健康生活TOP てんかん 前兆を知ればてんかん発作は予防できる!てんかん発作の4つの予防法

前兆を知ればてんかん発作は予防できる!てんかん発作の4つの予防法

医師と患者
てんかんは怖くありません。てんかんは命の別状がなく、治療でコントロールすれば発作を抑えて通常の生活を送ることができる病気です。

患者さんは薬をきちんと飲みながら、発作時の前兆・症状をチェックし、次の発作が起こらないように努めていきましょう。

この記事ではてんかん発作を予防する4つの方法について説明いたします。周りにてんかんの患者さんがいる方も参考にしてみてください。

前兆や症状もさまざま…子供にも大人にも起こるてんかん発作

てんかんは、千人におよそ8人の割合でみられ日本には患者が100万人いるといわれる、それほど珍しくはない脳神経の病気です。

私達の体の運動機能、精神活動、感覚は、脳のニューロンという神経細胞から電気信号が伝達されることで正常にはたらいています。

ところが、なんらかのきっかけでニューロンの電気信号が乱れると脳の一部が興奮し、一時的に体や意識の障害が起こります。これがてんかんです。

「特発性てんかん」と「症候性てんかん」

てんかんの種類や原因はさまざまで、現在は約30種類の症候群に分類されています。大きく分類すると「特発性てんかん」「症候性てんかん」があり、発作の型は脳の興奮が起こる範囲の広さによって「全般発作」「部分発作」と呼び分けます。

てんかんの種類や個人によって発作の症状はそれぞれ異なりますが、てんかんが起こる時のメカニズムはほぼ同じで、脳波を調べると棘波(きょくは)という特有の脳波の見られるところが特徴です。

原因不明で起こる「特発性てんかん」
特発性てんかんは、特に脳には異常がない原因不明のてんかんです。遺伝が関係することもあり、先天的にてんかんの素因がある人に起こります。

特発性てんかんの発作はほとんどが全般発作です。大人になってから発症することは少なく、子供のてんかんに多く見られます。また子供のてんかんの中には成長と共に治るものも多いです。

慢性的に発作が続く場合は、発作を予防するために抗てんかん薬を継続して服用します。

てんかんの種類にもよりますが、抗てんかん薬をきちんと服用すれば約8割の患者さんが発作のない通常の生活を送ることができるとされています。

脳のダメージで起こる症候性てんかん
症候性てんかんは、外傷や病気による脳のダメージで起こるてんかんです。子供のてんかんは、出生時に受けた脳のダメージ、感染症による脳炎などが原因となり、大人は、脳血管障害、脳腫瘍、アルツハイマーなど脳の病気が原因となることが多いです。

誰でも起こる可能性がありますが、どちらかというと先天的にてんかんの素因がある人に起こりやすいといわれます。薬物療法によるてんかんの治療に併せ、てんかんの原因になっている病気の治療が必須です。

てんかん発作の症状と前兆(前駆症状)について

てんかん発作では次のような症状がみられます。

発作の種類 主な症状
強直間代発作
  • 全身のけいれん
  • 脱力
  • 意識消失
  • 手足の屈曲を伴うけいれん
欠神発作
  • 数秒間の意識消失
  • 無意識に起こる自動運動
ミオクローヌス発作
  • 筋肉のピクッとしたけいれん
部分てんかん
  • 部分的に起こったけいれんが全身に広がる
  • 全身のけいれん後に意識を消失する

またてんかん発作の起こる前には、人によって前兆(前駆症状)がみられます。

体の感覚 手足の知覚異常(ピリピリ、熱い、冷たい)
視覚 点・星・ギザギザなどの模様が見える
聴覚 機会のような音・人の声などが聞こえる
味覚 酸味、苦味など変な味がする
嗅覚 焦げ臭さ・硫黄のような臭いなどがする
心身の症状 不安・恐怖・イライラ・頭痛・頻脈など
体調 発作の数時間~数日前から前駆症状がみられる

これらの症状が全ての人にあてはまるわけではなく、前兆の現れ方はひとそれぞれ異なります。

てんかんは怖くない!てんかんは予防・治療が可能な病気

てんかんは、脳で起こる病気ということもあって怖いイメージが持たれがちですが、受診と治療を適切に行なっていれば、発作を予防して通常の生活を送ることが十分に可能な病気です。ほとんどのてんかんは、治療によって発作を予防することができます。

治りやすいてんかん

子供の場合、いずれ症状が自然に消失して再発することのない良性のてんかんが多く、あえて薬で治療せずに経過だけ見守る場合もあります。

例えば、児童期に発症する「良性後頭葉てんかん」や生後18ヵ月~13歳の間に発症する「良性ローランドてんかん」などの特発性てんかんは、ほとんどが大人になるまでに自然と治ります。

自然に治りやすいてんかんの経過をより良好にするには、発作が起こらないよう注意しながら生活することが大切です。

治療で発作が抑えられるてんかん

児童期~思春期に発症する特発性てんかんの一種「若年性ミオクロニー」「小児欠神てんかん」「覚醒時大発作てんかん」は、抗てんかん薬を服用することで約8割が発作を完全に抑制することができています。

ただし薬の服用を中断すると発作が再発するため、薬は継続して飲み続ける必要があります。

発作を予防して通常の生活を送るには、発作が出なくなってもきちんと薬を飲み続けることが大切です。

治療が難しいてんかん

症候性のてんかんは治療の難しい場合があります。

乳幼児期に発症する症候性てんかんの「ウエスト症候群」「レノックス・ガストー症候群症候群」は、発作回数が多く発育障害も伴う難治性のてんかんです。

抗てんかん薬を2年間服用しても発作が周期的に起こる場合は、外科手術も推奨されます。

例えば、加齢で起こりやすい「内側側頭葉てんかん」は、抗てんかん薬が効きにくい難治性のてんかんですが、ニューロンの興奮が起こりやすい部位が分かっているので、外科手術でその部分を切除する治療が有効です。

ただし治療はデリケートなので手術を受けるかどうかは慎重に選択する必要があります。

最近は、治療が難しいてんかんに対して、よく効く抗てんかん薬が出てきているので、薬物療法をきちんと行うと共にてんかんの発作を誘発するような因子を避けて生活することが、発作のコントロールにつながります。

てんかんの発作を予防するには

てんかんの発作を予防するには、まず医師の指示通りに抗てんかん薬の服用を続けることが前提となります。抗てんかん薬は脳の興奮を抑える薬です。

次に日常生活の中で、てんかん発作を誘発するような刺激、発作を起こしやすくするような状況をなるべく避けるようにする必要があります。

てんかん発作の予防法:抗てんかん薬はきちんと服用する

てんかん発作を予防するためには、処方された薬を必ず指示通りに服用します。抗てんかん薬は継続して服用することで発作を抑える効果が発揮される薬です。

抗てんかん薬は、てんかんの種類や発作の型、薬の効き方によって人それぞれ処方される薬が異なっています。

抗てんかん薬を処方する時は、第1選択薬、第2選択薬と複数の薬を少量ずつ組み合わせながら効果が確認されます。これは抗てんかん薬に副作用があるためで、なるべく効果が高く副作用の少ない組み合わせを探しながら薬の組み合わせを選んでいきます。

抗てんかん薬の効き目を最大限に発揮させるには、やはり患者さんが指示通りに薬をきちんと飲まなければ意味がありません。抗てんかん薬の飲み方は正しく理解しておきましょう。

薬を飲み忘れた時は

誰でも、うっかり薬を飲み忘れてしまうことはあるものです。もし薬を飲み忘れても、気づいた時点で飲めば大丈夫です。

飲み忘れたことで薬を飲む時間が遅くなってしまっても、必ず次の薬も飲んでください。その場合は、時間を空けてから飲めば、指定の時間通りでなくても問題ありません。

食事ができないので食後用の薬が飲めない場合は

食後用の薬が処方されているのに食事ができなかった場合も、必ず薬は飲みます。抗てんかん薬は食前・食後のどちらに飲んでもきちんと効果が得られるので、飲むタイミングが食前になってしまっても問題ありません。

食後の服用がすすめられているのは、空腹時に飲むと薬の成分で胃が荒れやすいためです。食後に飲むと食べ物で胃が保護され、胃が荒れる心配がなくなります。

中には、食前と食後で薬の成分の吸収率が異なるために薬の効き方を計算し、食後に合わせて調合される薬もありますが、抗てんかん薬は、食前・食後にこだわることよりも毎回分を必ず飲み切ることのほうが優先されます。

食後に飲んだ方が胃にやさしいので、胃に食べ物が入っている食後30分以内になるべく飲むようにしてください。

長期外出には薬を多めに持参する

行など長期外出をする時は、余分に薬を持って行っておきます。旅外泊のスケジュールが延びた時・薬を紛失した時に困りません。

修学旅行など子どもが外泊する場合は、薬の服用について心配な点を担任の先生などに報告しておきましょう。

てんかん発作の予防法:てんかんを誘発する刺激を避ける

てんかん発作は、興奮するような出来事や特定の刺激に遭遇した時に起こりやすくなります。

興奮を伴うレジャー・スポーツは避ける

発作を恐れて行動を大きく制限する必要はありませんが、強い興奮や不安を伴うような遊びやスポーツ、スリルのある場所へのレジャーはなるべく避けるのがのぞましいです。

てんかんの患者さんが旅行やレジャーに行く時は、発作を回避したり万が一の発作を介抱してくれる同伴者がいると安心です。

光の刺激を避ける

また、光の刺激がてんかんの発作を誘発する場合があるので、子供はゲームやアニメの光るシーン、大人はネオン、パチンコ店などの強い光をなるべく見ないようにします。

光に感受性の強い体質の人が光を見ると、反射的に「光感受性てんかん」を起こすことがあります。光の点滅、赤色、しま模様などが刺激になるといわれています。

光感受性てんかんは4000人に1人とそれほど多くありません。しかし実際には、光を見た時にてんかんを起こす可能性のある人がもっと多く潜在していると考えらえています。

欧米での調査では健康正常者全員に脳波検査したところ正常小児の8.9%、正常男子の0.5%は光感受性を示したという。

これは驚くほどの高い数字である。つまり健康正常な小児10人中ほぼ1人弱が、また健康正常な男子200人中1人が潜在性の光感受性体質を持っていることになる。

てんかんの患者さんだけでなく、子供はてんかんを発症する可能性が高い年代なので時期なので、ギラギラした強い光、激しく点滅する光はなるべく見ないようにしましょう。

以前、テレビアニメで光が点滅するシーンを見ている子供にてんかん発作が続出したことでよく知られるようになりました。ちなみに現在はどのテレビ番組でも光の点滅するシーンが抑えてあります。

てんかん発作の予防法:規則正しい生活で体調を整える

てんかん発作を予防するためには、日常生活で発作が起こりやすくなるような因子を避けることも大切です。

てんかんが起こりやすくなる因子には

  • 睡眠不足
  • 疲労
  • 風邪
  • 発熱
  • 飲酒
  • 下痢・嘔吐
  • 生理
  • ストレス

などがあります。

薬でてんかんの発作をずっと抑えることができていた人でも、これらの因子によって体調を崩すと発作が起こりやすくなります。てんかんの患者さんはなるべく体調が万全に保てるよう、規則正しい生活を心がける必要があります。

もちろん栄養バランスのとれた規則正しい食生活も大切です。適度な飲酒はてんかんに差し支えないとも言われますが、飲酒のコントロールが難しい場合は禁酒するのがのぞましいです。

てんかんの患者さんに食事制限はありませんが、てんかんの治療として用いられる「ケトン食療法」「修正アトキンス食療法」では、炭水化物とたんぱく質の摂取を制限しています。

あらゆる種類のてんかんに対して発作を減らす効果がありますが、計算通りの栄養バランスで献立を用意しなければならないので、てんかんの食事療法を実践している病院で専門指導を受ける必要があります。

女性は女性ホルモンの変動がてんかん発作と関係しており、女性のてんかん患者さんの1/3~半数は、生理前後や生理中にてんかん発作が起こしているといわれます。そのメカニズムははっきり分かっていません。

女性は担当医の指示に従って処方された薬をきちんと飲み、生理前後は体の調子を整えゆったり過ごすことがてんかん発作の予防につながります。

てんかん発作の予防法:発作の記録をつけ、前兆に注意する

適切にてんかんの治療を行うためには、発作が起こった時に状況を医師に詳しく伝えることが重要です。患者さん本人は記憶がないため、発作を見ていた人が発作の状況を記録して医師に伝える必要があります。

てんかんの人がいる家庭では、家族の人が患者さんの発作を記録しておきましょう。記録を見返すと、どのような時に発作が起こりやすいのか、どのような症状が予兆なのかが分かり、発作の原因を避けて発作を抑えることが可能になってきます。

てんかん発作について記録しておきたいこと

  • どのような時間帯に、何をしている時に発作が起きたか
  • 発作の誘因になるような刺激、体調の異変はなかったか
  • 発作はどのような症状で始まったか(意識の有無・どこがけいれんしたか)
  • 症状がどのように変化していったか
  • 発作後の様子(眠ったか、発作の記憶があったか)

ビデオカメラやスマートフォンで発作を撮影するのも有効です。発作の状況は後で本人に伝えます。自分の発作の状況や前兆を把握することは、患者さんの自己コントロールのためにも重要です。

患者さんや周囲の人が「発作の前にはいつものこの症状が起こる」と気付くことで、発作が起こらないようにしたり、発作が起こりそうになった時に症状を抑えたりすることが可能になってきます。

中には前兆が起こった時に自己コントロールで発作を止めることができるようになる人もいます。自己コントロールができれば、発作の負担が軽くなり、発作によるケガを防ぐことにつながります。

特有の前兆が出てきた時に、体に力を入れたりこぶしをギュッと握ったりすると発作が抑えられる人、何か一つの考えに集中すると発作を抑えることができる人など、コントロール法は人それぞれです。

必ずどの人にも当てはまる方法というわけではありませんが、自分の前兆や症状を分析しているうちに自己コントロール法が見つかるかもしれませんよ。

周りの人に協力してもらって前向きに病気と付き合っていきましょう

治すのが難しかったてんかんも、新しい抗てんかん薬の登場や外科手術との併用によって、完治させたり発作のない生活を手に入れたりすることが十分可能な病気になってきています。

てんかんは周りの人のフォローも必要な病気ですが、家族、友人、会社の同僚、ボランティアの人など病気を理解してくれる人に協力してもらって、前向きに病気と付き合っていきましょう。

キャラクター紹介
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