健康生活TOP 健康管理 寝起きに手がしびれる症状は手根管症候群かも!原因を探って早期治療

寝起きに手がしびれる症状は手根管症候群かも!原因を探って早期治療

ベッドと手

朝起きたときに手の関節が痛いとか、こわばり感があるとかの症状があったらちょっと注意が必要です。たとえその症状が手を動かしているうちに消えたとしても、繰り返すようであれば整形外科を受診して下さい。

これには2つの病気の可能性が隠れています。1つは関節リウマチ、もう1つは手根管症候群で、どちらも女性に多い病気です。今回は手根管症候群の話題です。この2つの病気は言葉の表現上では初期症状が似ているように見えますが、見分けは簡単なのです。

手根管症候群の症状は主に片手に出る

両側同時に出る例もありますが、手根管症候群と言う症状の特徴として片手に出ることの方が多いようです。関節リウマチは両側性で発生しやすいので、片側性に出たらまずは手根管症候群を疑っても良いでしょう。

また、最初は朝起きたときに人差し指と中指にしびれや痛みが現れることがほとんどです。こわばりがある場合も、この指に起こります。その後、症状が進むと親指や薬指の内側にも症状が現れます。小指に症状は表れません。

手根管は骨と靭帯でできたトンネル

手根管と言うのは手首の手の平側にある溝状の形をした手根骨と、それを蓋するように通っている横手根靱帯で構成されるトンネルで、その中を1本の神経と9本の腱が通っています。この腱はそれを覆う滑膜性の腱鞘を伴っています。

手根管症候群のメカニズムと領域

腱鞘と言うのは筋肉の端を包むさやのような組織です。腱鞘には靭帯性と滑膜性の二種類があり、腱とそれを包む靭帯性の腱鞘がこすれあって傷まないようにするため、滑膜性の腱鞘が間に入って滑りを良くしています。

手根管の構造上、滑膜性の腱鞘は手根骨や横手根靭帯と中に入っている9本の腱の滑りを良くしていると思われますが、同時に何らかの原因でこの腱鞘に腫れが起こると、一緒に入っている神経が圧迫されて痛みが出ます。

この「何らかの原因」には様々な要素が考えられますが、結果的に腱鞘が腫れてしまい、神経が圧迫されることで痛みやしびれ、こわばりや運動障害が起こってくるのが手根管症候群です。

その何らかの原因と言うのは、腫瘍や外傷、使い過ぎなどによっても起こりますが、もっとも多いのは原因不明の特発性手根管症候群です。

この原因不明の特発性手根管症候群は更年期や妊娠・出産期の女性によく起こります。おそらくホルモンの変動によって滑膜性の腱鞘がむくんで、それが神経を圧迫するのではないかと考えられています。

もちろん外傷によってむくみや腫れが出たり、使い過ぎによってこの部分で腱鞘炎が起こると同じように神経を圧迫することによって症状が現れます。

手を振ると楽になることがある

手根管症候群にはフリックサインと言う特徴的な動きをする患者がいます。無意識に手を振るこの動きは、行儀の悪い子供がトイレで手を洗ったあと、ハンカチを使わずに水を振り飛ばして済ます時のあの動きに近いものです。

この動きをすると、痛みやしびれが楽になることがあるというのが手根管症候群の特徴の一つです。

また、手根管のあたりを叩くと痛みが走る「ティネル様徴候」と言うものもあります。自分の手首の内側をよく見てもらうと、手首を横断するようにすじがあります。そこより少し指先側に、親指側と小指側の手のひらに肉の盛り上がりがあります。

その2つの盛り上がりの間の、最も手首に近い辺りをなにか硬いもので叩いて見て下さい。スマホの角くらいが、重量もそこそこあってちょうど良い感じでしょう。

それで電気が走ったような痛みがあれば手根管症候群の可能性があります。

さらに、ファレンテスト(手関節屈曲テスト)と言うチェック方法もあります。まず、両てのひらを合掌する時のように身体の前に持ってきて、両手が離れている状態の時に手首を曲げて指先を下に向けます。

そして手の甲同士をぴったり合わせて、両方の手首が直角に曲がる姿勢を取ります。この姿勢を一分間取って、症状が現れたり悪化したりすると言うことが見られたら手根管症候群の可能性があります。

手根管症候群の診断方法

参考までに、逆ファレンテストと言う物もあります。これは肘を張って、身体の正面で合掌するだけです。これを1分間続けて、痛みやしびれが出たり悪化したりする場合でも手根管症候群の疑いがあります。

いずれも簡単にできるチェック方法で便利ですね。寝起きに手が痺れていたらこのテストを行ってみましょう。このテストの結果がいずれもネガティブで、しかも毎朝しびれやこわばりがあるようなら、次の章をよく読んで下さい。

関節リウマチの「朝のこわばり」は両側に出る

関節リウマチの初期症状として有名なものに「朝のこわばり」があります。これは朝起きたときや、お昼寝から覚めたときなど、安静にしていた時間の後で起こります。

先にお話しした通り、どちらかと言えば左右対象に症状が現れやすいのも特徴です。最初は片方だけであっても、あとから反対側に症状が現れることが多く見られます。

関節リウマチは自己免疫による炎症性疾患

関節リウマチは自分の免疫機構の暴走で、自分の関節の中を壊してしまう病気です。放置すれば関節が役に立たなくなり、手や足の変形が起こることが良く知られています。

もともと治療法のなかった関節リウマチの炎症を食い止めるために発明されたのがステロイド薬です。今でも急性期に炎症を抑えるためステロイドは使われています。

しかし、20世紀の終わりに承認された抗リウマチ薬と呼ばれる一連のお薬によって、関節の破壊を遅らせるようになり、いわゆる寛解状態を維持できるようになってきています。

もっともよく使われるのはメトトレキサート(商品名:リウマトレックス・ジェネリックあり)ですが、このお薬が合わない人のために、様々な抗リウマチ薬も存在しています。

さらに、21世紀に入ってから承認された生物学的製剤と呼ばれる分子標的治療薬がさらに治療の可能性を広げました。分子標的治療薬に分類されるお薬のほとんどは、がん治療に用いられるもので、特定の分子の働きを制御することで病気を抑えます。

しかし、このように関節リウマチなどの自己免疫疾患に有効な分子標的治療薬も開発されているのです。抗リウマチ薬にせよ、生物学的製剤の分子標的治療薬にせよ、病気を抑え込むためのお薬ですから、治療開始は早いに越したことはありません。

ですので、朝のこわばりに代表される初期症状が出たらすぐに受診して検査を受けて下さい。ちょっと複雑な検査ですが、その後の一生を左右するものですから、面倒がらずに受けて下さいね。

私たちが普段お世話になっている医薬品は、どれも人間や病原体などの生物の、いずれかの分子に働きかけて化学反応を制御して病気を治したり症状をコントロールしています。

しかし、それらは「経験的に効くことが判っているお薬の働きを分析して、あとからどの分子に働きかけているかが判った」と言うものです。

それに対して分子標的薬は病気の分析が先に完了していて、どの分子を化学的に制御すれば効果が得られるかと言うことが判っていて、その目的に沿うように設計されたお薬なのです。

先に紹介したように、分子標的治療薬は抗がん薬として開発されたものが多いですが、関節リウマチのような自己免疫疾患の治療薬として開発されたものもあるのです。

関節リウマチの初期症状は手以外にも出る

関節リウマチの初期症状である「朝のこわばり」と言うのは、指の第二関節と指の付け根の関節が腫れぼったくなって動きにくいと言うものです。手根管症候群のように特定の指にしびれや痛み、こわばりが出ると言うものではありません。

手首や足首、足の指、ひざや肘などの関節にも症状が現れることがあります。また、熱が出たり、疲れやすくなったりと言う症状が見られることもあります。全身の倦怠感や貧血も関節リウマチではよく見られる症状です。

また、肺に影響が出ることもあるので、こうした症状に気づいたら少しでも早く受診されることをお勧めします。初診は指の動きにくさを主訴に整形外科でもいいですし、朝のこわばりを理由にリウマチ科でもOKです。

関節リウマチは激しい痛みが出ることもある大変な病気ですので、できるだけ早く治療を開始してくださいね。

手根管症候群の治療は母指球が痩せる前に行いたい

母指球と言うのは親指の付け根の、手のひらの膨らんだ部分のことです。手根管症候群が進むと、この部分の筋肉が痩せてきて親指の動きが制限されます。

そうなると、親指と人差し指で丸を作るのが困難になります。いわゆるOKサインが出せず、潰れた円形とか、人差し指と親指の隙間と言ったイメージの形しか作れなくなるのです。

病院ではもう少し突っ込んだ検査が行われることもある

お医者さんに診てもらう場合でも、先に紹介したティネル様徴候の有無を見たり、ファレンテストを行って診断が付けられますが、さらに母指球の筋肉が痩せていないかや、筋力の低下がないかを検査します。

さらに、ティネル様兆候と同じ場所を指で指圧するようにしてみると、しびれ感が強くなるダルカン兆候と言うのも診断の目安になるようです。特徴的な反応が見られた場合、こうした臨床症状だけで診断が付く場合もあります。

一方、客観的な診断のために補助的に筋電図を取ったり、神経伝達速度を測定したりすることもあります。これらの検査で腫瘍や腫瘤が原因ではないかと疑われる場合には超音波エコーやMRIなどの画像診断が行われることもあります。

最初は手術を行わず保存的療法が中心の治療になる

手根管症候群と言う確定診断が付いたら、最初は手の使い過ぎを防ぐため、仕事や家事の見直しを指導されるでしょう。さらに必要に応じてシーネ固定(副木を当てて、患部に力がかからないようにする固定)が行われる場合もあります。

シーネ固定は、就寝時だけ手首の動きを制限するような方法が取られることが多いでしょう。

一方、痛みを抑えるためジクロフェナクナトリウム(商品名:ボルタレン・ジェネリックあり)やロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン・ジェネリックあり)などのNSAIDsに分類される内服用の消炎鎮痛薬が処方されます。

さらに、神経症状を抑えるビタミンB12製剤のメコバラミン(商品名:メチコバール・ジェネリックあり)も飲み薬として処方される事が多いです。

それらの治療では不十分な場合、炎症を抑えるためにステロイド薬を患部に注射して炎症を抑える治療が行われます。ケナコルト-Aと言う注射薬が良く聞くと言う報告が多く、医療機関でよく使われていると言うことです。

この注射を数回行っても症状が改善しない場合には手術が検討されます。おおむね保存的療法を3か月くらい行っても、全く改善しない場合には手術と言うことになるでしょう。

手術は比較的シンプルなものになる

病院の方針によって、手根管の部分を2~3センチ切開して圧迫されている神経を剥離する手術か、1センチくらいの切開を2か所行って内視鏡で行う手術のどちらかになるでしょう。

腫瘤や腫瘍がない限り、数十分の局所麻酔下の手術で、入院も一泊ですむでしょう。病院によっては日帰り手術を行っているところもあるようです。

手首の関節の外側に良くできるガングリオンと言う、ゼリー状の液体が溜まる腫瘤が、手首の内側にできて神経を圧迫することで手根管症候群が起こることもあります。

また、神経鞘腫と言う良性の腫瘍が原因になる場合もあります。こうしたケースでは、症状に応じてそれらを取り除く手術が並行して行われることになります。

ただ、ガングリオンは再発しやすい良性の腫瘤なので、再発した時は目で見てわかりますから、痛みやしびれが出る前にお医者さんに行って中身を注射器で抜いてもらう方が良いかもしれませんね。

もし、母指球の筋肉が痩せてきてしまっていると、手術して痛みやしびれがとれても、運動機能は回復しないこともあります。ですので、少しでも早く治療した方が良いのです。

手術が必要と言うことになると構えてしまうかもしれませんが、比較的簡単な手術ですので、早いうちに治療してしまった方が良いですね。

手根管症候群は末梢神経障害だが予防可能なものもある

ニューロパチーと言うお医者さんの用語があります。昔は神経炎と呼んでいたものですが、今は末梢神経の病気の総称としてこの言葉が使われています。

手根管症候群は、これまでお話ししてきたように手根管の内圧が上がることによって起こる、圧迫性ニューロパチーと分類されます。ですので、防ぐことが可能な内圧上昇による手根管症候群は予防可能だと言うことも言えるのです。

手の使い過ぎによるものは予防が可能である

例えば、手の使い過ぎによるものは、それを行わないように注意することである程度は予防可能です。しかし、仕事の性質上、手のひらに負荷のかかる重労働を行わざるを得ない人は少なくありません。

そうした場合でも、掌部クッションパッドの入った手袋や、手首が曲がり過ぎないようにするサポーターなどを利用することで、ある程度は負荷を減らすことができますし、労働衛生を管轄する部署のある会社ではそうした対策を行っています。。

手袋は作業用の衣服を売っているお店などにも置いていますし、通販でも取り寄せ可能だと思います。また、休憩を上手に入れることで負荷を減らし、休憩時間には手首を軽く動かす体操や、手首を真っ直ぐにして休ませるなどの対応も重要ですね。

振動工具やチェーンソーなどの激しい振動を伴う工具の作業においては、白蝋病を含む手腕振動症候群が注目されますが、同じ原因で手根管症候群も起こりますし、初期症状は見分けがつかないほど両者は良く似ています。

工具を常に整備して振動の悪影響を最小限にすると同時に、防振手袋なども有効です。また、労災防止の観点から、事業者も被雇用者も作業環境の改善に積極的に取り組まなくてはいけません。

糖尿病の人は血糖コントロールを行う

糖尿病性ニューロパチーは、高い血糖値によって末梢神経が侵される病気のことです。これには代謝障害によって神経が侵されるものと、細い血管の動脈硬化で血流が滞り、神経に影響が及ぶものがあります。

手根管症候群では、主に血流の悪化によって引き起こされることが多く、この場合左右両手に症状が出ることがあります。

これを予防できるのは、血糖値コントロールだけです。普段から行っている治療をおろそかにすることなく、良いレベルの血糖コントロールを行って下さい。

現段階では予防できない原因もある

例えば人工透析を行っている人は、アミロイドと言うたんぱく質の繊維が体内に異常沈着することがあります。これが手根管に沈着することで手根管症候群を発症することは割合みられるようですね。

人工透析については、より高度な透析膜を使うことでアミロイドの沈着を防ぐ研究も行われていますが、現段階では手根管症候群が出てきたら、手術で対応するなどの方法しかないようです。

甲状腺機能低下症でも、粘液性の物質の蓄積で手根管症候群が起こることがあります。甲状腺機能低下症の治療を行うことで、発生は抑えられるでしょう。

そして、最初で見分けるべき病気として関節リウマチを挙げましたが、関節リウマチの症状の一つとして手根管症候群が現れることもあります。ですので、関節リウマチの兆候を見落とさないようにするのが大事ですね。

また、妊娠・出産期や更年期の女性でも起こりやすいことが判っていますが、生理的な要因なのか病的なものなのかは不明です。この時期にありがちなむくみが関わっている可能性が示唆されていますので、むくみ対策は有効かもしれません。

他にもいくつか原因になりうる病気はありますが、いずれも原因疾患の治療を行うことが手根管症候群の発生を抑えてくれるでしょう。

痛みやしびれが数日続いたら整形外科を受診する

関節リウマチであっても、手根管症候群であっても、受診して治療を受ける必要があります。ごく軽症の手根管症候群では自然治癒の例もありますが、生活や仕事に不自由が出るレベルでは受診が必要です。

そして、どちらの病気でも時間が過ぎると症状は悪化しますし、完治が望めるはずの手根管症候群でも、母指球が痩せてくるレベルになると後遺症が残ることもあります。

ですので、寝起きに手が痺れたり痛んだり、こわばりがあったりすることが数日続いたら、まずは整形外科を受診して検査を受けて下さい。

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