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高齢者にとって寝る前の水分補給は重要!トイレが気にならない飲み方

高齢になると、「トイレが近くなるから」などの理由で、水分補給を控える方が増加します。また、体の感覚が鈍くなり、喉の渇きを自覚することが少なくなる場合も多いです。

ですが、水分補給は、体のためにはとても大切なことです。

特に心配なのが、夕方から夜にかけての水分補給を避けてしまうことです。「寝る前に水分を摂ると、夜中にトイレに行きたくて目が覚めるから」と、必要以上に水分を控えてしまってはいませんか?

たかが水と侮ってはいけません。重大な疾病にも関わる、水分補給の大切さについてお伝えしましょう。

寝ている間にも汗をかく。夜間の脱水症状に注意!

布団に入って眠っているときに、トイレに行きたくなって目が覚めるのは、なんともいえず嫌なものですね。せっかく体があたたまって、気持ちよく布団に入っているのに、起き上がってトイレに行かなくてはいけないのは、とても面倒です。

ですが、だからといって夜間の水分補給をおこたってはいけません。就寝中の脱水症状は、重大な疾病をおこしてしまう原因にもなりかねないのです。

就寝中に脱水症状? 眠っている間にかく汗の量は…

眠っている間は活動しないので、「汗をかくといってもたかが知れている」と思っている方も多いのではないでしょうか。「布団をかぶって体が温まるせいで、しっとりと汗をかく程度」と思われている方もいるでしょう。

ですが、就寝中にかく汗は、「暑いから」という理由で分泌されるものではありません。

人間の体は、汗をかくことで体温調節をおこないます。眠りにつくために、発汗することで体温の調節をするのです。

人間の睡眠は、深い眠りであるノンレム睡眠と、浅い眠りであるレム睡眠を、規則的に繰り返します。このリズムのために、就寝中の発汗がおこなわれます。汗をかくと体温が下がり、そのおかげで、人間の体は深い眠りにつくことができます。

しばらくして体温が上がってくると、浅い眠りであるレム睡眠に入ります。その後、また発汗することで体温を下げ、再度深い眠りに入ることができるようになります。

このリズムをつくるために、就寝中にかく汗の量は、コップ一杯以上になるのです。呼吸することでも体の水分は蒸発していくので、個人差や気温によっては、500cc以上の水分が一晩で失われるといわれています。

人間の総血液量は、体重のおよそ13分の1。体重50kgの方では、血液の量は約3.8リットルです。ここから夜間に失われる水分の量を考えると、その割合がいかに多いものであるかが実感できるでしょう。

夜間の脱水症状が招く、重大なリスクとは…

就寝中に脱水症状を起こしてしまうことは、重大なリスクにつながります。

独り暮らしの高齢者にとってはもとより、同居の家族がいる場合にも、夜間の不調には注意が必要です。同居している家族がいても、夜間は皆、就寝中です。離れた部屋で寝ていると、たとえ不調があったとしても、なかなか気づきにくいものです。

「朝になって家族が起き出してから、驚くような状態になっているのを発見された」なんて事態は、極力避けたいものですね。

そのために、夜間の脱水症状が招くリスクについて、具体的な内容を知っておきましょう。

体中の水分は、血液の濃度を正常に保ち、循環させるために、必要不可欠なものです。水分がもつ役割を考えると、それが失われたことで起こる疾病について、想像がつくでしょう。

体の水分が失われたことによって、起こりやすくなる症状を見てみましょう。

脱水症状が原因でおこる疾病1.心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓に血液を供給する太い血管が詰まってしまい、心臓に血流が送れなくなる疾患です。心臓は全身に血液を送るポンプの役割を持っていますから、心臓が正常な働きを失ってしまうことは、大変な事態となりますね。

高齢者には、加齢や生活習慣によって動脈硬化を起こしている方が多くなっています。脱水症状を起こすと、血管を流れる血液がさらに濃縮してドロドロした状態になり、血管に詰まりやすくなってしまうのです。

脱水症状が原因でおこる疾病2.脳梗塞

脳梗塞は、脳に血液を送り込む血管が詰まってしまい、脳に必要な血流が供給できなくなってしまう疾患です。手足や顔面、のどなどに麻痺があらわれたり、言語障害がおきたりと、脳梗塞による後遺症は生活の問題に直結します。

心筋梗塞と同様に、加齢や生活習慣によって動脈硬化をおこしやすい高齢者にとって、発症リスクの高い疾患です。脱水症状は、血流を阻害する要因となり、脳梗塞のリスクを高めてしまいます。

脱水症状が原因でおこる疾病3.めまい

脱水症状は、発汗により、水分だけでなくミネラルも体から失われている状態です。ミネラルが失われると、体内の電解質濃度が以上になり、脳の神経細胞も正常な働きをすることができなくなります。

就寝中にたくさん汗をかいたあと、目が覚めてからめまいを感じたことがある方もいるでしょう。高齢者は体に蓄えている水分の量が少ないため、こういった症状を覚えやすくなります。

脱水症状が原因でおこる疾病4.せん妄

実際にはないものが見える幻視があらわれたり、聞こえないはずの音が聞こえる幻聴があらわれたりする状態を、せん妄といいます。脱水症状が重度になると、せん妄をおこすことがあります。

特に、認知症の高齢者について「朝起きたときに、よくおかしな言動が見られる」という場合には、夜間寝ている間に失われた水分が原因で、起床時に脱水症状の状態となっているのかもしれません。

脱水症状が原因でおこる疾病5.めまいによる、転倒リスクの増加

寝起きというのは、ただでさえ意識が不鮮明で、注意力が低下しています。そこに、脱水症状によるめまいが加わると、転倒リスクがとても高くなってしまいます。

寝起きでは体の動きも鈍くなっているので、とっさのときに手や足を出すこともしにくくなります。夜間に目が覚めてトイレに行きたくなったときや、朝の起床時には、転倒には特に注意が必要です。

水分は、人間の体を構成するための、重要な要素です。発汗によって、水分やミネラルが体から失われてしまうと、このようにさまざまな悪影響を及ぼしてしまうのです。

就寝中にトイレに行きたくならない水分補給方法

起床時の脱水症状を防止するためには、就寝前に水分補給をすることが重要です。

そうは言っても、トイレに行きたくなって夜中に目が覚めるのは、嫌な気分ですね。そうするとやはり、寝る間際の水分補給を控えてしまいがちです。

ですが、重大な疾患を発症してから後悔しても遅いのです。疾患のリスクを知ったのなら、しっかりと対策をたてて、予防に努めていきましょう。

水分補給の基本

まず基本として、「寝ている間に汗をかくから、寝る前だけたくさん飲んでおけばいい」というものではありません。

1日に必要な水分量は、おおよそ1.5リットル程度です。これを5回から6回に分けてこまめに補給しましょう。1回分の水分補給をする時も、一気飲みするのではなく、ゆっくり時間をかけて飲みきるようにします。

「喉が渇いた時に、一気にたくさん水を飲む」ことはよくありません。喉の渇きを自覚したときには、すでに体の水分が枯渇している状態です。乾ききった体にたくさんの水を一気に補給しても、体に吸収されず、大部分が尿として排泄されてしまいます。

渇いた鉢植えに、一気に水をやっても、吸収されずに溢れてしまいますね。人間の体も、それと同じです。口から摂取した水分が、体中にしみわたるように、ゆっくりと補給することを心がけましょう。

就寝前や起床後の水分補給も大切ですが、入浴や運動時など、汗をかくことがわかっている動作をするときは、その前後にしっかりと水分を摂りましょう。

「飲みたい時に飲む」のも悪いことではありませんが、体の健康を意識するのならば、体が必要とするタイミングに合わせて水分補給をおこなうことが大切です。

疾患によっては、水分の摂取量について医師の指導を受けている場合もあります。特に、心臓や腎臓、糖尿病などの疾患をお持ちの方は、特別な注意が必要です。その場合には、医師の指示に従いましょう。

寝る前には避けたほうが良い飲み物

健康のために水分補給をするならば、飲み物に含まれている糖分や脂質は、当然気をつけたいものですね。補給するべき水分やミネラルよりも、糖分や脂質が大きく上回っているような飲み物は、水分補給には適しません。

そのほかにも、「寝る前だからこそ避けたい飲み物」があります。

カフェインを多く含む飲料
カフェインには覚醒作用があり、眠りにつくことを妨げてしまう作用があります。眠気覚ましに飲まれる方も多く、眠気防止のためのカフェインドリンクも販売されていますから、カフェインの効果は有名ですね。

「眠る直前にさえ飲まなければ、夜間の睡眠に影響しない」というわけではありません。実験の結果で、「1日に250mg以上のカフェインを摂ると、夜中に目が覚める回数が多くなる」ということが判明しています。

飲み物一杯あたりに含まれるカフェインの量を見てみましょう。

インスタントコーヒー(100 ml) 60 mg
玉露 (100 ml) 160 mg
煎茶 (100 ml) 20 mg
紅茶 (100 ml) 30 mg

(参考…一般社団法人全日本コーヒー協会 より)

たくさん飲めば、その分だけ摂取されるカフェインの量も多くなります。カフェイン飲料は嗜好品でもあるので、まったく飲まないようにするというのも辛いものですね。一日の摂取量に気をつけるようにしましょう。

利尿作用の強い飲み物
飲み物に含まれる利尿作用は、効果的に使えば、健康のために良い作用をもたらします。けれど、利尿作用は、体内のいらない成分を尿にして排出することを排尿を促す作用なので、眠る前に飲用することは避けたいですね。

お茶やコーヒーなどのカフェイン飲料にも利尿作用があります。そのほかにも、利尿効果による健康促進を目的としたハーブティーなどにも注意が必要です。利尿作用の強いハーブティーには、以下のようなものがあります。

  • はと麦茶
  • 麦茶
  • 黒豆茶
  • ルイボスティー

これらのお茶には、体内の不要な水分の排出を促す成分が含まれています。薬ではないので、過剰な作用とはなりにくいものですが、むくみなどが気になる方は飲用されている方も多いでしょう。

夜間のトイレが気になる場合は、飲用するタイミングにすこし気をつけてみましょう。

アルコール類
体内に入ったアルコールは、体中の水分を利用して分解され、尿として排出されます。利尿作用の強いビールや、同じく利尿作用のあるお茶で割ったお酒などは、なおさらトイレも近くなります。

寝付きをよくするために、寝酒を嗜む方もいますが、量を過ごしてしまうと、睡眠に悪い作用をおよぼします。寝つきこそ良くても、眠り自体は浅いものとなり、「夜中に目が覚めてしまって、なかなか寝付けない」という事態になるのです。

トイレが近くなる点も含め、質の良い睡眠をとるためには、寝酒の量を過ごさないように注意が必要です。

快適な睡眠をとるためには、寝る前に飲む飲み物の種類に気をつけましょう。

寝る前の水分補給にお勧めの飲み物

就寝中の発汗にそなえて水分補給をおこなうためには、カフェイン含有量の少ない、利尿作用が低い飲み物がお勧めです。発汗により失われるミネラルを補給できるものだと、なおさら良いですね。

白湯・湯冷まし
単純に水分だけを補給する場合には、白湯や湯冷ましをゆっくりと飲むことがお勧めです。寝る前に体が冷えないように、温かいものか、常温程度のものを用意すると良いですね。
経口補水液
汗をかくと、水分のほかに、ミネラルが失われます。白湯や湯冷ましでは、発汗で失われるミネラルは補給しにくいものです。

水に塩や砂糖を加えられた経口補水液を、効果的に活用しましょう。スポーツドリンクやイオン飲料にもミネラルは含まれていますが、スポーツドリンクよりも経口補水液のほうが、摂取する糖分を少なくすることができます。

作り方は簡単で、水200ccに、0.8gの塩と、12gの砂糖を加えるだけです。アレンジも自在ですが、砂糖の量を増やすのはお勧めできません。飲みにくい場合は、レモン果汁やオレンジジュースを少々加えてみましょう。

眠るためのリラックス効果を考えるなら、ホットミルクや温めた豆乳などもよいでしょう。ノンカフェインのココアなども販売されています。ですが、夜間の脱水症状を防止する目的で飲用するなら、水分をしっかり摂れるものを選びましょう。

夜中にトイレに行きたくなったときの対策

いくら対策をたてていても、夜中に尿意を覚えることはあるものです。また、夜中にふっと目が覚めた時にはなぜか、尿意がなくても「トイレに行きたい」と思ってしまうものですね。

夜中に目が覚めたときは、しっかりと覚醒していることは少ないものです。目が冴えて思考ができているつもりでも、体は動きにくくなっており、判断力も低下しています。

そんなときに危険なのが、転倒してケガをすることです。

夜間は暗くて視界が悪く、体の動きにくさもあいまって、少しの段差でもつまずきやすくなっています。「トイレに行きたい」と焦っていると、余計に転倒するリスクが高くなってしまいます。

高齢者の場合は特に、その傾向が顕著です。夜間のトイレは我慢ができるものではありませんから、環境を整えることで、転倒への対策を立てておきましょう。

高齢者のための環境づくり:ポータブルトイレを使用する

ポータブルトイレは、どこにでも置ける簡易トイレです。椅子の座面が便座になっており、排泄物を受け止めるバケツがついています。バケツに溜めた排泄物は、家族ができるときや、ホームヘルパーが来たときなどにまとめて片付けます。

昼間はトイレを使用し、夜間だけポータブルトイレを使用するという具合に、使い分けをしても良いでしょう。

便座にフタをすると椅子として使える家具調のものや、簡易的なトイレ型のものなど、形状はさまざまです。肘掛付きのものや、高さが調節できるものなど、機能もいろいろあります。使う人に合ったものを選びましょう。

介護保険の利用に該当する方であれば、購入のための費用は保険が適用されます。この場合は、福祉用具販売についての指定を受けた事業所で購入する必要があるので、注意しましょう。

高齢者のための環境づくり:尿器を使用する

男性の方であれば、尿器の使用は比較的容易です。薬局などで、手軽に購入することができます。ベッドの形によっては、ベッドサイドに掛けられる尿器用のラックを使うことができます。

万が一こぼしてしまったときのために、腰の部分に防水のシートを敷いておくと良いでしょう。表面は布状で裏面が防水になっているシーツも販売されています。

高齢者のための環境づくり:夜間だけおむつを使用する

「もらさないように、早くトイレに行かなくては」と思って焦ってしまうことが、転倒のリスクを高めます。排泄の失敗自体もショックなものですが、排泄を失敗したあとの片付けや着替えなどは、大きな負担となるものです。

夜間だけ、尿を吸収できる紙製のパンツを着用することで、万が一移動が間に合わずにもらしてしまった時にも、後始末の心配が要らなくなります。焦らずにゆっくりと移動する、こころのゆとりが持てるようになるのです。

疾病防止のため、適切な水分補給を心がけよう

水分補給を適切におこなうことは、体の健康を保つために、とても大切なことです。

激しい運動をしてよく汗をかく方や、体をたくさん動かす仕事をしている方は、普段から気をつけていることでしょう。

ですが、気をつけなくてはいけないのは、特別に体を動かしたときばかりではありません。汗をかくことは、体温を調節して体の状態を適切に保つための機能です。安静にして眠っている間にも、体の水分は失われていくのです。

汗をかいて排出されるものは、水分だけではありません。汗とともに失われるミネラルも、体を維持するために大切なものです。

自分の体に足りなくなってるものを意識し、適切に補給できるように心がけましょう。普段からの水分補給を意識することが、重篤な疾病を予防するために重要です。

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