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脂肪肝の原因と症状は?治療、改善のために知っておくべきこと

私たちの体内には重要な臓器がたくさんあって、そのいずれもが互いに連携しあって私たちの健康をつくってくれています。つまり、どこかひとつの臓器にトラブルが生じることによって、他は健常でも健康が害される可能性は高いのです。

人間というのは不思議なもので、自分の臓器が大切だということは重々理解しているものの、どこか他人任せというか、臓器は臓器で「私」から独立して機能している器官であるように感じてしまうことがあります。

それを証拠に、たとえばお腹の痛みを感じるケースでは、半数はその理由に心当たりがあるものの、残りの半数はまったく心当たりがないというのが実際のところでしょう。つまり、自分の臓器であるにもかかわらず、正しく理解できていないのです。

中でも、「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓のトラブルは非常に多く、概して厄介です。今回はその最も初期的なトラブルである「脂肪肝」についてお話します。

脂肪肝ってどんな疾患なの?症状と原因について

上で「沈黙の臓器」と書きましたが、これは、「肝臓は少々傷んでも痛みなどの不快を伴わず頑張り続けてしまう臓器」という意味です。

それだけに、肝臓が疲弊していたとしても、私たちはそのままの生活習慣を続け、肝臓の状況を悪化させてしまいます。

その結果至るはじめの段階が「脂肪肝」です。ですから脂肪肝は、生活習慣病の典型的な疾患であり、その症状を自覚することがほとんどない疾患であるといえます。だからこそ、逆に怖い病気でもあるといえるのです。

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何をもって「脂肪肝」とするのか

脂肪肝という概念自体はなんとなくわかっている人が多いと思います。ただ、自覚症状がない上、肝臓という目に見えない臓器ゆえ、イマイチつかみどころのない疾患というイメージもあるかと思います。

ですからここで、まずは脂肪肝についてある程度明確なイメージを与えていきたいと思います。それでは、まずは脂肪肝を明確に定義し、その症状と原因に言及していくことにします。

脂肪肝
主に中性脂肪(健康診断では「トリグリセライド」の数値を参照)が肝臓に蓄積される疾患

私たち人間は、過度に脂肪を摂取し、その脂肪を燃焼させないままでいると、どんどん太ってしまいますが、その状況が現れる前に、まずは肝臓がそのような事態にさらされます。その状況が、脂肪肝です。

つまり、脂肪肝の原因は、中性脂肪を蓄積させる生活習慣にあると断言できます。

中性脂肪を蓄積させる生活習慣とは、

  • 食べ過ぎ(特に炭水化物・糖質)
  • お酒(アルコール)の飲みすぎ
  • 運動不足

などです。

日本人の4人に1人が脂肪肝を発症しているとするデータもすでに公表されていますので、多くの日本人が生活習慣に何らかの問題を抱えているといっても過言ではない状況に置かれているのです。

参考として、正常な肝臓と脂肪が付着した肝臓を画像で比較してみましょう。以下のCT画像をご覧ください。

正常な肝臓と脂肪肝のct撮影画像

赤まるで囲まれた部分にご注目いただきますと、正常な肝臓にくらべて黒っぽく見えるかと思いますが、実はこの部分が脂肪肝の「患部(脂肪が付着した部分)」になります。もちろん他の部位に脂肪が付着することもあります。

肝機能検査(健康診断や血液検査)で

  • ALT(GPT)
  • AST(GOT)
  • ɤGTP

などの数値が高くなることがあります。どれもすべて高いこともありますが、どれか1つだけ、もしくは2つだけ高くなるケースもあります。

これは、脂肪が付着した肝臓(肝細胞)の部位によって高くなる項目が異なることを意味します。たとえば、ALT(GPT)だけ高い、あるいはAST(GOT)だけが高いといったケースも、付着した脂肪の部位が異なることで起こります。

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脂肪肝にはいろいろな種類がある!飲酒との関係

かつて脂肪肝は、特にお酒が好きな人にとっては、そこまで重大な疾患ではないと考えられてきた時代もありました。しかし健康への関心が高まるにつれ、脂肪肝は決して軽んじるべきではない疾患であると、改めて認識されるようになってきています。

そんな中で見直されるようになってきたのが、脂肪肝の種類です。実は脂肪肝には、「飲酒習慣がある人の脂肪肝」と「お酒を飲まない人の脂肪肝」とがあるのです。ここでは、その2種類の脂肪肝についてお話を進めます。

飲酒習慣がある人の脂肪肝とは?

脂肪肝と飲酒習慣の関係は非常に密接です。アルコールを特別過剰に摂取しているという人ではなくても、飲酒習慣があるというだけで、脂肪肝を発症している日本人は非常に多いといわなくてはなりません。

飲酒習慣による影響で脂肪肝はある意味当然の結果ともいえます。実は、継続的なアルコール摂取によって、脂肪肝がさらに悪化した「アルコール性肝障害」へのリスクを高めてしまうことになります。

アルコール性肝障害は、アルコール性肝炎をはじめとして、最悪の場合死につながる疾患群です。これが、「飲酒習慣による脂肪肝を軽視すべきではない」と考えられるようになった最大の理由です。

飲酒習慣がない人の脂肪肝とは?

飲酒習慣がないのに脂肪肝になることがあるの?と思うかもしれませんが、実は、同じ脂肪肝でも、アルコール摂取の習慣がない人の脂肪肝のほうがより危険であると考えられているのです。

飲酒習慣がない人の脂肪肝(つまり、アルコールと無関係に起こる脂肪肝)および肝臓のトラブルを、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼びます。NAFLDはnonalcoholic fatty liver diseaseの頭文字を採用した略称で、「ナッフルディー」などと呼ばれます。

NAFLDがさらに悪化した結果発症した肝炎を「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」と呼びます。NASHはNon-alcoholic steatohepatitisの頭文字で「ナッシュ」と呼ぶことが多いです。NASHを発症すると、最悪の場合死に至ります。

確かにNAFLD、NASHの患者さんは、アルコールこそ過剰摂取などの悪しき習慣があるわけではありませんが、しかしメタボリックシンドロームや糖尿病、脂質異常症(コレステロールの異常)などの何らかの疾患がすでにある患者さんが多いです。

つまり、飲酒習慣以上に、より「病気による肝臓の損傷」の可能性が高いことを意味します。これが、NAFLDやNASHの怖いところなのです。

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「飲みすぎ」と脂肪肝の関係は?

ときおり奥様から「飲みすぎだからそろそろやめておけば?」などと言われる男性もいると思います。そういうとき、医者でもないのに「飲みすぎ」なんてどうしてわかるのだ・・・などと反論しないほうが無難です。

ただ、お酒が好きな人はなんだかんだ理由をつけて飲みたがるものなので、耳が痛いと感じる男性も(もちろん女性も)多いのではないでしょうか。こんなご夫婦の何気ない会話ですが、ちょっと注意していただきたいところがあります。

それは、「飲みすぎだから」という部分と、「医者でもないのに」という部分です。お酒を飲みたくて仕方がない人からすれば、「医者でもない」はずの奥様から「飲みすぎ」だといわれることが、無根の言いがかりのように感じられるのです。

何をもって「飲みすぎ」なのかということがはっきりしていないために、「あなたは飲みすぎなの!」、「いやいや、まだまだ全然飲みすぎじゃないよ!」の口ゲンカが始まってしまうことになるのです。

明確な「飲みすぎ」の分量が決まっているか、お医者さんが「飲みすぎ」と判断するかどちらかであれば、それ以上飲んでしまう人も減るはずです。実は厚生労働省では「飲みすぎ」に関するガイドラインも公表しています。

飲みすぎということばはつかわれていませんが、一般に、「20mL」が1日あたりの最大アルコール摂取量の推奨になります。つまり、20mL/日を超えるアルコール摂取量は、飲みすぎであると解釈される場合が多いのです。

ただし、肝臓の分野の専門的なお医者さんに言わせるなら、おそらくこの発想は正しくなと感じるはずです。なぜなら、アルコール代謝をはじめとする肝機能には比較的大きな個人差があるからです。

つまり、ある人にとって20mLは飲みすぎであっても、ある人にとってはまったく飲みすぎではない、あるいは10mLでもすでに飲みすぎである人もいるからです。ですから、あくまでも20mLは目安の量であると解釈していただきたいと思います。

もちろん、目安だからといって、自分はまだ大丈夫と根拠なく考えるのは大問題です。そういう意味でも、「20mL」のアルコール摂取量は、上限としてはとても大きな意味のある数値であると考えるべきでしょう。

脂肪肝をどうやって改善するか?肝臓病の分類やがんの原因からみてみる

脂肪肝を放置して変わらぬ生活習慣を継続することで、やがて肝炎を発症し、さらに症状が悪化すると、今度は肝臓組織に線維化が見られるようになります。この状況は肝線維症や肝硬変といった重篤な状況であるといわなければなりません。

肝臓の線維化を表したイラスト

線維化というのは、肝細胞が死ぬことで至る状況です。それゆえ残念ながら現代の医学では線維化した肝臓を元通りにすることができません。できるとすると、これ以上症状を悪化させないための治療です。

ちなみに、肝線維症や肝硬変の段階まで状況が悪化すると、その後肝臓がんの発症リスクが急激に高まることが知られています(下の画像・上)。実際、肝臓がん患者さんの多く(全体の1割程度)が、肝線維症や肝硬変を経由しているというデータ(下の画像・下)もあります。

肝臓病の分類

肝臓がんの原因

そうならないためにも、脂肪肝にはならないこと、そして万一脂肪肝になってしまったら、できるだけ症状を改善することが重要です。線維化した肝臓とちがって、脂肪肝なら十分に回復可能な状況なのです。

そこでここからは、「脂肪肝からの脱却」をテーマとして、大きく2とおりの方法を考察していきたいと思います。アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝疾患それぞれについて脂肪肝の改善方法をご紹介します。

アルコール性脂肪肝の改善方法

まずはアルコール性脂肪肝の改善方法です。と、改まって書きましたが、アルコール性脂肪肝は「アルコールが原因の脂肪肝」ですから、ひとことでいえば、アルコールの摂取量を減らす方法しかありません。

ただ、それはわかっていてもなかなか飲酒習慣から脱却できない人もいると思います。これはいわゆる「アルコール依存症」です。ぼくは、私はお酒は好きだけれどアルコール依存症ではない・・・と言い張る人もいます。

しかし、20mLの上限を超えない飲酒習慣が難しいと感じる時点で、残念ながらその人はアルコール依存症である可能性が非常に高いといわなければなりません。このケースでは、考えられる改善方法は2つあります。

  • ひたすら飲酒をがまんして、禁酒もしくはアルコール摂取量を減らす
  • 精神神経科で治療を受け、精神病薬などを服用する

という方法です。あまり難しく考える必要がないという意味で、アルコール性脂肪肝はシンプルです。ただ、依存症ともなると、その軽重によってはなかなか厄介な病気であると考えなければならないケースもあるのです。

もちろん、アルコール性か非アルコール性かにかかわらず、運動による脂肪の燃焼は必ず意識していただきたいと思います。

非アルコール性脂肪性肝疾患の改善方法は?

飲酒習慣がない人が脂肪肝になるということは、上でもすでにお話したように、肥満やメタボ、糖尿病など、何らかの疾患が原因になっていると考えられます。そもそもお酒とは無関係の脂肪肝ですから、禁酒、減酒とは別の方法を模索する必要があります。

とはいえ、肥満、メタボ、糖尿病とくれば、やはり「ダイエット」が非アルコール性脂肪性肝疾患の改善のためには必要であることが想像できるかと思います。お酒と無関係の脂肪肝は、ダイエットによって改善します。

ただ、一般的なダイエットにくらべて、脂肪肝脱却を目指すためのダイエットにはより厳密さが求められます。というのも、過度なダイエット(過度な食事制限)は逆に肝臓を傷めてしまうリスクがあるからです。

肝臓にダメージを与えることなく脂肪肝を回避する有効なダイエットの方法を採用する必要があるのです。そのためにより重視したいのが、「運動療法」です。あまりにも食事にこだわりすぎると、肝臓へのダメージのリスクが大きくなるのです。

これまで運動不足だったという自覚がある人は、「1日30分以上のウォーキング」を目標にしましょう。まずはウォーキングを採用し、一定期間経過後、肝機能をチェックしてみてください。

それで効果が現れているようであれば、この習慣を継続的に行います。もし効果が現れていなかったら、そのときはじめて食事制限、ウォーキング以外の有酸素運動、筋トレなどの無酸素運動を取り入れるようにします。

このことは、すでに運動習慣がある(飲酒習慣はない)脂肪肝患者さんのダイエット方法にも通じます。いずれにしても、非アルコール性脂肪性肝疾患の改善は、急激に行わず、徐々に段階を踏んで行うことが最重要であることを認識してください。

脂肪肝を病院で治療することもある!病院での治療法とは

アルコール性脂肪肝の場合、基本的にはアルコール摂取制限がメインの脂肪肝治療の方法です。非アルコール性脂肪性肝疾患の場合、ダイエットがメインになります。つまり、脂肪肝の治療は「自分の意志」に重きが置かれることが多いのです。

しかしもっと踏み込んで、病院で脂肪肝を治療するケースがないわけではありません。アルコール性肝疾患の場合は、精神神経科への通院、処方薬の服用などが病院で行われる治療になります。

非アルコール性脂肪性肝疾患の場合、一般病院(内科・胃腸科)や専門クリニックで治療を受けることができます。中には「脂肪肝外来」なる専門科が設置されている病院・クリニックもあります。

もちろん、上記のダイエットがなかなかうまくいかない患者さんが利用するケースも多いですが、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、高血圧など、合併症もしくは脂肪肝の原因となる疾患がある患者さんは、医療機関での治療になる場合が多いです。

それではここからは、非アルコール性脂肪性肝疾患の病院における治療方法をご紹介します。

病院ではどんな方法で脂肪肝(非アルコール性)を治療する?

かつて「肝臓の治療薬はない」などと言われたこともあったようですが、近年では、割と積極的に肝疾患向けの治療薬投与が病院での治療として行われます。その代表ともいえるのが、「ウルソデオキシコール酸」と呼ばれる主成分の薬です。

ただし、脂肪肝を改善するというよりは、予防薬的に用いられることが多いのが、ウルソデオキシコール酸を配合した治療薬であると考える必要があります。あくまでも、生活習慣の改善がメインとなるのが脂肪肝治療なのです。

ウルソデオキシコール酸には、以下のような効果・効能があります。

有効作用 作用の説明
①肝細胞の保護 肝細胞を保護することで、各種肝障害を抑制する
②栄養素の効率的な吸収促進 食物に含まれる脂肪の脂溶性ビタミンの吸収を促進
③利胆作用の促進 肝臓から分泌される胆汁酸(脂肪を包み込み、小腸から吸収されやすくする消化液)の分泌量を増やす
④消化不良の改善 消化吸収の過程で消化酵素の働きを補助し、脂肪の吸収を促進することで食べ過ぎ、胃もたれ、消化不良などの不快な症状を改善する

上記を全体的なイメージでとらえると、以下の模式図に表すことができます。

ウルソデオキシコール酸の作用

上記の治療薬は一種のビタミン剤として市販されている医薬品ですが、使用の際は必ず病院で医師に相談してください。本来であれば、医師の処方に基づいて使用するのがベストです。

他にも、肝機能検査の結果次第でゼチーアと呼ばれる医薬品が処方されることもありますし、また他にも、薬ではありませんが、肝機能を高める効果が期待されるタウリンを配合したサプリメントが使用されることもあります。

「沈黙の臓器」だからこそいたわってあげてほしい

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、少々のダメージでは音を挙げることなく自分の仕事を懸命にこなそうとする臓器です。それゆえ、何らかのトラブルがあっても自覚症状を感知しないケースのほうが多いです。

誰もがご自身の健康を害さないように注意しながら生活したいと、頭ではそのように考えているはずです。しかしそれでも、肝臓の沈黙に何かを察知できないために、肝臓に余剰な脂肪を蓄積させてしまうことになります。

脂肪肝がその後の大きな肝疾患へのはじまりとなるお話はすでにしてきたとおりです。それだけに、いかにして脂肪肝にならないような生活習慣を送るかを、もっと強く意識する必要があります。

しかし現状は、「日本人の4人に1人が脂肪肝」なのですから、脂肪肝になってしまったあとのことを多少なりともケアしておく必要があるでしょう。要は、自分が脂肪肝かもしれないと疑っておく必要が常にあるのです。

そのためには、定期的な肝機能検査、血液検査を受けることが大切です。肝機能の数値が正常値を飛び出しているなら、いくら肝臓が沈黙していたとしても、さすがに警戒を怠るようなこともないはずです。

普段の生活の中で予防の意識を持ち、定期的な検査で「万一のためのケア」を怠らないことが、脂肪肝対策として最も重要なことであるといえるでしょう。

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