健康生活TOP 運動 激しい運動後に血尿が!血尿の原因は病気?受診してほしい症状とは

激しい運動後に血尿が!血尿の原因は病気?受診してほしい症状とは

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運動後に尿が赤くなることはそれほど珍しいものではありません。珍しいものではないだけに「運動後の血尿は心配ない」と言う迷信がまかり通っているのは困ったものです。

運動の後の血尿は危険なのです。何が危険かと言うと「実は重症・重傷なのに、心配ないと思い込んでしまうこと」です。運動後の血尿の中には危険な物、警戒すべきものが含まれている可能性を忘れてはいけません。

黄色くない尿・濁った尿は異常があると考える

今回の話題である血尿と言う物は、非常に色の範囲が広いものですので、カラーチャートなどは提示しないことにします。

これは、皆さんがご覧になって「この中に当てはまるものがないから大丈夫だ」と勘違いしてしまわれないようにと言うことからなので、どうかご理解ください。

尿の正常な色の範囲は、ほぼ無色に近い黄色から淡い黄色までの範囲です。そしてもう一つ重要なのは「濁りがないこと」です。これに当てはまらない尿には何らかの異常があると考えて下さい。

尿の色が黄色であれば、多少色が濃くなっても、それは水分不足ですのですぐに水分を補給すればOKです。

蛍光レモンイエローになった場合は、ドリンク剤やビタミン剤、ビタミン入りの注射や点滴を受けてないかを思い出してください。ビタミンB2が代謝されて尿に出ると、ビビッドな蛍光レモンイエローになります。

一方、色が薄くても色味がオレンジ色になったら血尿の可能性があります。どす黒い暗紅色の尿も血尿です。これは血液がどれくらいの濃度で含まれているのかで変わります。

さらに、黄褐色・茶色・茶褐色などの尿も血尿かその仲間である可能性があります。

ですので、今回お話しする尿の異常については、「黄色くない尿」のことだと考えて読んでもらえるようにお願いします。

激しい運動では腎臓に負荷がかかって組織が壊れ血尿が出る

コンタクトスポーツでは、言うまでもなく腎臓に直接衝撃が加わって組織が傷つき血尿が出る場合があります。しかし、別の研究ではコンタクトスポーツとそうでないスポーツの間に差がないと言う物もあります。

いずれにせよ、スポーツと血尿の関係は深く、データによってばらつきはありますが、運動後に尿検査を行って血尿が見られた割合は、1/3から半分と言う高頻度に上ります。

外傷性の血尿は腎臓以外からの出血によるものもある

直接身体同士がぶつかり合うスポーツをコンタクトスポーツと言いますが、これは格闘技だけではなく、サッカーやフットボール、ホッケーなども含みます。

もちろん身体がぶつかると反則を取られるスポーツでも、ぶつかり合う可能性のあるバスケットボールなどもコンタクトスポーツと考えて良いでしょう。

テニスやバレーボールなどのように、コートが完全に仕切られていて、相手の選手と身体の接触が起こりえない物はコンタクトスポーツとは言いません。

当然、コンタクトスポーツで腎臓を強打した場合には、ダメージが起こって血尿に繋がることもあります。しかし、意外なほど腎臓のあたりを強打することと言うのは少ないのです。

ボクシングには、キドニーブローと言う腎臓を狙ったテクニックがありますが、背中側を狙って打つのは反則になりますから、相手が身体をひねった瞬間とか、クリンチの際に狙うとか、結構高度なテクニックなのです。

このため、ボクシングで血尿が出る割合は、キドニーブローによるものより、試合時間が長い時の方が多いと言うデータもあるぐらいです。

実際、外傷性で最も多いと考えられているのは、腎臓に対して長時間振動が加えられたことによる腎臓の損傷です。マラソンなどの長距離走では腎臓由来の赤血球が尿に出ていることが良く観察されます。

一方、コンタクトスポーツではない物としては自転車競技がありますが、長時間自転車に乗ることで膀胱や尿道、男性の場合前立腺にダメージが出て血尿が現れる場合もあります。

場合によっては、前立腺がん検査で使われる、前立腺特異抗原(PSA)の血中値が上昇する場合もあります。こうしたものは一種の怪我ですので、出血があるのは当然ですね。

非外傷性では血液の動態によって尿に血が入る

運動すると、血液は筋肉の方にたくさん持って行かれます。そうなると必然的に腎臓に回ってくる血液の量は減ることになりますね。激しい運動になると、腎臓を通過する血液の量は1/4にまで減ってしまうことが判っています。

つまり、腎臓が虚血状態になると言うことです。そうなった場合、腎臓の中で血液のろ過を行っている糸球体と言う部分の透過性が高まります。

糸球体の透過性が高まると、赤血球など、普段は尿の方に移行しない大きな物質も、ろ過部分を通過してしまうため血尿となって表れるのです。この時にアルブミンと言うたんぱく質も一緒に尿に出て、尿たんぱくが陽性になることもあります。

さらに、運動すると血管が収縮します。特に腎臓の中の細い動脈が強く収縮することで、ろ過部分の内圧が高まります。内圧が高まると、ろ過部分から外に流れ出す物質の量が増えます。

その結果、さらに血尿や尿たんぱくが多く検出されるようになるのです。

ここで言う血尿は、本当に血液が尿に混じって出てきている物です。これだけでは心配ない物か危険な物かの判断はできませんが、どこかに出血するだけのダメージが存在していると考えるべきでしょう。

色素成分が尿に出てくる症状は危険性があるので注意

血液の色素と言えばヘモグロビンですね。ヘモグロビンは通常赤血球の中にあるので、上でお話ししたように赤血球自体が尿に出てこない限り、尿に色を付けることはありません。

しかし、赤血球が壊れる「溶血」と言う現象が起こると、その限りではないのです。しかも、ある程度たくさん壊れないと尿には出てこないので警戒はしておいた方が良いですね。

行軍性血色素尿症は軍隊の更新で見られたことから付いた名前

名前の通り、軍隊の行軍のように足の裏に強い力が繰り返し長時間かかり続けることで、足の裏の血管の中で赤血球が壊れる溶血と言う現象が起こるのが、この症状のメカニズムです。

その他にも長距離走のように、長時間足の裏に力を加え続けるスポーツや、剣道のように強い踏み込みを行う武道でも発生します。剣道の場合は、足の裏を保護するものがないため、他の競技などに比べると、短時間でも起こりやすくなる可能性はあります。

血管の中で赤血球が壊れると、赤血球の中にあって酸素を運ぶ役割を担っているヘモグロビンと言う色素が血液中に流れ出します。

この遊離したヘモグロビンが腎臓に届いてしまうと2つの不具合が発生します。1つはヘモグロビンに含まれている鉄が尿の中に捨てられてしまうため、量が多すぎると貧血につながりかねないと言うことです。

この部分は健康なアスリートならそれほど問題はありませんし、鉄分もしっかり食べれば補充可能ですからそれほど心配はありません。

問題はもう1つの現象です。ヘモグロビンは腎臓のろ過フィルターである糸球体を通り抜け、尿細管でヘムとグロビンに分解されます。このヘムですが、実は尿細管の上皮細胞に対する毒性を持っているのです。

ですので、溶血のレベルにもよりますが、放置すると腎障害を起こす恐れもありますので、決して軽く見てはいけないのです。

実際には、血液中で赤血球が壊れる溶血が起こり、ヘモグロビンが放出されると血液中にあるハプトグロビンと言う、ヘモグロビンとだけ結びつくことのできるたんぱく質が、素早くヘモグロビンと結合して鉄分の回収と毒性の抑制を行っています。

ハプトグロビンは遊離したヘモグロビンを捕まえると、血流に乗って肝臓にヘモグロビンを送り届け、正常な代謝経路に載せます。

ところが、高度の溶血が起こってしまうと、ハプトグロビンが枯渇して回収しきれないヘモグロビンが腎臓を通って排泄されてしまいます。これがヘモグロビン尿症で、実際の尿の色は血尿と言っても茶色に近い色であることが多くなります。

こうした症状は一過性で終わることもありますが、尿細管が壊死して腎不全を起こすこともありますので油断はできません。赤褐色から茶色っぽい血尿が出たら、できればその尿をコップにとって病院に持ち込みましょう。

経過観察だけで済む場合もありますが、溶血が高度であると判断された場合、ハプトグロビン製剤の点滴を行う場合もあります。原因になる赤血球破壊が続いていない場合、ハプトグロビン製剤を使用すれば数分で遊離ヘモグロビンは血液中からなくなります。

ミオグロビン尿は筋肉の色素に由来する

お肉屋さんで精肉を見ると赤い色をしていますよね。あの赤い色は、ヘモグロビンと同じヘムを構造中に持つミオグロビンと言う色素の色なのです。

はげしい運動によって筋肉が傷つくと、このミオグロビンが血液中に流れ出します。ミオグロビンはヘモグロビンの1/4の大きさしかありませんので、腎臓の糸球体も簡単に通り抜けてすぐに尿細管の方へ行ってしまいます。

すると、ヘモグロビン尿症の時と同じように、腎臓の尿細管が壊死して腎不全に繋がることもあるのです。

筋肉が傷ついてミオグロビンが尿に出ると言うことは、同時に筋肉から乳酸やカリウムも血液中に流れ出しています。このカリウムの量が多くなりすぎると、突然死の原因になることもありますので油断できません。

ミオグロビンが尿に出ると、ヘモグロビンの時よりさらに茶褐色寄りの色になります。そうした尿が出たら、急いで受診して下さい。

このミオグロビン尿は事故などで強い衝撃を受けた時に起こる「クラッシュ・シンドローム」や、脂質異常症のお薬の副作用で起こる「横紋筋融解症」でも発生します。

いずれも筋肉の組織が破壊されることで起こっていますので、激しい運動で筋肉の痛み方がひどすぎた場合と同じ原理で尿の色が変わります。

ミオグロビン尿が出るくらい筋肉が痛んでいる場合は、尿の色の異常に伴って四肢や腹部の筋肉痛や全身倦怠感が起こることが知られています。

クラッシュ・シンドロームは阪神大震災の折、建物の下敷きになった人たちに発症が多く見られたことで一気に有名になりましたね。

血尿を見たら取り敢えず一度受診した方が安全

スポーツによる血尿は、多くの場合経過観察だけで問題なく治ってしまうものですので、それほど心配する必要はありません。しかし、一旦悪化した場合、重症化しやすいので早い段階で受診しておくことが勧められるのです。

特に「本当の血尿」は若い人の場合、膀胱炎でも起こしていなければ、大抵の場合お薬も必要ないでしょう。一方、中年以降は別の病気が隠れている可能性を考えて受診することをお勧めします。

背中や脇腹の痛みがある時は絶対に受診すること

まず本当の血尿、つまり血液そのものや赤血球がそのまま尿に混じり込んだ場合ですが、若いアスリートならほとんど問題はないと思われます。しかし、血尿と同時に背中や脇腹、場合によってはお腹も含めて痛みがある時は必ず受診して下さい。

これは、組織の損傷が思ったより大きくて痛みを感じている可能性があるからです。また、たまたま激しい運動の後に現れたと言うタイミングの一致で、実際には結石による出血と言う可能性もあります。

さらに、30歳以上の中年層以降では、尿路にできた腫瘍の可能性も考えておかなければいけません。血尿が出たら念のため受診しておきましょう。

目に見える血尿は消えていても、顕微鏡的には血尿が継続している場合も少なくありません。

茶色い血尿は色素尿なので必ず受診する

本当の血尿は血が混じった色のため赤い尿ですが、ヘモグロビンやミオグロビンが混じり込んだ尿は茶色がかっています。場合によっては茶褐色であることも珍しくありません。

こうした色の尿が出た場合は、重症化すると腎不全につながりかねませんので、年齢性別に関わらず、必ず受診して検査を受けましょう。

基本は検尿ですが、その結果いかんによってはさらに詳しい検査が行われますし、すぐに治療に取り掛かる必要があるかもしれません。

全体から見れば、血尿も色素尿も、重症であることは少ないのですが、放置して重症化してしまった場合、完治しない可能性も考えなければいけないので、面倒がらずに受診することが非常に大切なのです。

スポーツに伴う血尿は心配ないと言うのは、古い時代の迷信です。検査自体は手間のかかるものではないので、すぐに病院へ出かけて初期の診断を受けて下さい。

血尿が出たこととスポーツが関係していない可能性もある

先に少し触れたように、たまたま激しいスポーツの後と言うタイミングで血尿が出ただけで、実際の原因が他にある場合もあります。

それを「スポーツに伴う血尿だから心配ない」と放置して悪化させてしまうのは不運以外の何物でもありませんが、「念のため受診しておこう」と病院に行って病気を早期発見できれば、血尿が出たことは非常に幸運だったと言うことになりますね。

スポーツの時の血尿で疑うべき他の病気

中高年での血尿で一番警戒しなければいけないのは「がん」です。膀胱がんでは初期症状として一過性の血尿が良く見られます。膀胱に関しては膀胱炎でも血尿が現れることが良くありますが、膀胱炎の場合頻尿や排尿痛などの症状が現れやすいので気づきやすいでしょう。

一方、膀胱がんは不快症状を伴わないことが多いので、見落とされがちなのです。ですからスポーツの後であっても、血尿が出たら必ず受診して、がんの可能性を排除しておくと安心ですね。

膀胱がんはそれほど頻度の高いがんではありませんし、50代以降に見られやすいのですが、若い人に全くないと言うわけではありません。

また、膀胱の中と同じ尿路上皮と言う組織で覆われている、尿管や腎臓の出口である腎盂などにも同じタイプのがんができますし、血尿以外の初期症状が見られないと言うことも共通しています。

一方、腎臓の本体部分にできる腎細胞がんでも血尿が現れますが、同時にお腹にしこりを感じたり脇腹の痛みが出る場合もあります。

さらに、40歳以降の男性の場合は、念のため前立腺がんの検査を受けた方が良いかもしれませんので、病院で相談してみてください。

がんや膀胱炎以外で血尿が見られるものに腎盂腎炎があります。しかし、急性腎盂腎炎では発熱や悪寒、脇腹から背中や腰の痛みなど特徴的な症状が伴いますので、すぐに異常に気付けるでしょう。

たまたまスポーツの直後に発症したとしても、スポーツとは関係なく発生する病気です。

若い世代ではIgA腎症に注意が必要

IgA腎症と言うのは、免疫機能に重要な役目を持っている抗体の一つ、免疫グロブリンA(IgA)と言う物質が、腎臓に沈着してしまう病気で、難病に指定されています。

小学校高学年以上に現れやすい病気で、学校の検尿で引っかかって見つかるケースが多いです。しかし、中には目で見てわかる血尿が出ることもあるので、スポーツの際に血尿が出たら、念のため検査を受けておきましょう。

この病気は短期的にはそれほど悪化する病気ではありませんが、大人で20年後には30%~40%が人工透析が必要になるとされています。また、小児では15年後に11%が人工透析の導入が必要になっています。

ですので、出来るだけ早く発見して適切な治療を行い、腎症の悪化を少しでも遅らせることが大事になってきます。

今のところ完治は難しいようですが、悪化させずに安定させることができない訳ではありませんので、早期に治療を開始することが求められています。

血尿によって、より重い病気が偶然発見されると言うのは、本当にラッキーなんです。病気は一日でも治療開始が早いと改善率が高くなることは間違いないのですよ。

水分摂取で悪化を予防し経過観察を行う

例えば、スポーツのパフォーマンスを上げるために、クレアチンと言う有機酸のサプリを利用される人も割合おられるようです。しかし、このサプリは腎臓や肝臓に負担を掛け、障害をもたらしてしまう可能性のあることが知られています。

実際に、クレアチンによって間質性腎炎を引き起こし、血尿や腎機能の低下をもたらした例も報告されていますので、これに限らず、サプリを使っていて血尿が出たら、そのサプリを持参して受診しましょう。

水分摂取は運動の絶対条件

このクレアチンのサプリは、腎臓の病気にかかったことがある人は使ってはいけませんが、健康な人でも、使用に際しては充分な水分摂取が求められています。

また、先に紹介したヘモグロビンやミオグロビンなどの色素が尿中に出てしまった場合、水分不足では腎不全が起こりやすいことが知られていますので、腎不全予防の観点からも水分は充分摂ってください。

さらに、膀胱が完全に空の状態では、運動によって力が加わった時に損傷しやすいと言われています。ですので、適度な尿が膀胱の中にあるようにするためにも、水分補給は忘れずに行って下さい。

血尿が出たら数日休んでから再度尿検査を受ける

血尿が出たら、まず医療機関を受診して検査を受けます。そして、その際に指示されると思いますが、1日~3日の間に血尿が消えたら再度検尿を受けて下さい。

その時にまだ目に見えない血尿が続いていたとしても、治療と継続的受診を条件に運動を再開できるでしょう。そして、検尿でも血尿はないと言うことになれば、晴れてスポーツに完全復帰できます。

しかし、血尿が出たと言うことは、運動が激しすぎるとか、水分補給が充分ではないとか、何らかの原因があるはずなので、自分で思い当たる節がないかを良く考えて下さい。

もし、2度目以降の血尿を経験したら、お医者さんにも相談してスポーツの取り組み方を考え直す必要があるでしょう。

血尿が出たらとにかく受診することを第一に考える

血尿は1回だけで消えることが少なくありません。これは激しいスポーツによる一過性の血尿でも、初期の膀胱がんによる血尿でも全く同じなのです。

ですから、血尿が出たと言うことは、一度運動と健康についてチェックする機会が来たと判断して、すぐに受診することが大切なのです。

これは大人だけではなく小学生であっても同じで、IgA腎症と言う病気の可能性を踏まえて受診することが、子供にとって将来を左右する可能性すらあると考えるべきなのです。

IgA腎症は難病でありながら、慢性糸球体腎炎の中で最も頻度の高い病気だと言うこともしっかり認識しておいてほしいですね。

血尿が出るくらい頑張るのが根性の証しと言った、前時代的な価値観に蝕まれているスポーツ指導者も、ごくまれに残っていると聞きますが、そうした人の指導は仰がないようにした方が良いと思われます。

こうやってお話ししてみると、たかが血尿、されど血尿と言う言葉が妙にしっくりきますね。でも、異常が出たらチェック、異常がなくなるまで中止と言うのは運動に限らず、すべての行為に共通するルールだと言えるでしょう。
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