健康生活TOP 舌痛症 ピリピリとした舌の痛み、しびれ、赤い症状は舌痛症!?原因と対処法

ピリピリとした舌の痛み、しびれ、赤い症状は舌痛症!?原因と対処法

舌を指さす女性

舌を噛んだわけでもなければ、歯科治療が合わなくて歯の一部が舌に当たっていたりするわけでもないのに、舌がピリピリと痛むと言う事があります。

鏡で見ても、他の人に見てもらっても、見た目には全く異常がないのに舌が痛むと言う症状が舌痛症と言う病気なのです。

舌痛症では多くの疾患と同じように、他に何かの病気が隠れていて、その症状として痛みが現れている場合を広義の舌痛症と呼びます。

一方、他の病気が見つからず舌の痛みだけが発生している場合を狭義の舌痛症と呼んでいます。狭義の方だけを指して舌痛症と言う事もあります。

舌の痛みの原因の多くは他の症状の出ない口腔カンジダ症

口腔カンジダ症はカンジダ・アルビカンスと言う、ビール酵母やパン酵母に比較的近い種類の菌によって引き起こされる口の中の病気です。どちらもサッカロミケス科の真菌(きのこやカビの仲間)です。

カンジダ・アルビカンスは本来病原性ではなく、人の身体の表面や消化管内部にも、役立ちもせず害にもならず常在していることが多いのですが、免疫力の低下などがあった場合に増殖して、時として病気を引き起こします。

口腔カンジダ症には2パターンある

かつては口の中に、なんとなく汚らしいイメージの白い汚れ(偽膜)が付く急性口腔カンジダ症が多かったのですが、最近ではその白い偽膜がなく、赤みが強くなる症状が中心であったり、無症状であったりする、慢性萎縮性カンジダ症が増えているようです。

この赤くなるタイプの口腔カンジダ症は、舌や口蓋などにヒリヒリした痛みを起こします。舌自体がもともと赤いものですので、舌が赤くなっているのに気付かない人も少なくないようです。

その結果「見た目は何ともないのに舌が痛い」と言う症状になることもあります。実際に舌の痛みを感じている人を調査したところ、半数以上に口腔カンジダ症が見られたと言う報告があります。

厄介なのは、白い偽膜や紅斑を含めて、何らかの器質的変化が見られたのは、口腔カンジダ症の30%程度であると言うような報告があることです。つまり見た目の変化がないものの方が多いんですね。

そんなこともあって、舌の異常を訴えて受診した際に、お医者さんでも見ただけではカンジダ症と断定できず、検査をして初めて判る場合もあるのです。

ですので、舌の痛みを感じた場合は、狭義の舌痛症を疑う前に口腔カンジダ症を検査してもらうのが先決と言う事になります。

口腔カンジダ症は口の中の乾燥も原因になる

かつては年配者などで免疫力が落ちた人に発生しやすい病気とされていましたが、最近ではドライマウス(口腔乾燥症)が原因になることが判ってきています。唾液の分泌不足で口の中が乾燥すると、粘膜の保護機能が低下してしまいます。

その結果、普段は無害なカンジダ菌が増殖して口腔カンジダ症を引き起こしてしまうのです。ですので、舌の痛みを感じた時は、まず口の中が乾燥しないように注意して下さい。

用のない時は口を閉じておくことはもちろん、ちびちびと水分補給することも大事です。特にエアコンを使っている時は乾燥しがちになりますので、口の中の水分維持には注意を払うようにして下さいね。

その上で痛みが続くようであれば口腔外科を受診して、口の中の検査を受けましょう。カンジダと言うと性器で繁殖することもあるイメージから恥ずかしがる人もおられますが、人間の身体の表面に普通に棲んでいる菌ですから恥ずかしがる必要はありません。

ビール酵母などはサッカロミケス科サッカロミケス属ケレウィシアエ種ですが、カンジダ菌はサッカロミケス科カンジダ属アルビカンス種です。属以下の分類が異なるんですね。

ドライマウス自体が舌の痛みを引き起こすこともある

舌に炎症が起こることを舌炎と言う総称で呼びます。この舌炎の原因となっている物のひとつにドライマウスがあります。このドライマウス、何が問題かと言うと「自分では気づいていない人が多い」と言う事なのです。

舌の痛みを訴えて受診した人の中で、ドライマウスであると診断された人のうち、実に10人に8人の割合でドライマウスであることの自覚症状がなかったと言う報告があります。

ドライマウスを防ぐには口腔潤滑剤の活用を

ドライマウスの予防改善と言うと水分補給と言う事になりますが、そうそう飲み物を摂ってばかりもいられないと言う人も多いでしょう。仕事の関係でそうしたタイミングを取るのが困難だと言う人もおられると思います。

それ以前に、飲み物自体をそうそう口にするのは苦痛だと言う人もおられるかもしれませんね。しかし、特に夏場などには熱中症予防を兼ねて水分のこまめな補給をお勧めしたいと思います。

風邪の時の味覚障害の記事に口腔潤滑剤の紹介も載っていますので、そちらをご覧ください。
なぜ風邪を引くと味覚障害に?味がわからない原因と治し方

ドライマウスでは舌の痛みに味覚障害を伴うことがある

味覚障害と言えば、ドライマウスで舌の痛みを訴えた患者さんの20%強に味覚異常が見られたそうです。これは口腔カンジダ症でも同様の傾向が見られました。

また、味覚異常と言えば微量ミネラルの亜鉛不足が原因になると言う事は良く知られていますね。ドライマウスや口腔カンジダ症の患者さんでは25%前後の人に低亜鉛血症が見られました。

直接的な原因の関連性については判っていませんが、味覚異常と舌の痛みは必ずしも無縁だとは言えないのではないかと考えられます。

ドライマウスは積極的に治療した方が良い場合もある

ドライマウスは口をあける癖だとか、ストレスや感染症による一過性のものもあります。一方で、慢性的にドライマウスであるケースもかなり多いようですね。

お薬の副作用で現れるケースもあります。例えば利尿薬や降圧薬、抗ヒスタミン薬、鎮痛薬、抗うつ薬など幅広く可能性のあるお薬が考えられます。

処方されているお薬と一緒に渡される、お薬の形状の写真と特徴などが書かれた「薬剤情報提供文書」や、市販薬に入っている「添付文書」には、必ず良く目立つ形で副作用情報が記載されています。

そこに「口渇」と書かれていた場合、それが副作用としてドライマウスを引き起こす可能性を示しています。そうしたお薬を使用している場合は、口のねばつきや口臭、乾燥したものの食べにくさなどを感じたらドライマウスを疑って下さい。

程度にもよりますが、あまりひどいようであればお医者さんや薬剤師さんに相談して下さい。舌の痛みを伴っている場合は、すぐに相談されることをお勧めします。

ドライマウスを引き起こす難病・シェーグレン症候群

シェーグレン症候群は唾液腺や涙腺の働きが悪くなる病気で、中年女性に好発します。自己免疫性の病気で、膠原病に連動して起こる二次性と、そうした原因疾患のない原発性のものがあります。

症状の特徴としてドライマウスのほか、ドライアイ、ドライノーズ(鼻腔の乾燥)、さらには関節痛や発熱、脱毛、肌荒れ、レイノー現象など多彩な症状があります。

特効薬や治療法はなく、対症療法で症状を軽減する治療が行われます。ドライマウスについてはお薬はもちろんですが、シュガーレスガムや梅干し、レモンなど唾液の分泌を促進するものを利用するように指導されます。

ドライマウスは軽度の場合自覚していない人も少なくありません。つい口で息をするような癖のある人は、何かで受診する機会があれば、口腔水分計で測定してもらうのも良いかもしれませんね。

舌痛症は消去法で診断される症状

舌痛症は文字通り舌が痛いと言う症状ですが、狭義の舌痛症と診断されるためには、他の原因を先に否定することが必要になります。

ですので、お医者さんに行って舌の痛みを訴えた場合、歯科的・外科的なトラブルがないことを確認したうえで、先に紹介した口腔カンジダ症やドライマウス、その他の舌炎ではないと言う事を検査で確認します。

国際的には舌痛症は口腔内灼熱症候群の一症状とされている

口腔内灼熱症候群とは、舌痛症で見られる舌の痛みが、口の中のどこかにあるものです。ですので、舌も口の中の一部として扱われています。その診断基準を見てみましょう。

解説

3ヵ月を超えて、かつ1日2時間を超えて連日再発を繰り返す、口腔内の灼熱感あるいは異常感覚で、臨床的に明らかな原因病変を認めないもの。

診断基準

A.BおよびCを満たす口腔痛がある

B.3ヵ月を超えて、1日2時間を超える連日繰り返す症状

C.痛みは以下の特徴の両方を有する
 1. 灼熱感
 2. 口腔粘膜の表層に感じる

D.口腔粘膜は外見上正常であり、感覚検査を含めた臨床的診察は正常である

E.ほかに最適なICHD-3の診断がない

(ICHD-3:国際頭痛分類第3版)

このように、舌痛症は口腔外科で見てもらうことが多いのですが、分類は頭痛に関する学会が行っているのです。ですから、内科で受診されても良いでしょう。

舌痛症では食事の際に痛みが強くなることは少ない

口腔カンジダ症やドライマウス、舌炎などでは、食事を摂る際に食べ物が舌に当たる刺激で、痛みが強くなってしまうと言う事が割合多く見られます。

それに対して、狭義の舌痛症ではむしろ食事中や会話中の方が痛みが減る傾向が見られました。こうしたことから、舌痛症には心因性の部分が多いのではないかと言う事が考えられています。

また、舌痛症の人の20%程度に手のひらに良く汗をかくと言う自律神経症状を訴える人もおられます。一方で、口腔カンジダ症やドライマウス、舌炎の人ではそうした症状はほとんど見られません。

このことは、自律神経のトラブルが舌痛症を招いている可能性が示唆されているのではないかと言う事も検討されています。

どの病気でもそうですが、検査で数値化・映像化できる病気が背後にいない物は、病気の原因がつかみにくいと言う事が多いのです。

広義の舌痛症を引き起こしている可能性があるその他の病気

それほど多い例ではありませんが、糖尿病の神経症状として舌痛症が現れる場合があります。糖尿病は大きな合併症が現れてこないと自覚症状のみならず、他覚症状もないため気づかれないことがあります。

もちろん、舌の痛みを訴えて検査を進めて行くうちに血液検査も行われるでしょうから、その段階で糖尿病を指摘される可能性は充分に考えられます。

鉄欠乏性貧血は舌の痛みを引き起こす

糖尿病に比べれば、顔色や白目の状態などから判断できる可能性があるのが鉄欠乏性貧血です。何らかの症状が出ると言うことは、本人もだるさや疲れやすさを感じているでしょう。

鉄欠乏性貧血では、健康な粘膜の維持に不可欠な鉄分が足りないため、口腔粘膜にもトラブルが起こります。特に、歯科・口腔外科の病気であるプラマー・ビンソン症候群は、舌炎と口角炎・嚥下障害が三大兆候です。

ですので、舌の痛みと同時に、唇の両端に腫れやひび割れ・出血などを伴う炎症と、ものの飲み込みにくさが現れた場合には、内科を受診して貧血の検査を受けられた方が良いでしょう。

こうした合併症が現れるぐらい鉄欠乏性貧血が重い時は、鉄分の多いものを食べると言った対処では間に合いません。そうした生活習慣の改善と同時に、まず受診して鉄分を補給するお薬を処方してもらいましょう。

ある程度まで鉄欠乏性貧血が改善したら、食生活の見直しで良い状態を維持できるようにして下さい。

神経痛で舌が痛む場合もある

舌痛症では舌の先が痛むことが大変多いのですが、この場合三叉神経の第3枝の神経痛である場合があります。

一方、レアケースですが、舌の付け根の方が痛む場合は舌咽神経に神経痛が起こっている可能性もあります。

他の器質的な異常が見られない場合、こうした可能性を含めて検査が行われるでしょう。特に三叉神経痛は強く痛むことが多いので、生活の品質を保つ意味でも早めに受診して下さい。

口の中に電流が流れて舌が痛む現象がある

これは2か所以上に歯の詰め物があるなどの理由で、口の中に2種類以上の金属がある場合に、稀に発生する舌痛症の原因です。ガルバニズムとかガルバーニ電流だとか呼ばれています。

2種類の金属が酸などの中に存在すると、そこに電圧が発生します。発生した電圧は、電流として通りやすいところを通って行きます。この電流によって舌に痛みが走ることがあるのです。

これは普段私たちの身近にある電池の原理と同じものです。電流が発生するには、必ず2種類の金属が必要になります。、歯の詰め物・被せ物の金属が複数あったとして、全く同じ金属が使ってあるとは限りませんので、この可能性が出てくるのです。

ですので、複数の歯の治療跡のある人の場合、可能性としてはこれも考えられます。舌痛症で口腔外科を受診されて、どうしても原因が判らなかったら、これについてお医者さんに相談してみても良いでしょう。

舌の痛みにはさまざまな原因が考えられますから、受診は大切ですよ。

舌の痛みが舌がんであることはあまりない

舌に痛みが続くと舌がんではないかと心配される方がおられますが、初期の舌がんは痛みません。もちろん進行してくれば痛みも出血も出てきますが、それよりも舌に痛くないしこりができた時に心配する方が正解です。

もしそうしたものができたら急いで受診して下さい。

舌痛症を放置すると前がん症状に進行することがある

舌の痛み自体はがんではありませんが、舌の痛みを放置すると前がん症状に進行する場合があります。

決して多い症例ではありませんが、先に紹介したプラマー・ビンソン症候群から、前がん症状としての舌炎が起こり、その後がんになったと言う例が報告されています。

プラマー・ビンソン症候群は鉄欠乏性貧血で起こる症候群ですので、鉄欠乏性貧血を放置することのないように、ご自身の健康と食生活には充分注意を払って下さいね。

弄舌癖は舌痛症の原因になるし舌がんの遠因になる可能性もある

弄舌癖(ろうぜつへき)とは、文字通り無意味かつ無意識に舌をもてあそぶ癖のことです。小さな子供に多く、歯並びやかみ合わせなどに悪影響を及ぼすことが知られています。

これが大人になっても続いている人の場合、舌を突き出して前歯の間に押し込んでいるような例が見られます。これでは舌が乾きますし、機械的な刺激もずっと続くことになります。

機械的な刺激だけで舌にがんが発生することはありませんが、その刺激によって傷や炎症が常に舌にあることになると、そこに様々な物質が働きかけて眼を引き起こす可能性は否定できません。

ですので、舌で前歯の裏をこすったり、舌を前歯の間に押し込んだりする癖のある人は、早いうちにその癖をなくすようにしておきましょう。

舌のがんはそれほど多いものではありませんが、わが国では増加傾向にあります。顔を洗う時には鏡に向かって口をあき、口の中のチェックも行う習慣を身に付けましょう。

舌痛症には局所麻酔やNSAIDsはあまり効かない

狭義の舌痛症の場合、スプレータイプの局所麻酔薬を投与してもあまり効果がなく、痛みが軽減したのは40%弱であったと言う報告があります。

これは原因疾患が判っている広義の舌痛症に投与した場合の著効率80~90%に比べると非常に低くなっています。

局所麻酔薬は末梢神経に働きかけている

局所麻酔薬は、投与された部位の知覚にある末梢神経の感覚を鈍らせているお薬ですので、痛み信号が末梢神経で発生して脳に送られているのであればよく効きます。

逆に言えば、局所麻酔薬が効かないのは末梢神経による痛みではないと言う事を示しているともいえるのです。

痛み止めと言えば、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド系解熱鎮痛薬)もよく使われますね。外用薬ではなく内服薬であっても、NSAIDsは炎症が起こっている場所で痛み物質が作られるのを阻害して痛みを止めています。

つまりNSAIDsも末梢神経に働きかけていると言うわけなのです。そして、実際にNSAIDsが効く狭義の舌痛症の割合も、局所麻酔薬が効く割合と一致しているのです。

従って、狭義の舌痛症は中枢神経症状あるいは心因性の症状であると言う事が推定されるのです。

原因疾患があるものはその治療が優先される

例えば口腔カンジダ症の場合、抗真菌薬を使って口の中で増殖してしまったカンジダ菌を押えなければいけません。それに並行して局所麻酔薬やNSAIDsの投与が行われるでしょう。

また舌炎の場合は、さらにその炎症を起こしている原因を対策しないといけません。鉄欠乏性貧血なら鉄分補給のお薬ですね。ドライマウスの場合は、生活習慣の改善の他、人工唾液が処方されることもあります。

そうした根本的な治療と共に痛み止めが処方されるでしょう。

しかし、原因疾患が判っている舌痛症でも、一部の人では痛み止めが効きません。これは、狭義の舌痛症と同時に発症しているのではないかと考えられています。

原因を突き止めないと正しい対策ができない

このように、広義の舌痛症である場合はその原因疾患を、狭義の舌痛症である場合には原因疾患がないことを検査で確認して対策を行わないと、誤った方法では悪くなりこそすれ治癒は望めません。

ですので、少なくとも一度は口腔外科や内科を受診して、しっかりと病因を突き止めて下さい。その上で薬物治療を受けるなり、生活習慣の見直しを行うなりする必要があります。

わが国では他の先進国とは違って舌がん・口腔がんが増加傾向にあります。これはわが国では口の中の病気と言う物を軽視する傾向があるからではないかとも言われています。

文字通り「舐めておけば治る」と言うような意識がどこかにあるのかもしれませんね。そうではなくて、口は消化管の最初の器官であると言う意識で、しっかりメンテナンスするようにしましょう。

舌がん・口腔がんの予防と早期発見のために

舌痛症自体は舌がんとは直接結びつきませんが、皆さん舌の痛みを感じると舌がんの心配をされます。そこで、予防と早期発見について大学病院の指導を引用して今回は締めくくりましょう。

口の中の癌の予防・早期発見のために

1.口の中を清潔にしておく

2.口の中の虫歯は治療しておく

3.合わない冠や入れ歯はなるべく早くなおす

4.口の中の白い斑点や紅い斑点がないか注意する

5.口の中に1か月以上続くただれや潰瘍はないか注意する。

6.痛みもない腫れが1か月以上続いていないか注意する。

7.口の中にコリコリとした「しこり」はないか注意する。

意外なほど常識的で簡単ですね。でも実際にちゃんとできているかどうかというのは別問題です。今日からはちゃんとチェックしましょうね。

口の中のがんは皮膚がんと並んで見つけやすいものです。皮膚がんはまだ背中にできたら見えませんが、口の中は気を付けていれば全部見えますよね。要は意識の問題なのです。
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