健康生活TOP 二日酔い 二日酔いを防ぎたい!食べ物や薬で予防したり治したりできるの?

二日酔いを防ぎたい!食べ物や薬で予防したり治したりできるの?

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二日酔いは旧約聖書にも載っていると言いますから、人類がお酒を飲み始めた時から存在する不快症状なんでしょうね。聖書のはワインによるものでしょうか。

ちょっと気になったんで、ざっと見てみましたが、日本書紀や古事記に二日酔いはなさそうでした。日本神話でお酒の話と言うと、お酒を飲まされて素戔嗚尊(すさのおのみこと)さまに首をはねられた八岐大蛇(やまたのおろち)ですね。

人間とお酒の関係はとても歴史が古く、二日酔いに苦しむ人は今もなお後を絶ちません。何かいい方法はないものでしょうか。

二日酔いがどうして起こるのかは判っていない

二日酔いのメカニズムはいまだ解明されていません。世間でよく言われるアルコールの中間代謝物であるアセトアルデヒドが二日酔いの原因であると言うことは、まだ推論であって証明されたとは言い難いようです。

それと言うのも、二日酔いの人の血液検査を行っても、アセトアルデヒドが検出されるのはまれだからなんです。ではいったい何が二日酔いを引き起こしているんでしょう。

二日酔いは死に繋がる重篤な症状

アメリカのカリフォルニア大学退役軍人医療センターの研究によると、血中アルコール濃度が通常時に戻っているにもかかわらず、二日酔いは心臓死の独立したリスクになりうると指摘しています。

つまり、他に心臓病で死ぬリスクを持っていない人が、二日酔いだけで心臓に異常をきたして死んでしまうリスクがあると言う意味ですね。

また、二日酔いとアルコール依存症には関連性が見られるのですが、それは大酒呑みの人ではなく、少量から中程度の飲酒量の人に多く見られる傾向なのです。

軽く見られがちな二日酔いですが、生命にかかわる可能性やアルコール依存症への入り口であることを知って、お酒に対する姿勢を考えましょう。

二日酔いは複合要因によって引き起こされる

二日酔いと一言で言っても、症状自体に頭痛や吐き気の他、様々な身体の状態が含まれています。そんなことからも、二日酔いとは一つの要因で引き起こされるものではないと言うことが推定されます。

アルコール自体が持つ毒性はもちろんですが、例えば、利尿・抗利尿ホルモンの異常によって脱水症状が出てしまうような、ホルモンバランスの崩れも原因の一つではないかとも考えられています。

アルコール依存症の離脱症状(いわゆる禁断症状)の軽いタイプではないかと言う考え方があります。脳波の変化はそれを否定していますが、自律神経の変化はそれを肯定していると言ます。

脳にまではまだ障害が届いていないけれど、神経が障害されていると解釈すればいいのかもしれませんね。

また、その他数々の原因が推定されていますので、このあと対応策を含めて見て行きましょう。

水分も食事も二日酔いの予防にはならない!?

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オランダのユトレヒト大学の研究グループは、二日酔いを経験した学生たちを対象に、飲酒後の水分の摂り方や食事の内容について、二日酔い防止にどの程度効果があるかを調査しました。

結論は非常に残念なもので、「飲酒後の水分や食事をコントロールしても二日酔いの防止はできない。」と言うものだったのです。

なぜ飲酒中・飲酒後の水分摂取が二日酔い防止にならないか

イメージとしての問題かもしれませんが、水分をたくさん摂っておくと、尿量が増えてアルコールも一緒に出て行ってくれるから二日酔い防止になると考えられてきました。

しかし実際には、その方法では全く体の中のアルコール量は減らせないのです。例えば、急性アルコール中毒で倒れた人に対する治療で、強制利尿には効果がないことが理論でも実際の臨床でも示されています。

強制利尿とは、点滴で水分を送り込み、利尿薬で無理やり排泄させる方法です。そこまで強制的に水分を入れて尿に変えても体内のアルコール量が減らせない訳ですから、飲むだけじゃ到底無理でしょう。

今回の研究では、統計的にそのことが裏付けられた形となりました。

食べ物は統計的に無効であると言う事が判った

食べ物の影響については、栄養素の種類が多岐にわたるため、具体的に何を食べれば有効で何が無効なのかは分析されていません。

飲酒後、食事を摂ってからベッドに入った人と、食事を摂らずに眠った人の間に、翌日の二日酔いのレベルに差は認められませんでした。

一方、翌朝多めの朝食を食べたり、脂っこい朝食を摂ったりした人の二日酔いスコアは、中程度の改善が見られたとあります。

朝食についての詳細な評価はありませんが、そもそも多めの朝食や脂っこい朝食を摂れる人は二日酔いの程度が軽く、食べているうちに軽快したと考える方が妥当に思えます。

以上のようなことから、研究に携わった先生は「飲酒中や飲酒後に水分を摂ったり食事を摂ったりすることは、二日酔い予防について意味はない。」と結論付けています。

予防はダメでも治療には必須!二日酔いの治療に水分や糖分を

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二日酔いの予防には役立たなかった水分ですが、二日酔いの状態にある人は多くの場合脱水状態にありますので、二日酔いになってしまったら水分摂取は必須です。

糖分を摂ることも二日酔いの治療には有効です。アルコールを摂るとそれを代謝するための経路が活性化されるため、血糖値が下がった際に糖新生を行って血糖値を維持する肝臓の働きが停まってしまいます。

また、お酒をよく飲んだ時には胃腸の調子が悪くなって、糖質の摂取量が思ったより少なくなっていることも少なくないんですね。

その結果、翌朝には血糖値が下がり過ぎる低血糖状態になり、それが頭痛やふらつきをもたらすことも少なくありません。

一方で、糖尿病に罹っていない限り飲酒中や飲酒後に糖質をしっかり摂っても2~3時間もあれば、インスリンの働きで血糖値は空腹時程度のレベルにまで下がります。

そのあと眠ってしまうと、糖新生が行われない場合、糖質を摂っていない時よりましとは言え低血糖の危険性はつきまとうと言うわけです。

アセトアルデヒドは二日酔いの直接原因ではないかも

お酒をお酒であらしめている成分、エチルアルコールは身体に吸収されると主に肝臓で代謝されます。その結果生成される物質がアセトアルデヒドですね。

このアセトアルデヒドは毒性の強い物質ですので、これを素早く分解できないことが悪酔い・二日酔いの主犯ではないかと疑われてきました。

つまり、悪酔いと二日酔いは症状の現れるタイミングの違いだけで考えられてきたと言うわけですが、これはどうやら間違いではないかと言う事が判ってきました。

アセトアルデヒドは悪酔いの原因

アルコールは主に肝臓にある「アルコール脱水素酵素」と言う酵素の働きで、酸化型NAD+と言う補酵素と反応して、アセトアルデヒドと還元型補酵素のNADH、水素に分解されます。

このアセトアルデヒドは毒性の強い物質で「人に対して発がん性があるかもしれない物質」と言う分類になっています。

一方、アルコールの代謝によって体内でできるアセトアルデヒドに限っては、明確に発がん性のあるものとして認識されているのです。

さらに、たばこのニコチンの吸収を促進する作用があったり、シックハウス症候群の原因物質になったりと、健康に悪影響を与える物質として有名です。

このアセトアルデヒドは、やはり肝臓にある「アセトアルデヒド脱水素酵素」と言う酵素の働きで、NAD+CoAと言うものと反応して、アセチルCoAと還元型補酵素のNADH、水素に分解されます。

アセチルCoAは酢酸と補酵素Aが結合した物質です。このアセチルCoAはエネルギーとして使用されますが、余った分は脂肪酸へと合成され、中性脂肪になって体に蓄積されます。

エネルギーとして使用された場合にのみ、最終的に二酸化炭素と水になるのです。

人種的にアジア人はお酒に弱い

このアセトアルデヒド脱水素酵素には3つの遺伝子型があり、その働きによって普通にお酒が飲める人・お酒に弱い人・全くお酒が飲めない人に分類できます。

白人や黒人は遺伝的に100%普通にお酒が飲める人です。もちろんその中でも強い弱いがあるでしょうが、それはアルコールの代謝ではなく、胃腸の強さや生活環境など他の要因によるものです。

一方、私たちアジア人が属するモンゴロイドは、およそ半数は普通にお酒が飲める人ですが、45%くらいはお酒に弱い人、5%くらいは全くお酒が飲めない人です。

このお酒に弱い人と言う分類ですが、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きが普通にお酒が飲める人の1/16しかない人のことなのです。

イメージとしてはお酒に弱い人が缶ビール1本飲むのは、普通にお酒を飲める人がウイスキーをボトル1本飲むくらいの負担になると言うことなんですね。

また、全くお酒が飲めない人と言うのはアセトアルデヒド脱水素酵素が生まれつき失活している(働かない)人と言うことですので、生命に関わりますから飲んではいけません。

これは遺伝子型に決定されたことですので、お酒を飲む訓練をしてどうにかなるものでもありません。むしろ寿命を縮めるだけです。

ですから、「お酒を飲めない」と言っている人にお酒を無理強いすることは、決して行ってはいけないことなのです。

強い?弱い?自分がどのタイプであるかを簡単に知る方法

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ある程度の年齢になれば、経験的に自分がどのタイプかを知っている人は多いでしょう。むしろ、これからお酒を飲む年代に突入する前、高校生から大学入学くらいの頃にそれを知っておくのは良い事ですね。

かと言って、高校生や大学入学年齢の未成年者にお酒を飲ませるわけにもいきません。でも、とっても便利な検査法があるんですよ、ご家庭で簡単にできるものです。もちろん大人の人が確認のために行うのも良いでしょう。

準備するものはたった2つ。

  • 消毒用アルコール
  • できるだけ安物の救急絆創膏1枚

消毒用アルコールは「日本薬局方・消毒用エタノール」がベストですが、エタノールの含有量が76.9~81.4vol%であればOKです。

救急絆創膏は、パッド部分に何の薬品も使われていない、最もシンプルなものが良いので「できるだけ安物」が良いのです。湿潤療法用のもの(キズパワーパッドなど)は使わないで下さい。

  1. 救急絆創膏のパッド部分に2~3滴アルコールを染み込ませます
  2. 上腕の内側にその絆創膏を貼ります
  3. 7分間放置します
  4. 7分以内に救急絆創膏の周囲が赤くなってきたら、すぐにはがして水洗いします
  5. 7分経ったら、救急絆創膏をはがして、そこを10秒間睨んでいて下さい
  • 7分以内に、またははがしてすぐ赤くなった場合「全くお酒が飲めない人」です
  • さらに10分後、貼っていた場所が赤くなっていたら「お酒に弱い人」です
  • 特に赤くならなければ「普通にお酒が飲める人」です

こうしたテストで自分の体質を知っておけば、新歓コンパなどでひどい目に遭う可能性はずっと減りますよね。もちろん、普通にお酒が飲める人であっても、酒量を過ごしたり一気飲みはいけません。生命に関わります。

これは、皮膚の角質層にはカタラーゼと言う酵素があり、これもアルコールをアセトアルデヒドに代謝する働きを持っているために起こる現象です。

代謝されたアセトアルデヒドは、お酒を普通に飲める人の場合すぐに代謝されてしまいますが、お酒に弱い人や全く飲めない人は皮膚で蓄積されるため、血管が拡張して赤くなるのです。

なお、普段から注射の時のアルコール消毒で皮膚が赤くなる人は「全くお酒が飲めない人」ですので、このテストは行わないで下さいね。

治療薬は研究中…現段階で二日酔い防止法は一つだけ!

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この研究より以前から、二日酔い治療薬と言うものについての研究が行われています。これが実用化されると、二日酔いは過去のものになるかもしれません。

しかし、二日酔いにならないからとお酒をたくさん飲んでいたのでは、アルコール依存症の方が怖くなりますよね。

将来に期待が持てる複数の酵素をナノ粒子に閉じ込める技術

アルコール脱水素酵素と上のパッチテストでも紹介したカタラーゼをナノ粒子に閉じ込める実験が、アメリカの研究施設で成功したのは2013年です。

これによって、血液中のアルコールが素早く減って行くと言う効果も、動物実験では確かめられています。

ただ、残念なことに、アセトアルデヒド脱水素酵素の閉じ込めにはまだ成功していません。ですので、現段階ではむしろ「悪酔い促進薬」になっていると言う評価です。

しかし、こうした技術は日進月歩、きっと将来には「お酒を飲まなかったことにしてくれる薬」もできるんじゃないでしょうか。

現段階での二日酔い防止法

最初に紹介した二日酔いに関する研究は、2015年9月上旬に幕を閉じたヨーロッパ精神神経薬理学会議で報告されたものです。

これに関してイギリスのロンドン・ユニバーシティカレッジのマイケル・ブルームフィールド博士は「今回の研究が示した非常に重要な答えは『ただ、飲み過ぎるな』と言うことだ。」と話しています。

非常にシンプルで判り易く、それでいて最も難しい対策かもしれませんね。でも、気を付ける習慣を身につけるだけで良いと言うものでもありますね。

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