健康生活TOP 食中毒 カット野菜は安全か?冷蔵庫に長く保存すると食中毒の原因に

カット野菜は安全か?冷蔵庫に長く保存すると食中毒の原因に

processed bagging of vegetables

アメリカの広い範囲で食中毒が起こりました。被害者は20人前後とそれほど多くないのですが、7州にわたって発生したことが注目されています。原因は、日本にも店舗を展開している会員制大型スーパーマーケットが販売したチキンサラダでした。

調査の結果、このスーパーが自社で生産した丸焼きチキンではなく、委託業者から一括納入された加工材料の生野菜に病原性大腸菌O157が付着していたのが原因であったと言うことが判りました。

日本でも良く知られていますが、生野菜が食中毒の原因になることがあるんですね。

そして、工場で加工された生野菜は消毒されているはずなのに、こうした事故が起こり得ると言うことにも注目しなければいけません。

生野菜は食中毒菌に汚染されている可能性がある

私たちは普段生野菜を美味しく食べています。でも、この生野菜はお店で買ってきた段階では食中毒菌に汚染されている可能性はゼロとは言い切れないのです。

でも、食卓に並べる前に水洗いしていますよね。これのおかげで付着した菌が洗い流されて、食べても全く問題のないレベルにまで菌の絶対数が減っているので、問題は起こらないのです。

必ずしも菌をゼロにする必要はない

野菜にせよ、肉類にせよ、生で食べるものを安全に完全な無菌にすることはできません。また、その必要もありません。重要なのは菌の絶対数を減らしておくことと、菌のエサになる汚れを取り除いておくことなのです。

生野菜の場合、流水で数回洗えば一般細菌などは1~2桁数を減らせます。また、増殖速度が異常に早い大腸菌であっても、10倍になるには2時間弱、100倍になるには3時間あまり必要になります。

しかもこれは増えるためのエサや温度など環境条件が整った上での話です。エサになるものが少なく、繁殖するには温度が低く、しかもpHが増殖に適していなかったりしたら、そんなに増えることはできません。

ですので、最初に充分洗っておいてできるだけ早く食べ、残ったものも冷蔵庫に入れてできるだけ早く食べきるようにすれば、食中毒は起らないのです。

洗うと言う行為では、菌そのものを落とすのも大事ですが、エサになる野菜表面の汚れを落とすことも非常に大事です。また、野菜は皮つきのまま、あるいはカットしないままの方が菌を増殖させません。

ですので、野菜は使う分だけを洗って食べ、残りは次回食べる時に一から洗って使うようにする方が良いでしょう。

カットした野菜は菌の増殖が起こりやすい

様々な実験結果から、カットした野菜は菌が増殖しやすいことが判っています。ですので、生野菜として調理したものが余ったら、できれば次回の調理の際に加熱して使う方が安全です。

また、季節や保存・調理状況にもよりますが、生野菜を調理して常温で半日以上経った物は危険かもしれません。

お店でお弁当を求めると、消費期限に時間が指定してありますよね。あれは生野菜を含めたすべての食品のどれかで、食中毒菌が一定数以上に増えないことが保証できる時間なのです。

家庭でお弁当を作る場合、特に梅雨時から秋ぐらいまでの間はお弁当にプチトマトや生の葉野菜などの彩りは入れない方が安全です。

こうしたものを抜くとお弁当が全体に茶色っぽくなって寂しく感じますが、食中毒よりはましですよね。

なぜ生野菜の危険性がクローズアップされるようになったのか

一つには、生野菜を食べる前の洗浄が不充分になっていることに、野菜が食中毒菌に汚染される機会が一時期より増えたことが重なったと言う事実が挙げられるでしょう。

化学肥料によって畑の中の食中毒菌などが激減したことで、神経質に野菜を洗う必要がなくなったため、野菜の洗い方の習慣が大雑把になってきているのです。

寄生虫や強力な農薬の危険性は過去のものとなった

まず、いわゆる清浄野菜の普及があります。戦後間もなくの頃までの下肥を使った野菜の栽培では寄生虫、特に回虫の卵が野菜に付着しているのは当たり前でした。ですから野菜を充分洗わず非加熱で食べると言うことはあり得なかったわけです。

さらに、その後の農薬問題ですね。昭和40年代・50年代ごろまでは農薬と展着剤の働きが強く、八百屋さんの店頭に並んでいる野菜にはたっぷりと農薬が残っているのが普通でした。

ですので、野菜は中性洗剤を使って洗っていたんです。実際に今でも、台所用洗剤の中には「野菜・食器洗い」と用途を指定されている物も残っています。

清浄野菜とはもともと化学肥料で育てた野菜のことだった

下肥は人間の排泄物ですから寄生虫を持った人のものが混じっていると、そのまま野菜にくっついてしまいます。そのような不衛生なものをなくそうと言うことで化学肥料への切り替えが進んだんですね。

そして、一切の下肥を使わない、化学肥料だけで整えられた畑で採れた野菜を「清浄野菜」と呼んでいました。これだと農薬さえ落としておけば生で食べても心配ありませんね。

この清浄野菜が増えてきたことでサラダが一般化したと言っても良いでしょう。

清浄野菜の意味も時代と共に変わってきた

現在では、無農薬の野菜も増えています。また、農薬自体も大きく変化していて、出荷前の一定期間農薬を使わなければ、自然に分解してしまって野菜には残らない農薬もあるそうです。

さらに、店頭に並んでいる野菜はどれも見た目がきれいで、そのまま食べられそうなものも多いですね。そんな関係で、野菜はしっかり洗って食べないといけないと言う意識が薄れてきたことが生野菜による食中毒発生のベースにあります。

その一方で、化学肥料のデメリットや農薬の危険性がクローズアップされて、堆肥で土造りをした畑の野菜、有機野菜に人気が集まるようになりました。

堆肥が抱える病原菌汚染に正しく対処する

もちろん有機農法で作った野菜は、その特徴が出た美味しさがありますし、堆肥で肥やした畑は、土が痩せてしまうと言うデメリットもかなり回避できます。

しかし、堆肥には病原菌汚染のリスクは付きまといます。堆肥はほとんどがおがくずやもみ殻、稲わら、落ち葉などの植物性の枯れた材料から作られます。

一方、それだけでは窒素が不足して作物を枯らす肥料が出来上がってしまいますので、家畜のふんなど窒素成分を多く含むものを混ぜて、微生物による植物性の材料の発酵分解を促進するのです。

こうして充分に材料が分解されたものは、優秀な有機質肥料である堆肥になるわけですね。しかし、家畜のふん由来の菌類はそのまま生き残っているケースも結構あります。

そして、問題は家畜のふんには病原性大腸菌O157のような食中毒菌も含まれることがあると言うことですね。もちろん、それらがそのまま野菜に付着したままになることは少ないでしょう。

しかし、たまたま土壌表面に残った家畜の糞由来の食中毒菌が、水はねなどで野菜に取り付き、それが出荷前の水洗いでも完全には落ちずにお店にまで届いてしまうと困りますね。

一般的な食中毒菌は100万個レベルの菌を口にしないと食中毒は起こしませんが、O157は、たった100個で食中毒を引き起こします。ですので、野菜は充分に洗う必要があるのです。

一方で、食べる直前にしっかり水洗いしておけば、かなり菌数を減らせますし、O157のような強力な増殖力を持つものでも特に問題はないようです。洗い方によるリスクの差を模式図で見てみましょう。

※クリックで大きい画像が見れます
difference between the bacteria breeding due to the difference in the wash

このように、洗ってもいずれは増えてしまうんですが、洗い方で大きな差が出ていますね。

O157はもともと牛の腸に住んでいるから、一時ユッケ、生レバーが禁止されたのです。

便利な世の中は人間に油断を与えてしまいますね‥。

カット野菜は安全性の面で信頼できる?

最近では一人暮らしの人でも気軽に野菜が摂れるように、予めカットしてパックされた「カット野菜」が市場に広く出回っています。便利なものですが、先にお話ししたように、野菜はカットした方が菌が繁殖しやすくなります。

カット野菜と言っても、加熱用のものから刺身のつまに至るまで、実に多種多様ですね。カット野菜の衛生面について懸念を持っている人もいますが、刺身のつまのリスクについてまでは考えてない人、意外に多いんじゃないでしょうか。

万が一、刺身のつまが菌に汚染されていたら、その上に乗っかるお刺身も生で食べる食品だけに危険性倍増ですよね。でも、実際に刺身のつまが原因で起こった食中毒と言うのはあまり聞きません。

カット野菜はすべてしっかり消毒され、衛生管理も行き届いている

まず、衛生管理についてですが、外食産業やお弁当屋さんなどの中食向けに加工されている物、さらにはスーパーなどの小売店に卸されている物などは、かなり厳しく衛生管理されています。

と言うのも、そうした加工野菜をお客さんに直接販売するのは、加工業者さんではなく大手チェーンのレストランやお弁当屋さん、スーパーなどです。

ですから、万が一食中毒などが出た場合、一番イメージダウンになるのはお客さんに向かい合っているそうしたお店ですね。なので、お店は加工業者さんに対して、衛生管理について立ち入り検査を含めた強力な「指導」を常に行っているのです。

加工業者さんは中小の所が多いため、HACCP(ハサップ:危険分析による重要管理点)認証、あるいはそれを基にしたISO22000(食品安全マネジメントシステム規格)認証を取得していないところがほとんどです。

いずれも国際規格で権威あるものですが、中小の業者さんは費用を掛けてそうした規格を取得するより、お客さんである大手業者さんの指導に従っている方が安全確実だと言うわけです。

家庭に比べてはるかに清潔な状態に加工されるカット野菜

カット野菜ついては、原料の一次加工と言う性質から食品衛生法の適用を受けないケースが少なくありません。しかし、すでに安全性について数多くの検討が加えられて、洗浄消毒手順が確立しています。

それは食材を受け入れるところから始まっています。受け入れ検収を行う部屋では、野菜についた泥を洗い、じゃがいもやたまねぎなどは機械で皮を剥いて下処理の部屋に送られます。

下処理の部屋では充分な流水で何度も洗浄を行います。特に有機物の付着が考えられる場合は、洗剤も使ってこすり洗いを行います。

そして、最終の調理室では消毒液に漬けて消毒が行われます。この際、特に次亜塩素酸ナトリウム(ハイターの主成分)を使った消毒の場合、有機物の付着があると消毒液の濃度が早く下がりますので、事前の洗浄が重要になります。

最後に、それを充分な量の流水で洗い流して水を切り、包装すれば完成です。さまざまなデータがありますが、一般家庭で野菜を調理した時より、一般細菌数は2桁くらい少なくなるようですね。

カット野菜は塩素の臭いがすることがあるが大丈夫なのか

塩素の臭いは次亜塩素酸ナトリウムを消毒液に使った時に発生します。一方、酸性電解水を使う消毒方法もあります。弱酸性と強酸性がありますが、いずれも殺菌有効成分は遊離した次亜塩素酸なので、次亜塩素酸ナトリウムを使った場合と同じですね。

ただ、電解水を使うと塩素の臭いが残らないと言うメリットがあります。

そして、塩素臭ですが、これは最終段階の水洗いの工程からパック詰めまでの時間が早すぎると発生します。次亜塩素酸ナトリウムは低濃度のものが野菜に残っても空気に触れて分解するのですが、密閉容器の中では残ることがあるんです。

もちろん、不快なだけで特に有害な濃度ではありません。気になったら水洗いしても良いですが、次亜塩素酸ナトリウムは空気中で不安定なので、30分ほどふたを開けておけば自然に分解して臭いは消えるでしょう。

分解生成物は食塩と酸素ですからまったく害はありません。

家庭用のハイターが手に付くと、しっかり水洗いしてもしばらく塩素臭いですが、放って置けばいつの間にかにおいが消えるのと同じです。

カット野菜は素早い生産・販売の優等生だから消費も素早くしよう

カット野菜は、小売店などからの発注日当日に納品されることもあるくらい、非常に素早く物流経路に乗っています。これは、特に生食する野菜の場合菌の繁殖による事故を防ぐのが大きな理由です。

もちろん冷蔵状態で運ばれなければいけないのは言うまでもありません。しかしながら、中には物流段階の管理があまり良くないケースもないわけじゃありません。

万が一、生食用のカット野菜が搬入口などで常温に放置されているのを目撃したら、そのお店ではカット野菜製品には手を出さない方が良いでしょう。

同じ理由で、冷蔵ショーケースの端っこに置かれて、充分冷蔵が保たれていない商品があったら、それはパスしておきましょうね。

さらに、菌は生き物ですから、いくら消毒してもゼロにできない以上また増殖してきます。ですので、カット野菜やそれを使った非加熱食品は、消費期限を時間単位で守るのはもちろん、できるだけ早く食べましょう。

夏場などは、お店から持ち帰る際の温度変化もリスク要因になりますので、店頭の保冷用の氷などを上手に利用しましょうね。

カット野菜ではないがスプラウトは注意しよう

sprout

かいわれ大根に代表されるスプラウト類。最近ではスルフォラファンの含有量の高さから注目されるブロッコリー・スプラウトもよく売れているそうですね。このスプラウト類は、培地を使わず根がらみと言う手法で作られた水耕栽培の野菜です。

ですので土壌に由来する食中毒菌の心配がないから安心と思っている人も多いでしょう。しかし、水耕栽培の野菜は食中毒菌の繁殖に対して生産者も消費者も油断しているため、かえって危険な場合があるのです。

スプラウトを作る際、種子が食中毒菌に汚染されていたら、そのままスプラウトと一緒に食中毒菌も繁殖してしまいます。

特に、成長途中のスプラウトが培養水に溶けた消毒剤を吸収してしまうのを防ぐため、スプラウト用の種子は殺菌されていないことが多いのです。

ですので、スプラウト類は買ってきたら、食べる直前に根っこを切り落として、流水でよく洗ってから食べるようにしましょうね。

思ったよりカット野菜はしっかりした管理がされているのです。

一人の夕食のときなんかは、野菜を食べないよりもカット野菜を利用してみるのも悪くないのではないでしょうか。

カット野菜は栄養の面で抜け殻になっていないのだろうか

世間ではカット野菜は薬品で何度も洗浄するから栄養が残っていないと言うことを指摘して、カット野菜は無益・危険な食材であると言った意見も散見されます。はたして事実はどうなんでしょう。

薬品については先にお話しした通り、多くても洗剤と消毒液の2回、大抵は消毒液だけの1回ですから、残留についても心配のないレベルと言って良いでしょう。

加熱用カット野菜については菌についても安心であると同時に、万が一次亜塩素酸ナトリウムなどの残留があっても分解して無害化されますから気にする必要はありません。

カット野菜は加工工程でどれだけ栄養が抜けるのか

これは2つのデータがありましたので引用してみましょう。

(表から抜粋)

塩素処理によるビタミンCの変化(カット-水洗(洗濯機1分)-脱水-次亜塩素酸ソーダ溶液浸漬-水洗(洗濯機1分)-脱水 処理直後)

無処理 :59.75mg/100g(100%)

10分浸漬:42.02 (70)

20分浸漬:42.68 (71)

30分浸漬:41.33 (69)

このように、ビタミンCに着目した場合、概ね30%が失われるようですね。ただ、無処理と言う基準の野菜は水洗いもしていないと言うことが重要になります。丸ごとキャベツを買ってきても、食べる前には洗いますよね。

そこで、今度はレタスについての研究を見てみましょう。

(抜粋)

次亜塩素酸ナトリウムによる洗浄殺菌処理と水道水による洗浄処理がカットレタスの栄養成分に与える影響を明らかにすることを目的に本実験を行った。

調製したカットレタスの栄養成分データについて比較した結果、いずれの栄養成分においても各調製試料間に有意な差は確認されなかった。

以上の結果より、洗浄方法の違いによってカットレタスのビタミンC及びミネラル類(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄)に有意な損失はないことが示唆された。

どうやら、カット野菜が殺菌洗浄によって栄養の抜け殻になると言うのは、イメージによる思い込みだったようです。

もちろん手が加わっている以上、多少の栄養損失はあるのでしょうが、むしろ加工の手間や一人暮らしによるロスを懸念して野菜を摂らないことの方が、よほど大きな危険につながりそうですね。

カット野菜でも良いですから、野菜はたくさん食べましょう。

意外にも栄養は減っていないのです。

元気くんはスーパーで売っているお刺身のつまをご飯に敷いて、その上にお刺身を置いて海鮮丼を作るそうです。

野菜は加熱して食べた方がメリットが大きい

もちろんサラダの美味しさはよく判ります。私もサラダは好きですし食べますが、むしろ煮野菜の方がメリットが大きいんですよ。何と言っても、生野菜では野菜を食べたと言えるほどたくさん食べられないと言う問題があります。

その点煮野菜なら、かさが減りますので野菜の栄養をたっぷり摂れる量を食べることができるんですね。

冬場なら特に鍋物が美味しいことや、生野菜で食べられるものの種類が減ることもあって、加熱して食べる機会が増えるでしょう。しかも気温が低いことと相まって、野菜による食中毒のリスクはうんと低くなります。

一方夏場はトマトやキュウリなど、生で食べられる野菜が美味しくなるので、生野菜を食べる機会が増えますね。でも、「屋台の冷やしキュウリによる食中毒事件」の例などを見ても、生野菜や浅漬けには充分な注意が必要です。

視点を変えてみると、夏場には夏場の煮野菜、例えばラタトィユなんてのはとても美味しいです。トマトと玉ねぎとワインをベースに、あとは何でも好きな夏野菜を放り込んで煮込み、熱いうちに食べても、冷たく冷やして食べてもOKです。

ラタトゥイユは食欲のない夏場にいくらでも食べられますねぇ。

私は温かいものに白バルサミコ酢と粉チーズをたっぷりかけて食べるのが大好きです。

キャラクター紹介
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