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喫煙が椎間板ヘルニアの原因になる!ヘルニア予防の為のポイント

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腰椎椎間板ヘルニアは、20~40歳代の働き盛りの男性に多い病気です。症状は腰痛だけにとどまらず、足のしびれや痛みも伴います。

ひどくなると痛みやしびれのために思うように動けなくなってしまい、仕事や日常生活にも支障をきたしてしまいます。働きたくても歩くこともままららず、仕事どころでなくなってしまうこともあるのです。

どんなきっかけがあると椎間板ヘルニアを起こしてしまいやすいかについては、いくつかの要因が考えられています。

実はそのひとつに喫煙があるのです。意外に感じられるかもしれませんが、タバコは腰にも悪影響なのです。

腰椎椎間板ヘルニアは椎間板の中身が飛び出してしまう病気

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の異常によって起きてしまう病気です。椎間板の中にある、「髄核」というゼリー状の物質が外に飛び出してしまったために発症してしまう病気になります。

椎間板は椎骨と椎骨の間の衝撃吸収材

背骨は24個の「椎骨」と「仙骨」、「尾骨」からできています。椎骨のうちの下の5つが「腰椎」、つまり腰になります。

椎骨と椎骨の間には、椎骨同士が直接ぶつかるのを防ぐために「椎間板」という軟骨が存在しています。椎間板には背骨にかかる衝撃を吸収するクッションのような役割もあります。また腰を前後左右へスムーズに動かすためにも必要な存在です。

この椎間板の中心にあるのが「髄核」というゼリー状の物質です。髄核は水分を多く含んだ、弾力性に富んだ組織です。そしてこの髄核の周りを丈夫な「線維輪」が取り囲んでいます。

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しかし歳をとるにつれて、髄核の水分は失われていってしまいます。水分を失うと、その弾力性も低下していきます。そして髄核を取り囲んでいる線維輪も弱くなっていき、亀裂がはいってしまったりします。

このようにして、椎間板は少しずつ変化していってしまいます。こうした変性は気付かぬうちに既に20歳代で始まっていて、30歳代にもなるとどんどん進んでいってしまっています。

そしてここに強い圧力が加わってしまうと、椎間板の真ん中にあった髄核が、周りを取り囲んでいた線維輪を突き破って外に飛び出してしまうのです。

このようにして腰椎椎間板ヘルニアは発症します。そして様々な症状が出るようになります。

この飛び出してしまった髄核を「ヘルニア」と言います。ちなみにヘルニアとは、「臓器などが本来あるべき部位から飛び出してしまった状態」のことで、例えば臍ヘルニアとはへそ(臍)が本来あるべき部位より飛び出してしまった「でべそ」のことです。

飛び出したヘルニアが神経を刺激して、痛み発生!

背骨の中にはとても大切な神経が通っていて、腰の辺りは下半身へ伸びていく神経がある部分になります。腰椎椎間板ヘルニアになって椎間板の中身の髄核が飛び出すと、飛び出した髄核(ヘルニア)はそこを通っている神経を刺激してしまいます。

この神経への刺激は、片足だけで起きることがほとんどです。椎間板を飛び出したヘルニアの先には頑丈な靭帯があり、これに阻まれてヘルニアは左右どちらかに飛び出していくのです。

そしてその先にあるのは、左右どちらかの足につながる神経の根元部分です。左足につながる神経の根元を刺激してしまうと、左足にだけ痛みやしびれといった症状が出ます。右足につながる神経の根元を刺激すると、右足にだけ症状が出ることになります。

ただまれに、両足にしびれや麻痺が出てしまうこともあります。そして尿が出にくいといった症状まで出てしまうことがあります。

これは椎間板を飛び出たヘルニアが左右の足へつながる神経の根元でなく、真ん中にある神経の束の部分を刺激してしまったために起きます。ここは「馬尾」と呼ばれる部分で、ここが刺激を受けると下半身の広い部分に影響が出てしまうのです。

ヘルニアの影響が馬尾にまで及んでしまった場合は重症です。左右両方の足にしびれや麻痺が起きてしまいます。そして膀胱の働きにも影響して、尿が出にくくなるといった症状も出てしまいます。この場合、緊急手術が必要になります。

腰椎椎間板ヘルニアになった場合に現れる症状

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  • 腰の痛み(特に前かがみになったり物を持ったときに強まる)
  • 足に響くような痛みやしびれ
  • お辞儀ができない
  • イスに座っているのが辛い
  • 咳やくしゃみをすると腰痛や足のしびれが出る
  • 痛みを避けようと、体が左右どちらかに傾く(疼痛性側弯)
  • 足の脱力感
  • 足の感覚障害(触っても感じが鈍い、感じない)
  • 足の運動障害(足首や足先をひねる動作がしにくい、つまずきやすい)
  • 排尿障害(尿が出にくい、残っている感じがする)

ヘルニアの症状は自然と治まることも多い

椎間板ヘルニアになって腰痛や足の痛み、しびれなどが出ても、実は特に手術することなく自然に治っていくことがほとんでです。

以前は椎間板ヘルニアになると、飛び出したヘルニアを手術して取り除かなくては治らないと思われていました。しかし最近になって、手術をしなくてもヘルニアは自然に小さくなって吸収されていくことがわかってきたのです。

発症してしまった場合、すぐには手術をしないでしばらくは保存療法で様子をみていきます。痛みがひどいときには消炎鎮痛薬を使ったり、それでも痛くて生活に支障が出るようなときには神経ブロック注射を行うこともあります。

こうして3ヶ月ほど経つうちに、次第に症状は和らいできます。痛みが和らいだら腰や足の筋力をつける運動をし、再発を防ぐことも大事です。このようにして、ヘルニアの50~60%は3~6ヶ月で自然に小さくなり吸収されていくとされています。

ただし両足に麻痺がある、排尿がうまくできないといったような症状があれば、すぐに手術を検討することになります。

大きなヘルニアのほうが治りやすい

腰椎椎間板ヘルニアには髄核が靭帯を突き破ってしまう大きなヘルニアと、靭帯を突き破らない小さなヘルニアがあります。大きなヘルニアの方が飛び出している部分が大きいために、不安になると思います。

しかし実は、靭帯を突き破ってしまった大きなヘルニアのほうが治りやすいのです。

ヘルニアが靭帯を突き破ると出血が起きてしまいます。すると血液中にある白血球が飛んできて、ヘルニアを異物をみなして攻撃していくのです。これによってヘルニアは収縮・吸収されやすくなり、その結果、症状が改善しやすくなるのです。

靭帯を突き破らない小さなタイプのヘルニアでは、自然吸収がされにくくなります。

どんな人がヘルニアになりやすいのか?

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椎間板ヘルニアは人口の約1%、120万人ほどの患者がいるとされています。男女比では男性のほうがなりやすく、女性の2~3倍のとされます。

ヘルニアになりやすい体質は遺伝するとされています。父親や椎間板ヘルニアになったことがある場合、息子もなりやすいとされるのです。ただ必ずなるというわけでなく、そこにいくつかの要因が組み合わさるとなってしまうようです。

体質の遺伝以外で、椎間板ヘルニアになってしまうリスクの高い要因には、このようなものが考えられています。

  • 加齢
  • 腰に強い衝撃のかかる運動
  • 仕事などで頻繁に行う、腰に負担の大きい動作や姿勢
  • 喫煙

なぜ男性に多いのか

椎間板ヘルニアが男性に多い理由として、遺伝子の異常が影響していると考えられます。

ヘルニアになった人の椎間板の遺伝子を調べたところ、コラーゲンを作る遺伝子に異常が起きていることがわかったのです。このような遺伝子は、女性より男性のほうが多く持っているとされます。

そして男性の場合には、椎間板ヘルニアになりやすい他の要因も持っていることが多くなります。仕事で重い荷物を持つことも多いでしょうし、タバコを吸っている人も多いでしょう。

これらのことが重なって、女性よりも男性のほうが椎間板ヘルニアになりやすくなると考えられます。

ただし遺伝子による影響や仕事やタバコといった生活習慣による影響によって、どの程度椎間板ヘルニアになりやすくなってしまうのかなどについて、詳しい事はまだわかっていません。

歳をとるにつれ、椎間板は変化する

椎間板の変化も、椎間板ヘルニアにつながります。椎間板は体の中でも特に、加齢による変化を受けやすい部分なのです。

椎間板の真ん中にある髄核は、水分を多く含んで弾力性のある組織です。しかし歳を取るにつれてこの水分は減ってきてしまい、弾力性が失われていってしまうのです。

この変化は多くは20歳代、早い人では10歳代から始まっています。

髄核の周囲を取り囲んでいる線維輪も、歳をとるにつれて少しずつ弱くなり亀裂が入ってしまうこともあります。

このように歳をとるにつれて椎間板は変化していき、そこに強い圧力が加わることで椎間板ヘルニアになってしまうのです。

ヘルニアになりやすい職業とは?

デスクワークの人より重労働に携わっている人のほうが、椎間板ヘルニアになりやすくなります。

例えば金属・機械業などで働く人はなりやすいでしょう。重いものを持ち上げたりといった動作はリスクが高くなります。また車の運転をしているという人も、ヘルニアになりやすいことがわかっています。

他には子供を頻繁に抱き上げたりといった動作でも、ヘルニアになりやすいとされます。

タバコを吸うとヘルニアになりやすくなる!?禁煙して予防しよう

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タバコが体に悪いということは、もう常識でしょう。ガンや呼吸器の病気にかかりやすくなるとされます。その他にも、喫煙によってかかりやすい病気は山ほどあります。

ただ喫煙によって、椎間板ヘルニアにまでなりやすくなるということをご存知だったでしょうか。タバコと腰痛はあまり結びつく印象はないかもしれませんが、いろいろな調査の結果により、喫煙はヘルニアの危険因子の一つになることが証明されています。

たばこも、椎間板の変性を引き起こす原因の一つです。以前から喫煙が腰痛の危険因子であることは指摘されていました。当院の調査でも、過去10年間に椎間板ヘルニアで入院した520人の患者さんにおける平均喫煙率は72%で、調査開始当時の政府統計(52%)よりも明らかに高い値を示しています。

そこで私は、ニコチンが脊椎―とくに椎間板に対してどのような影響を与えるかを調べるため、ウサギの体内にニコチンを入れるという実験を行い、椎間板に大きな変性が起こることを確認しました。

しかし、この実験は常にタバコを吸い続けている状態に近いことから、次はラットを用い、タバコの煙を1日に約20本分吸い込んだ受動喫煙状態での実験を行いました。

(中略)

その結果、椎間板に酸素や栄養分が十分に送れない状態に陥り、椎間板の弾力が失われる(変性する)ことが証明されました。

  • 1日10本タバコを吸うと、椎間板ヘルニアになるリスクは20%上がる
  • 1日20本以上タバコを吸う人は、吸わない人より腰痛になる可能性が1.36倍高い

という調査結果もあります。

他にも遺伝的な要因が同じである双子についての研究もあります。ヘルニアになりやすい体質はほぼ同じであると考えられる双子の、片方だけが喫煙した場合にどのような影響が出るかを調べた研究があるのです。

その結果、喫煙をしたグループは喫煙しなかったグループよりも椎間板の変化が進んでしまっていました。そしてその影響は、腰椎全体にまで及んでいました。

つまり喫煙することで、椎間板ヘルニアになりやすい状態になってしまっていたのです。

タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる作用があります。血管が収縮してしまうと血行が悪くなってしまい、体の隅々にまできちんと酸素や栄養分を送ることができなくなってしまいます。

十分な酸素や栄養分がないと椎間板は徐々に弾力性が失われていってしまい、椎間板ヘルニアを発症しやすい状態になってしまうのです。椎間板だけでなく、筋肉や神経にとっても血行悪化は悪影響です。

ニコチン以外にも血行を悪くさせてしまう物質がタバコには含まれています。また細胞の老化を進めてしまったりもします。

健康へのいろいろな影響を考えると、やはりタバコは止めたほうがよいかもしれません。特に父親がヘルニアをやっている、自分もやってしまったことがあるという人は禁煙することを考えてみてください。

椎間板ヘルニアは一度治ってもまた再発してしまう可能性のある病気です。それは薬などだけで様子を見た場合でも、手術をした場合でも、同程度の可能性があるとされています。

タバコを止めることで少しでも予防することができるのならば、がんばって禁煙に踏み切ったほうがよいのではないでしょうか。

なお禁煙と同じく体に悪いとされるアルコールですが、今のところ椎間板ヘルニアとアルコールの関係を調べた研究はないようです。飲み過ぎはダメですが、適量なら問題ないかもしれません。

ヘルニア予防のために禁煙以外で普段気を付けるべきポイント

椎間板ヘルニアを発症させる鍵として、「腰椎に与える過度の負荷」と「筋肉量の減少による腰椎への負荷」があります。予防のポイントは背筋や腹筋をつけて、腰椎の負荷を減らすことなのです。

肥満気味の人は腰の負担を考えて減量しよう

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肥満の人はできるだけ減量しましょう。

肥満の状態は、腰への負担も大きくなってしまいます。腰への負担が大きいと、椎間板ヘルニアにもなりやすくなります。体全体の健康に対しても良くないですしね。

肥満があるようならばまず適正体重に戻して、それを維持していってください。そして筋肉を鍛えるとトレーニングを続けていくようにしましょう。腰痛を防ぐには筋力をアップさせることも大切です。

運動は急に無理にやり過ぎる必要はありません。いきなり激しい運動をしてしまっては、逆に腰への負担になってしまいます。無理なく気長に続けていけるようなものがよいでしょう。

普段エスカレーターを使うところを階段にしてみる、いつもより一つ手前の駅で降りて歩いてみるなどを心がけてみてはいかがでしょうか。また水泳は浮力があるため、腰に負担の少ないスポーツといえます。(やり過ぎは禁物です。)

どんな運動を、どの程度やっていくのがよいのかなど、医師などにも相談をしながら続けていくとよいでしょう。

また、過度のダイエットは筋力を弱くし骨密度を低くしてしまいます。無理な食事制限などは絶対にやめてください。

筋肉を増やすためにタンパク質を積極的に摂ろう

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炭水化物を控えてタンパク質を摂りましょう。

炭水化物主体の食事では筋肉がつかず、衰えてしまいます。良質のタンパク質を食べて筋肉量を増やすようにして下さい。

  • 牛・豚ヒレ肉
  • 豚・鶏もも肉
  • 鶏ささみ
  • サバ
  • サケ
  • マグロ(赤身)
  • 納豆
  • 豆腐

などにはとくにタンパク質を効率よく摂取できるので、意識して食事に取り入れてくださいね。

パソコンやスマホを触るときの姿勢に注意しよう

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パソコンを扱う姿勢に注意しましょう。パソコンの画面が正しい位置に無いと、背中が丸くなってしまい腰椎に負担がかかってしまいます。背中が丸くならない位置にディスプレイを配置しましょう。

同様に、姿勢で気を付けるべきはスマートフォンです。歩きながらスマホを操作している人には、腰を曲げている人が大勢います。腰に負担がかかりますので、スマホの操作は歩きながら行わないようにしましょう。

座りながらや寝ながら使用する場合にも、自分の腰に負担がかかってしまう姿勢でないか、自分で意識してください。

腰は健康に生活するために必須です。禁煙も適度な運動の継続も、自分には無理…なんて諦めないで!痛みを感じることなく済むなら、ちょっと健康のために努力するにこしたことはありませんよね。
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