健康生活TOP 脂肪肝 酸化した油の害は下痢からがんまで!中でも要注意は脂肪肝

酸化した油の害は下痢からがんまで!中でも要注意は脂肪肝

油を使った調理

酸化した食用油が健康に良くないと言う事はもはや常識です。しかし、実際に家庭で油が酸化したかどうかを測る手立ては、臭いをかぐか揚げ油に使った時の泡立ちなどの性状変化を見るくらいしかありません。

ネット上のお料理サイトなどの中には「酸度の高くなった油は身体に悪いので、新しい油を継ぎ足して酸を薄めましょう」などと平気で書かれているところも存在します。とんでもないことですね。

そもそも、なぜ酸化した油が身体に悪いのかを説明できる人は意外に少ないんじゃないでしょうか。まずは「油が酸化する」とはどういう事なのか、そしてそれがどのように身体に影響するのかを見て行きましょう。

油の酸化は連鎖反応的に起こるので常に新しいものを使うべき

油脂と言うのは、常温で固体のラードやヘットのような「脂」と、常温で液体の大豆油やキャノーラ油のような「油」があります。

しかし、これは脂肪酸組成が異なることに起因するもので、脂肪酸がグリセリンと言う土台に乗っていると言う化学構造は全く同じです。

油脂と遊離脂肪酸の関係は製品と部品の関係

油の酸化は加水分解でグリセリンから離れてしまった遊離脂肪酸でも、結合したままの中性脂肪でも起こります。脂肪酸がグリセリンから離れてしまう加水分解は、例えばてんぷらの場合、揚げ種の水分と加熱によって発生するのです。

一方、油脂は酸化されていようがいまいが、口に入れたら胃液のリパーゼで加水分解されますし、され残ったものも膵液のリパーゼで加水分解されます。ですので、小腸の手前では全部脂肪酸になっていると考えて良いでしょう。

さらに、加熱した時ほど早くはないものの、空気中の水分と光によっても起こりますので、新しい油であっても遮光瓶や缶に入れて保存するのはもちろん、涼しいところに保存したほうが良いですね。

この遊離脂肪酸の量が、油の状態を測る一つの目安になっています。もちろん少ない方が良い状態です。

油の酸度と酸化した油は意味が違う

オリーブオイルなど品質の高い油の場合、酸度が表示されていることがあります。酸度とは遊離脂肪酸が含まれている量です。

遊離した脂肪酸は酸ではありますが、それを含んでいるからと言ってそれだけで酸化した油とは言えません。言うならば「加水分解された油」なのです。

本来油脂と言うのは中性脂肪の形のものが普通で、脂肪酸が遊離していると言う事は品質が劣化している目安になるのです。

実際、食品衛生法で定められたお弁当やお総菜の製造基準の中にも、揚げ油の中に遊離脂肪酸が一定以上に増えたら、その油は全部捨てて新しいものと交換することと言う内容があります。油の継ぎ足しなどは規定の中にありません。

そして、脂肪酸が一旦酸化されると、酸化されていない脂肪酸もどんどん酸化されてゆく連鎖反応が起こります。

脂質が酸化する流れ

活性酸素種の一つヒドロキシルラジカルが遊離脂肪酸と出会うと、水素を一つ奪い取って水になりますが、脂肪酸はラジカル化されて脂肪酸ラジカルになります。

ラジカルとはこの場合「他の物質を酸化させる反応性が高まった状態の分子」と言う意味です。活性酸素の一部もラジカル化した酸素を構造中に持っています。

脂肪酸ラジカルは環境中の、活性酸素ではない普通の酸素分子を取り込んで過酸化脂肪酸ラジカルになります。これが他の遊離脂肪酸と出会うと、それを脂肪酸ラジカルに変えて自分はアルデヒド類などの中間生成物になります。

この時生まれた脂肪酸ラジカルによって、同じようにこのサイクルを回って行く連鎖反応が起こるため、どんどん遊離脂肪酸は酸化されてゆくと言う事になるのです。

古い油に新しい油を継ぎ足すのがいけない理由

もう説明するまでもないかもしれませんが、遊離脂肪酸が連鎖反応でどんどん酸化されてゆく状態にある古い油に新しい油を継ぎ足すのは、文字通り「火に油を注ぐ」行為なのです。

古い油の酸度を下げるために新しい油を継ぎ足すと言えば聞こえはいいですが、逆から見ると「一度も使っていない新しい油を、わざわざ使う前に古くしてから使っている」ことに他なりません。

古くなって酸化された遊離脂肪酸が多く存在する油に新しい油を入れても、それだけでは新しい油の酸化はそれほど進みません。しかし、加熱すると古い油の方に残っていた水分によって新しい方の油も加水分解され遊離脂肪酸が生まれます。

さらに、そこへ揚げ種を入れると水分がたくさん補給されますので、新しい油も一気に古くなります。つまり、揚げ物が揚がるころには、すっかり酸化した脂肪酸だらけになると言うわけなのです。

ですので、古い油の酸度が上がったのならリサイクルに出してしまって、新しい油だけを使うことが味にも健康にも良いのです。

ちょっと使っただけの揚げ油を捨てるのはもったいないように思えますが、きちんとリサイクルすればいいのです。

古い油を使うことで健康を損なうと、さらに多くの無駄な資源とお金を使うことになるんですよ。

油は酸化のどの過程においても健康を害する

油が最初に酸化の過程に入るのは先に説明した遊離脂肪酸が脂肪酸ラジカルになる時です。脂肪酸ラジカルは自動的に酸素を取り込み過酸化脂肪酸ラジカルになって、他の脂肪酸をラジカル化させますね。

この脂肪酸ラジカルや過酸化脂肪酸ラジカルによって、細胞膜を構成する脂質に酸化ストレスがかかります。

一方、過酸化脂肪酸ラジカルが他の脂肪酸をラジカル化した後に残る過酸化脂質ですが、これが実は一番具合の悪いものなのです。

糖質と同じように過酸化脂質にも最終産物がある

活性酸素が多くなることによって、体内の余分な糖がカルボニル化合物と言う物に変化します。それが体内で分解されることが追い付かなくなると、カルボニルストレスと呼ばれる現象が発生します。

カルボニルストレスは、たんぱく質を褐変反応によって糖化最終産物(AGEs)に作り替えてしまいます。そのAGEsが老化の原因であると言う話は有名ですね。

同じように脂質が酸化されることでもラジカルを通じて中間生成物のアルデヒドができることは先に説明した通りです。最も多く含まれるマロンジアルデヒドの他、4-ヒドロキシノネナールや4-ヒドロキシヘキサノール、アクロレインなどが多く見られます。

これらのアルデヒド類は毒性があり、これらによって出来上がるのが「脂質過酸化最終生産物」(ALEs)です。このALEsはAGEsと同じく細胞を傷害し、老化や病気の原因になることが判っています。

中間生成物が持つ性質の一例はてんぷらを揚げると気付く

てんぷらでなくても、から揚げやフライでもいいのですが、たくさんの揚げ物を作った人は、揚げ終わったら食べたくなくなっていると言う現象を経験されることがあると思います。

一般に「油酔い」と言う現象です。これは中間生成物であるアルデヒドの一つ、アクロレインが揮発したものを吸入し続けたことによる現象です。

アクロレインはリノレン酸が酸化された時ににできるアルデヒドです。一般の食用油にはγリノレン酸はほぼ含まれていませんので、必須脂肪酸で最近人気のαリノレン酸と言う事になります。リノレン酸は不飽和結合を3つ持っているので酸化されやすいんです。

パーム油やラードで揚げ物をしている人はあまり油酔いしません。オリーブオイルやごま油でもあまりありませんね。

逆にキャノーラ油や大豆油、調合油(サラダ油)で揚げ物をする人は油酔いがひどくなりがちです。実は、油酔いしにくい油はリノレン酸が油酔いしやすい油の1割以下しか含まれておらず、揚げ物に使った時のアクロレインの発生量が段違いに少ないのです。

アルデヒドと言えばアルコールの代謝中間産物のアセトアルデヒドが有名ですが、これも悪酔いをもたらす毒物ですね。

アルデヒドと油と言うのはイメージ的につながりにくいんですが、実は深い関係があるんですよ。

実際に動物実験でも酸化した油の肝臓への悪影響は確認されている

理屈の上では酸化した油が身体に悪影響を及ぼすことは何となく見えてきましたね。では、実際に酸化した油を食べた時にはどのような現象が起こるのでしょうか。

これは人間で調べることはできません。まさか悪くなった油を食べてもらうわけにはいかないですし、かと言って、アンケートなどから、普段の食生活でどの程度悪くなった油を食べていたかと言う調査も不可能です。そこで動物実験ですね。

実際に工場で今使っている油を使って実験した結果

良くある「極端に多い量を実験動物に与える」と言う毒性試験ではなく、私たちが普段食べているレベルのものを、実験動物が普段食べている量で与えて調べると言う実際に即した研究がありました。

内容は長いので、興味がある方には引用元で見て頂くとして、ここでは結論だけを紹介しましょう。

実験室的に極端な条件で熱酸化させた油脂中では、有毒成分の生成も多く、さらにこれをなんらかの方法で濃縮し、しかも大量に投与した場合に、実験動物に毒性が認められることはあっても、通常の加熱条件では有毒成分の生成は微量であり、

生体に対する悪影響も認知し得ない、というのが大方の見解である。

しかしながら、今回の著者らの実験の結果、揚物調理に実際に使用されている油そのものによって、生体内脂質過酸化が明らかに亢進するという事実を確認したことにより、フライ油が日常的に多用される必需食品であることとあいまって、

食品衛生上、あらためてその安全性に対する見直しが必要ではないかと考える。

この実験で見られたように、普段普通に使っている食用油であっても酸化したものを食べ続けると脂肪肝の傾向が見られるわけですので、やはり酸化した油は避けた方が良いと言えます。

また、実験のデータにあるように、脂質酸化中間生成物であるマロンジアルデヒドが検出されていますので、それの悪影響も十分考えられますね。

酸化した油を食べた時の急性症状は下痢

多少酸化した油を食べた程度では特に問題は起きません。小腸は先に紹介した連鎖反応図にあるような、酸化した脂肪酸から生成されるさまざまな物質を、ほとんど吸収せずに便に捨てると言う機能を持っているのです。

さらに、大量にこうしたものを摂ってしまった場合、小腸は腸の内壁の細胞を剥離させて、下痢と言う形で過酸化脂質を一気に排泄してしまうのです。

このような優れた防御機構があるので、毒性の高い過酸化脂質を食べてしまっても、すぐに身体がダメになると言う事はないのです。

しかし、先に紹介した動物実験では脂肪肝の傾向が見られていました。詳しいことは判りませんが、この小腸の働きをすり抜けて体内に吸収されるのはアルデヒド類が多いのです。

ですので、マロンジアルデヒドやアクロレインのような食用油からできてしまったアルデヒド類が悪影響を及ぼしているのかもしれません。

実際、油の悪くなった食品を食べると下痢しますね。あれは身体の防御機構が働いていたのです。

一方、毎回毎回小腸の内壁が剥離していたのでは、それ自体が病気を呼びます。防御機構に頼り過ぎず、悪い油を避けましょうね。

酸化した油はがんの原因になる

酸化した油ががんの原因になると言う事はよく言われています。実際、ラジカル化した脂肪酸や過酸化脂質はがんを引き起こすことが知られています。

また、過酸化脂質の中間生成物であるアルデヒド類にも発がん性を持つものが多く存在します。そういった意味からは、酸化した油はがんをもたらす可能性を持っていると言えるでしょう。

発がん性物質の遺伝毒性と非遺伝毒性

遺伝毒性と言うのは遺伝子のDNAを傷つけることでがんを発生させる性質のことです。がんを遺伝させると言う意味ではありません。

過酸化脂質や活性酸素などに含まれるラジカル類はDNAに傷を付けます。そういう意味で遺伝毒性を持つ発がん性物質だと言えます。

一方、ラジカル類は酸化ストレスが連続的に与えられ続けることによって、細胞に増殖刺激が加わり発がんに繋がると言う「非遺伝毒性的発がん性」も注目されるようになってきました。

酸化した油はこの両方の毒性を持っていることになるので、がんに繋がる可能性は高いのです。もちろん人間についての研究は不可能ですので、動物実験からの類推になります。

不思議な物質アクロレイン

先に油酔いの原因物質としても紹介したアルデヒド、アクロレインには不思議な性質があることが判っています。研究論文を見てみましょう。

【成果の活用面・留意点】

1.不飽和脂肪酸の加熱分解産物であるアクロレインが非常に強い抗変異原であることが明らかになり、抗変異原性のメカニズムの検討が容易になった。

2.過酸化脂質には発がん性があるにもかかわらず、極めて弱い変異原性が報告されているのみである。不飽和脂肪酸の過酸化物及びその分解産物に抗変異原性があることにより、過酸化脂質の変異原性が弱い理由の一部が明らかになった。

3。アクロレインには変異原性も報告されていることから、研究目的以外の使用はさけることが望ましい。

つまり、アクロレインと言うアルデヒドは、過酸化脂質由来の物質で、それ自体が発がん性を持ちながら、遺伝子が傷つけられるのを防ぐと言う性質を持っていることが判ったのです。

確定した情報ではありませんが、このことから読み取れるのは、アクロレインは非遺伝毒性的発がん性物質であると言うことです。

今のネット社会では、将来この研究の一部だけを切り取って「酸化した油はがんを防ぐ」・「酸化した油に発がん性はない」などと言う、おかしな情報が生まれかねないのでそれを予防しておくためにこのことを紹介しました。気をつけて下さいね。

特にインターネット情報ではこうした事実とは正反対の情報が発生しがちです。くれぐれも「酸化した油はがんを招く」と言う事実を忘れないで下さいね。

酸化した油の害を防ぐには酸化しにくい油を使うのが一番

このことは特に揚げ油のように大量の油を使い、しかもその場で使い切ってしまわない可能性がある油の場合に重要な意味を持ってきます。

また、あまりにも酸化しやすい油は、たとえドレッシングのように加熱せずに食べる場合でも、開封後の長期保存はしない方が良いです。室温でも自動酸化が進んでしまう可能性が高くなります。

油の酸化は脂肪酸の不飽和結合の場所で起こる

不飽和脂肪酸と言うのは、分子の中に反応性の高い水素を持っている脂肪酸と言い換えることができます。これは二重(不飽和)結合している炭素にくっついた1個だけの水素です。

活性酸素やラジカルはこの水素と反応しますので、不飽和結合の数が多ければ多いほど酸化されやすいとも言えるのです。ですので二重結合を持たない飽和脂肪酸の比率が高い油は酸化されにくいです。

また、飽和脂肪酸が少なくても1価不飽和脂肪酸(二重結合が1か所だけ)のものが支配的で多価不飽和脂肪酸(二重結合が2か所以上)の割合が低い油も酸化しにくいと言えるでしょう。

不飽和脂肪酸の代表的なものとして挙げられるのが、1価のオレイン酸、2価のリノール酸、3価のαリノレン酸、4価のアラキドン酸、5価のEPA、6価のDHAなどです。

魚に多く含まれるものは酸化しやすいと言うのは、感覚的にご理解いただけるのではないでしょうか。これらの油は酸化すると生臭くなるんですよ。

揚げ物に使うならラードやオリーブオイル

両極端のように見えて、ラードとオリーブオイルには二つの共通要素があります。一つは熱によって酸化しにくいこと、もうひとつは健康成分であるオレイン酸が多いことです。

では揚げ油に適しているかどうかについて、脂肪酸の比率から見てみましょう。具体的な脂肪酸の名前を書きだすと大変なので、飽和・1価不飽和・多価不飽和に分けて見ます。

油脂100gに対して脂肪酸の含まれている量ですので、合計しても100にはならないし、油ごとに合計の数値も変わってくることを予めご理解ください。

油脂名 飽和脂肪酸 1価不飽和脂肪酸 多価不飽和脂肪酸
ココナッツ油 83.96g 6.59g 1.53g
バター 50.45g 17.97g 2.14g
オリーブオイル 13.29g 74.04g 7.24g
パーム油 47.08g 36.70g 9.16g
ラード 39.29g 43.56g 9.81g
高オレイン・紅花油 7.36g 73.24g 13.62g
キャノーラ油 7.06g 60.09g 26.10g
ひまわり油 8.85g 57.22g 28.09g
ピーナッツ油 19.92g 43.34g 29.00g
米油 18.80g 39.80g 33.26g
サラダ油 10.97g 41.10g 40.94g
ごま油 15.04g 37.59g 41.19g
コーン油 13.04g 27.96g 51.58g
綿実油 21.06g 17.44g 53.85g
大豆油 14.87g 22.12g 55.78g
グレープシードオイル 8.90g 16.55g 72.70g

熱による酸化と言う部分だけで見た場合の耐久能力の順、つまり多価不飽和脂肪酸の少ない順に並べてあります。上の5つは多価不飽和脂肪酸が1桁なので、まずまず揚げ油としては適していると言えるでしょう。

一方、油が健康に与える影響を考えた場合、ココナッツ油とバターは飽和脂肪酸が多すぎますね。もちろんこの二つの飽和脂肪酸は短鎖・中鎖も含まれていますが、それでもそれは一部に過ぎません。揚げ油としてはちょっと厳しいです。

ですので、オリーブオイルとラードが揚げ油として最も適しているでしょう。パーム油も次点で合格です。ここには記載していませんが、牛脂と椿油も良いですよ。

とは言え、オリーブオイルと椿油以外は、やはり揚げ物を毎日食べるような人では飽和脂肪酸の取り過ぎに繋がるので、控えた方が良いかもしれません。

果実から油を搾るため、オリーブオイルをフレッシュジュースに例えることがありますが、扱いとしてフレッシュジュース扱いしなければいけないのはグレープシードオイルですね。

ここまで多価不飽和脂肪酸が多いと、室温保存は自動酸化を進めてしまいます。少なくとも冬場以外は冷蔵保存して、開封後2週間ぐらいで使い切った方が良いと思います。もちろん加熱した使い方はお勧めできません。

揚げ油を1回で捨てるのはもったいない?

確かにもったいない気がしますよね。でも健康のことを考えた場合、1度使った揚げ油は捨てた方が良いでしょう。どうしてももったいないからもう一度使いたいという場合は、翌日にもう一度揚げ物に使う程度なら良いかもしれません。

しかし、その場合でも油をてんぷら鍋やフライヤーに入れっぱなしにしてはいけません。金網とろ紙を使って油を濾した上で金属製のオイルポットに移して保管しましょう。

油のろ過は、油が熱いうちに行ってください。ただし、油はねが危険ですので、100℃以下に冷ましてからの方がいいですね。オイルポットに移したら、ポットごと冷水につけて、できるだけ早く温度を下げます。火傷にはくれぐれも注意して下さい。

保管した油は、翌日にもう一度揚げ物に使うか、一部を炒め物などに使って、それで残った分はてんぷら油の回収に出して下さい。例えば名古屋市では次のように回収しています。

名古屋市:家庭系使用済み天ぷら油(廃食用油)のバイオディーゼル燃料化事業(暮らしの情報)

全国の自治体でもこのような取り組みは様々な形で行っていますので、お住まいの地域についてインターネットで検索してみて下さい。キーワードは「使用済みてんぷら油 回収 お住まいの自治体名」でOKです。

中華料理で使う技法の「返し油」も酸化を進めます。

ですので高火力・短時間調理を行える設備を持っていない一般家庭では、あまり真似しない方が良いと思いますよ。

食べ物由来の抗酸化物質で体内での脂質の酸化を防ぐ

過酸化脂質は小腸でブロックされるとは言え、ある程度は身体に取り込まれることはお話しした通りです。これが身体の細胞膜に悪影響を与えないようにするには、食べ物から摂る抗酸化物質が有効であることが判っています。

特にプロビタミンAであるβカロテンなどのカロテノイドと、ナッツなどに多く含まれるビタミンEが非常に役に立ってくれます。

カロテノイドは紫外線による酸化を防止してくれる

体内にある普通の酸素分子は、皮膚などで紫外線を浴びると励起と言う現象で活性酸素種の一つ一重項酸素に変化します。これが脂質と結びつくと過酸化脂質が出来上がってしまうのです。

カロテノイドはこの一重項酸素を安定化させて活性酸素から普通の酸素に戻してくれる働きを持っています。

また、最初の方で紹介した一連の流れの絵の中で、過酸化脂質ラジカルが他の遊離脂肪酸をラジカル化することから連鎖反応が始まることをお話ししました。

カロテノイドはこの連鎖反応を壊し、他の脂肪酸がどんどん酸化すると言う流れを断ち切ってくれるのです。

ですので、βカロテンを多く含む緑黄色野菜や、キサントフィルを多く含むみかん・鮭などを上手に利用しましょう。

ビタミンEは連鎖反応を止め二次生成物も作れなくしてくれる

ビタミンEはビタミンCとのコンビで全部の活性酸素を処理してくれる優秀な抗酸化物質です。ここでも、脂質のラジカルを処理した後ビタミンEラジカルになってしまうのですが、それはビタミンCや酵素が元に戻してくれるようになっています。

まずは上の図で出てきた、活性酸素や過酸化脂質ラジカルが遊離脂肪酸をラジカル化することを防ぎ、脂肪酸ラジカルの生成を抑えます。

さらにできてしまった脂肪酸ラジカルが酸素を取り込んで過酸化脂質ラジカルになることを防ぎます。こうして脂肪酸がラジカル化することを防いでくれるだけではありません。

ラジカル化した過酸化脂質が安定化した中間生成物のアルデヒドなどに変わる前にラジカルでなくする働きを持っているので、アルデヒドなどの毒性のある中間生成物の生成も抑えてくれるのです。

ですので、ナッツ類を上手に摂ることで抗酸化物質を体内に取り込んでおくことがお勧めです。

食用油脂については奥が深いのでなかなか語りきれませんが、ここでお話ししたようなことを意識されるだけでも、かなり健康的になれると思いますよ。
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