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赤ちゃんがでべそ・臍ヘルニアになる原因と治療法!NG行為に要注意

ぽこんと膨らんだおへそにバッテンのマーク。絵本に出てくるタヌキさんのこんなでべそは、ユニークで可愛らしいものです。

しかし、我が子のへそが出っ張っていたり、ほかの赤ちゃんと比べて形が違っていたらどうでしょう。パパとママは「大人になってもこのままだったらどうしよう」とだんだん心配になってきますよね。

我が子のでべそに気付いた時、受診や治療はどのようにすれば良いのでしょうか。知っておきたい赤ちゃんのでべその原因、治療法、してはいけない対処法について説明したいと思います。

赤ちゃんのでべそは珍しくない!へその緒の切り方も関係ない

へその形は一人一人異なり、それぞれに個性があります。例えば、体型が違うだけでもへその形は変わります。

中には、脂肪の有無に関係なくへそのくぼみがない人、へそが突出している人もいます。これがいわゆるでべそです。

生まれてすぐの赤ちゃんがでべそになることはなく、でべそに気付くようになるのはだいたい生後1ヶ月以降になります。

赤ちゃんのでべそは「臍ヘルニア」と「臍突出症」の2種類があり、それぞれ特徴と対処法が異なります。

実は、1歳以下の赤ちゃんのでべそは、それほど珍しいものではありません。赤ちゃんの約25%にはでべそがみられるといいます。なぜ赤ちゃんはでべそになりやすいのでしょう。

でべそができる理由と関係するお話として、まずはへその構造について説明しておきたいと思います。

臍帯がなくなった跡にできるのがへそ

私達は小学生の時に理科で生き物について学びました。「鳥類は卵から生まれておへそがない。おへそがあるのは哺乳類だけで、おへそはお母さんのお腹から生まれたしるし。」といった内容だったかと思います。

私達のお腹にあるへそは、胎児の時にへその緒(臍帯)を通して母親から栄養をもらっていた時の名残になります。

赤ちゃんはへその緒がお母さんの胎盤とつながったまま誕生しますが、生後はへその緒が不要になるので、赤ちゃんが生まれたら臍帯は根元だけ残してクリップで止めてからはさみで切り取り、お母さんの胎盤も子宮からはがれて自然と排出されます。

へその緒の根元は赤ちゃんが生まれた後もしばらくお腹にくっついていますが、乾燥して硬くなっていき、だいたい2週間以内には自然にポロッと取れ、その後にへそのくぼみが形成されます。

へそがくぼんでいる理由

へその緒は赤ちゃんのお腹の中から外に貫通していたのですが、へその緒がお腹から取れてもそこに穴や傷口はできません。

これはへその緒を切った後、へその緒に通っていた血管が閉じて硬く瘢痕化し、その上から丈夫な繊維で構成される「臍輪」が穴をふさぐためです。

お腹は、皮膚の下に脂肪などの皮下組織、腹直筋があり、その内側に腹膜という薄い膜があります。そして腹膜の中に内臓が収納されています。

おへその真下は同じように皮膚の下に皮下組織、腹直筋があり、そのすぐ下にへその緒が瘢痕化した「瘢痕組織」が残っています。

お腹の表面から見るとおへそがくぼんでいるのは、硬く収縮した瘢痕組織が周辺の組織より陥没しているためです。

赤ちゃんのでべそは、臍輪や瘢痕組織の作られ方に原因があって起こりますが、へその緒の処置のしかたが悪いためにでべそになってしまうことはありません。

へそはただ存在しているだけ

お腹の真ん中に意味ありげについているへそですが、生きていく上で何かの役に立っていくことはありません。ただ存在するだけで、特に何の機能も持っていないのです。

へその緒にはお母さんから酸素と栄養をもらうという重要な役割がありました。生まれて不要となった後は、お母さんと赤ちゃんをつないでいた絆の証として残るのです。

切ったへその緒は桐の箱に入れて大切に保管する風習があります。これは日本だけの風習なのだそうです。

へその構造、通常のへそがくぼんでいる理由について理解していただけましたか?続いて、でべその原因と治療法について説明していきたいと思います。

腸がはみ出る「臍ヘルニア」の症状、原因、治療法

赤ちゃんのでべそで多いのは「臍ヘルニア」です。

この病気は、臍(へそ)のヘルニアと書いて臍(さい)ヘルニアと読みます。ヘルニアとは、内臓が外にはみ出る現象のこと。臍ヘルニアは、へその真下にある内臓がはみ出る病気なのです。

「内臓がはみ出る」と聞くと怖くなってしまいますが、臍ヘルニアは内臓が収納されている場所から一時的に移動して皮膚を押し上げている状態のことです。

内臓がお腹の穴から外に漏れるような現象ではないので安心してください。

臍ヘルニアが起こるメカニズム

臍ヘルニアは、へその真下に「ヘルニア門」という穴ができるために起こります。ヘルニア門は腹膜のすき間に生じる穴です。

胎児の時は、へその緒が筋膜のすき間にある臍輪を貫通してお腹の外へつながっていました。生後は筋膜が発達することで次第にすき間が小さくなり、完全に臍輪が閉じるのでヘルニア門は生じません。

しかし筋膜がなかなかつながらないとヘルニア門が生じ、何かの拍子にヘルニア門から腸が脱出してへそを押し出し、でべそになってしまうのです。

臍ヘルニアの特徴的な症状

臍ヘルニアの特徴は、腹圧がかかった時だけ腸が臍輪から脱出し、へそがぽこっと膨らむのが特徴です。痛みや不快感は特にありません。

赤ちゃんが激しく泣いた時、りきんだ時にはへそが膨らみますが、腹圧がかかっていない時には元に戻ります。

また、へそが膨らんでいる時に押すとぐちゅぐちゅとした腸の柔らかい感触があり、元通りに引っ込みます。内臓が破れる心配はありません。

安静時にへそを指で押してみると、臍輪が開いている感触に気付くこともあります。

でべその大きさは生後2ヶ月くらいに最大になり、臍ヘルニアが大きい場合はピンポン玉くらいの大きさまで膨らむこともあります。

その後は筋膜の発達と共に徐々にでべそが小さくなっていき、たいていは生後6ヶ月くらいまでにはおさまります。

こんなに大きい臍ヘルニアも、自然治癒の可能性があるのです。

大きな臍ヘルニアの症例写真
(出典…臍ヘルニア写真-一般財団法人日本形成外科学会)

臍ヘルニアの原因

有色人種や早産児は発症しやすいといわれています。

特に、出生時の体重が1,500g未満の極低出生体重児では、約 80%に臍ヘルニアがみられるといわれます。

遺伝やへその緒の切り方とは関係ありません。

臍ヘルニアの治療法

赤ちゃんの臍ヘルニアは、お腹の筋肉が発達して筋膜がつながることで自然に治っていきます。

生後4か月頃まではヘルニアが目立ちやすい時期ですが、赤ちゃんが活発に動き始めるにつれ筋膜が発達し、1歳までには90%の臍ヘルニアが自然に治ります。1歳以下の赤ちゃんにでべそがあってもあまり心配する必要はありません。

新生児の頃に赤ちゃんのでべそに気付いたら小児外科または形成外科に相談しましょう。でべそを押して引っ込むようなら容易に臍ヘルニアと確定診断することができます。

臍ヘルニアの治療法には「圧迫法」と外科的手術の2種類がありますが、1歳以下の赤ちゃんなら自然に治りやすいので、治療をせずに経過観察をすることもあります。

臍ヘルニアが大きい場合は自然に治ったとしても余った皮膚がたるんで目立つ可能性があるので、病院から早期に圧迫法を奨められる場合があります。

圧迫法は、へそを圧迫してヘルニアを治すというシンプルな療法で、昔から存在していたのですが一時期はすたれていました。

早くきれいに治す効果が見直され、実践する病院が再び増えてきているようです。「圧迫療法」「綿球圧迫法」とも呼ばれます。

臍ヘルニアの処置をしなかった場合の治癒率は約78%、治癒年齢は9.0ヶ月でした。

圧迫療法を行った場合の治癒率は約88%、治癒年齢は5.1ヶ月、治癒にかかったのは2ヶ月間です。

生後2ヶ月目に圧迫を開始することが最も多く、開始時期は生後2ヶ月前後に圧迫を開始するのが適当です。

圧迫法
左上)テープ圧迫固定前の臍ヘルニア
右上)臍輪内にスポンジ球を挿入し、綿棒で押さえて、布テープを貼ります。
左下)テープ固定後。この上に入浴できるように防水のためテガダームを貼ります。
右下)4週間のテープ圧迫固定を行い、テープ除去から2週間後

臍ヘルニアの治療例写真
(出典…臍ヘルニアテープ圧迫固定の方法-独立行政法人国立病院機構・九州医療センター より)

テープや綿球がずれると効果が薄れるので、腹圧がかかってもへそが飛び出ないよう粘着力の強いカバー剤でしっかり固定して1週間くらい貼ったままにしておくのが良いといわれます。ただし皮膚がかぶれやすいのが難点です。

もし皮膚がかぶれた場合は一度治療を中断し、数日間経って皮膚のかぶれが治ってから再開します。医療用のテープよりも、ホームセンターに売っている工業用のビニールテープのほうがかぶれにくい場合もあるのだそうです。

もし2歳を過ぎても臍ヘルニアが治らない場合、自然に臍ヘルニアが自然に治った後にへその皮膚のたるみが目立って美容的に気になる場合は、医師と相談して手術で治す方法を検討していきます。

どんな方法?費用や保険適応は?臍ヘルニアの手術について

手術の目的は、臍輪の穴をふさいで腸がはみ出るのを防ぎ、くぼみを作ってきれいな形のへそに整えることです。

手術ではへその皮膚を半周ほど切開して、ヘルニア門を閉じるために筋膜を引き合わせてすき間をふさぐように縫合します。

次に皮膚を引き寄せ、成長した時にへそが綺麗に見えるよう縫合してくぼみを作ります。

へそのデザインする手術はなかなか難しいらしく、ここは執刀する医師の腕にかかっているようです。

手術にかかる時間は1~2時間ほど。全身麻酔なので痛みや怖さはありません。手術後は3日間程度の入院が必要になります。

子どもでも受けられる手術ですが、手術を受けるタイミングは医師とよく相談して決めましょう。 臍ヘルニアの治療は健康保険や乳幼児医療費助成制度が適応されます。

乳幼児医療費助成制度の対象年齢はその自治体によって異なりますが、2歳未満の赤ちゃんであれば、ほぼ間違いなく助成の対象になります。

保険と乳幼児医療費助成制度の適用をダブルで受けることができると、手術をしても費用はほとんどかからない場合もあります。

赤ちゃん以外のお子さんの場合は、乳幼児医療費助成制度の対象となっているかなっていないかによって費用が異なってきます。

つまり、自治体によって費用が異なりますので、手術費用についての問い合わせは、病院か自治体宛でするとよいでしょう。

まれに重篤な症状を伴うことも!すぐに病院へかかるべき症状

赤ちゃんの臍ヘルニアは痛みや内臓の炎症を伴わず、特に治療を急ぐ必要がない病気です。

しかし腸がへそにはみ出たまま元に戻らなくなると、まれに「嵌頓(かんとん)ヘルニア」を起こして緊急治療が必要になる場合があります。臍ヘルニアのある赤ちゃんの様子はよく観察しておきましょう。

嵌頓ヘルニアは、はみ出た腸が狭いすき間にはさまって血行が阻害され、最悪の場合は腸の血液が循環しなくなった部分が壊死してしまう深刻な病気です。

次のような症状があれば嵌頓ヘルニアを起こしている可能性があり、すぐ病院へ連れていかなければなりません。

  • へそのふくらみが赤や紫に変色している
  • 赤ちゃんが痛がっている
  • 嘔吐をしている
臍ヘルニアが治った後の予後は良好です。デベソが大きいと、遊んだり運動したりする時に物理的に邪魔になってくるので、赤ちゃんの臍ヘルニアは悩まず早めに治してしまったほうがよいかもしれませんね。

治療でへその形を整えるのが好ましい「臍突出症」

「臍(さい)突出症」は、へその真下にある瘢痕組織が皮膚を押し出して、へそのくぼみがなくなってしまうでべそです。

臍ヘルニアと異なり臍輪は正常に閉じているので、内臓がはみ出る心配はありません。病気というわけではないのですが、子供が成長してからでべそが美容上のコンプレックスになってしまう可能性があります。

臍突出症の特徴的な症状

臍突出症は痛みや不快感がなく、安静時も腹圧がかかった時もでべその形状は変わらないのが特徴です。

指でへそを押すと硬さが感じられ、臍ヘルニアのような腸の柔らかい感触はありません。また、臍ヘルニアのようにピンポン玉のような丸い大きな出べそになることもありません。

臍突出症のへそは、真ん中が膨らんでいるものもあれば、へその一部の皮膚が盛り上がっているものがあるなど、人によって見た目も異なります。

臍突出症の原因

臍突出症は、瘢痕組織や皮膚が余ってしまうために起こります。遺伝やへその緒の切り方は関係ありません。

臍突出症の治療法

臍突出症は自然に治らないでべそなので、成長と共に引っ込むのを待ったり圧迫法を試みたりするのは残念ながら効果が期待できません。臍突出症の根本的な治療法は、きれいなくぼみを作る形成手術になります。

手術は、瘢痕組織を取り除いたり皮膚を縫合して見栄えを良くするなど、でべその状態によって切開や縫合の方法は少しずつ異なります。

赤ちゃんの臍突出症の治療が受けられるのは、臍ヘルニアと同じく形成外科、小児外科などです。なお、臍突出症の手術は病気の治療ではなく美容目的の手術に該当し、治療費は健康保険の適応外になります。

治療を急ぐ病気ではないので、2歳まではかかりつけの小児科などに相談しながら様子を見て、2歳を過ぎてから手術で治すかどうか検討すると良いでしょう。

ほかの病気を併発することもないので、手術は子供が大きくなって自分の意志で決断してからでも特に遅くはありません。ただしコンプレックスになっているようなら、早めに手術で治してあげましょう。

特に治療をしなければ大人になってもへその形はほとんど変わりませんが、軽いでべそで本人があまり気にしなければ、これも個性と考えて自分のへそを好きになることもひとつの手といえます。

自己判断はNG!赤ちゃんのでべそにしてはいけないこと

お父さんやお母さんは赤ちゃんのお腹を見る度に「早くでべそを治したいな」と焦ってしまうかもしれませんが、赤ちゃんの体はとてもデリケートなので、自己判断で治そうとすることは避けてくださいね。

赤ちゃんのでべそにNGな行為:へそに硬貨を貼る

昔ながらの民間療法として、赤ちゃんのでべその上に硬貨を貼ってへそを引っ込ませる方法が存在していました。「5円玉をデベソの上に貼って絆創膏で固定する」という治療法です。

基本的には病院で勧める綿球圧迫法と同じ療法になるので、昔は多くの家庭がこの方法で赤ちゃんのでべそを治すことに成功していたのかもしれません。しかし、硬貨を赤ちゃんのへそに貼るのは危険なので絶対してはいけません。

硬い金属をお腹に押し当てると、赤ちゃんのデリケートな皮膚や腸を傷つける可能性があります。硬貨は雑菌も多く、傷から雑菌が感染すると大変です。また、効果を貼った所が金属にかぶれやすくなります。

年配の方に勧められることがあるかもしれませんが、硬貨を使うのはくれぐれも避けてくださいね。

赤ちゃんのでべそにNGな行為:自己判断で圧迫法を実践する

綿球圧迫法は臍ヘルニアに有効で安全ですが、医師の指示なく家庭で圧迫法を試みるのはやめましょう。必ず医師の指導のもとで圧迫法を行うようにしてください。

自己判断で圧迫法を行うと、力の加減やテープの貼り方を間違えやすく、効果が見られない可能性があります。

また、次のようなでべその場合は自己判断で圧迫法を行ってはいけません。受診して適切な治療をうけるようにしてください。

  • 臍ヘルニア以外のでべそ
  • 生後6ヶ月を過ぎた赤ちゃんの臍ヘルニア
  • 炎症のあるでべそ

赤ちゃんのでべそにNGな行為:むやみにへそをいじらない

お父さんやお母さんは、赤ちゃんのでべそを見る度に「どうなったのかな、少しは小さくなったのかな。」と、へそをチェックがてら押したり触ったりしたくなるかもしれません。

しかし、むやみにへそをいじるのはNGです。大人のへそにも言えることですが、皮膚を傷つけるとへそが炎症を起こしたり、へその下にある腹膜を刺激して一時的に腹痛をもよおしてしまう可能性もあります。

へそをいじったせいででべそが大きくなったり、臍ヘルニアの腸が皮膚を破って出てくるといった大きなトラブルが起こる心配はないのですが、やはり衛生的に良くないので必要以上にへそに触れないようにしたいですね。

1歳を過ぎたら治療のタイミングについて相談を

可愛いけど心配な赤ちゃんのでべそのほとんどが1歳までには自然に治るので、基本的には神経質に悩まなくて良いことがお分かりいただけたかと思います。

ただし1歳を過ぎるとへそが完成するので、自然にへその形が良くなる確率は低くなります。小児外科または形成外科を受診して、手術を受けるかどうか、手術を受ける時期について医師とよく相談するのが良いでしょう。

でべその治療はそれほど難しいものではないので、活発に動き回るようになったり入園したりするまでにはスッキリしたおへそに治してあげるのがお子さんのために良いかもしれませんね。

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