですが、その加入率は約74%です。つまり道路を走っている車の26%程度が任意保険に加入しておらず、恐ろしいことに10台に3台弱がそれに該当しています。

このような車は車検で決められている自賠責保険にはかろうじて加入していますが、交通事故に対する保障は厚いとは到底言えませんよね。

自賠責保険は被害者に対して医療費を保証しますが、過失割合によって減額されることを忘れてはいけません。例えば20:80で被害者にも20%の過失が認められたケースでは、100万円かかった医療費でも80万円しか支払われません。

残りの20万円は自分で負担することになります。これは辛い金額です。しかし、健康保険を使用すると100万円の医療費が30万円になり、更に24万円が自賠責から支払われるので自己負担額は6万円で済みます。

同じ事故でも健康保険を使用「する」「しない」で自己負担額に大きな差が出るのです。自賠責しか加入していない交通事故では健康保険を使用することを忘れないようにしましょう。

任意保険では人身障害保険に加入した方が安心です。

人身傷害保険は複数入る必要はないので、2台以上車を持っている人は注意して下さい。

交通事故ではとりあえず健康保険を使おう

交通事故で健康保険が使えないとの噂によって、交通事故で怪我をしても病院に行かない人がいるそうです。また嘘をついて保険を使用しているケースも珍しくはないようです。

しかし、これは間違いであり、一定のルールを守ることで交通事故における健康保険の利用は全く問題ありません。利用可能なのです。

任意保険に加入していても事故の検証が終わるのには時間がかかり、それが終了しないと過失割合など詳細は決まりません。

せっかく決まっても自分が思っているよりも過失割合が高かったり、入っているはずの相手の任意保険が期限切れになっていたりする例も珍しくはありません。

健康保険を使用することで、イザと言う時に金額を抑えることが可能なのです。

交通事故で病院に行ったら、「厚生労働省の通達で健康保険は交通事故にも適用できるって聞いています。確認して下さい。」このおまじないを忘れないようにしましょう。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る