健康生活TOP 危険!飲みかけのペットボトルに繁殖する細菌が及ぼす人体への影響

危険!飲みかけのペットボトルに繁殖する細菌が及ぼす人体への影響

ペットボトルに入った水を飲む子供

ペットボトル飲料は一気に飲みきってしまわなくても、ふたができるので倒してこぼす心配もなく大変便利です。しかし、そのことがあだになって病気になることもあるのです。

特にペットボトル飲料がありがたい暑い季節こそ、飲み残しのコントロールを行わないと病気やけがにみまわれるんですよ。

けが?と思われたかもしれませんね。実は食中毒だけじゃなく重傷事故も起こってるんです。

開封後の清涼飲料水は菌に汚染されている!その危険性とは?

ペットボトル飲料に限らず、加工食品はすべて開封と同時に環境にある細菌などに汚染されます。もちろんそれが病原菌がどうかは判りません。むしろ病原性を持たない普通の菌であることの方が圧倒的に多いでしょう。

一方、缶入り飲料やペットボトル飲料の場合、直接口を付けて飲むため、内容物に口の中にいる細菌などや、鼻・皮膚などにいる物なども混入してしまいます。

賞味期限は開封の瞬間に意味を失う

お気づきの方も多いでしょうが、容器に密封された食品・飲料には「開封後は賞味期限に関わらずできるだけ早くご賞味ください。残った分は容器に移し替えて冷蔵庫で保存し、出来るだけ早く食べて下さい。」と書いてありますね。

賞味期限はいくつかの要因によって決められていますが、最も一般的なのは微生物の繁殖や、微生物による食品の劣化が一定範囲以内に収まっている期間を基準にしているでしょう。簡単に言えば、食べても大丈夫な期間と言うことです。

これは食品が密封容器に入っているため、外部との水分や空気、微生物などの出入りが大きく制限されているから日数を計算できるのです。

ですから、開封した瞬間に外気が流れ込むことで、病原菌を含む微生物も一緒に入ってきます。あとはそれが危険な量に繁殖するまでの間が食べられる期間と言うことになります。

なお、例えば塩や砂糖には賞味期限の表記がない場合が多いです。これは数年程度では細菌の繁殖が起こりえないからなんですね。塩はそれ自体が殺菌効果を持っていますし、砂糖は水を抱き込む性質で微生物に繁殖の機会を与えません。

本来の作り方をしたジャムは、表面にカビが生えることはあっても、中身自体が年単位で常温保存が効くのは、この砂糖の水分保持作用によるものです。砂糖と言うのはかなり優秀な保存料なんですよ。

人間はバイキンだらけ

人間には常在菌と呼ばれる細菌がたくさん棲みついています。このごろでは腸内フローラとして腸内常在菌に皆さんの興味が集まっているようです。菌が住んでいるのは腸の中だけではありません。

人間のいたるところに菌は棲みついているのです。最も多いのは腸の中ですが、その他にも多く見られるのは全身の皮膚、口の中、鼻の中、生殖器です。

常在菌は、それぞれの棲家でバランスを保って生きています。ですので、たくさん菌が棲んでいても私たちは病気にならないと言うわけです。

しかし、一度人間の身体から離れ、そこで増殖して再び人間がそれを口から取り込んでしまうと病原性を発揮する場合があります。一度口を付けてから放置されたペットボトル飲料は、その増殖場所として最適なのです。

腸内細菌で有名になった菌のバランス。有用菌が増えることで健康に資すると言うこともありますね。また、常在菌が繁殖することで、外部の病原菌が入ってきにくい環境を作ってくれてもいるのです。

口の中に棲んでいる細菌は比較的病原性が少ない

口の中に棲んでいる常在菌は、種類が特定されていない物までを含めると、腸内フローラに匹敵する約700種類にも及びます。特に歯周病の原因になるデンタルプラーク(歯垢)の中の細菌密度は、大便よりはるかに高いとまで言われています。

しかし、口腔常在菌には強い病原性を持っている菌はありません。ですので、例えば口の中で歯周病菌や虫歯菌が蔓延っても、病原性が弱いため歯周病や虫歯になるのには、何週間も何か月も必要とするのです。

口腔常在菌による身体への影響は見えにくいかもしれない

口の中に棲んでいる700種類もの常在菌は、ペットボトル飲料に口を付けて飲むと飲料にも移動します。もちろん移動したから直ちにどうと言うことはありません。

しかし、それが時間を置くと飲料の中で繁殖してしまうことになります。でも、毒性が強くないので、なかなかお腹が痛くなると言うことはないでしょう。しかし、こんな研究があります。

P. gingivalisは、口腔の二大感染症の一つである歯周病の原因菌として非常に有名な細菌であり、歯周病原性細菌と呼ばれています。

歯周病の病巣局所から本菌が分離されるのはもちろん、動脈硬化症病変などからの分離も報告されており、本菌は歯周病原性細菌であると同時に全身疾患にも関与していると考えられています。

Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)は代表的な歯周病菌です。病原性を持つものとしては、細菌のほかカンジダ・アルビカンスのような真菌(カビの仲間)も口の中に棲んでいます。

口の中では普段病原性は抑え込まれている

こんな可能性のある菌が口の中に棲んでいるっていやですね。でも、口の中と言うのは、常在菌が病原性を発揮できないように抑え込むメカニズムを持っています。その多くは唾液に含まれる物質です。

例えば、分泌性白血球プロテアーゼインヒビターと言う長い名前の物質がありますが、これは先に紹介した歯周病菌・P. gingivalisによる感染を強く抑制しています。

また、IgA(免疫グロブリンA)と言う免疫関連物質も分泌していますし、リゾチームと言う酵素も分泌しています。リゾチームは細菌の細胞膜を溶かしてしまう酵素です。

ヒスタチンは抗菌・抗真菌活性を持ち傷口をふさぐ働きを持ったたんぱく質ですが、唾液に多く含まれている物です。

この他、唾液には消化酵素以外にもさまざまな物質が含まれていて、私たちを病原菌から守ってくれています。

こうした抗菌・抗真菌活性を持った物質を含んだ唾液も、口の中の常在菌と一緒にペットボトル飲料の中に移行して薄まるわけです。そして、常在菌は生き物ですので増えることができますが、こうした抗菌活性のある物質は生き物ではないので増えません。

ですから、ある程度時間を置くと飲料に移行した口腔常在菌が増殖してしまうのです。

「そんな傷ぐらい舐めときゃ治る」なんて言いますが、このように唾液には実際に抗菌活性があって傷を治す力もあるんですよ。でも、傷はちゃんと洗って下さいね。

鼻の中にいる常在菌は食中毒の原因になる

鼻の粘膜にも常在菌は棲んでいます。もちろん鼻からペットボトル飲料を飲む人はいないでしょう。しかし、口を離す瞬間に鼻息をペットボトルの口に吹き込んでしまっていることって、意外にあるんですよ。

その中でも有名なものとしてはコリネバクテリウムとブドウ球菌です。ブドウ球菌は食中毒菌としても、とても有名ですね。

黄色ブドウ球菌は毒素を作る食中毒菌

ブドウ球菌にもいろんな種類があります。全部で30種類を超えるブドウ球菌が存在しているのです。その中でも最も病原性の高い黄色ブドウ球菌は、人の鼻の中に常在しています。

この菌が人の手の上で増殖して、それが食べ物に付着することで食中毒が良く発生しています。また、皮膚にもいくばくか常在しているため、傷口で増殖することもよく知られています。

ですので、ペットボトルの口に、知らずに鼻息を吹き込んでしまったら、数時間後には中で黄色ブドウ球菌がせっせとエンテロトキシンと言う毒素を産み出していると言うことになりかねません。

黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンは熱に強く、数十分の煮沸程度では分解せず、黄色ブドウ球菌が死滅した後であっても食中毒の原因になるのです。

人に常在するコリネバクテリウムは非病原性

コリネバクテリウムと言うと、重い感染症を引き起こすジフテリア菌が有名ですが、これはさすがに人の常在菌ではありません。

一方、偽ジフテリア菌と言うジフテリア菌に良く似た細菌が、人の鼻の中には常在菌として棲みついています。

幸いなことに、この偽ジフテリア菌には病原性はなく、単に人の鼻に棲んでいると言うだけです。鼻息に乗ってペットボトルに入っても、そこで増殖することはあるでしょうが、それによって病気になることはありません。

あまり不安ばかり煽るのもなんですから、無害なものも紹介してみました。それでも無害だからと言って、あまり菌が増殖したものを飲みたくはないですよね。

過敏になる必要はないけど皮膚にはたくさんの細菌が付着している

常在菌もさることながら、皮膚にはさまざまな細菌が付着しています。例えば食事の前には手を洗いますよね、これは手でいろんなものを触るから、最も手が汚れやすいと言うことに注意しているわけです。

しかし、その手で顔や頭、唇や鼻に触れていることもあるわけです。過敏になる必要はありませんが、意識は持っておいた方が良いですね。

皮膚の常在菌と言えば表皮ブドウ球菌やアクネ菌

もちろん、鼻の所で説明した、強力な食中毒菌である黄色ブドウ球菌も皮膚に常在していることがあります。時としてこれによって化膿性の皮膚疾患が見られることもありますね。

一般に常在菌は免疫によって抑え込まれているため、常在している範囲の細菌数で健康な人では病気になることはないのですが、黄色ブドウ球菌だけは健康な人でも時々病気を引き起こしています。とびひや蜂窩織炎が有名ですね。

一方、黄色ブドウ球菌と同じブドウ球菌属の細菌に表皮ブドウ球菌があります。これは同じグループの細菌ですが食中毒の原因にはなりません。

どちらかと言うと手術の際のプラスチック製品などを汚染して、身体の奥の方で化膿性疾患を引き起こすことがあります。ですので、これが原因でお腹が痛くなったりはしませんが、プラスチックに良くくっつくのでペットボトルを好むかもしれませんね。

そしてまた、プロピオニバクテリウム・アクネス、通称アクネ菌も皮膚に広く常在している菌です。一時、ニキビの原因と思われていましたが、実は皮膚の状態を良好に保ち、外来の菌をはねつける働きをしてくれています。

ただ、ニキビの所で増殖してしまうと、ニキビを悪化させることはあるようですね。この菌も食中毒の原因にはなりません。

皮膚に菌がついても人間は免疫力で対抗できる

皮膚は外気にさらされているわけですから、いつどんな病原菌がくっつくか判りません。しかし、皮膚にも口腔粘膜や鼻腔粘膜にもさまざまな働きで病原菌をはねつける能力が備わっています。

ですから、病原菌がくっつくことについては、手洗いやうがいなどで十分対応可能なのです。しかし、皮膚から飲食物に菌が移動すると、そこには菌をやっつける働きはありません。

ですから、一定時間経過後には人間の免疫力では対抗できないほどの量に増えて、それを口にした人に食中毒をもたらすと言うわけなのです。

今のところ明らかにはなっていませんが、最初の方で紹介したように食中毒以外の全身性疾患も、こうして体外で増殖してしまった常在菌が関係している可能性もあるんです。

ですから、口を付けたペットボトル飲料などは、できるだけ短時間で飲みきってしまった方が安全ですね。

ではどのくらいの時間なら大丈夫なんでしょうか。それは次の、細菌による負傷と言う項目で参考になるデータを紹介します。

口を付けたペットボトルで大けが!?全治3週間以上のけがを負った理由

ペットボトルが破裂してけがをしたと言うと、ドライアイスを入れて遊んでいたとか、炭酸飲料のペットボトルを高温の所に置いていたと言うようなことを連想される方が多いでしょう。

しかし、実際には炭酸を含んでいない飲料の飲み残しがペットボトルを破裂させ、全治3週間以上のけがを負ったと言う人が複数報告されているのです。

細菌や真菌が飲食物を腐敗させる際にはガスが出る

もう想像がついていた方も多いとは思いますが、こうした危険な現象は、菌が飲み物の栄養を分解する際に出る炭酸ガスが原因です。

判りやすいのが口や鼻の常在真菌であるカンジダ・アルビカンスです。カンジダは出芽酵母の一種ですから炭水化物を発酵させて炭酸ガスを出します。発酵と言うより、人間に役に立たない変化ですから腐敗と呼ぶべきかもしれません。

報告データなどを見ると、数日から1か月と言う、割合長い期間放置していて、捨てようと思って持ち上げたら爆発したと言う例が目立ちます。これではちょっと飲み残しを飲む時の参考にはなりません。

しかし、飲み残したものを後で捨てようと思って、忘れていたら爆発したのではたまりません。飲み残したら、必ずペットボトルは中身を捨てて、キャップは外しておいて下さい。

ご高齢の方ですが、1か月放置していたものが突然破裂、左ひじに当たって骨折されたと言う事例もあります。そのあと、ペットボトルは天井に突き刺さっていたそうですから、かなりの破壊力ですね。

温度によっては数時間で危険性が出てくる

一方、10代の女性がスポーツドリンクを飲んでいて、一度ふたを閉め、その後で開けようとしたらふたが飛んで目に当たり、視力の低下を招いたと言う事故も起こっています。

残念ながら具体的な時間は示されていませんが、被害者の年齢から見て、クラブ活動などで水分補給のために飲んだ物による事故と考えて差し支えないでしょう。

それから想像されることは、数時間程度の間に起こったのであろうと言うことと、比較的高温の所に置いていたのであろうと言うことですね。

これらはペットボトルの破裂。キャップの飛び出しと言うことに注目していますが、ペットボトルのキャップを吹き飛ばすぐらいガスが出ると言うことは、それだけ細菌などが飲み物の中で繁殖していると言うことです。

冷たかった飲み物を飲んで一度ふたをすると、炭酸飲料でなくても温度上昇で次にふたを開けた時にはプシュッと音がします。しかし、室温になった飲み物にもう一度ふたをして、次に開けた時にプシュッと言ったらガスが発生している可能性があります。

どの程度なら安全かについては、飲料の内容や移行した菌の種類にも影響されますから一概には言えません。それでも常温では2~3時間以内に飲み切るようにした方が良いでしょう。

飲み残した場合は必ず冷蔵庫に保管する

微生物テストでは、飲料をそのまま口につけて飲む(口飲みする)と、飲料中に入った菌種によっては20℃においても菌が増殖することがわかった。

なお、温度が5℃では、どの飲料、菌種においても、菌数はほとんど変化しないか、減少傾向にあった。

このように冷蔵庫に保管することで、細菌などの繁殖を抑えることができるので、これは有効です。

しかし、ペットボトル飲料はアウトドアで利用しやすいことはメリットの一つですから、冷蔵庫が利用できない場合も多いでしょう。そうした場合は、短時間で飲みきれるサイズの飲料を選ぶなどの対策を行って下さい。

そしてもう一つ、冷蔵庫は過信しないことです。こうした飲料はドアポケットに入れることが多いですね。ドアポケット付近は温度の変動が大きいので、必ずしも5℃以下をキープできているとは限りません。

冷蔵庫に保管する場合でも、開栓の翌日には飲み切るぐらいにした方が良いですね。細菌などの繁殖は抑えられても、酸化などの影響で風味は完全に落ちてしまっているでしょうから、美味しくないですよ。

また、500mLを超えるサイズのペットボトル飲料は、原則として口飲みしない方がいいでしょう。特に1.5Lとか2.0Lのボトルは開栓後保存が前提の飲料ですので、コップなどに注いだらすぐに蓋をして冷蔵庫です。

気持ちだけの問題ですが、ペットボトルに口を触れないようにして、上を向いて口に流し込めば、口から戻る分による汚染は多少マシになるでしょう。
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