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たんぱく質だけじゃない!代謝からみる運動前に摂りたい食べ物

運動前に食事をするというと、なんだか消化に悪いような気がしますね。もちろん、いわゆる「普通の食事」の直後には運動しないほうが良いのは言うまでもありません。

しかし、運動前に少し飲食物をとっておくことは、運動によって得られる効果を高めたり、運動によって起こりうるリスクを下げたりできる可能性があるのです。

激しい運動が予定されている場合にははやめに調整を終わらせる

激しい運動というと、代表的なのはトライアスロンですね。普通の人には考えられないほどの運動量をこなすスポーツです。その中でもアイアンマン・ディスタンスは17時間の制限時間で行われる鉄人競技です。

まず水泳を3.9km、次に自転車で180km。最後にフルマラソンの42.195kmですので、消費されるエネルギーもとんでもないものになります。

トライアスロンでは競技中にも食事を摂る

少し古いデータですが、1991年に滋賀県で行われたアイアンマン・ディスタンスのトライアスロンにおいて、詳細なデータが取られています。

それを見ると、レース当日に選手が摂ったカロリーは、選手の平均で5,170kcalに上っています。しかし、選手たちはレース後、平均で1.7kg体重が減っていたそうです。

計算では、10,000kcal近くの消費カロリーだったようですね。こうしたことが予測されるため、選手たちは特に前日と2日前の食事に気を使い、そこでカロリーを補充しています。

選手たちは、2日前には5,000kcal、前日には4,000kcalほどの食事を摂っていますが、消費カロリーは2,400~2,700kcal程度であったといいます。つまりエネルギーを溜め込んでいる状態ですね。

さて、これほどの激しいレースを行う選手たちは、どんな食事でレースに臨んでいるのでしょう。

まず注目すべきは糖質です。トライアスリートたちの食事を見ると、レースの前日と前々日においてはエネルギー比で60%あまりが糖質だったということです。普通の食事よりはやや糖質多めですね。

しかし、この数値は個人差が大きく40%程度の人から80%の人までがいたということです。

それに対して競技当日の朝食では平均70%以上の糖質、競技中においては80%から90%という、高い糖質比率でのエネルギー摂取を行っていたということです。

これから判ることは、自分にとって激しいと感じられるスポーツを行う時には、糖質をしっかり摂取しておくことが好ましいということです。

たんぱく質をしっかり取ることは大変重要

一方、たんぱく質は全体のカロリーに関わりなく、毎日絶対量で100g以上摂っていたというデータが得られています。エネルギー比で見ると1割に満たない日もありますが、運動に使うエネルギーとして摂っていたのではないと考えれば妥当な数値です。

具体的な食べ物を少し見てみましょう。脂質をやや抑えた高たんぱくのものというくくりで見た例です。

  • サバ:半身の半分
  • 牛肉:もも赤身150g
  • 鶏肉:ささみ3本
  • 鶏卵:全卵2個
  • 牛乳:普通牛乳200mL

これを全部食べると、たんぱく質がおよそ100g摂れます。全体のカロリーは約900kcalで、たんぱく質に由来するカロリーは、そのうち約400kcalということになります。

激しいスポーツを行う人では、この程度のたんぱく質の量を、毎日欠かさず確保しているということになります。

一方、糖質はレース当日で1kg以上、前日と2日前では600g~800g程度摂っています。これは、もちろん純粋な糖質であるブドウ糖であっても、当日には1kg以上摂っているということになりますから、大変な量ですね。

それだけでカロリーは4,000kcalにも届きます。

糖質でエネルギーを摂るのには理由がある

まずは予防的な意味で糖質の摂取をしているアスリートは多いです。糖質が足りないと、脂質からエネルギーを作り出しますが、その際にはケトン体というものを経由してエネルギーを作り出します。

このケトン体が多くなりすぎることを嫌って、それを予防するために、糖質の充分な補給を行うアスリートは少なくありません。一方で、糖質制限の普及などから、ケトン体が増えること自体に害はないという考え方もあります。

ですので、ケトン体の増加防止のためだけに、糖質を積極的に摂っている人の割合は減っていると思います。

とは言え、糖質は運動のエネルギー源としては非常に優秀です。脂質はエネルギーにするために幾つもの代謝経路を通る必要があるため、激しい運動をする場合にはあまり役に立ちません。

ですので、アスリートたちは、試合が近くなると、糖質を多く摂って筋肉に動物性でんぷんとも呼ばれる、グリコーゲンをため込むようにするのです。

グリコーゲンはブドウ糖だけから構成される多糖類です。ですので、身体の中に余分にブドウ糖があると、グリコーゲンとして組み立てて筋肉や肝臓にため込みます。

逆に、エネルギーとして使われてしまって血糖が少なくなりすぎたら、すぐに分解してブドウ糖に戻せるのです。

こうした働きを持つグリコーゲンを、可能な限り筋肉中にため込んでおくと、運動の際のパフォーマンスが大きく向上し、いわゆる「エネルギー切れ」になりにくくなるのです。

パフォーマンス向上には何よりも主食

私たちは普段糖質を摂る際には、大きく分けて3つのルートがあると言えるでしょう。甘味料としての糖質、主食としての糖質、果物としての糖質です。

甘味料としての糖質には、砂糖、異性化糖が最も多く使われます。異性化糖と言うのは清涼飲料水によく使われる「果糖ブドウ糖液糖」などです。

いわゆる砂糖の主成分はショ糖という二糖類です。これはブドウ糖と果糖が1分子ずつくっついたものです。

ここに出てくるブドウ糖は、過剰になると筋肉でも肝臓でもグリコーゲンとして組み立てられて貯蔵されます。一方、果糖は肝臓で代謝を受けてブドウ糖に変化しないとグリコーゲンにはできないため、肝臓でしか働きません。

ですので、砂糖や異性化糖は、半分程度が筋肉でのグリコーゲン貯蔵には役立たないということになります。同じように果糖を多く含むフルーツについても、グリコーゲンの筋肉への貯蔵という意味では効率がよくありません。

一方、ご飯やパスタに含まれる炭水化物はでんぷんです。でんぷんはグリコーゲンと同じでブドウ糖がたくさん集まってできていますので、消化されると全部ブドウ糖になります。

ですので、筋肉にグリコーゲンをため込むための食べ物としては適しているのです。

運動というのが持久力を必要とする、比較的強い運動を指す場合には、運動の2~3日前から主食をしっかり摂っておくことが、パフォーマンス向上に大きく寄与してくれます。

「コメを食わないと力が出ない」と言うのは、ある意味正解であると言えるかもしれませんね。もちろんパスタでもOKで、海外のアスリートはよくパスタを利用しています。

筋肉を鍛えるエクササイズにはたんぱく質と砂糖がお勧め

超ハードなトライアスロンのようなスポーツだけではなく、筋肉を鍛えるエクササイズであっても、筋肉のグリコーゲンは消費されますし、枯渇すると動けなくなります。

ですので、糖質を補給してグリコーゲンの回復を図ったり、事前に摂って枯渇しにくくするのが良いのは、エクササイズの場合でも同じです。しかし、ここでは砂糖も利用価値が充分にあるのです。

砂糖とたんぱく質はエクササイズにおいて相性が良い

大阪体育大学大学院の岡村浩嗣教授によると、たんぱく質を同量摂った際に、同時に砂糖を摂ると体づくりに利用されるたんぱく質の量が増えるというデータが示されています。

一方、たんぱく質と脂肪という組み合わせでは、たんぱく質だけを摂った時と、利用される量に差が見られませんでした。

これは砂糖によって、インスリンの分泌が促進されることによって起こっている現象だと考えられています。

(参照:砂糖とスポーツ|大阪体育大学大学院 スポーツ科学研究科 運動栄養学教授 岡村浩嗣先生)

このように、砂糖とたんぱく質を同時に摂ることで、エクササイズによって筋肉が鍛えられる際に役立つであろうことが示されています。

もしかすると関西風のすき焼きが良い?

砂糖とたんぱく質という組み合わせで見た場合、なぜそんなことが起こるのかという疑問が湧いてくるかもしれませんね。

砂糖は単純糖質でしかも2糖類なので、摂ってすぐにインスリンの分泌が起こります。インスリンは血糖値を下げるホルモンとして有名ですが、その他にも幾つかの働きを持っています。

そうした働きをまとめてみると、インスリンは同化ホルモンであると言えるのです。同化とは、小さな分子から大きな分子を組み立てて、身体のパーツなどとして使う代謝のことです。

インスリンが血糖値を下げる働きというのは、裏返せば筋肉にブドウ糖を取り込んでグリコーゲンを組み立て、脂肪細胞にブドウ糖を取り込んで中性脂肪を組み立てる同化作用の結果という部分もあります。

一方、インスリンは肝臓での糖新生を抑制することで血糖値を下げる働きもあります。その結果、糖新生に使われなかったアミノ酸は、骨格筋で筋肉の成長に使われます。

つまり、アミノ酸の原料であるタンパク質を摂ると同時に、砂糖を摂っておくとアミノ酸が肝臓で消費されず、筋肉を成長させるということになるため、砂糖が筋肉を育てるという現象が起こるのです。

そこでメニューですが、割り下を使う関東とは異なり、関西ではすき焼きを作る時、鍋に牛脂を引いてお肉を軽く焼いた上に砂糖をたっぷりまぶし、上から醤油をかけます。そして、白菜を入れて水分を出し、他の材料を入れて煮ます。

たんぱく質とお砂糖がたっぷりで、しかも贅沢な気分が味わえるので、エクササイズ前後にはお勧めかもしれません。溶き卵にもたんぱく質は豊富ですね。

もちろん卵と牛乳と砂糖で作るプリンやミルクセーキでもOKですよ。基本はたんぱく質をしっかり取ると同時に、砂糖を少し摂ることが効果的だろうということなのです。

たんぱく質は、牛・豚・羊などの獣肉、鶏や合鴨などの家禽肉、魚肉、大豆製品、乳製品なんでもOKです。砂糖については砂糖のほか、インスリンの分泌を促すものであればブドウ糖などでもいいですよ。

関東風のすき焼きでも、割り下には砂糖を入れますから効果は同じでしょう。でも、見た目にお砂糖をたっぷり使う関西風のほうがインパクトがありますよね。

体重を減らしたい場合は隠れ肥満に注意する

体重を減らすということだけに意識が偏ると、たんぱく質の摂取量が減るなどの「栄養のかたより」が問題になってきます。もちろん総カロリーを抑えないと体重は減りませんが、減らし方を間違うと悲しい結果が待っています。

大切なのは筋肉を落とさないということです。筋肉は脂肪に比べると比重が大きいので、筋肉が落ちると早く体重が減ります。しかし、それは体脂肪率の上昇につながっていることにほかなりません。

筋肉は脂肪の1.2倍以上重い

脂肪組織とそれ以外の組織の重さの比率は1.22倍を超えています。1リットル分の体積で見た場合、脂肪だと900g強、筋肉と骨をあわせた「除脂肪組織」だと1.1kgもあります。

なので、体重計に乗ってその数値を見た場合、どうしても筋肉が落ちたほうがダイエットに成功している気分になれるのです。しかし、筋肉が落ちると基礎代謝が減りますので、ダイエットを終えた途端、いともあっさりリバウンドします。

元の体重に戻るだけなら良いのですが、基礎代謝が落ちている分、元より重くなることもあります。しかも増えるのは脂肪ですから、見た目のボリュームアップも大きくなります。

ダイエットで筋肉が落ちて、リバウンドで脂肪が増えた場合、体重は同じなのに見た目には1.2倍にボリュームアップしてしまいます。最悪ですね。

たんぱく質と糖質を同時に摂ること

先にお話したように、糖質の刺激によってインスリンが分泌され、その同化作用によってたんぱく質が消化吸収されたアミノ酸をもとに、筋肉へたんぱく質が付いてくれます。

そして、筋肉が分解されて糖新生に使われるという現象も、インスリンによって抑制されますから、隠れ肥満が発生することは少なくなるでしょう。

一方、脂質は抑えたほうが良いですね。もちろん何が何でも脂質はだめとヒステリックになってはいけません。脂質は単位重量あたりのカロリーが高いので、抑えることで過剰なカロリーを制限しやすいのです。

でも、肉や魚、大豆などにも脂質は含まれています。これは必要な脂質だと考えて摂って下さい。もちろんバラ肉よりは肩ロース、肩ロースよりはもも肉と、脂肪の少ない部位に変えてゆく工夫はして下さい。

それよりも、バターやショートニングを使った焼き菓子などは脂質と糖質が多すぎますので、そうしたものを避けて下さい。ダイエットをする時に間食は不要なものです。

脂質コントロールで体重調整

脂質コントロールで注意が必要なのは植物性油です。えごま油とラードのカロリーは全く同じです。また、バターのほうがその2つよりカロリーが低いのです。これは厳然たる事実ですので、しっかり覚えておいて下さい。

いわゆる「油脂」については、動物性であろうが植物性であろうが、更には化学的に水素添加してトランス脂肪酸だらけになった硬化油でも、どれもカロリーは同じです。

バターのカロリーが低いのは、純粋な油脂ではなく水分を含んでいるからです。同じように、ファットスプレッドなどで低カロリーを謳ったものも、油脂に混ぜられた不純物のせいでカロリーが下がっているだけなのです。

油脂としての脂質もある程度は必要ですので、量を注意しながら使って下さい。ただし、「植物性だから低カロリー」という迷信に惑わされて、余計な油を摂らないように注意することがとても大切なのです。

体重を減らすエクササイズにはたんぱく質を意識する

非常に一般的な食材ですが、鶏のささ身や、脂肪を取り除いた胸肉などがおすすめです。皮の裏に付いた脂肪を取り去れば、皮そのものは湯通ししたり素焼きしたりして食べれば問題ないでしょう。

また、大豆や乳製品、白身魚なども悪くありません。少しだけ糖質を同時に摂ることで効果的にエクササイズができるでしょう。

基本的にはバランスの取れた食事から脂質を減らして、それでも追いつかなければ全体の量を少し減らしてみればいいと思われます。

糖質が筋肉の衰え防止に有効だからと言って、摂りすぎてはいけません。こんどは血糖値が上がりすぎて耐糖能の減弱から糖尿病になってしまいます。なにごともほどほどに、です。

ビタミン・ミネラルは運動後でも良い

栄養のお話になるとビタミン・ミネラルはとっても重要ですが、ビタミンやミネラルについては運動後や普段の食事でコンスタントにとっておくことが求められます。

特に抗酸化物質を多く含む食べ物は、運動前に摂りたいと思われるかもしれませんが、どちらかと言うとそれらは常に身体の中に存在しているように摂っておくことが求められます。

体内の活性酸素分解酵素は鉄とマンガンが必要

体内で発生する活性酸素種の一つである過酸化水素を分解するカタラーゼという酵素は、鉄原子を中心に持っているヘムたんぱくと、マンガンというミネラルを補因子として使います。

ですので、鉄やマンガンを含む食べ物は普段から摂っておきたいですね。鉄については貧血の対策などで有名ですが、レバーなど動物性の「赤い食品」に吸収効率の高いヘム鉄の形で多く含まれています。

また、植物の鉄はビタミンCなどによってヘム鉄に還元すると吸収効率が上がりますし、ビタミンC自体が抗酸化物質ですので、しっかり摂っておいて下さい。

マンガンは貝類意外の動物性食品にはあまり含まれませんが、野菜全般に結構含まれていますから、野菜を常に摂っておくことが求められます。

1日に1回たっぷり食べるのも悪くないですが、できれば野菜は毎食食べましょう。

その他にはSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という超酸化物を処理する酵素の場合、鉄・マンガンの他、銅や亜鉛も利用しています。

銅は魚介類やナッツに、亜鉛は動物性食品全般に多く含まれます。

アミノ酸の中にも抗酸化物質がある

システインという非必須うアミノ酸がありますが、これはペルオキシダーゼという活性酸素を処理する酵素が利用するアミノ酸です。

たんぱく質であれば大抵のものに含まれていますが、アブラナ科の野菜(ブロッコリーや芽キャベツなど)、たまねぎ、にんにく、唐辛子などに多く見られます。

どれも応用の効く食材ですので、普段の食卓に乗せることを意識してもらうのが良いでしょう。

ありきたりの食べ物ばかりになってしまいましたが、普段食べているものこそが、私達の身体を作っていると考えてもらうのが良いでしょうね。

何を食べれば何に効果があるという見方は少し忘れてみる

私達はどうしても「○○するなら××を食べると良い」という考え方にとらわれがちです。それが役に立つシーンももちろん存在はするのですが、そうした行為に医薬品的即効性を求めるのは誤りです。

ですので、エクササイズや運動習慣にはこれが効くと言ったものを探すのは一旦おいて、どのようにバランスを取ってゆくのが良いのかということに着目してもらえるのが役に立つと言えるでしょう。

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