健康生活TOP 心不全 慢性心不全は治療で劇的改善の可能性!しかし薬の中断は危険

慢性心不全は治療で劇的改善の可能性!しかし薬の中断は危険

heart failure

心不全と言う病態があります。有名人の訃報などで「死因は心不全」と言う言葉を聞くこともあるため心不全と言う病気があるように思われがちですが、これはあくまで表面に現れた症状の呼び名です。

ですので、何か原因になる病気があって心不全が起こるわけですが、症状が重くても軽くても、状態に変化があまり見られないものを慢性心不全と言います。

今回はこの慢性心不全について、その危険性と注意点についてしっかりみていきましょう。

よくある誤解、心不全とは心臓が止まることではない

心臓が止まるのは心停止です。心不全と言うのは、あくまで心臓が完全な動きをしていないので心不全なのです。そして、なぜ心臓が完全な動きをしないのかについては様々な原因があります。

心不全を起こす直接の原因は心臓病ですが、その心臓病の原因は多岐にわたります。例えば動脈硬化によって引き起こされる、心臓そのものの病気である狭心症や心筋梗塞は最も大きな原因になるでしょう。

心筋梗塞などの場合は急性心不全から死に至ることも珍しくない

心筋梗塞は動脈硬化を原因として冠動脈の中に血栓が詰まり、心臓に酸素と栄養を与える血流が途絶えてしまうことで発生します。そうなると、心臓は酸素不足から筋肉が動かせなくなり止まります。

これが急性心不全と言うことになるわけです。もちろん、救急的な対応で血流を回復させて命を取り留めることもあるわけですが、いずれにせよ心不全と言う状態は発生しています。

また、このようによくわかるものだけでなく、例えば風邪をひいたとかストレスや過労が引き金になったとかで急性心不全を起こし、それが突然死の原因になることもあるのです。

そして、慢性心不全が何らかの原因で突然悪化した場合にも急性心不全につながりますから、心臓に悪影響のある要素は普段から排除するよう心掛けておくのが良いですね。

慢性心不全を悪化させないよう普段から対応しておく

一方、こうした劇的な症状が現れずに、徐々に心臓が弱ってゆくこともあります。高血圧や動脈硬化は、急性心不全の原因になるだけではなく、心臓に負担をかけ続けた結果、慢性の心不全を引き起こすこともよくあります。

子供のころに感染した溶連菌が原因で、心臓の弁にトラブルが起こる心臓弁膜症も慢性心不全の原因として挙げられます。大人でも感染性の心内膜炎が引き金になることも知られていますね。

いずれにせよ、きちんと治療すれば、生活の質を可能な限り落とさずに維持できますから、お医者さんとよく話し合って治療方針を決め、それを守りましょう。

心不全は非常に症状の幅の広いものですから、診断を受けたら治療方針をよく理解して取り組むようにして下さい。

慢性心不全ではどのようなことが心臓に起こっているのか

慢性心不全になると、心臓の働きが弱くなるため、全身症状として疲れやすくなったり、動悸・息切れが起こったりします。さらに身体にむくみが出たり、息苦しさを覚えたりするのも慢性心不全の症状です。

そうした症状は、最初の受診のきっかけになるので、見落とさないようにしたいですね。また、心臓の機能のうち、どの部分にトラブルが生じているかによって変わりますので、判断の目安にもなるのです。

心臓は血液を送り出し受け取る器官

心臓は1分間に数十回の拍動を行っています。心臓には4つの部屋がありますが、心臓が収縮した時、下側の2つの「心室」から血液が送り出されます。

次に、心臓が拡張した時には、上側にある2つの「心房」が血液を受け取るようになっているのです。

flow of the heart blood

左心室から全身へ送り出された血液は、酸素を供給し、二酸化炭素を回収して右心房に戻ります。一方、右心室から肺へ送り出された血液は、二酸化炭素を排出し、酸素を吸収して左心房に戻るのです。

ちょうど、心臓を交点とした8の字を描くような循環ですね。

慢性心不全は左側から起こる

厳密な区分は難しいのですが、大雑把な分け方をすると、慢性心不全は心臓の左側の収縮機能が落ちることに始まります。

もちろん、心臓全体が収縮と拡張を繰り返すのですが、さまざまな要因で左側の血液送り出し機能の低下が始まりと考えて差し支えありません。

心臓が収縮した時、左の下に当たる左心室は、大動脈に向けて血液を送り出します。この機能が衰えると全身に酸素をたっぷり含んだ血液を送り出せなくなります。

その結果、息切れや倦怠感が現れてくるのです。そして、血液を充分送り出せないと、次に拡張した時に血液をしっかり回収できなくなりますね。左の上にある左心房は、肺で酸素を受け取った血液を回収するはたらきを持っています。

それが回収しきれないということになると、肺に血液が滞留してしまいます。すると、そこから水分が肺に滲み出してしまうため、息苦しいといった症状が現れるのです。

右側に及んだ慢性心不全は寿命を左右する

左心房への血液回収が悪くなって、肺の血流が悪くなってくると、心臓は高い圧力で肺に血液を送り出そうとします。その結果、肺高血圧と呼ばれる状態が発生するのです。

この状態にまでなると、今度は右側の機能が低下して、全身からの血液回収も滞ってきます。その結果、全身、特に下半身に強いむくみが発生することになるのです。

下半身のむくみは心臓病のサインなどとテレビでもよくやっていますね。慢性心不全の最初の段階で、全身への血液の送り出し量が減ると、腎臓への血流も減るため水分が体に溜まりやすくなります。

この段階からむくみが始まり、最終的に右心房への血液回収が滞って強いむくみになるわけです。異常なむくみを感じたら、まずは心臓に異常がないか受診されることをお勧めします。

ちょっとした異常を見落とさないことが生命を守ることにつながることも多いのです。

気になったら受診するということを意識しておいて下さいね。

慢性心不全は原因疾患と同時に治療しなくてはいけない

慢性心不全そのものの治療は、投薬治療が基本になります。しかし、それ以前に慢性心不全を引き起こした原因疾患の治療がとても大切です。

高血圧は慢性心不全の大きな原因の一つです。ですので、慢性心不全の治療と同時に血圧の正常化を行わなければ、慢性心不全もよくなりません。

狭心症や心筋梗塞が原因の場合は、バルーン治療やステント留置術、冠動脈バイパス手術などの手術による治療が行われることもあります。

いずれにせよ、原因疾患を取り除くことがとても重要なのですが、心臓移植を必要とすることの多い拡張型心筋症と言う病気は、まだ原因が完全には判っていませんので根本的な治療法は現在のところ心臓移植以外にありません。

それでもいくつかの原因らしきものが見え始めているようですので、慢性心不全を悪化させないよう努めれば、もっと簡単な治療法が見つかるかも知れないですね。

慢性心不全の治療は投薬治療が中心になる

慢性心不全に対してはさまざまなお薬が使われます。従来からよく使われてきたのは、身体から余分な水分を取り除く利尿薬と、心臓の働きを助けるジキタリス製剤ですね。

また、心房細動が起こったり、心臓の働きの弱り方がひどくなると、心臓の中で小さな血液の塊ができやすくなります。これが血流にのって脳の血管で詰まると脳梗塞が発生します。

言うまでもなく脳梗塞も生命に関わる病気ですから、これを予防するために血液を固まりにくくするワルファリンカリウム(商品名:ワーファリンなど)が投与されることも多いです。

これらのお薬の他に、近年では長期的に突然死を防ぐようなお薬も使われます。

高血圧のお薬として有名なACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)は、アンジオテンシンIと言う生理活性物質が、血圧を上げる働きを持つアンジオテンシンIIに変換されることを防いで、血圧の上昇を避けるものです。

しかし、このお薬には慢性心不全患者の生命予後を良くする(長生きできるようにする)働きもあるため、治療に使われます。

またACE阻害薬が効きにくい人には、アンジオテンシンII受容体拮抗薬や、別の高血圧治療薬で利尿作用も持つアルドステロン拮抗薬が用いられることもあります。

これらは血管を広げることで心臓にかかる負担を減らすお薬です。

上手く使えば劇的に症状が改善する交感神経β受容体遮断薬

交感神経β受容体遮断薬は、通称β遮断薬とも呼ばれれる高血圧や狭心症のお薬です。少量から始めて徐々に慣らして行くと、心臓の状況が劇的に改善することもある良いお薬です。

しかし、注意しなければいけないこともあります。

慢性心不全は、β遮断薬により心臓の働きや症状が劇的によくなることはありますが、決して治る病気ではありません。心不全症状がよくなったからといって、このお薬を中止すると心不全が悪化することがあります。

このお薬は絶対に自己判断で中止してはいけません。もちろん、β遮断薬の開始や増量時に心不全症状が悪化し、β遮断薬の服用を続けられない患者さんもいらっしゃいます。

この心不全が悪化と言う表現の中には、急性心不全に移行して生命が危ぶまれるという状態を含んでいます。

自己判断でお薬をやめると生命にかかわるのが慢性心不全なのです。

慢性心不全になってしまった時は生活習慣病として生活を見直す

慢性心不全は症状さえ安定していて、服薬などの治療をきちんと受けていれば安定した生活を続けられます。それでもお薬だけに頼るのではなく、生活習慣を見直すことも重要ですね。

慢性心不全の原因になる病気には、感染症や自己免疫などの他、生活習慣病であることも含まれます。何が原因であるにせよ、良い生活習慣は長生きの秘訣になるでしょう。

お医者様と相談して許可が出たら運動もOK

心不全なのに運動と言うと少しためらわれるかもしれませんね。しかし運動制限が行き過ぎるのもかえって良くありません。

主治医の先生とよく相談して、身体の状況に見合った運動をした方が良い結果が得られます。

一方、このくらいと思っていても危険なこともあります。それはお風呂ですね。

長時間に入浴や熱いお風呂は心臓に思った以上に負担をかけますので、入浴についての注意もお医者様にアドバイスをもらいましょう。

そして風邪は万病のもとと言いますが、心臓にも負担がかかるので注意したいところです。咳が続くことをイメージしてもらえばわかりやすいでしょう。

禁酒・禁煙・塩分控えめにしよう

これはもう生活習慣病についての常識ですね。お酒についてはお医者様からお許しが出れば飲んでもいいでしょう。しかし「お酒は許可された量を忘れさせる」と言うことは肝に銘じて、最初の一口を飲んで下さい。

たばこは慢性心不全であろうがなかろうが捨て去ることが基本です。

塩分は高血圧を防ぐ必要から控えめにすることが必要です。1日6gと言う数値もありますが、具体的には症状に合わせて栄養士さんなどから指導を受けて下さい。

実際のところ慢性心不全は非常にたくさんの原因がありますし、原因不明のものも存在します。

しかし、改善に向けた取り組みはやはりまず自分の意識からなのです。

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