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ビタミンEは心臓に負担をかけずにNASH肝臓を改善してくれる

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2015年4月下旬に、音楽の都として知られるオーストリアのウィーンで開かれた欧州肝臓学会で、興味深い研究発表が行われました。

それによると、非アルコール性肝炎の患者にビタミンEを投与すると医薬品と同等の改善が見られ、心臓への悪影響を及ぼさないと言うことが観察されたそうです。

非アルコール性肝炎・NASHとビタミンEの関係

これまで、ビタミンEとNASHの関係は、弱い効果があると言うものや効果がないと言う結果が、中国の山東大学による過去の論文の解析によって得られていました。

しかし、今回は全く新たな研究によるものである上、比較的はっきりした効果が観察されていることに注目したいですね。

効果が見られたのは治療としてのビタミンE投与

まずお断りしておかなければならないのは、この研究発表は欧州学会でのもので、電子版としてリリースされた論文は私たち一般人が読めるところにはまだないと言うことです。

ヨーロッパの医学関連サイトも回ってみましたが、2015年6月時点ではマスコミによる学会の現地報告的な報道ばかりです。ですので、今回の情報は日本でも報道された内容に基づくものです。

それによりますと、効果がある・副作用がないと言うことに関して3種類の報告がありました。

NASHには糖尿病治療薬が効く

NASHに対しては、まだ確立された治療法と言うものがありません。ですので、多くの生活習慣病と同じように食事療法・運動療法が第一選択になります。

従って適正体重への減量と維持が第一に挙げられるのですが、それでは効果がなかったり、きちんと減量できない人のために投薬治療もおこなわれます。

それでも追い付かない人のためには、定期的に血液を抜く瀉血療法や食事から鉄分を減らす治療、さらには肝臓移植と言う重大なリスクを伴う治療の道が待っているのです。

ですので、まずは適度な運動と正しい食習慣でBMI25未満、できれば22の標準体重に近いところまで減量しましょう。

そして、投薬治療には脂質異常症の治療薬や肝臓を保護する薬が使われるのはなんとなくわかりますよね。でも、さらには糖尿病の治療薬でインスリン抵抗性を改善する薬も使われています。

これはNASHの発病メカニズムの第一段階として、糖尿病の発症原因と同じインスリン抵抗性が挙げられているからなのです。

食事をすると、血糖値を下げる働きをするホルモンのインスリンが、血糖値の上昇に伴って膵島のβ細胞から分泌されます。

しかし、せっかく分泌されたインスリンの効きが悪くなっている状態を、「インスリン抵抗性が発現している」と呼んでいて、これが糖尿病だけでなくNASHの原因にもなっていると言われているのです。

そのため、糖尿病治療薬がNASHへの効果を期待されて使われていると言うことなんですね。

なお、ビタミンEやCも抗酸化作用の働きで肝臓の負担を減らすことを期待されて投与されることがあるようです。

研究で比較対象として使われたお薬

今回発表された研究は3パターンありました。

第一の研究では糖尿病ではない、大人のNASH患者さんを3つに分け厳密な観察で行われました。

  • プラセボ(偽薬)を投与した
  • ビタミンEを投与した
  • ピオグリタゾンを投与した

でデータを集めました。

第二の研究では糖尿病ではない、子供のNASH患者さんが対象になりました。欧米では子供のNASH患者さんも増えているようですね。

  • プラセボ(偽薬)を投与した
  • ビタミンEを投与した
  • メトホルミンを投与した

でデータを集めました。

第三の研究では投与対象のNASH患者さんを、糖尿病のある人とない人に分けて、ビタミンEとは関係のない治療薬を投与した場合としない場合で比較しています。

  • プラセボ(偽薬)を投与した
  • オベチコール酸を投与した

でデータを集めました。

その結果、意外にビタミンEの治療薬としての効果が高い事が判ったのです。

副作用が少なく効果が高かったビタミンE

まず、比較対象に使われたお薬を紹介しておきましょう。プラセボはご存知の通り偽のお薬です。見た目を対照試験で用いるお薬とそっくりに作った、何の効き目もないものです。

ピオグリタゾンは糖尿病治療薬です。インスリン抵抗性を改善することを主目的に投与されるお薬ですね。商品名としてアクトスと言うものをお使いになっている糖尿病患者さんも多いでしょう。

メトホルミンも糖尿病治療薬です。エネルギーとして消費される血糖の量を増やし、腸から吸収される糖質の量を減らすほか、肝臓による糖新生を抑える働きもあります。同時にインスリン抵抗性の改善効果もあります。

メトホルミンについてはメトグルコと言う先発医薬品が有名ですが、メデットなどのジェネリックも良く用いられるようです。

オベチコール酸は、もともと肝臓の難病である原発性胆汁性肝硬変の治療薬として開発が進められているものです。まだ日本国内での承認はおりていません。

臨床試験を行ってゆく中で、これまでにもNASHに効果があるのではないかと言う実験成果も存在していました。そして、先にお話しした3つの研究で、この3つのお薬とプラセボをビタミンEと比較したと言うことです。

そして、得られたのが次の3つの結果です。

  • 顕微鏡で見る肝臓の組織の検査では、ビタミンEを含めて、どのお薬もプラセボに比べてはっきりと改善効果が表れていた
  • 目に見える炎症はビタミンEとピオグリタゾンでのみプラセボに比べてはっきりと改善されていたが、他の2つではプラセボと差がなかった
  • 三つの研究を合わせて見た場合、ビタミンEを投与した場合としなかった場合で、心臓のトラブルの発生件数に差はなかった

治療薬としてはこれから

このように、ビタミンEはNASHの治療薬としての可能性を見いだされています。一方で研究に当たった先生は「より長期の投与、検討などによって証拠の積み上げと効果の証明を行わなくてはいけない。」と仰っています。

もちろん治療薬としての位置付けからはその通りですが、私たちが普段の食生活を考える上では、そのような証明を待つまでもなく、ビタミンEが豊富な食事を心がけるべきでしょう。

ビタミンEを積極的に摂る食習慣のススメとその注意点

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ビタミンEは強力な抗酸化物質です。ですから、治療効果と言うより抗酸化作用を期待して、現段階でもNASHに対して投与されることがあるようです。

また、それ以前の食事療法の段階でもビタミンEやCを積極的に摂りましょうと言う指導も行われています。

ビタミンEとCは抗酸化物質のチャンピオンタッグ

ビタミンCは、スーパーオキシドアニオン(超酸化物)・ハイドロゲンペルオキシド(過酸化水素)・シングレットオキシゲン(一重項酸素)と言う、3つの活性酸素を除去するだけでなく、ラジカル化したビタミンEを元に戻す働きも持っています。

さまざまな抗酸化物質がありますが、3種類の活性酸素を取り除けるのはビタミンCだけなんですよ。でも残念なことに、もっとも反応性が高い(=毒性が強い)活性酸素であるヒドロキシラジカルを取り除く能力はありません。

一方、ビタミンEはこのヒドロキシラジカルと一重項酸素を取り除く能力があります。ですので、この2つが最高の組み合わせと言えるんです。ビタミンEと同じ抗酸化作用を持っているのはβカロテンと尿酸だけなんですよ。

尿酸は体内でも作られて、どちらかと言うと痛風の原因になると言うので悪者扱いですが、こうした働きもあるのです。

また、体内で作られる抗酸化物質に超酸化物と過酸化水素を同時に処理できるものはありません。それぞれに専用の酵素や代謝物質が存在しているんです。

食物から摂れる抗酸化物質としてもてはやされるフラボノイドですが、実際に最も反応性の高いヒドロキシラジカルを取り除く能力を持っています。しかし、それ以外の活性酸素には無力なんですよ。

ですから、ビタミンCとフラボノイドの組み合わせと言うのも悪くないんですが、フラボノイドの種類によってもその能力にはばらつきがあるので、ビタミンEがお勧めなのです。

体重に注意してビタミンEを摂ろう

ビタミンEは脂溶性ビタミンなので、ビタミンEが多い食べ物は脂肪分が多いと言うこともできます。ですので必然的にカロリーが高くなります。

ならばサプリでと思いがちですが、脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすいので過剰障害に注意が必要になります。ですので、食物にせよサプリにせよ摂る量に注意が必要ですね。

肥満もNASHの大きな原因ですが、カロリーについては運動で消費できますから、食べ物から摂る方がリスクは少ないと言えるでしょう。

ビタミンEとトコフェロールの関係

ビタミンEに分類される物質はα(アルファ)からδ(デルタ)までの4種類のトコフェロールとトコトリエノールと言う8種類の物質です。

現在、厚生労働省はこの8種類のうちαトコフェロールだけを、必要な栄養素としてのビタミンEとして表示するようにしています。

これには理由があって、2005年までは4種類のトコフェロールにビタミンE活性の割合を掛けて、合算したものをビタミンEとしてきたのです。αは1、βは0.4、γは0.1、デルタは0.01を掛けた数値でした。

ところが、実際にはαトコフェロールだけが全身に運ばれるメカニズムがあり、後の7つは異物として肝臓で分解されすぐに排泄されてしまう事が判ったため、現在ではαトコフェロールだけを有効なビタミンEとしているのです。

食用油は慎重に選ぼう

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植物性油はビタミンEを豊富に含むものもありますし、ビタミンEが含まれていると言うことを前面に押し出した植物油も少なくありません。しかし、実際にビタミンEの効果を期待すると結構限られてくるんですよね。

ビタミンEの推奨摂取量は思春期以降の少年男女で一日当たり6.0~7.5mg、成人男女で6.0~6.5mgです。そこで成人女性の一日推奨量6.0mgの半分に当たる3.0mgを、大さじ1杯の油で摂れる物を調べて見ました。

  • ひまわり油
  • 綿実油
  • サフラワー(紅花)油
  • 米油

の4種類です。動物性油やココナッツ油、ごま油などは非常に少ない含有量です。私の好きなオリーブオイルも、残念ながら大さじ1杯では1mgほどのビタミンEしか含んでいませんでした。

さて、この4種類ですが綿実油はあまりお勧めできません。リノール酸の比率が高すぎるため、最近注意が喚起されているリノール酸の過剰摂取に繋がりかねないからです。

米油は、リノール酸とオレイン酸がほぼ同等、ややオレイン酸が多めのバランスです。他の食品のことを考えるとちょっとリノール酸が多めですが、γオリザノールなどの有効成分も期待できるので悪くはないでしょう。

ひまわり油とサフラワー油は注意が必要です。と言うのもこの2つには、昔ながらのリノール酸が多い型(ハイリノールタイプ)と、品種改良でオレイン酸が多くなっている型(ハイオレイニックタイプ)があるのです。

ですので、必ずオレイン酸が多いと表示されているハイオレイニックタイプの油を買って下さいね。お値段はハイオレイニックタイプの方が高めですが、オリーブオイルなどよりはお安いと思います。

なお、ひまわり油には中間型のミッドオレイニックと言うものもありますが、他のものがなければ、それでも仕方ないでしょうと言うぐらいのレベルですね。

毎日食べるにはアーモンドも便利

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ナッツ類にはビタミンEが含まれていますが、特に多いのはアーモンドです。調味したものでも、炒っただけのものでも、だいたい6~10粒で3mgくらいのミタミンEを摂ることができます。

と言うことで、毎日ひまわり油などを大さじ1杯分調理に使い、アーモンドを6~10粒食べるだけで1日分のビタミンEが摂れます。カロリーにすると180~190kcalくらいです。

これを土台に普通のお食事を組み立てて行けば、結構多めのビタミンEを摂ることができるでしょう。体重をコントロールする上でも、それほど邪魔になるカロリーでもないですしね。

このようにしてビタミンEを油の多いものからたっぷりとって、脂肪肝やNASHを予防するようにしてみましょう。

そして、油から摂ったカロリーを調節するために、糖質を減らし食物繊維を増やすよう工夫しましょうね。

糖質は効率の良い中性脂肪の原料ですから、それを減らすことでNASHの予防にもなります。また減らした糖質の分を食物繊維で置き換えると、そのカロリーは半分以下になります。

例えば、普通の精白米1合に含まれる糖質は約115gで食物繊維は0.8gです。同じ量の場合、玄米だと糖質は約106g、食物繊維は4.5gです。全粒穀物を利用すると糖質を抑えて食物繊維やビタミン・ミネラルを増やすことはできます。

しかし穀物の場合、どうしても糖質の量が支配的になりますので、穀物を食べる量そのものを減らして野菜や海藻と置き換えることを考えた方が効率的ですね。

こうした場合、くれぐれも炭水化物を減らすのではなく、糖質を減らすことに注意を払って下さい。「炭水化物の量=糖質の量+食物繊維の量」と覚えておきましょう。

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