健康生活TOP 花粉症 花粉症で本当に怖いのは…腎臓などにも影響がある同時発症の危険性

花粉症で本当に怖いのは…腎臓などにも影響がある同時発症の危険性

花粉症に悩まされている人は年々増加しています。そしてそれと同時に花粉症の影響による、さまざまな病気や症状も増えているようですね。

季節性のアレルギーである花粉症から通年性のアレルギーになる人もいます。風邪を引いたと思っていたら花粉症だったり、花粉症だと思っていたら別の病気だったと言うケースもあります。

今回は花粉症に隠れた軽い病気から意外な方向に発展してしまった例を紹介しながらお話を進めます。

花粉症の陰に隠れていた物は慢性扁桃炎

花粉症に悩まされているある人が、例年通りシーズンに入ってから、アレルギーによる不快症状を我慢しながら毎日を送っていたところ、意外な症状が突然現れました。

それは褐色尿です。尿がコーラのように黒褐色になってびっくりしたと言うのです。黒褐色の尿と言うと、大きなけがをした時や脂質異常症のお薬の副作用で起こる横紋筋融解症が有名ですが、この人はけがもしていませんし、そんなお薬を飲んでいません。

一体何が起こったと言うのでしょうか。

IgA腎症と言う難病が裏に隠れていた

IgA腎症と言う病気は、まだ完全に原因が確認された病気ではありません。免疫グロブリンA(IgA)と言う物質が何らかの原因で腎臓に沈着することで起こる病気です。

免疫グロブリンと言うのは物質としての名前で、働き方を示す名前で呼ばれる時は「抗体」と呼ばれます。こちらのほうが私たちには馴染みがありますね。

IgA腎症は難病に指定されていますが、すぐに生命に危険が及んだり重い症状が出たりするようなことは少ない病気です。この病気は、特に非活動性の場合や初期の場合目立った症状が起こりません。

難病情報センターによると、この病気の患者のおよそ70%は、健康診断の検尿で尿たんぱくや血尿を指摘されて偶然見つかると言った性質の病気であると言います。
(参考…難病情報センター|IgA腎症(指定難病66) より)

この血尿ですが、目で見て判る血尿ではなく、尿沈渣を見て顕微鏡的血尿が見つかることだと解釈して良いでしょう。ところが、この病気の人が風邪や扁桃炎など上気道炎にかかると、褐色尿が現れることがあります。

IgA腎症による慢性糸球体腎炎で見られる褐色尿は、横紋筋融解症で見られるミオグロビン尿ではなく、赤血球が壊れて出てくるヘモグロビンによるものだと推定されています。そのため、普通の赤い血尿に見えることもあるようですね。

花粉症のシーズンは風邪のシーズンでもあります。ですから、この人の場合ももともとIgA腎症を持っていたところに、花粉症シーズンに風邪をひいて扁桃腺を腫らした可能性が高いのです。

IgA腎症は遺伝的な素因も重要な要素です。おそらく腎臓の方に問題があって起こるのではなく、IgAの方に何らかの問題があって腎臓に沈着するのではないかと考えられています。

IgA腎症は口蓋扁桃と強いかかわりがあるらしい

IgA腎症では、ステロイド薬の短期間大量投与を行うステロイドパルス療法に並行して、口蓋扁桃の切除が行われることがあり、かなりの有効性が示されています。

扁桃はリンパ組織で免疫にかかわる器官ですから、抗体のひとつであるIgAの産生にも大きくかかわっています。そして、感染症で扁桃炎を起こしたことをきっかけに、異常IgAを作り出すのです。

そこで、大量にステロイド薬を点滴投与しながら、口蓋扁桃を切除する治療が行われます。ステロイド薬はただでさえ副作用が強いのに、大量に点滴しても大丈夫なのかと言う心配になる人も多いでしょう。

しかし、意外なことにステロイドパルス療法で行われる3日間程度の短期間の投与では、ほとんど副作用が出ないのです。ですから安心して受けて下さい。

また、口蓋扁桃の切除と言うと、子供のころによくある「扁桃腺が大きすぎるから切除する」と言うアデノイドの手術だと思う人も少なくないようです。

しかし、扁桃には「口蓋扁桃」「咽頭扁桃」「舌扁桃」があり、子供のころに行われるアデノイドの切除は「咽頭扁桃」が対象です。咽頭扁桃と舌扁桃は、口を開いて覗き込んでも見えない位置にあります。

そして、IgA腎症の治療で切除するのは、風邪をひいたときにお医者さんに行くと「あ~扁桃腺が腫れてますねぇ」と言われることがある、口蓋扁桃が対象なのです。

扁桃は免疫細胞から成り立っている器官で、全身の免疫が整っていない1歳くらいまでは、外部から病原体の侵入を防止する重要な器官です。一方で全身の免疫が完成したそれ以降では、扁桃事態の役目はほとんどなくなると考えられています。

ですので、実際に扁桃の切除を行ってもほとんど問題は起きていません。むしろ、こうした感染についての弱点がなくなるということで、アメリカなどでは子供のうちに積極的に切除を行っているようですね。

そのような背景から、このステロイドパルス療法と口蓋扁桃の切除術は、IgA腎症では非常に効果のある治療法として用いられています。

血尿と言っても、こうした濃い色のものもあるんです。コーラ色のものが出たらびっくりしますよね。すぐに病院に行きたくなるので、かえって安心かも知れませんけれど。

花粉症は扁桃炎の原因にはなりにくい!隠れてしまう病気に注意

この様な事情があると、花粉症で炎症があると口蓋扁桃にも炎症が起こってIgA腎症につながるのではないかと言う不安が出てきますね。

しかし、花粉症が扁桃炎の原因になることはめったにないと言って良いでしょう。扁桃炎は主として感染症によって起こり、腎臓のトラブルもその起炎菌によってもたらされることが多いものです。

花粉症にかかわる抗体は免疫グロブリンE

花粉症はアレルギーですから抗体が大きな役割を果たしています、免疫グロブリンですね。

ではIgA腎症も花粉症の抗体がかかわることはないのでしょうか。これはないと考えて良いと思われます。

花粉症にかかわっている抗体はIgEで、腎症とは異なるタイプの抗体だからです。もちろん「どんな場合でも関係がない」と言うことを証明するのは困難ですが、無視できると考えて差し支えありません。

ですから、今回の話題でお知らせしたいのは、花粉症で腎炎が起こるということではなく、花粉症に隠れてしまう可能性のある病気に注意して下さいということなのです。

扁桃炎の主な原因菌は溶血性レンサ球菌である

扁桃炎は細菌感染によって起こりますが、多いのは溶血性レンサ球菌感染症です。溶連菌として子供の感染症でよく話題になりますが、大人にも感染する病気です。

また、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌の他ほか、アデノウイルスやエンテロウイルス、ヘルペスウイルスなどによっても起こることがあります。

IgA腎症に直接かかわる病原体は完全には特定されていません。しかし、溶連菌感染による扁桃炎は、腎炎に繋がりやすいことはよく知られています。

ただし、この場合は慢性糸球体腎炎をもたらすことの多いIgA腎症ではなく、急性糸球体腎炎であることが多いようですね。

また、既にIgA腎症のある人では扁桃炎や上気道炎の他、消化器系の感染症や寒いところに長くいるなどの環境要因によっても、コーラのような尿が出ることが知られています。

そうした症状があったら、すぐに泌尿器科を受診して腎臓の検査を受けるようにして下さい。

腎臓にトラブルを起こす扁桃炎は花粉症に隠れやすい

扁桃病巣感染症と呼ばれる病気があって、扁桃に病原体が感染しても、あまり強い症状が起こらないにもかかわらず、例えば腎臓などに症状が出てしまうというものがあります。

まだどのようなメカニズムで起こるのかははっきりしていませんが、だいたいのところは見当がついているようです。

旭川医科大学の耳鼻咽喉科学講座は、免疫異常が原因で、扁桃において細菌などの感染が起こったっ際に作られる抗体が免疫複合体を構成し、それが腎臓などに波及すると考えられるとしています。

その証拠として、同講座は血液中の免疫複合体の上昇と、IgA腎症の腎臓などに免疫複合体の沈着が認められることを示しています。

(参考…扁桃病巣感染症はどうして起るのでしょうか? より)

この扁桃病巣感染症では、扁桃自体には扁桃炎の症状が全く見られないか、見られても軽いのどの痛みや違和感と言ったものであるため、花粉症などの症状が強く出ている時期に起こると見落とされがちになってしまうのです。

そんなことがあるため、花粉症の季節に扁桃病巣感染症によるIgA腎症が起こっても原因がわからないためにあわててしまいがちです。

もちろん、原因がわかっても私たち一般人には受診するしか方法がないわけですが、こうしたこともあるということを知っておくと、心の安定を保つことはできるでしょう。

また、どちらが先行するかはわかりませんが、アレルギー性紫斑病と言って、ぶつけた覚えもないのにあざができるという症状が合併することも多く見られます。ですので、そうした兆候があったら尿の状態に注意しておくと良いでしょう。

アデノウイルスは典型的な「風邪のウイルス」の1つですね。ですから、風邪をひいてのどが痛いという状態でも、この病態が現れる可能性はあるのです。

花粉症は春だけではなく秋も無視できない

日本で花粉症と言うと、圧倒的にスギ・ヒノキが多いため、春の症状だと考えられています。しかし、ブタクサによる花粉症も無視できない数の患者がいます。ブタクサの花期は夏から秋ですので、この季節の花粉症も無視できないのです。

その他、北海道や北欧では、春に白樺の花粉による花粉症も知られていますね。

秋の花粉症はのどに症状が出ることがある

スギ花粉は鼻粘膜にくっついて症状を起こすことが多いのですが、ブタクサの花粉は気管にまで到達することがあります。

東邦大学の木場氏は、スギ花粉のおよそ2/3である約20μmの粒子の大きさしかないブタクサ花粉は、スギ花粉に比べて呼吸器の奥に到達しやすいため、秋の花粉症について、長引く風邪だと思いこまずに早めの受診を呼びかけています。

つまり、ブタクサ花粉症を持っている人は、「いつもの花粉症だ」と感染性の扁桃炎を起こしていることを見落とす可能性が、より高いと言うことです。

花粉症が少ないのは1~2月と7月

もちろん地域性やその年の傾向によっても変化しますが、アレルギーの原因になりやすい花粉があまり飛ばないのは、1~2月と7月なのです。

植物 飛散時期 多い時期 最も
多い時期
ハンノキ 1月~5月 3月~4月 なし
スギ 9月~翌6月 2月~5月 3月~4月
ヒノキ 2月~6月 3月~4月 4月
シラカバ
(北海道東北のみ)
4月~6月 5月 なし
イネ科植物 2月~12月 4月~10月
(7月を除く)
5月~6月
ブタクサ
(北海道を除く)
8月~12月 8月~10月 9月
カナムグラ
(北海道を除く)
8月~10月 9月~10月 9月
ヨモギ 8月~11月 8月~9月 9月

このように、ほとんど1年中何かの花粉は飛んでいますから、気になったらアレルゲン検査を受けてみるのも良いかもしれませんね。

花粉症と言う言葉が使われ始めたころ、悪者にされていたのはセイタカアワダチソウでした。でも、完全な濡れ衣だったようです。セイタカアワダチソウは虫媒花なので花粉をあまり飛ばさないんですよね。

花粉症はさまざまな合併症を招く危険性がある

ここまでのお話とは少し矛盾するように聞こえるかもしれませんが、花粉症は様々な合併症を引き起こす危険性は否定されていません。むしろ危険性があるといっても良いかもしれないのです。

それにはIgAと言う免疫グロブリンではなく、好酸球と言う白血球の1つが関係しているのです。

具体的な病気は判らないが注意しておいた方がいい

好酸球と言うのは白血球の1つでアレルギーとかかわりの深いものです。ですので、花粉症にもかかわってきます。通常、好酸球が増える鼻炎は花粉症とは別の症状として扱われています。

しかし、千葉大学大学院の岡本氏は、被験者をスギ花粉に暴露する実験によって得られた結果から、スギ花粉を吸いこむと言うことは、単に鼻の症状だけで終わらない可能性を指摘しています。

そして、花粉を吸いこむことで起こった好酸球の増加によって、全身の臓器に影響が出る可能性も示しています。

(参考…アレルギー性鼻炎/花粉症/アレルギー性結膜炎|花粉飛散室でのスギ花粉曝露 より)

ですので、花粉症がある場合、常に適切な治療を受けて身体の状態が大きく変化しないように心掛けておくことが望まれます。

治りにくい慢性副鼻腔炎は花粉症との関係を検査してもらう

近年、従来の副鼻腔炎に加えて、難治性の副鼻腔炎が問題になっています。これは好酸球性副鼻腔炎と呼ばれるもので、一旦治ったように見えても再発することが多いことが知られています。

さらに、従来の副鼻腔炎では臭い鼻汁や後鼻漏が問題になりやすかったのに対して、好酸球性副鼻腔炎では鼻詰まりやにおいがわからないという症状がよく起こります。

そして、喘息を併発しやすいという大きな問題も抱えているのです。一方で、好酸球性副鼻腔炎ではステロイド薬がよく効くことも判っています。

好酸球性副鼻腔炎については、まだ充分研究が進んでいませんので、今後の研究にまたなければなりませんが、少なくともステロイドが効くことは判っているため、対処してもらうことはできるでしょう。

好酸球性副鼻腔炎と花粉症の関係も、まだ推定の域を出ませんが、関係が推定されているのは確かです。鼻の症状が出ますから、多くの方は受診されると思いますが、花粉症全体を見ても市販薬で対処されている人が1/4くらいはいます。

お医者さんに出掛ける時間が取れないとか、検査が嫌だとか言う人も少なくないでしょうが、早いうちに対処しておいた方が、後々面倒な治療に取り組まなくて済むと思いますので、早いうちに受診して下さい。
花粉症は多くの人が悩まされているため、かえって軽視されがちであるように思います。でも、広い範囲に影響が出る可能性がありますので、やはりちゃんと治療した方が良いですよ。

たかが花粉症と侮ってはいけない

もちろん不快症状の重さは皆さんが悩んでいるわけですが、心のどこかで「花粉症で死ぬわけじゃなし」と侮っているところがあるんじゃないでしょうか。

確かに花粉症自体が生命にかかわることはめったにないでしょう。しかし、今回紹介したように花粉症に隠れて他の病気が存在していたり、花粉症にかかわる反応で合併症が現れた利することもあるのです。

ですから、症状が気になったら検査を受けて、花粉症と診断されたら翌年からは、シーズン前に事前治療を行うなどの対策をしっかり取るように心掛けて下さい。

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