健康生活TOP 痛風 オジサンだけじゃない!20代女性にも痛風が増加している理由

オジサンだけじゃない!20代女性にも痛風が増加している理由

「痛風なんて、オジサンの病気」と、思っていませんか。確かに痛風患者の95%は男性と言われます。しかし今、女性の痛風患者も増えてきているのです。

もともと女性は、男性に比べて尿酸値が上がりにくくなっています。これは女性ホルモンの影響があるためで、女性ホルモンが減少する閉経後には痛風になってしまう女性もまれにいました。

ところが最近は以前に比べて痛風や高尿酸血症になってしまう女性が増え、中には若い女性がなってしまうということもあるのです。自分には関係のない病気と思っていた痛風発作に、ある日突然襲われるということがあるかもしれません。

痛風や高尿酸血症の患者は、年々増加している

現在「痛風」と聞いても、特に珍しい病気とは思いませんよね。しかし1950年代まで、痛風は日本にはまれな病気でした。このころまでの学会での報告数は100件以下だったそうです。

しかし1960年代以降、急速に患者数が増えました。これには食生活の欧米化やアルコール摂取量の増加、社会全体のストレス増加などが関係していると考えられます。そして今も、痛風患者の数は年々増加傾向にあります。

かつて痛風は「ぜいたく病」とも呼ばれ、贅沢な食事をしている人だけがなる病気と思われていました。しかし最近の高脂肪・高カロリーの欧米化した食生活では、いつ誰がなってもおかしくない状況なのです。

2010年に厚労省が行った国民生活基礎調査で痛風があると答えた人は、なんと95万人以上にのぼりました。(ただし自己申告による調査のため、高尿酸血症と診断されただけの患者も含まれていると考えられます。)

痛風を発症してしまう年齢も、少しずつ下がってきています。以前は50代で発症することが多かったのですが、最近は30代で発症するケースが増えてきています。もう痛風は「中高年の病気」ではなくなっているのです。

痛風患者全体のうち、女性は5%ほどになります。男性に比べるとかなり少数ですが、それでも5万人以上になります。もう男性だけの病気というわけではありません。

そして「痛風予備軍」と言われる高尿酸血症の患者数も増えてきています。若いうちから尿酸値が高めという人が増えてきて、なんと30代男性の30%が高尿酸血症だというのです。10代で、すでに高尿酸血症だと診断されてしまう人もいます。

男性に比べると女性の高尿酸血症患者は少ないですが、それでも以前に比べて増えてきました。

もともと閉経後の女性は高尿酸血症になってしまうことがあったのですが、最近は今までよりもその割合が増えています。そして閉経前の女性にも、高尿酸血症があるという人が増えてきているのです。

自分は女だし、まだ若いのだから痛風なんで関係ないと思っていると、ある日突然、痛風発作に襲われてしまうかもしれません。もう「痛風」は、女性に無関係な病気の話ではなくなってきたのです。

「痛風」という病気自体は、西洋では紀元前5世紀ころから知られていました。しかし病気のメカニズムなどがわかってきたのはここ半世紀ほどです。それまでは痛風が原因で合併症を発症してしまい、そのために命を落としてしまうということもあったそうです。

女性は男性より痛風になりにくい!でも現代では女性でも尿酸値があがりやすい

まず痛風発作がなぜ起きてしまうのかについて、簡単に説明します。

痛風は、体内の「尿酸」が過剰になったことで発症する病気です。私たちの体を構成する細胞は常に新陳代謝を繰り返していて、古くなった細胞が壊れるときには「プリン体」ができます。このプリン体が分解されてできる最終的な物質が尿酸になります。

プリン体は食品としても体内に入り、その一部は尿酸になります。ただ食事からのプリン体の影響はそれほど大きくなく、プリン体の80~90%は体内で作られたものです。

尿酸は尿や便として排泄されていくのですが、このとき産生と排泄のバランスがとれていれば体内の尿酸値は一定に保たれるため、何の問題もありません。しかしバランスが崩れ体内の尿酸が過剰になってしまうと「高尿酸血症」になってしまうのです。

尿酸は一定濃度までは血液中に溶けていますが、高尿酸血症になると溶けきれずに結晶化してしまいます。この結晶を尿酸塩(尿酸ナトリウム)と言います。

尿酸塩はまるで針のようにとがった形をしていますが、これ自体が痛風の痛みを引き起こすわけではありません。結晶化した尿酸塩は、密かに関節や腎臓に蓄積されていっています。

そして何かのきっかけでこれが異物として認識されると、突然、白血球が攻撃を始めます。実は白血球が異物を排除しようとして行う攻撃こそが、痛風発作の激しい痛みの原因なのです。

高尿酸血症と診断された人のうち、痛風発作を起こすのは10%程度とされます。ただし尿酸値が高い状態はいつ痛風発作を起こしてもおかしくないため、気をつけなくてはいけません。

もともと男性に比べて女性は尿酸値が低くく、痛風になりにくいとされます。女性の尿酸値の平均は、男性より2/3程度も低くなっているのです。これには女性ホルモンが影響しています。

実は女性ホルモンのエストロゲンには、尿酸を体外へ排泄させる作用があるとされます。そのため女性は男性に比べて、尿酸値が上がりにくいのです。

このようなことから女性はあまり痛風になることがなく、痛風は男性の病気だと思われてきました。

女性も、閉経後には尿酸値が上がりやすくなる

閉経を過ぎると、エストロゲンの分泌は急激に減少します。すると女性も、徐々に尿酸値が上がりやすくなってしまいます。

それでも以前は高尿酸血症と診断されるほどまで尿酸値が上がることはなく、痛風の心配はほとんどありませんでした。

しかし現代の生活は、昔よりも尿酸値を上げやすくなっています。食生活は欧米化し、女性でもお酒をたくさん飲む人が増えています。肥満もありますし、日常生活でのストレスも大きくなっているでしょう。

そのため昔よりも、閉経後に高尿酸血症になってしまう女性が増えてきているのです。

更年期は、女性にとって様々な変化がある時期です。尿酸値が上がりやすくなるだけでなく、中性脂肪やコレステロールも上がりやすくなって動脈硬化のリスクも出てきます。血圧も上がりやすく、骨粗鬆症にもなりやすくなってきます。

この時期を人生の節目として後半の人生を健康に過ごすためにも、更年期には一度しっかり自分の体に目を向けてみてください。

なお尿酸値が正常範囲内だったとしても、今までより急に上昇してしまったというときには気をつけるようにしてください。生活習慣病を発症してしまっているかもしれません。

閉経前の女性にも、高尿酸血症が増えている!

「オジサンの病気」のはずだった痛風ですが、最近は閉経前の女性でもなってしまうことがあります。もちろん男性に比べれば少ないですが、女性だからといって痛風にならないわけではないのです。

現代社会は、いろいろな面で昔とは違ってきています。女性も男性と同じように社会進出するようになり、ライフスタイルも男性と変わらなくなってきています。

食生活も変化し、高脂肪・高カロリーの食事を不規則な時間に摂るということもあるでしょう。女性のアルコール摂取量も増加してきています。そして仕事でのストレスも大きくなっているでしょう。

また過剰なダイエットによって女性ホルモンの分泌が乱れ、生理が止まってしまうこともあります。不規則な食事やダイエットのために、栄養が偏ってしまうこともあります。

このようないろいろな原因によって、閉経前の女性であっても尿酸値が高くなってしまう可能性が増えているのです。そして場合によっては痛風発作を起こしてしまいます。

次のようなことがあると、尿酸値が上がりやすくなってしまいます。女性だから痛風は関係ないなど考えず、気をつけるようにしてください。

尿酸値があがりやすくなってしまう要因

  • 洋食中心で肉や油っこいものが好き
  • お酒をたくさん飲む
  • 食事が不規則で早食い、大食いである
  • 肥満である
  • 逆に過激なダイエットをしている
  • 血縁者に痛風患者がいる
  • ストレスの多い生活である
  • 激しい運動をよくしている
  • 尿酸値に影響のある薬を飲んでいる

尿酸値を上げないようにするためには、なんといっても食生活や飲酒の習慣を見直すことが大切です。

規則正しく食事をする、ゆっくり噛んで食べる、早食いや大食いは避ける、野菜を多く摂るようにし油っこいものなどは控える、お酒を飲み過ぎないなど気をつけるようにしましょう。

プリン体を多く含む食品の摂取については、最近は食事からのプリン体は尿酸値にそれほど影響を与えないことがわかってきて、昔ほど厳しく制限されなくなっています。ただしプリン体の多い食品を、毎日たくさん食べることは止めましょう。

尿酸値を下げるには、水分を多く摂って尿の量を増やすことも大切です。尿酸は尿に溶けて排泄されていきます。また尿をアルカリ化するほうが溶けやすいため、海藻や野菜などをしっかり食べましょう。

肥満の人ほど尿酸値が高くなることもわかっています。肥満があると体内での尿酸の産生が増え排泄が減るためではないかと考えられていて、実際に肥満の人がやせると尿酸値も下がります。

家族に痛風患者がいると、痛風を発症してしまいやすいようです。父親が痛風だという場合には、若いうちから尿酸値を上げない生活を心がけていきましょう。発症してから後悔しても手遅れになってしまいます。

強いストレスも痛風発作を起こすきっかけになります。ストレス解消のためにも減量のためにも、適度に体を動かすようにするとよいかもしれません。

ただし激し過ぎる運動は、尿酸値にとっては逆効果になります。運動は無条件で体に良いイメージですが、場合によってはそうでない場合もあるのです。痛風や高尿酸血症の人は無酸素運動を避けなくてはいけません。

激しい運動で尿酸値が上がる!?

運動にはウォーキングのような有酸素運動と、短距離走やウエイトトレーニングのような無酸素運動があります。無酸素運動は尿酸値を上げてしまうのです。

意外かもしれませんが、激しいスポーツをしているスポーツ選手の中には痛風で苦しんでいるという人も案外います。

体を動かすときにはATPというエネルギー源が使われます。ATPが使われるとADPへ変化するのですが、有酸素運動のときにはしばらくするとADPはまたATPへと戻っていきます。そしてこのATPがまた次のエネルギー源として利用されていきます。

しかし激しい運動、瞬発力が必要になるような無酸素運動をした場合には、急激に大量のATPが必要になります。このときATPの供給が間に合わなくなり、急遽、別の反応系によってATPを作りだそうとします。

この反応の燃えカスとして出てくるのがプリン体で、それがやがて尿酸になってしまうのです。また激しい運動をすると疲労物質の乳酸がたくさん作られますが、この乳酸には尿酸の排泄を妨げる作用があります。

そのため息が苦しくなるような激しい運動では、がんばって運動をしても、すればするほど尿酸値が上がりやすくなってしまうのです。

例えば昼間にサッカーのような激しい運動をして、そのあとの打ち上げで暴飲暴食した次の日の明け方は、痛風発作を起こしてしまうリスクが大になります。

尿酸値を下げるためには、適度な有酸素運動がお勧めです。次のような運動をするとよいでしょう。

  • ウォーキング
  • 水中ウォーキング
  • ゆっくりめのジョギング
  • ラジオ体操
  • サイクリング など

有酸素運動とされているものでも、自分の運動能力を超えて激しいものになると無酸素運動になってしまうので気をつけましょう。

頑張り過ぎるよりも、気長に無理なく続けていくことを目指してください。運動をして汗をかくと、血液や尿が濃くなって尿酸値が上がります。途中の水分補給も忘れないようにしましょう。

現在、高尿酸血症や痛風で治療中の場合には、医師にどのような運動がよいか相談してから始めてください。

健康のためにせっかく運動をしても、それが逆効果になることがあるなんてびっくりですね。
気長に無理せず続けていくことが一番みたいです。

尿酸値に影響のある薬とは?

何かの病気のために飲んでいる薬によって、尿酸値が上がってしまうこともあります。

尿酸値を上げる薬には次のようなものがあります。

  • 利尿剤
  • テオフィリン
  • 結核の薬
  • 抗がん剤
  • 免疫抑制剤 など

これらの中で比較的多くの人が飲む可能性のある薬は、利尿剤とテオフィリンと思われます。

テオフィリンは気管支を拡げる作用があり、喘息治療に使われる薬です。喘息がある場合には、若いときから服用している可能性が高いでしょう。

利尿剤は血圧を下げる作用などもあり、血圧が高くなってくる中年以降くらいで服用の可能性が出てきます。いくつか種類があり、サイアザイド(チアジド)系利尿剤、ループ系利尿剤などで尿酸値が上がってしまうことがあります。

サイアザイド系利尿薬にはトリクロルメチアジド(商品名:フルイトラン)、ヒドロクロロチアジドがあります。ヒドロクロロチアジドは、他の降圧剤と配合された商品として使われることもあります。エカード、コディオなどに入っています。

ループ利尿剤にはフロセミド(商品名:ラシックス)、アゾセミド(商品名:ダイアート)、トラセミド(商品名:ルプラック)があります。

カリウム保持性利尿剤のスピロノラクトン(アルダクトンA)、トリアムテレン(商品名:トリテレン)では尿酸値を上げてしまう副作用は少ないようです。

何か薬を服用しているというときには、そのことを必ず医師に伝えるようにしましょう。ただし病気の症状によっては、その薬を中止することができない場合もあります。

もし痛みが自然におさまったとしても受診は重要

痛風のような激痛があった場合には、症状が治まってからでもよいので必ず医療機関を受診して検査を受けるようにしておきましょう。

痛みが治まるとつい受診を止めてしまう人もいますが、それでは知らない間に症状はどんどん進行してしまいます。

また尿酸値がある程度高くても、すぐには痛風などの症状は出ないかもしれません。しかしその生活のままでは高血圧、動脈硬化、糖尿病などのリスクも高くなります。

それらが合併すると心筋梗塞や脳梗塞などの危険性も上がり、また腎臓に負担がかかり続けることで腎機能が低下してしまうこともあります。病気が進行してしまってからでは、もう改善させることが難しいこともあるのです。

尿酸値が高いと指摘された場合には、特に何の自覚症状がなくても、普段の生活を見直すようにしてみてください。そして治療が必要と言われた場合には、きちんと受診をしましょう。

そうすることで、今と同じ生活を続けていくことができるのです。

実は犬や猫、鳥は痛風になることがありません。尿酸をさらに分解し、フンの中にうまく排泄することができるのです。人間や猿の場合には進化の過程で尿酸を分解する力を失い、うまく排泄することができなくなってしまったそうです。面白いですね。
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