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セロトニンはサプリや食品で摂れない?トリプトファンのサプリが確実

サプリメント

うつ病や不眠症に効果があるとされている、生理活性物質で神経伝達物質でもあるセロトニンと言う物があります。感情に関わる神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンをコントロールしている、心を安定させる物質でもあります。

このセロトニンは食べ物やサプリ、果ては静脈注射によって投与しても脳には届きません。そこで、セロトニンの原料であるトリプトファンを食べ物などから摂って効果を期待すると言う考え方があります。

しかし他の多くの栄養素とは異なり、セロトニンの原料として見た場合、トリプトファンはサプリから摂るのがお勧めと言う要素を持っている物なのです。

トリプトファンは必須アミノ酸の一つ!その作用と効果とは?

私たちの身体の中では充分な量が合成できないアミノ酸を必須アミノ酸と言います。そしてこのトリプトファンはその中の一つに数えられています。トリプトファン自体は身体の中に広く分布はしていますが、含有量は比較的少ないものです。

しかし、身体の中では様々な生理活性物質の原料として使われているため、たんぱく質の構成要素としてより、むしろそうした物質の原料として重要視されています。

必須アミノ酸は全部で9種類

必須アミノ酸は全部で9種類あります。推奨摂取量が多い順に並べてみましょう。

  • ロイシン
  • リジン
  • バリン
  • フェニルアラニン
  • イソロイシン
  • メチオニン
  • トレオニン
  • ヒスチジン
  • トリプトファン

このようにトリプトファンの推奨摂取量は最も少なくなっていて、最も多いロイシンの1/10くらいの数値になっています。体重60kgの人で、1日わずか0.24gと言う少量で足りてしまうのです。

トリプトファンは血液脳関門を通過でき、セロトニンに作り替えられる

身体の中に入ってきた様々な物質の多くは、血液脳関門と呼ばれる血管の特殊な構造のせいで、脳に到達できないことが多いのです。例えばセロトニン自体も血液脳関門を通過できません。

トリプトファンからセロトニンを合成できるのは脳のほか、小腸やマスト細胞にその能力があるのですが、そこで作られたセロトニンは脳に到達することはありません。ですから、食べ物やサプリからのものも脳には届かないのです。

一方、アミノ酸であるトリプトファンはアミノ酸トランスポーターと呼ばれる輸送体の力で血液脳関門を通過することができます。そして、そこを通過したトリプトファンは、脳の中でセロトニンに作り替えられます。

セロトニンは2段階の酵素反応によって合成される

トリプトファンは、最初トリプトファンヒドロキシラーゼ(トリプトファン水酸化酵素)と補因子テトラヒドロビオプテリン(略号:BH4)によって、5-ヒドロキシトリプトファンと言う中間体に作り替えられます。

この酵素は特に欠損症などは知られていないようですので、誰の体内にでも普通に存在します。しかし、補因子BH4には欠損症が存在することが知られています。

BH4は良く補酵素(コエンザイム)として紹介されていますが、テトラヒドロビオプテリンはたんぱく質ではないので補因子(コファクター)と呼ぶ方が正しい物質です。

テトラヒドロビオプテリンが酸化されたビオプテリンはたんぱく質で補酵素なので、テトラヒドロビオプテリンも補酵素と呼ばれることが多いようです。

このBH4の欠損症は先天的なものですが、日本全国でも170万人に1人程度しか見られない、非常にレアなものですので欠損症は特に心配しなくても良いでしょう。

この補因子を作り出すもとになるのは食べ物から入ってきた核酸のグアニンです。

この5-ヒドロキシトリプトファンは芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素と言う酵素によってセロトニンに作り替えられます。この酵素の欠損症も存在はしますが、もし運悪く欠損症であった場合、生まれてすぐに寝たきりで、言葉が出るところまで成長できません。

日本では3例だけが確認された極めて症例の少ない病気ですから、うつ病のお話をするときには脇へ置いておいても良いものです。

このように、普通にトリプトファンを摂っていれば大丈夫に見えるのですが、何らかの事情で脳内のセロトニンが不足した場合には、食べ物からだけでは間に合わなくなることもあるのです。

トリプトファンを脳に届けるのに邪魔になるものがある!サプリを飲むなら食間に

トリプトファンが血液脳関門を通って脳に入り込むには、血流に乗っているだけではだめなのです。トリプトファンはアミノ酸トランスポーターによって細胞に取り込まれることで血液脳関門を通過します。

ところが、トリプトファン専用の輸送体と言う物はなく、他のアミノ酸と共用で使っているアミノ酸トランスポーターがあるだけなのです。

トリプトファンは中性アミノ酸

ほとんどのたんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されています。そのうち、グルタミン酸とアスパラギン酸は酸性、リシン・アルギニン・ヒスチジンの3つは塩基性(アルカリ性に近い意味)です。

そして、残りの15種類は全部中性アミノ酸と呼ばれていて、トリプトファンもこれに含まれます。この中性アミノ酸を、細胞膜を通過させるのがLATと言う略号で呼ばれるアミノ酸トランスポーターです。

このうち、LAT2と言う物は15種類の中性アミノ酸の輸送に関わっています。15種類のアミノ酸全部の輸送に関わっていると言うことは、他のアミノ酸が多い時は相対的にトリプトファンが運ばれる量が減ると言うことになります。

また、LAT1と言う輸送体は、がん細胞と血液脳関門や胎盤関門に発現しています。これの場合、15種類全部ではなく半分程度の8種類くらいの輸送に関わっています。

それでもやはり、たんぱく質が多い食事を摂っていると他のアミノ酸と競合してしまって、相対的にトリプトファンの取り込みが少なくなります。

トリプトファンが脳でセロトニンに合成される仕組み

5-HTPについては、あとで解説します。

トリプトファンは食間に摂るのが効率的

他のアミノ酸と競合するなら、他のアミノ酸が吸収され終わった食間または食事の1~2時間前くらいに摂ると、他のアミノ酸と競合せずに脳に取り込まれやすい可能性がありますね。

ですから、トリプトファンのサプリは食直前や食後に摂らない方が良いです。せっかくのサプリが脳に行かず腸でばかり働いてしまうかもしれません。

小腸やマスト細胞でトリプトファンがセロトニンに作り替えられて、それが腸で過剰になると下痢を呼びます。

下痢や腹痛で不快な症状が続く過敏性腸症候群は、この腸のセロトニンが一役買っている可能性も指摘されています。治療薬の中にセロトニン受容体5-HT3拮抗薬と言う物があることを見ても、原因として一定の比重を持っていると思われます。

たんぱく質として食事から摂ると、全部のアミノ酸が揃ってしまうのでダメなんですね。それは普通なら良いことなのですが、そもそも脳のセロトニン不足自体が普通ではないので、対応を考えざるを得ないのです。

トリプトファンはサプリから摂る方が確実だが量に注意

トリプトファンについては1989年にアメリカで起こった、日本製トリプトファンサプリが原因とみられる、好酸球増多筋痛症候群と言う副作用が有名です。一般にトリプトファン事件と呼ばれるこの問題は、死亡者も38名出ている大きな事件でした。

これは結局何が原因であったのかは確定できないままになりましたが、おそらくトリプトファンを発酵法で作るのに使う菌を効率向上のため変更した際に、その菌が有害な不純物を作り出し、製品に混入してしまったことが原因ではないかと推定されています。

ですので、よほどのことがない限り、現在市場に出回っているトリプトファンサプリに危険性はないと思いますが、摂取量には充分な注意が必要です。

それでも、そうした様々な事情を踏まえて、国立健康栄養研究所では「通常の食べ物に含まれる量を超えて摂ることは危険かも知れない」としています。

食べ物に含まれている程度の量をサプリで摂るのを上限にする

そこで、食べ物に含まれているトリプトファンの量を見てみましょう。豚のヒレ肉を焼いたもので100gあたり500mgのトリプトファンが含まれています。これは焼いたときの重量ですから、生なら180gくらいになります。

女性にはちょっと多いかもしれませんが、男性なら180gの豚肉ぐらい食べられる人が多いでしょう。ましてや、これは脂身の少ない赤身肉のヒレですからなおさらです。

と言うことで、サプリから摂るとしても、だいたい1日量で500mg程度を上限にしておけば、まず問題は起こらないと思われます。豚肉をさらに倍量になる1日360g食べたからと言って神経伝達物質に異常が起こるとは考えられません。

トリプトファンの摂取耐用上限値は定められていない

インターネット上で調べていると、1日の上限量を6000mgとしているサイトが割合多く見受けられますが、その根拠になる、各国の政府機関や大学などの研究機関などによる公的なソースを見つけることができませんでした。

アメリカのサプリ販売サイトを調べても、「公的には一日量が規定されていないけれど、1000mgを1日の目安として飲んでください。」と書かれている物が多いです。

最初に書いたように、トリプトファンの1日推奨摂取量は体重60kgのひとでも0.24g、つまり240mgですので、500mg摂っておけば、体重120kgの人でも、サプリだけで間に合うことになります。

その他に、普通に食事もしますから、それほど大量に飲む必要はないでしょう。

トリプトファンの摂り過ぎはセロトニン過剰を招く

もともとうつ病などの改善のため、脳内のセロトニンを増やすのが目的でトリプトファンを摂っているわけですが、量を過ごすとセロトニンが過剰になり「セロトニン症候群」と呼ばれる過剰症が起こります。

多くの場合、この過剰症は抗うつ薬によってセロトニンの神経細胞への再取り込みを阻害することによって、脳の中に遊離しているセロトニンが増えすぎることで起こります。

ですから、トリプトファンのサプリはうつ病などで抗うつ薬を処方されている人は絶対に使ってはいけません。

その他、肝臓病のある人や妊娠・授乳中の人も飲んではいけません。処方されているお薬との相互作用で副作用が強く出たり、赤ちゃんに悪影響が出たりします。

トリプトファンのサプリを使っていて、ひどい筋肉痛や吐き気、頭痛、ふらつきの他、口が乾くとか目がかすむ、身体の動きが思うようにならない、変にうとうとすることが多いなどの症状が現れたらすぐにトリプトファンの服用を中止して下さい。

絶対にお医者さんから処方されているお薬を中止してはいけません。トリプトファンを中止しても良くならない場合は、その時に飲んでいるサプリ全部とお薬手帳を持ってすぐに受診して下さい。

アメリカでの事件は「サプリを摂る前から症状のあった人」や「似た症状だが異なる病気の人」が混じり込んでしまったため、正確な原因が判らなくなったと言う側面もあるようです。

トリプトファンを摂るなら血糖コントロールも大事

トリプトファンは芳香族アミノ酸に分類されるものです。芳香族とは化学構造の中に六角形や五角形の環状構造を持つ物質のことです。歴史的な経緯でこのような名前が付いていますが、別にすべての芳香族分子が良い香りがするわけではありません。

先に他の中性アミノ酸とトリプトファンが脳に取り込まれる時に競合すると言うお話をしましたが、この芳香族アミノ酸は、脳に取り込まれる際に特に分岐鎖アミノ酸と競合します。

ですので、分岐鎖アミノ酸が少ない時に芳香族アミノ酸は脳に取り込まれやすいと言い換えても良いでしょう。

分岐鎖アミノ酸はインスリンで筋肉に取り込まれる

分岐鎖アミノ酸は、糖尿病でインスリン抵抗性が高まっていると血液中の濃度が上がることが知られています。

これはインスリン抵抗性が現れる状態になってくると、分岐鎖アミノ酸を分解する代謝能力が落ちると同時に、体内のたんぱく質が分解されるからだと考えられています。

つまり、糖尿病の状態になると、分岐鎖アミノ酸が常に血中に高い濃度で存在することになり、トリプトファンなどの芳香族アミノ酸が脳に届きにくくなると言うことでもあります。

糖尿病の人はうつ病にかかりやすく、うつ病の人は糖尿病を発症しやすいと言うデータがありますが、こうしたこともその原因になっているのかもしれませんね。

インスリン抵抗性は主に肥満によって生まれることが知られていますので、まずは肥満の解消に取り組みましょう。とは言え、うつ病にかかっている人の場合は、肥満の解消のための食事療法や運動療法が難しい場合もあります。

そうした場合にはサプリに頼らず、受診して抗うつ薬の投与を受けましょう。もちろん薬を選べば糖尿病薬との併用も可能ですから、お医者さんとよく相談して下さいね。

運動できるのであれば運動はトリプトファンを活用してくれる

分岐鎖アミノ酸はBCAAと略されて、運動機能のパフォーマンスを上げるものとして有名になっています。つまり、骨格筋で消費されるアミノ酸なんですね。

ですから、一所懸命運動すればBCAAが消費され、その分トリプトファンなどの芳香族アミノ酸が血液脳関門を通りやすくなります。すると脳の中でセロトニンが増えて抑うつ状態を解消してくれるでしょう。

精神科の門を叩いて抗うつ薬を処方してもらうほどではないにせよ、今ひとつ気分が晴れないと言う時は、スポーツでBCAAを消費してしまうことが改善につながるかもしれません。

もちろん運動の後はちゃんと食事を摂って、一時的に減っている分岐鎖アミノ酸も補充しておいて下さいね。

必須アミノ酸はどれもしっかり摂らなくてはいけませんが、上手くタイミングをずらすことができれば、心身の不調を改善する効果が期待できるかもしれませんよ。

中間生成物5-ヒドロキシトリプトファンはあまりお勧めできない

トリプトファンからセロトニンが作られる際の中間生成物である5-ヒドロキシトリプトファンは、アミノ酸トランスポーターとして他のアミノ酸と競合しにくいものを使っているため、効率よく脳に届きます。

上の方にある図で、仮称として5-HTP-tとして示してあるトランスポーターです。

しかし、効率よくセロトニンの原料になると言うことは副作用などのトラブルも起きやすいと言うことです。日本国内では医薬品に指定されているため、サプリとしては販売されていません。

海外からの輸入は簡単だが注意が必要

こうした製品であっても60日分以内であれば、インターネットの個人輸入代行業者や、海外からの日本語による通販を利用して入手することができます。5-HTPと言う略号で売られていることも多いですね。

しかし、先にもお話しした通り、効率よく働くお薬は副作用の危険が伴います。特にお医者さんの判断を仰がず医薬品を飲むことは、かなりのリスクを自分で背負い込むことになります。

ですので、多少効率が悪くても、サプリで摂るならトリプトファンにしておいた方が安全でしょう。

うつ病とセロトニンの関係や、セロトニン症候群については別の記事に詳しいので、そちらをご覧ください。
うつ病の改善に効果あり!生理活性物質のセロトニンを増やす方法とは

サプリはどうしても過剰に摂りがちですので、少量から始めて、体調を見ながら使って行くのが良いですね。

中間生成物だけでなく、トリプトファンを含めて1つのものだけを過剰に摂ってしまうと、他の神経伝達物質が枯渇することが良くあります。ですので、過剰摂取にはくれぐれも注意して下さいね。
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