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良い、悪いカビは?食中毒やがんを起すカビの特徴と予防対策

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私達が住む日本はどちらかというと温暖で湿度が高いため、カビが生えるには好都合な地域です。

カビは見た目にも不快で、アレルギーや食中毒などの健康被害を起こすこともある厄介者。食品に生えたカビの中には強い毒性を持つ物もいるので、カビの性質を正しく理解してカビ対策を行なっていきましょう。

身近にいるカビの種類とその悪い特徴や良い使われ方

皆さんはカビを肉眼で見たことがあるかと思いますが、そのカビが何者なのかご存知でしょうか?

生きているけど動物でも植物でもありません。簡単に言えば、キノコと同じ菌類などの仲間、「カビ」という名前は菌糸を持つ微生物の総称です。

カビは高温高湿を好み、温度・湿度・栄養の条件さえ揃えば胞子が付着した所で一気に繁殖し、しぶとく生き抜きます。住宅や食品にカビが生えると、見た目にも実に不快ですよね。

そんなカビは厄介者に見えますが、自然界では「動物の死骸や植物を分解して土に返す」という生態系のサイクルにも貢献しているのです。

私達の身近にもたくさんの種類のカビがいますが、その中には有益なカビと有害なカビの2種類がいます。

有益なカビは抗生物質や発酵食品を作る時に役立っていますが、有害なカビは住宅を劣化させたり人体に健康被害を与えたりしてしまいます。さらにカビの中には、発がん性を持つ毒素「カビ毒(マイコトキシン)」を産生するものもいます。

私達は有益なカビは上手に利用し、有害なカビは取り除いて健康を守らなければなりません。今までに約10万種類のカビが知られているのですが、まずは身近にどんなカビがいるのか、おさらいをしておきましょう。

湿度がとても高い所に発生するカビ

湿度が90%以上のジメジメした所でよく見かけるカビです。

カビの名前 外観の特徴 発生場所 カビ毒
クロカビ
(クラドスポリウム)
暗緑色~黒 ビロード状 浴室

パン
ススカビ
(アルテルナリア)
綿毛状 浴室
水回りのパッキン
エアコン内部
クモノスカビ
(リゾプス属)
暗緑色~黒 クモの巣状 パン
味噌
野菜

この中で最も身の周りに多いのがクロカビです。クロカビとススカビの胞子は、喘息やアレルギー性鼻炎などの原因になっています。

湿度の高い所に発生するカビ

湿度が80%以上の湿度が高い所に発生するカビです。

カビの名前 外観の特徴 発生場所 カビ毒
アオカビ
(ぺニシリウム)
青緑 ビロード状 果物
餅・パン
コウジカビ
(アスペルギウス)
黄土色

白など
ビロード状 穀類
パン
まんじゅう
アカカビ
(フザリウム)


褐色など
綿毛状 浴室
汚水
農産物

アオカビ・コウジカビには、カビ毒を産生するものもありますが、アオカビの中にはペニシリンやブルーチーズ、コウジカビの中には酒や醤油の製造に欠かせない有益なものもあります。

また一部のコウジカビはヒトに対して病原性を持ち、免疫力の弱い人が呼吸器に感染すると「アスペルギルス症(カビ性肺炎)」を起こすこともあります。

かつて食料事情の悪い時には、アカカビに汚染された小麦によるアカカビ中毒も起こっていました。

比較的乾燥に強いカビ

湿度が65%以上で生存できる、カビの中では比較的乾燥した所を好む種類です。

カビの名前 外観の特徴 発生場所 カビ毒
カワキコウジカビ
(ユーロチウム)
黄色
青緑色
ビロード状 糖度・塩分の高い食品
(ジャム・佃煮など)
精密機器
アズキイロカビ
(ワレミア)
暗紅色 斑点状 糖度の高い菓子
(羊羹など)

カワキコウジカビは、酵母菌としてかつお節の発酵にも用いられます。カワキコウジカビやアズキイロカビは乾燥食品から発見されることもあります。

カビを食べるとどうなるの?カビ・カビ毒の健康被害について

私達が暮らす部屋の中には常に様々なカビの胞子が浮遊しているので、油断していると食品にはあっという間にカビが生えてしまいます。時には、気づかずにカビが入った食品を口にしてしまうこともあるかもしれません。

うっかりカビの生えた食品を食べてしまったら「食中毒を起こして腹痛や下痢が起こるのでは」と心配する人もいるようですが、基本的にはカビで食中毒を起こすことはないので安心してください。

というのも食中毒を起こすウイルスとカビは全く別のものだからです。また、カビは胃で消化されて死んでしまうので問題ありません。

しかしカビの中にはカビ毒を持つものがあるため、やはりカビが生えた物は食べないに越したことはありません。

カビ毒とは、農産物の収穫から貯蔵の段階で、温度、湿度、酸素などがカビ毒の増殖条件に合った時に産生される化学物質です。少なくとも300種類のカビ毒が発見されています。

カビ毒には次のような特徴があります。

  • 農産物の栽培・貯蔵・輸送中に生えたカビから産生される
  • 一度産生すると、カビが消滅した後も残存し続ける
  • 熱に強く、加熱してもほとんど残存する

代表的なカビ毒には次のような種類があります。

カビ毒の種類 検出されやすい食品 人体に及ぼす害
アフラトキシン ピーナッツ
トウモロコシ
ピスタチオ
香辛料
肝臓障害・がん
フザリウム系カビ毒
(デオキシニバレノールなど)
麦類 悪心・嘔吐・下痢
オクラトキシン 麦・そば粉・コーヒー豆 腎臓障害・肝臓がん
パツリン アオカビの生えた果物
りんごジュース
消化管の充血・出血・潰瘍など
(動物実験)
フモニシン トウモロコシ 肝臓がん

どのカビ毒も、重篤な病気を引き起こすおそれがある毒性の強いもので、長期的に摂取し続けるとがんなどを発症してしまう可能性が高くなるとされています。

1960年にはイギリスでアフラトキシンによって10万羽の七面鳥が死亡、1974年にはケニヤでアフラトキシンB1の急性中毒を起こした104名が肝炎で死亡しているという報告もあるので、その危険性はあなどれません。

ナッツや香辛料から検出されることのあるアフラトキシンは、カビ毒の中でも猛毒だといわれます。アフラトキシンの発がん性はダイオキシンの10倍なのだとか。

どうすれば私達はカビ毒を避けることができるのか

カビ毒の入った食品を食べないようにするには、どうすれば良いのでしょうか。

国産の農産物はほぼ安心

まず国産の食品は大量のカビ毒が混入している危険性が少ないので、安心して食べられると考えて良いでしょう。

カビ毒の原因となるカビは熱帯や亜熱帯の地域に生息しており、日本の気候はカビ毒の産生に適していない気候のため、国産の農産物にカビ毒が汚染することはほとんどないとされているからです。

また、食品衛生法によってカビ毒の汚染が規制値を超える食品を流通させることが禁じられているため、基本的にはカビ毒に汚染された食品が市場に出回ることはありません。

輸入品からはカビ毒が検出されることも

しかし、輸入食品には注意が必要です。世界各国でもカビ毒の規制は行なわれているのですが、時にカビ毒の汚染が規制の基準値を超えている食品が輸入されてくることもあるのです。

輸入食品はカビ毒が規制の基準値を超えていないか、一次関門として無作為のモニタリングが行なわれ、怪しい場合には業者に検査命令が下ります。アフラトキシンの汚染が基準値を超えていれば食品を日本に持ち込むことはできません。

平成27年度4~9月の検査実績において、カビ毒のアフラトキシンでは次の違反が報告されていました。

  • アーモンド、チリペッパー、落花生等(全輸出国)…34件
  • くり、とうもろこし、ピスタチオナッツ(イタリア)…4件

アフラトキシンの違反件数は多くないようにも感じられますが、検査は全食品を対象に行なっているわけではないので、検査をすり抜けてカビ毒に汚染された食品が国内に入ってしまっている可能性もゼロではないと言えるのです。

また基準をクリアしている輸入食品でも、購入後の保存状態によってはカビ毒が増えてしまう危険性もあります。

海外の業者も検査に引っかかると信用がなくなりその後の輸出ができなくなってしまうので、むやみに違反を犯すことはないと考えられています。

しかし近年はアフラトキシン汚染食品の違反数が増えてきているというので、輸入食品に対する不安はぬぐえません。せめて消費者は、カビ毒の知識を持って個人で気をつけるようにしたいですね。

近年は異常気象や環境汚染によって世界にカビ毒の汚染が広がっているのだそうです。これは心配ですね。今後はさらに徹底した食品の安全管理がのぞまれます。

カビ毒を食べないようにするためには

カビの生えた食品は色やにおいでそれと分かることが多いのですが、カビ毒は味やにおいがほとんど分からないため、食品がカビ毒に汚染されていても気づくことは難しいかもしれません。

そこでなるべくカビ毒を食べないようにするために、穀類、ナッツ類、香辛料などカビ毒に汚染されやすい食品に対し次のような注意をしましょう。

  • 輸入品は信頼おけるメーカーの製品を選ぶ
  • 食品を高温多湿な所に置かない
  • 長期保存せず、早めに消費する
  • 長期保存する場合は冷凍保存する
  • 未熟な物・虫食いの部分はカビ毒が発生しやすいので食べない
  • 変な味がしたら食べるのをやめる
  • 農産物は国産品を選ぶ

「切り取ったら食べられる」は間違い?繁殖する前にカビ対策を

ちょっと気持ち悪い表現になりますが、自然界では空気中にカビの胞子がうようよ浮遊しているのが当たり前ともいえるので、私達がカビを完全に撲滅させることはほぼ不可能なのです。

ある程度のカビと共存しなければならない私達が健康を守るためには「カビを食べない」「カビを増やさない」が必要です。

もし住居や食品にカビを見つけたら、すぐにカビを取り除き、カビのあった場所はアルコールで丁寧にカビの胞子を拭きとっておきます。カビの胞子はアルコールで死滅するからです。

部屋の温度や湿度を確認し、カビの生えやすい環境(気温20度・湿度65%以上)になっていたら湿度を下げたり湿気の多い水回りを丁寧に掃除するなどして、カビの繁殖を抑えましょう。

カビはダニの餌になり、カビが繁殖すると同時にダニも増えてしまう悪循環を招くので、ダニアレルギーもある人も住居のカビ対策を特に念入りに行ってください。

最後に質問です。食品の表面に少しカビが生えているのに気付いたら、その食品をどうしますか?

  1. 表面だけ取り除いて、きれいに見える所は食べる
  2. よく洗って食べる
  3. カビを取り除いた後、加熱して食べる
  4. 食べずに全部捨てる

「表面だけ取り除いて食べる」という人も多いかと思いますが、カビは食品の数cm下まで根付いている場合があるので、カビを食べてしまう可能性があります。

「よく洗う」「加熱して食べる」も、万が一カビ毒が発生していた場合にはカビ毒が残存してしまうのでおすすめできません。

カビが生えていたらもったいないのですが「食べずに全部捨てる」がベストな方法なのです。

カビも生き残るために進化しながら人類と闘っているのです。とにかく繁殖力が強いので、少しでも見つけたらその場で繁殖を封じ込めてしまう習慣をつけましょう。

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