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水道水は安全か?飲むことで懸念される健康被害と水質基準の話

以前の日本では水道水を飲むことは普通のことでした。水を買うなんて信じられないという風潮だったように思います。

それが今ではミネラルウォーターや宅配水の普及が広まり水道水を飲まない、という人が増えています。

あなたは水道水を飲みますか?水道水は飲んでも平気なのでしょうか?それを検証してみたいと思います。

水道水を飲む人は何割?あなたは水道水を飲んでいますか

ある調査によると、「水道水をそのまま飲むことはない」と答えた人が3割弱もいたという報告があります。

水道水をそのまま飲む 52.0%
水道水を浄水器に通したものを飲む 33.2%
ミネラルウォーターをそのまま飲む 26.4%
水道水を煮沸したものを飲む 14.8%
この中で「水道水を100%そのままでしか飲まない」という人の割合は18.8%で、8割以上の人は浄水器やミネラルウオーターなどを利用したり併用していたりすることが分かったのです。

ミネラルウォーターや宅配水市場は拡大を続けています。

矢野経済研究所の2015年の調査によると、2014年度のミネラルウォーター市場は前年度比101.8%増、市場規模2,668億円であり、同年度の宅配水市場は前年度比105.3%増、市場規模1,086億円と報告されています。

同調査によるとこれらの市場が拡大したきっかけは2011年の東日本大震災であると言います。この震災は多くの人命を奪い、その後の福島第一原発の事故は多くの人々を不安にし、日本人の生活様式に大きな影響を与えました。

あなたは水道水以外のお水を買いますか。飲料水としてミネラルウォーターを買っているという人でもお料理に使うお水はどうしているでしょうか。お口に入る水をすべてミネラルウォーターでまかなうことは結構大変なのでしょうか。

口に入れる水、肌に触れる水のすべてから水道水を排除することは難しいのではないでしょうか。

そのような場合、水道水に対して不安を感じたことはありませんか。

ミネラルウォーターを買う買わないに関わらず、状況によっては水道水を飲む、という人もいると思います。健康に大きな影響はない、と思って水道水を飲んでいる人でも、心のどこかには心配を感じながら水道水を飲んでいるということはないでしょうか。

水道水ははたして安全なのか、危険なのか。次の項からそれを検証してみましょう。

水道水は安全か危険か?厚生労働省の考えと対策

水道水の安全性を検証する場合、ミネラルウォーターや宅配水業者の見解はここでは外させていただきたいと思います。彼らの主張の真偽はわかりませんが、利害関係者であるため、客観性に欠けると判断したためです。

そこでまず確認したいのが公的機関の見解です。公的機関の見解には客観性が期待されるからです。

古くは足尾銅山事件や原子力発電所の安全性問題、最近話題のところでは豊洲市場地下水に関する小池都知事誕生以前の都庁の公式発表など、公的機関が「安全」と言っているからと言って、そうではないことは歴史が証明しています。

それはそれで気になるところですが、まずは水道水について行政がどのような見解を示しているのか確認してみましょう。彼らは、水道水を供給する立場にあるので、危険性を認めたがらない可能性があることを感じつつ調べてみました。

厚生労働省が認める!?水道水のリスクとは

筆者は厚生労働省や水道局は水道水の安全性を訴えている、と想定していました。

ところが厚労省のホームページを読んで驚きました。厚生労働省は水道水の危険性を認めて、それに対する対策を講じていることを公表していたのです。

今なお、水道水へのさまざまなリスクが存在し、水質汚染事故や異臭味被害の発生も見られています。さらに、水道施設の老朽化や担当職員の減少・高齢化も進んできています。

(出典…水安全計画について – 厚生労働省 より)

「水道水へのさまざまなリスクが存在し、水質汚染事故や異臭味被害の発生」があるとを厚労省は言います。そして、以下の対策を講じていることも公表しています。

厚生労働省では、安全で良質な水道水の確保を図るため、最新の科学的知見を踏まえて逐次水質基準の見直しを行っており、2015(平成27)年4月にジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の基準値を強化した。

また、新たに浄水処理対応困難物質を設定し、当該物質の取扱事業者等に注意を促す等、良質な水道原水を確保するための取組みについて推進している。

(出典…平成28年版 厚生労働白書 より)

厚生労働省さすが!国民の健康と安全のためこれからもどうぞ頑張ってください。

ところで、水道水に危険が「有る」のか「無い」のか、と問えば、「有る」ということは十分考えられます。問題は、どの程度の危険があるか、であり、それが気になるところです。

厚生労働省も認める水道水の危険性とはどの程度のものなのか

厚生労働省は「水道水に様々なリスクがある」という見解と「水質汚染事故や異臭味被害」が発生しているという事実があることを公表しています。

水質汚染事故や異臭味被害について、実際の事故や被害数も厚労省のホームページに公表されていて、「平成26年度の異臭味被害人口は約284万」とされています。

(参考…水質汚染事故による水道の被害及び水道の異臭味被害状況について(平成26年度調査) より)

ただ、個人のレベルで考えた場合、284万人というのは日本人の人口の何割に当たるのか、というところが気になります。

総務省統計局の発表によると平成29年1月1日現在の概算値で日本の総人口は約1億2686万人。つまり実際に水道水について事故や被害にあっているのは

2,840,000人 ÷ 126,860,000人 =2.24%

の人だと(簡単にですが)計算できます。

この数字を多いと思うか少ないと思うかは個人の価値観の問題かとは思いますが、著者はこの数字を見て「日本の水ってやっぱり綺麗なんだなあ」と思いました。

もし、日本人が海外に行って水道水を飲んだとしたら、もっと多くの割合の人が「異臭味」を感じるのではないでしょうか。

水道水に関して厚労省は「謙虚」な姿勢であり、日本の水道水は綺麗で安全、と言う印象を私は感じました。

次は、専門家はこの点をどのように考えているのかを次で検証してみたいと思います。

日本の水道水に対する専門家の見解

市民のための環境学ガイドというホームページを作成し情報発信を続けている、環境学の権威で東京大学名誉教授の安井至氏は、日本の水道水は飲んでも安全との見解を述べています。

その理由の1つとして、水道水の安全基準のほうがミネラルウォーターのそれよりも厳しいことを上げています。

また「水道水に含まれる塩素は、人体に害のあるものではない」と言います。塩素に含まれるトリハロメタンなど人体に有害な物質は現在、高度浄水設備により体に害がない程度まで除去されていると言います。

塩素が含まれることで味が落ちるという問題がありますが、塩素は揮発性が高いため、汲んだ水を少し置いておけば抜けてしまい問題はありません。

水道管の問題がありますが、水道管にも厳しい安全基準が設けられています。戸建住宅は、水道管から直接水を引いおり問題はありません。

しかしマンションなど貯水タンクに水を一度ためている場合は貯水タンクの衛生状態に影響を受ける可能性があります。

日本の水道水、専門家は大丈夫とは言うがやっぱり心配という方へ

日本の水道水は水道法によって塩素で消毒することになっています。塩素消毒剤として現在は次亜塩素酸ナトリウムが主に使用されています。

次亜塩素酸ナトリウムと言えばハイターやカビキラーの主成分で、ノロウイルス対策などにも大活躍する消毒薬です。

「確かにあれをそのまま飲んだら良くないような気がしますが、きっと水道水に含まれている量はかなり薄められているはずなので、大丈夫なのでしょう」と、思いながら日常的に水道水を使っていますが、本当に大丈夫なのでしょうか。

検証してみましょう。

平成20年3月に社団法人、日本水道協会が作成した”平成19年度厚生労働省受託「水道用薬品等基準に関する調査」 水道用次亜塩素酸ナトリウムの取扱い等の手引き(Q&A)”という資料があります。

その資料の中に「次亜塩素酸ナトリウムの人体に対する影響は何か」という項目がありますので紹介します。

①腐食度は水酸化ナトリウム(かせいソーダ)に匹敵します。

酸性溶液と混合してpHが中性領域になると、次亜塩素酸を遊離し、皮膚、粘膜を刺激しますが、吸収による全身中毒はほとんど起りません。酸性度がさらに増すと、塩素ガスを発生する危険性があります。

②目に入った場合は激しい痛みを感じ、すぐ洗い流さないと角膜がおかされます。

(出典…水道用次亜塩素酸ナトリウムの取扱い等の手引き(Q&A)より)

カビキラーやハイターを使うと鼻がツンとしますし、目に入れたらいけない、と感覚的に理解しているので上記の内容はとても理解できます。

ただ、「吸収による全身中毒はほとんど起りません」というのが気になりますね。ほとんど起こらないということは、少しは起こる、ということでしょうか。

水道水に含まれているトリハロメタンの害と現状

オランダは水道水の塩素消毒を抒情に廃止ししていき、現在は全く塩素消毒を行っていない国です。

オランダはなぜ水道水の塩素消毒を廃止したのか京都大学大学院伊藤禎彦氏の「オランダの水道事情」(空気調査・衛生工学 第85巻第9号)にその経緯が詳しく紹介されています。ここではその要約をご紹介いたします。

1972年に、水道水の中にクロロホルムという物資が含まれていることがオランダから報告されました。このクロロホルムは塩素消毒の結果生じるものであることも示されました。

その後、アメリカ国立がん研究所が動物実験を行い、クロロホルムの発がん性を確認しました。

この結果などを受けて各国で水道水に含まれるトリハロメタンの濃度を規制する動きが起きました。トリハロメタンとは、ある特徴を持つ化合物の総称であり、その代表物がクロロホルムなのです。

各国では塩素消毒の注入量の減少や代替消毒剤の研究などが行われてきましたが、オランダは塩素消毒そのものを中止するという選択をしました。なぜなのでしょうか。

伊藤禎彦氏の文献によると、オランダが塩素消毒を停止したのは、水道水の味とにおいに対する苦情が大きな理由の一つであったと言います。

水道水中にトリハロメタンが含まれていたことを世界で初めて発見した、ということが塩素消毒を停止した決定的な理由ではなさそうだ、と同氏は言います。

日本における水道水のトリハロメタンの量

では、現在水道水に含まれているトリハロメタンの量は本当に健康に影響のない量なのでしょうか。

現在、日本では水道水1リットルあたりの総トリハロメタンの量は0.1mg以下であることが規定されています。

(参考…水質基準項目と基準値(51項目) 厚生労働省 より)

健康局水道課水道水質管理室によると、水道法に基づく水質基準を制定・改廃する際には、食品安全基本法に基づき内閣府食品安全委員会の意見を聴くこととされています。

この総トリハロメタン0.1mg/L以下という量はそういった流れから決定されているのです。

(参考…水道法水質基準等の設定の考え方について 健康局水道課水道水質管理室 より)

ここまでで、

  1. 水道水に発がん性のある物質が含まれていることを国は認識している
  2. その含有量を規制している
  3. 規制にあたっては専門家の意見を聴くというプロセスを踏んでいる

ということが確認できましたね。

それを信じるか、信じないかは個人の考え次第ということになるのでしょうか。

信じられない、という方がいたとしても幸いミネラルウォーターには塩素は含まれておりませんので、この問題は回避することが可能です。

しかし、発がん性物質はクロロホルムだけではありません。紫外線、つまり日光ですらがんの原因となり得ます。

日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなる時代です。

がんに関してはとても難しい問題でありここで結論を述べること出来ませんが、考えれば考えるほど暗い気分になります。

そこで次では日本の水道水の品質が海外でもとても評価されているということをご紹介いたしましょう。

モンドセレクションで金賞を受賞する日本の水道水

2016年5月、習志野市の水道水がモンドセレクション金賞を受賞したことが報道されました。国内の水道水でモンドセレクション金賞を受賞した自治体は、習志野市の他にも

  • 大阪市
  • 松江市
  • 富山市
  • 高岡市
  • 射水市
  • 福島市
  • 久留米市
  • 松本市

などがあります。そのうち富山市の水道水はモンドセレクション最高金賞も受賞しています。

水道水ではありませんが川崎市上下水道局が販売する「生田の天然水 恵水」もモンドセレクション金賞を受賞しているのです。その他、串本町役場水道課が災害備蓄水として製造している「なんたん水」がモンドセレクション金賞を受賞しています。

長野県の川中島の水は、なんとモンドセレクション最高金賞を受賞しています。ただし、川中島の水は井戸水を原水としています。

これだけあると、やはり日本は美味しい水に恵まれた国だという印象を受けます。高品質を証明する賞と言われているモンドセレクションで金賞を受賞した地区のお水を飲める人たちは水道水を飲んでも大丈夫かも知れません。

…でも、その他の地区の水道水はどうなのでしょうか。

モンドセレクションで賞を受賞していない地区の水道水はどうなのか?

世界的にも人気のある映画「男はつらいよ」の寅さんが江戸川の土手を歩いていくシーンは多くの人の印象に残っていると思います。

あのすぐ近くに東京都の金町浄水場があります。この浄水場は東京の下町地区に水道水を供給しています。筆者はその水を飲んで育ちました。

この金町浄水場は1984年に厚生省の下部組織から「日本一まずい水道水」と認定されるという不名誉な称号を受けた浄水場です。

金町浄水場のすぐ上流に千葉県松戸市があるのですが、松戸市の下水処理場が排水した水をくみ上げて水道水にしているのです。

知らなければ良かった、と思います。しかし、私は育ち盛りに金町浄水場の水を飲んで育ちましたが今のところ健康です。

この金町浄水場の水は今どのようになっているのでしょうか。現在、東京都関連の施設では「東京水」というペットボトルに入った水を買うことが出来ます。

この「東京水」は東京都水道局が約5万人を対象にミネラルウォーターと比較を行い、38.6%の人たちからミネラルウォーターよりも美味しいと評価された水なのです。

この「東京水」は都内11か所の浄水場から作られた水から出来ています。そして、2番目に「東京水」に水を供給しているのが金町浄水場なのです!

かつて「日本一まずい」と称された金町浄水場の水ですら売り物になる時代なのです。

そもそも水道水が「まずい」と感じられる理由とは?

上でも少しだけお話しましたが、これは主に、水道水に含まれる塩素が原因とされています。

塩素は大腸菌やバクテリアを殺菌する為に蛇口地点で0.1mg/リットル以上含まれていなければならないという基準があります。塩素自体は体に害がありませんが、においは「カルキ臭」と呼ばれて敬遠されてしまいます。

塩素は時期や原水の状態によって量も変動しますが、昔に比べると浄水技術が進歩しており、オゾン殺菌や活性炭ろ過なども行うことで塩素の量を最低限に減らす努力がされています。

家庭では水道水を煮沸させたり汲み置きして塩素を抜けばカルキ臭のない水道水を飲むことが可能です。

しかし、水道局がいくら品質の良い水道水を供給しても、建物の水道設備自体に問題があると蛇口から出てくる水道水にはにおいや変な味がつくことがあります。これは劣化した水道管や集合住宅の貯水槽内の汚れといった原因があげられます。

これは建物の水道設備自体の問題を改善しない限り、水質は良くなりません。中には改善が難しい場合もありますので、個人で蛇口に浄水器をつけるなどの対策を取るしかないようです。

「うちの水道の水はまずいから市販の水を買って飲んでいる」という家庭はひょっとすると、設備面での問題ということも多いのではないでしょうか。

水道水を飲むことにそこまで神経質にならなくてもいいかもしれない

「水道の水は価有る物であるが、乞食が公園の水道水を飲んでも誰にも咎められない。それは量が多く、価格が余りにも安いからである」

これは経営の神様と呼ばれていた故松下幸之助氏の有名な水道哲学の一部です。水道水のように大量に製品を供給することで価格を安くして消費者に行き渡らせようという考えです。

この哲学の主旨とは離れますが、「水道水を飲んでも」という部分に注目してみました。

昔は水道水を飲むなんて当たり前。そんな時代から今ではその行為が「大丈夫なの…?」と危険な行為ととられることが多い時代になりました。

水道水を飲むことで不安に思っていた方が、この記事を読んで少し心安らかになっていただけましたら幸いです。

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