健康生活TOP 食中毒 その草は食べて大丈夫?誤食で食中毒を起こす有毒植物8つ

その草は食べて大丈夫?誤食で食中毒を起こす有毒植物8つ

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野草の中には、滋養があって食べてみると意外においしい物もあるということで、趣味で野草を採取してきては料理するといった人が増えてきています。

道ばたの雑草を天ぷらにして食べることで有名な俳優さんによると、有毒な物を除けばほとんどの雑草もおいしく食べられるのだそうです。野草はお店の野菜と違い、無料で新鮮なところも嬉しいですね。

しかし食べられる植物とそっくりな有毒植物も多く、採取した植物を自己判断で食べ食中毒を起こしてしまう人も後を絶ちません。そこで今回は特に食中毒が起こりやすい7つの有毒植物を紹介したいと思います。

「大丈夫だろう」が引き起こす危険な事態

平成18年から平成27にかけて、有毒植物による食中毒の発生状況は事件数が207件、患者数が977人、そして死亡数が8人という調査結果があります。

この10年で約1000人もの人間が毒草の被害に合い、実際に死者まで出ているのは驚きです。

被害にあった原因としては、「生産者の見分け違いで誤って出荷された毒草を食べてしまった」であったり、もしくは「食べられる野草と間違えて毒草を採取して食べてしまった」というものがほとんどです。

毒草とはいっても、外見がその他食べられる植物と似ている種類が多々あるということです。自分で取り間違えたのであればまだ分かりますが、生産者が判断を間違えるというのは少し怖いですね。

「大丈夫!」「安全!」と思っていた食べ物が毒草だった。そんな状況が一生来ない、と言いきれないのが残念なところです。家庭菜園をしている方も、また食材を買う消費者もまた有毒植物の存在には気をつけたいところです。

自衛のためにも、そして万が一の事態にしっかりした対応がとれるように。本記事では間違えやすい有毒植物や、実際に引き起こされる食中毒の症状などをご紹介いたします。

厚生労働省も注意喚起する植物の誤食

野草とは広い意味で「人の管理していない土地に自生している植物」を意味します。野草の中には食べられる種類もあり、実際に採って食べたことのある人も多いと思います。

しかし、野草の中には毒を含む種類もあるので、注意が必要です。厚生労働省が次のように注意喚起をしています。

有毒植物を食用の植物と誤って食べて食中毒になる事例が確認されています。食用と確実に判断できない植物は、絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげないようにしましょう。

野草の判別は難しく、事件も実際に発生しているため安易に野草を口にするのは危険だということです。図鑑で確認したから大丈夫と思っていても、外見がそっくりな種類も多いので油断できません。

もしも野草を入手した場合、最大限の注意が必要だということですね。では、実際に事件で見間違えた有毒植物とその症状について紹介したいと思います。

ニラと間違えて「スイセン」を食べ食中毒が

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食中毒事故で比較的多いのが、可憐な花を咲かせることでおなじみのスイセンです。過去10年間で事件数37件、患者数149人と食中毒事件が多く発生しています。

有毒成分と食べてはいけない場所

スイセンはヒガンバナ科に属しており、ヒガンバナ科特有の有毒成分「ヒガンバナアルカロイド」が含まれています。そのほかリコリンやシュウ酸カルシウムなど複数の有毒成分も含まれています。

全草が有毒です。葉や鱗形を食べる事故が多くなっていますが、特に鱗形は有毒成分が多く危険です。

間違えてスイセンを食べてしまう理由

花が咲いていないスイセンはその姿がニラに酷似しています。またネギに似た野草の「ノビル」とも間違われやすくなっています。

ニラとノビルの写真

野生のスイセンや学校の花壇などに栽培されているスイセンの葉が誤食される事故が多くなっています。農産物直売所で、誤ってスイセンの葉がニラとして販売されてしまったこともありました。

食中毒の症状と対処法

死亡数こそゼロですが、その毒性はなかなかに強力。口にして30分の短い潜伏期間のあとに発症します。スイセンを誤食して30分以内に

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 冷や汗
  • 頭痛

が起こります。またシュウ酸カルシウムによる接触性皮膚炎を起こすこともあります。

軽症なら嘔吐で回復することがほとんどですが、海外では死亡例もあるので重症の場合はすぐ病院で治療を受けましょう。

スイセンの誤食を防ぐには

スイセンと間違えやすいニラ・ノビルは、葉や鱗形に独特のネギ臭があるので、食べる前ににおいを嗅いで見分けることができます。

山菜と酷似で春先の誤食が多い「バイケイソウ」

バイケイソウの写真

バイケイソウは、全国の山地や林で白い小花を咲かせるユリ科の植物です。過去10年間で事件数21件、患者数65人とスイセンほどではないですが、食中毒事件の発生している有毒植物です。

花が梅の花に、楕円形の葉が鶏卵の形に似ていることからこの和名がつけられていますが、地方によって異なる呼び名があります。(はえころし・げりめき・ししのはばきなど)

有毒成分と食べてはいけない場所

全草にアルカロイドが含まれているので、どの部分も食べられません。

間違えてバイケイソウを食べてしまう理由

新芽の状態が山菜のオオバギボウシやギョウジャニンニクと酷似しているため、誤食が多くなっています。

オオバギボウシとギョウジャニンニクの写真

食中毒の症状と対処法

バイケイソウを誤食して30分~1時間以内に

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 手足のしびれ

が起こります。

毒性が強く、意識不明になったり死亡したりするケースもあるので、中毒者が出たらすぐ病院へ搬送してください。

バイケイソウの誤食を防ぐには

バイケイソウの新芽とオオバギボウシを見分ける際には、葉を慎重に観察してください。

【バイケイソウ】

  • 葉脈がくぼんでいる
  • 葉脈が1本ずつ並行に走っている
  • 成長後は1本の茎から葉が交互に生えていく

【オオバギボウシ】

  • 葉脈が出っ張っている
  • 葉の真ん中に走る主脈から複数の葉脈が枝分かれして走っている
  • 茎がなく、地面に近い所から葉柄が1本ずつ生えている

ギョウジャニンニクは葉がバイケイソウと似ていますが、強烈なにおいと赤い茎で判別することが可能です。

群生してたくさん採ることができるため、おすそわけによる被害も多いので気を付けてください。

色々な野菜と間違えられてしまう「チョウセンアサガオ」

チョウセンアサガオの写真

チョウセンアサガオは全国に自生しているほか、アサガオに似たロート型の花が咲くことから観賞用に栽培されることも多くなっています。

有毒成分と食べてはいけない場所

全草が有毒で、神経に作用するトロピンアルカロイドが含まれています。どの部分も食べられません。

間違えてチョウセンアサガオを食べてしまう理由

1.チョウセンアサガオのつぼみがオクラに酷似している

チョウセンアサガオのつぼみとオクラの比較写真

2.チョウセンアサガオの種が黒ゴマに似ている

チョウセンアサガオの実と種の写真

3.チョウセンアサガオの根がゴボウに似ている

チョウセンアサガオの根とごぼうの比較写真

葉をモロヘイヤと間違えて食べたり、チョウセンアサガオに接ぎ木して栽培したナスを食べたりして食中毒が起こったケースもあります。

食中毒の症状と対処法

チョウセンアサガオを誤食して30分程度で

  • ふらつき
  • 口喝
  • 嘔吐
  • 倦怠感

などがみられます。けいれんやせん妄などの神経症状や呼吸困難が起こる場合もあります。

中毒者が出たらすぐ病院に搬送してください。

チョウセンアサガオの誤食を防ぐには

畑や庭では野菜の近くにチョウセンアサガオを植えないようにします。畑や庭に栽培しているチョウセンアサガオの種が発芽して野菜に混生し、モロヘイヤやオクラなどの野菜と間違えて収穫されてしまうケースがあるからです。

チョウセンアサガオの根は、ゴボウと似ていますが折れやすい点が異なります。つぼみは切ると中に種が入っていないのでオクラと判別することもできます。

またチョウセンアサガオを触った後はよく手洗いすることもおすすめします。

日本三大有毒植物「トリカブト」は絶対に間違えないで!

トリカブトの写真

トリカブトはキンポウゲ科の植物で、主に全国の山林や湿地に自生しています。えぼしや鳥のトサカに似た花を咲かせるのが特徴で、日本ではぶす(毒)やぶし(漢方薬)として古くから使われてきた植物です。

過去10年間で事件数12、患者数25人、そして死亡数は2人です。

含まれる有毒成分と食べてはいけない場所

日本三大有毒植物のひとつとも呼ばれるトリカブトのアルカロイドは猛毒です。全草が有毒なので、どの部分も食べてはいけません。

間違えてトリカブトを食べてしまう理由

トリカブトは芽生えの時期に山菜のニリンソウと間違えられる場合があります。同じ環境に自生していること、ギザギザした葉がニリンソウと酷似していることが原因です。

ニリンソウとトリカブトの比較写真

食中毒の症状と対処法

トリカブトを誤食して10~20分で

  • しびれ
  • 嘔吐
  • 腹痛

などが起こります。呼吸困難から死に至る場合もあります。

トリカブトは口に入れた瞬間にピリピリした刺激を感じることがあります。異変に気付いたらすぐに吐き出しましょう。

飲み込んでしまった場合は、なるべくたくさんの水を飲んで吐き出すことを試み、一刻も早く病院で治療を受けてください。

トリカブトの誤食を防ぐには

トリカブトの食中毒は重症になりやすいため、絶対にニリンソウと間違えないようにしなければなりません。

花が咲いていない時は姿が似ていますが、地下部を確認するとトリカブトの根は塊根になっており、ニリンソウは横に這っているといった違いがあります。

また開花すればニリンソウは白い小花を2輪ずつつけるので、トリカブトと判別することもできます。

山菜に詳しくない方は自己判断でニリンソウを採取したり他人におすそわけしたりしないのが賢明です!

サトイモの仲間だけど喰えない「クワズイモ」

クワズイモの写真

クワズイモ(アロカシア)はサトイモ科の植物です。姿はサトイモに似ていますが、食用ではなく葉を鑑賞する目的で栽培されることが多くなっています。国内では四国・九州地方でも自生している植物です。

含まれる有毒成分と食べてはいけない場所

汁に、針状の結晶を持つシュウ酸カルシウムが含まれています。汁に触れた部分に強い刺激を起こすので、どの部分も食べてはいけません。

間違えてクワズイモを食べてしまう理由

葉や茎がサトイモに似ており、なんらかのはずみで混生したクワズイモの茎が食用として出まわってしまうことがあるのです。

クワズイモとサトイモの比較写真

食中毒の症状と対処法

汁が皮膚に触れると皮膚炎を起こします。

また葉や茎を誤食した時には、口に入れた瞬間にイガイガした刺激を伴い、

  • 悪心
  • 下痢

が起こります。

皮膚炎を起こしたら患部をよく水で洗い流し、皮膚科を受診してください。誤食した場合は口の中を水でよくゆすぎ、水や牛乳をたくさん飲んで内科を受診してください。

クワズイモの誤食を防ぐには

食用のイモにクワズイモが混入するのを防ぐため、イモを栽培する人は近くにクワズイモを植えないようにします。

茎からクワズイモかどうか判別するのは難しく誤食が起こりやすくなっています。汁に触れて刺激を感じたら洗い流すしかありません。

球根の誤食で命を落とすこともある「イヌサフラン」

イヌサフランの写真

イヌサフランは、可憐な花が咲くので観賞用に栽培されることが多いユリ科の植物です。過去10年間で事件数8、患者数16人、そして死亡数はなんと4人。トリカブトよりも死亡事故数は上です。

含まれる有毒成分と食べてはいけない場所

全草に有毒なアルカロイドのコルヒチンが含まれ、特に種子と鱗茎に多くなっています。どの部分も食べてはいけません。

間違えてイヌサフランを食べてしまう理由

イヌサフランは、葉がギョウジャニンニクやギボウシと似ています。掘り起こした球根がタマネギやミョウガと間違えられる事故も意外と多いのです。

イヌサフランの球根写真

食中毒の症状と対処法

イヌサフランを誤食すると

  • 下痢
  • 嘔吐

が起こります。鱗茎を1個に致死量のコルヒチンが含まれている場合もあり、誤食した量によっては短時間で死に至る可能性があります。

他の野菜を間違えてイヌサフランを食べてしまった場合は、水を大量に飲んで吐き出し、一刻も早く病院で治療を受けてください。

イヌサフランの誤食を防ぐには

庭や畑で栽培しているイヌサフランの葉や茎をほかの野菜と間違えないように注意します。

間違えやすいギョウジャニンニクは強烈なにおいがするのでイヌサフランと判別することも可能です。

また球根を置いておくと、知らない人がほかの野菜と間違えて料理に使ったり、子どもが口にしてしまうおそれもあります。イヌサフランの球根を人の手の届く所に置くのはやめましょう。

球根がヤマイモそっくりの美しい花「グロリオサ」

グロリオサの根の写真

グロリオサ(キツネユリ)は、炎のような形をした赤い花が特徴の鑑賞用植物です。近年は家庭で栽培する人も増えてきています。

グロリオサの花の写真

含まれる有毒成分と食べてはいけない場所

全草にコルヒチンなどのアルカロイドが含まれるので、どの部分も食べられません。

間違えてグロリオサを食べてしまう理由

グロリオサの球根がヤマイモと酷似しているため、畑で栽培したグロリオサの球根が誤食される事故が起こっています。

グロリオサの球根と長芋の比較写真

食中毒の症状と対処法

グロリオサの球根を誤食してから数時間で

  • 口腔や喉の灼熱感
  • 下痢
  • 嘔吐

がみられます。摂取量によっては多臓器不全で死に至ることもあります。

食中毒者が出たらすぐ病院へ搬送してください。

グロリオサの誤食を防ぐには

グロリオサの誤食は畑で掘り起こした球根で起こりやすいので、グロリオサを栽培している人は球根や土を慎重に取り扱い、食用のイモに球根が混入しないようにします。球根は、人の手に届かない所に置くか処分するようにしましょう。

またグロリオサの球根は一見ヤマイモにそっくりですが、「ひげ根がない」「折ったりすりおろしたりしても粘り気がない」点がヤマイモと異なります。

食卓によく登場する「ジャガイモ」にも注意!

芽が出てきているじゃがいも

お待ちかね、おそらく知らない人はいないでしょう。場所によってはばれいしょとも呼称される、肉じゃがにすると美味しいジャガイモです。

実は過去10年間で事件数21、患者数は411人と圧倒的な数を誇るのです。

こちらは見間違いというより、状態の判別を誤ったことによる方が理由としては大きいと思います。

有名な話ですが、ジャガイモの新芽にはソラニンという毒が含まれます。収穫や購入の直後なら食して問題ないのですが、時間が経って発芽したジャガイモには毒があるので、口にすると食中毒を引き起こしてしまうのです。

口にして30分から半日で発症し、

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 目眩
  • 動悸
  • 耳鳴
  • 意識障害
  • 痙攣
  • 呼吸困難

などの症状を起こします。ひどいと死にいたる可能生もあります。

ジャガイモだからといって油断せずに、状態を確認してから食べるようにしてくださいね。

野草は「怪しい時は食べない」「専門家の指示に従う」のが一番

今回は、有毒植物の中から食中毒が起こりやすいものを選んで紹介しましたが、ほかにもまだまだたくさんの有毒植物が存在しています。

植物の素性がはっきりしない場合は、自己判断で食べたり人にあげたりせず、どうしても食べてみたい場合は最寄りの保健所に相談して判断を仰ぎましょう。

今回紹介した記事を読んで「野草を食べるのは怖いな」と感じてしまった方がいるかもしれませんね。

ただし死亡者の出るような重篤な食中毒事故はごくわずかとなっており、正しい方法で野草料理を堪能している方もたくさんいます。良い機会があれば是非、野草の魅力に触れていただきたいと思っています。

キャラクター紹介
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