健康生活TOP 運動 活性酸素を増やさない運動量は?運動で増える活性酸素は運動で減らせ

活性酸素を増やさない運動量は?運動で増える活性酸素は運動で減らせ

トレーニングシューズ

運動は健康を維持するために不可欠な生活習慣です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病を予防改善するうえで運動の習慣は欠かせません。

しかし、運動すると体内には活性酸素が発生します。活性酸素は体内の組織を傷めつけ、病気につながりかねない厄介な存在でもあります。いったいどのように運動したらいいのでしょうか。

結論から言うとキツくない運動を継続するだけでいい

運動には筋トレのような無酸素運動や、ウォーキングやスイミング、ジョギング、マラソンなどの有酸素運動があります。有酸素運動の方が活性酸素のトータルの産生量は高いのですが、やり方によってはそれを抑えることができます。

無酸素運動では、運動可能な時間が短いためそれほど多く活性酸素は生まれませんが、それをうまく消去するメカニズムもまた働きにくいのです。

活性酸素はキツくない運動で相殺される

自分では「こんなにキツくなくても運動の効果があるのか?」と感じるくらいのものであっても、心拍数の上昇が一定時間続けば、その運動の状態に応じた効果が現れます。

ですので、「楽にできる運動を長時間継続する」と言うことが一つのポイントになります。

まずはメカニズムを知っていただいて、その後で具体的な数値や対策を見てみましょう。

活性酸素は体内のあらゆるシーンで作り出される

人間が生きてゆく上で酸素は欠かせない物質です。呼吸で取りこまれた酸素は食べ物から得られた栄養素をエネルギーに換えるためになくてはならないものです。

その工程の途中で、中途半端に使われた酸素が活性酸素であると言っても良いかもしれません。この活性酸素は不安定で反応性が高いため、他の物質を強力に酸化することで活性酸素自身は安定した物質になろうとする働きがあります。

活性酸素は免疫システムが利用している

人間の体の中にある免疫システムは、この活性酸素を、外部から入ってきた病原体などを殺してしまう武器として利用しています。つまり免疫に関する働きが高まると活性酸素が量産されている可能性があるのです。

この活性酸素を作り出す免疫システムですが、主に白血球やリンパ球などの免疫細胞が担当していることが知られています。

単純に狭義の活性酸素種の動態だけを見ていると見落としてしまいがちになりますが、実際に免疫システムの働きの中では、広義の活性酸素種を含めて複雑なメカニズムが働いているのです。

激しい運動をすると免疫力が落ちる

運動には、ウェイトリフティングのように短時間で最大負荷を与えられるタイプのものと、マラソンのように長時間持久的に運動をし続けるタイプのものがあります。

このどちらの運動でも、それに伴って好中球と言う白血球が増えます。好中球は、その内部に酵素を使って過酸化水素と言う活性酸素種の1つを発生させる能力を持っています。

好中球は、病原菌が体内に入ってきた場合、これを追いかけて包み込んでしまいます。そして、包み込んだ内部で過酸化水素や、過酸化水素と塩素を使って作り出す次亜塩素酸を使って、包み込んだまま殺菌してしまうという働きを持っています。

過酸化水素は、3%水溶液がオキシドールと言う商品名で有名な消毒液です。次亜塩素酸はナトリウム塩が、家庭でもよく使われるハイターの主成分です。どちらも強力な殺菌剤ですね。

ところが、この2つの物質は侵入者をやっつけると同時に、自分の組織も傷つけてしまう恐れのある物質なのです。次亜塩素酸は狭義の活性酸素ではありませんが、広い意味では活性酸素種の1つとしてカウントされています。

ハードな持久的運動では活性酸素がどんどん増える

例えばマラソンの場合、最初の10分~20分くらいの間好中球の数が増加します。そして、一旦その数は減少に向かうのです。これは血管壁の近くで待機していた好中球が血流の方に動員されてくることによると考えられています。

短時間で終わる運動の場合も、同じような傾向が認められます。普段、血液中の好中球と壁在の好中球はだいたい同じぐらいの数しかいませんので、どれだけ増えても2倍を超えることはありません。また、実際のところは1.2~1.3倍程度だともされています。

それに対して、1時間を超えるようなハードな運動になると、骨髄からも好中球が動員されて、どんどん好中球数が増えてゆきます。骨髄から出てきた好中球は生まれたてでパワフルですので、活性酸素の生産能力も高くなっています。

そうなると、もともと血液中にいた好中球に新生のものが加算され、それらが全部活性酸素を作りますから、体組織に炎症を起こすような「活性酸素の害」が現れてくるのです。

短時間の運動、いわゆる「無酸素運動」では活性酸素による害はそれほど大きくありませんが、全くないという訳でもないのです。

短時間の激しい運動をすると好中球は少し増えます。そして、血液を調べてみると、活性酸素種のうち過酸化水素やスーパーオキシドアニオンは減っているのです。しかし、これは抗酸化物質などの働きで減ったのではありません。

別の酵素の働きによって、次亜塩素酸などに作り替えられた結果、見かけ上の狭義の活性酸素が減っているだけなのです。次亜塩素酸は過酸化水素などの狭義の活性酸素種より強力なのでむしろ害の方が懸念されます。

また、そもそも、そうした短時間の無酸素運動では生活習慣病の予防改善にはあまり役立ちません。難しいところですね。

激しい運動は別の面からも体を傷めつける

マラソンやトライアスロンのような過酷な持久性運動では、競技終了後2週間で50~70%の選手が感冒症状を呈し、そのリスクは通常の2~6倍にもなると報告されている。

この原因としては、上気道感染症(いわゆるかぜ症候群)は多くがウイルス感染によるため、激運動により免疫能が一過性に抑制されると考えられており、病原体に門戸を開放してしまうことに例えてオープンウィンドウ説として提唱されている。

この原因としては、運動によって上気道が乾燥、冷却などの物理的影響を受け、気道上皮の線毛運動が抑制され病原体を排除しにくくなる。

ほかに、sIgA濃度、NK細胞の数・機能、T細胞機能などが一過性に抑制され、免疫抑制作用のあるストレスホルモンや抗炎症性サイトカインが分泌されることも関係すると考えられる。

(解説:「sIgA濃度、NK細胞の数・機能、T細胞機能などが一過性に抑制され」→激しい運動をしている時は、免疫にかかわるこれらの物質や細胞の数と活性が増えるのに対して、運動直後には反動でそれらが激減し免疫力が落ちるということ。)

こう言った報告から判るように、激しい運動は単純に活性酸素の問題だけでなく、一時的とは言え2週間程度は免疫力低下につながります。ですので、特別に競技に参加するような人は別にして、激しい運動と言うのはあまりお勧めできません。

運動すると活性酸素が増えるというのは痛し痒しですね。でも、うまく運動することで、健康につなげることは可能なんですよ。次はそのあたりを見てゆきましょう。

体内には発生した活性酸素を無害化するメカニズムも備わっている

活性酸素は免疫細胞が外敵をやっつけるのに使っているので、その部分では必要不可欠なものですが、それが余剰になって体組織の方に出てくると身体を傷つけ、老化や炎症、がんなどをもたらします。いわゆる酸化ストレスですね。

そうなると具合が悪いので、身体はそれを分解してしまう抗酸化物質を準備しています。痛風の原因物質である尿酸や、黄疸の色を出している色素のビリルビンは強力な抗酸化物質です。

激しい運動が活性酸素を産むのは酸素不足が原因

激しい運動を行うと身体は酸素をどんどん消費してエネルギーを産みだします。そうなると、普通の呼吸で吸いこんだ酸素だけでは足りなくなって、呼吸が早くなり、これが追い付かなくなると「もう動けない」と言う状態になります。

問題はこの後です。低酸素状態に置かれた身体に酸素が再度供給されるようになると、その際に爆発的に活性酸素が産みだされるのです。

この現象は、運動だけではなく、例えばCOPDのような重篤な呼吸器疾患をもつ患者さんが酸素ボンベによる酸素供給で呼吸が楽になる場合にも発生しますし、タバコを吸い終わって普通のきれいな空気を吸った時にも発生します。

一方、運動するとエネルギー物質であるプリン体のATPが代謝されて尿酸を産みだします。尿酸は痛風の原因になる一方で、ビタミンCより強力な抗酸化物質として働く善玉としての一面も持ち合わせています。

また、運動して体内の酸素が足りなくなるとヘム酸素添加酵素1(HO-1)と言う酵素が現れます。この酵素はヘモグロビンが分解した一部であるヘムに結合して、さらに変換されてビリルビンと言う黄色い色素になります。

このビリルビンは肝臓病の時に現れる黄疸の色素ですが、一方でビタミンEをしのぐ強力な抗酸化物質なのです。

活性酸素除去酵素も運動によって活性化される

人間の体の中には様々な酵素が含まれていますが、そのうちのいくつかは、この活性酸素を除去する働きを持っています。代表的なのはSODの略号で知られる超酸化物不均化酵素(スーパーオキシド ディスムターゼ)です。

この酵素は体内にある超酸化物(スーパーオキシドアニオン)と言う活性酸素を酸素と過酸化水素に変化させる酵素です。この酵素は運動によって活性化することが知られています。

とは言え、できた過酸化水素も活性酸素の1つです。でも、過酸化水素を水と酸素に分解する酵素はペルオキシターゼやカタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼなどが体内のあちこちにたくさん存在しているため、過酸化水素はすぐに分解されます。

体外から取り込む一般的な抗酸化物質で、過酸化水素を分解できるのはビタミンCだけです。ですので、運動するときにはビタミンCを摂っておくことが望ましいですね。

運動すると活性酸素もそれを分解する酵素も増えるというのは自然なことですね。進化の過程で必要だから形作られたメカニズムと言えるでしょう。

適切な運動量と時間を意識して活性酸素の害を最小限に

さて、運動すると活性酸素が増える代わりに、活性酸素を分解する酵素が活性化されたり、強力な抗酸化物質である尿酸が増えたりすることが判りました。では無制限に運動してもよいのでしょうか。

これが実はそうはうまく行かないのです。激しすぎる運動は活性酸素と抗酸化物質である尿酸の、双方の害が現れてしまうことすらあるからなのです。

発生する活性酸素と活躍する抗酸化物質のずれ

運動するとエネルギー物質のATPが代謝されて尿酸が生まれます。尿酸は強力な抗酸化物質ですが、これが分解できる活性酸素は最も反応性が高い(毒性が強い)ヒドロキシルラジカルと一重項酸素です。

この2つは、身体が紫外線を浴びることでできたり、酸性の環境で過酸化水素が2価の鉄と反応することでできるため、運動とは直接のかかわりが少ないのです。

一方、尿酸は運動によって発生する過酸化水素やスーパーオキシドアニオンを分解できません。そうなると他の抗酸化物質や酵素によって分解されるのを待たなくてはなりません。

そして、尿酸自体は使われないので痛風の原因になってしまうという訳なのです。つまり、激しい運動をすると、活性酸素で身体が傷むと同時に痛風のリスクを抱えることになってしまうのです。

最大運動量の半分ぐらいがベストの運動強度

様々な研究によって、15分ぐらいまでの強い強度の運動では好中球が少し増え、白血球全体では約2倍になりますが、運動をやめて15分後ぐらいにはもとのレベルに戻ることが判っています。

それに対して、1時間を超えるような運動では最大運動強度の60%の運動で好中球の数だけではなく活性酸素の生産能力もアップし、全体として活性酸素がたくさん出てくることが知られています。

これが最大強度の50%以下だと、好中球による活性酸素の産生能力は上がりません。ですので、50%以下の運動強度で持続的な運動を行うことが、活性酸素の害を防ぎつつ健康に資する運動であるということになります。

50%の運動強度は一人一人異なる

当然のことですが、現役でスポーツをやっている大学生と、50歳の中年の人物では最大運動強度は大きく異なります。もちろん同じ年齢であっても生活のパターンによって個人差は大きいものですから、まずは自分の最大運動強度を知ることが大事です。

では最大運動強度はどうして求めればいいのでしょうか。これは少々誤差が大きいですが、心拍数をもとにして決めるのが手軽でしょう。

まず、「最大推定心拍数=220-年齢」を求めます。さらに、安静にしている時の自分の心拍数を測ります。

そして、50%の運動強度を求める場合には、「(0.5×(最大推定心拍数-安静時心拍数))+安静時心拍数」を計算します。

例えば、40歳の人で安静時心拍数が60の人の場合、(0.5×(220-60))+60=120ですので、心拍数が毎分120になるくらいの運動が50%強度の運動の目安と言うことになります。

ただし、普段から運動の習慣があるかどうかや、慢性の病気や体調不良があるかどうかによっても最大推定心拍数は変化します。

ですので、最大推定心拍数のところで、運動習慣のある人は10くらい足してもいいですし、体調不良などがある場合は20くらい引いて計算してください。無理をしないことが重要です。

ウォーキングやジョギングで運動をしようと言う人は、この心拍数を目安に歩いたり走ったりするペースを決めて下さい。もうちょっとだけと無理をすると、活性酸素の害が大きくなってきます。

6000円くらいから、腕時計型の心拍数計が市販されているので、そうしたものを利用されると手軽かもしれませんね。

ただし、こうしたものには「体重を減らすこと」などを主目的に、60%以上の運動強度を示した説明書がついていることがあります。その数値は無視して、老化防止と言う観点から50%のラインは守って下さいね。

実際、このくらいのウォーキングで1時間くらい歩いてみても「こんなのでいいの?」と思うくらいキツさがありません。でも、それが活性酸素の害を防ぎつつ運動の効果を得る最も良い運動量なのです。

普段から抗酸化物質を摂取する習慣を身に付けて老化防止を

抗酸化物質は食物からもいろいろ摂れることは皆さんよくご存知でしょう。こうしたものは、1回摂ったからそれでOKという訳ではなくて、日常の食事から常に摂ることを心掛けて、体内に一定量が存在するようにすることが望まれます。

だからといって抗酸化物質のサプリを大量に摂るということはあまりお勧めできません。サプリも悪くないですが、飽くまで食事からの摂取量を補う程度にしておきましょう。

運動時にビタミンC入りドリンクは良いかもしれない

ビタミンCは、食べ物などから摂りやすい抗酸化物質のの中では唯一、運動によって増える好中球が出す過酸化水素を分解する力を持っています。ですので、運動するときにはビタミンC入りドリンクを持って歩くのがお勧めです。

スポーツドリンクやビタミンC入りドリンクには「アスコルビン酸(ビタミンC)」と言う内容物表示があります。そうしたものを補水目的に持ち歩くのも悪くありません。

ただし、そうしたものには糖分が多く含まれることがありますので、その点は注意しておいて下さいね。

また、お茶飲料などに酸化防止剤として「アスコルビン酸(ビタミンC)」が表示されている場合がありますが、これは微量すぎますので役に立たないと言って良いでしょう。

ビタミンCは抗酸化物質ですから酸化防止剤として使えます。しかし、酸化防止効果を発揮した後のビタミンCでは役に立ちません。

そういう意味では、スポーツドリンクなどでも、賞味期限が近いような物ではある程度ビタミンCが減っているかもしれませんね。ペットボトルにはミクロの穴が開いているので、ある程度空気の出入りがあるのです。

毎食野菜や果物を摂る習慣をつけよう

運動による活性酸素の害を抑えるにはビタミンCが一番役に立ちますので、普段から野菜や果物をしっかり摂って、つねにミタミンCを体内にキープするようにして下さい。

野菜の方がビタミンCの量は多めですが、加熱調理することが多いので壊れてしまう量も多くなります。ですので、野菜でも果物でもOKですので、欠かさないという工夫をする方がいいでしょう。

その他の抗酸化物質も、運動とは直接関係なくても老化防止にはとても役立ちます。例えばウォーキングなどで屋外にいる時間が長いと紫外線が気になりますね。

皮膚で紫外線を浴びることで発生する活性酸素はビタミンEやポリフェノール、βカロテンなどが分解してくれます。ナッツ類や、緑黄色野菜、ベリー類などを積極的に摂って、そうした抗酸化物質を上手に利用しましょう。

この記事だけでは植物性食品礼賛になっていますが、植物性のものは身体を守る消極的効果、動物性食品は身体を作る積極的効果で人間に役立っているのです。バランスよく食べましょう。
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