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てんかん発作を目撃したら?周囲の人が取るべき正しい5つの対処法

てんかんを起こした男性

てんかんの発作は突然に始まり、発作を起こしている人の様子がとても苦しそうに見えるため、目撃した人は気が動転してしまいます。

しかし、てんかんの発作は数分で自然におさまるものであり、適切に対処すればそれほど怖いことではありません。

また、てんかんは比較的ありふれた病気です。てんかんを起こした人に遭遇する可能性を考え、いざという時に適切な対処がとれるよう、周囲の人が取るべき5つの対処法をおさらいしておきましょう。

てんかんはそれほど怖い病気ではない・・・でも周囲の助けは必要

まず、てんかんは決して怖い病気ではなく、発作で命を落としたり後遺症を残したりすることがないことを理解していただきたいと思います。

てんかんは、大脳のニューロン(神経細胞)が急に過剰な興奮を起こしてしまう病気。1000人に5~8人の割合で見られる、比較的ありふれた病気のひとつです。

何らかの原因でニューロンが興奮するとインパルスの流れが激しく乱れ、体の機能が制御できなくなってしまうのが、てんかんの発作です。そのメカニズムははっきり解明されていません。

てんかんは次のように分類され、それぞれ症状は異なります。てんかんの発作には「全身を硬直させて激しくけいれんする」というイメージを持たれがちですが、けいれんを伴わない比較的軽度な発作もあります。

発作の型 症状
全般発作
  • 強直発作
  • (歯を食いしばって硬直しけいれんする)

  • 間代発作
  • (膝と肘を折り曲げてけいれんする)

  • ミオクロニー発作
  • (一瞬ピクッとけいれんする)

  • 脱力発作
  • (全身の力が抜けて倒れる)

  • 欠神発作
  • (一時的に意識がなくなる)

部分発作
  • 単純部分発作
  • (意識はあり、異臭や吐き気などの知覚異常がある)

  • 複雑部分発作
  • (意識がなくボンヤリする、無意味な行動をとることがある)

  • 二次性全般化発作
  • (部分発作から全般発作に移行する)

てんかんの重積
  • てんかんが長く続く
  • てんかんが頻繁に起こる
  • 重積が続くと死に至る場合もある

てんかんの発作は突然に起こりますが、発作が終わった後は元通りに回復し、後遺症を残すこともありません。また大きな発作が起こった時は一時的に呼吸が止まったり意識がなくなったりしますが、まれに起こるてんかん重積を除けば、通常の発作で命を落とす心配もありません。

しかし、発作中は意識と体のコントロールが効かないため、動いたり倒れたりすると二次的な怪我や事故を引き起こす可能性が出てきます。

そこで誰かの手助けが必要なのです。また、その対処法は誰でも実践することができる簡単な方法です。

突然に起こるてんかんの発作…あなたがするべき5つのこと

近くにいる人がてんかんの発作を起こしたら、周囲の人はまず次のことを心がけましょう。

  • 気持ちを落ち着かせる
  • 騒ぎ立てない
  • すぐに救急車を呼ばない

そして周囲の人がするべきことは次の5つになります。

  1. まず時計を見る
  2. 安全を確保する
  3. 発作の様子を観察する
  4. 病院に連れていく(必要に応じて救急車を呼ぶ)
  5. 後で本人に発作の様子を伝えてあげる

けいれん発作を起こしている人にやってはいけないNG行為

けいれんを起こした人に対して、次のような行動を取ってはいけません。

  • 名前を呼んだり大声で叫んだりする
  • 揺さぶる
  • 叩く
  • 抱きしめたり押さえつけたりする

けいれんを起こすと一時的に呼吸が止まったり顔色が変わったりするので、周囲の人は慌てて呼びかけたり揺さぶったりしがちです。

しかし、一度てんかんが起こると自然におさまるまでは何をしても止めることができません。力ずくでてんかんを止めようとするのは無意味な行動だということを覚えておいてください。

てんかんの薬を飲んでいる患者さんは、薬の副作用で骨粗しょう症を引き起こしている場合があり、強く押さえつけると骨折するおそれもあります。

1.まず時計を見て、てんかんの発作にかかった時間を測る

てんかん発作を起こした人に遭遇したら、なるべく時計を見て発作の開始時刻・発作の終わった時の時刻をチェックしてください。

発作にかかった時間を測ることは、てんかんの重さで救急車を呼ぶかどうか判断したり、病院に行ってから医師に発作にかかった時間を伝えたりするために役立ちます。

時計を見なければ、実際にはたった1~2分の発作も5分くらいに長く感じられるといいます。てんかんの時間が長く感じられると不安も大きくなりやすいので、意外と時間が短いことがわかれば、気持ちを落ち着かせることもできます。

2.安全を確保して、危険な怪我や窒息を防ぐ

けいれんは数秒~数分で終わるものですが、怪我や嘔吐が起こりやすいので、落ち着いててんかんを起こしている人の安全確保に努めましょう。

怪我をしないように見守る

発作中に倒れたりぶつかったりして、思わぬ怪我をしてしまうおそれがあります。発作を起こした人が怪我をしないよう、すぐに危険な物を遠ざけてください。

もしも部分発作の場合は、少し距離を置いて静かに見守ります。大きなけいれん発作を起こしている場合は、次の対処を取って安全を確保します。

  • 高い場所、危ない機械、ストーブなどの火元から遠ざける
  • メガネ、安全ピン、コンタクトレンズなどを外す
  • 体の下に毛布を敷く
  • 毛布がなければ、頭の下にたたんだタオルや上着などを敷く

たいていは発作がおさまると眠り、10~20分くらいで意識が回復します。しかしその後もしばらくは意識がもうろうとしていて、動いた時に転倒したりぶつかったりするおそれがあるので、周囲の人は目を離してはいけません。

また、複雑部分発作によって意識が曇ったまま動き回る場合も思わぬ怪我をしやすいので、注意深く見守る必要があります。

ただし体の動かせる人に近寄ったり動きを阻止したりすると、暴れて周囲の人が怪我をするおそれもあるので、刺激しないよう少し距離を置くことも大切です。

舌を噛まないようにする

発作中に激しいけいれんを起こすと、まれに誤って舌を噛んでしまうことがあります。

舌を噛まないようにするため、発作を起こしている人の額に片手を添え、もう片方の手を下顎に当ててしっかりと上に持ち上げてください。

顎を突き出したような体勢になります。気道を確保するので、窒息を防ぐことにもつながります。

ひと昔前までは看護師も「けいれんを起こしたら舌を噛ませないよう、スプーンや割り箸を口の中に差し込む」と教えられていたようですが、これは間違いです。

けいれんを起こした時、舌を噛まないように口の中に物を突っ込もうとしてはいけません。口の中に入れたもので窒息したり口の中を傷つけてしまったりするおそれがあります。スプーンのような硬い物を噛ませると歯が折れてしまうかもしれません。

また、けいれん中は歯を強く食いしばっているので、無理矢理こじ開けようとすると指を噛まれて怪我をするかもしれません。

「舌を噛み切って出血多量を起こし死んでしまうのでは?」と心配になるかもしれませんが、舌を噛んでも死ぬことはありません。下顎を上げたら、後は何もしないのが正解です。

嘔吐物が喉に詰まらないようにする

てんかんの発作中には嘔吐する場合もあります。

てんかんを起こしたら、まず衣服のボタンやネクタイを外して気道を楽にしてあげてください。そして嘔吐があった場合は、寝かせる時に顔を横向きにします。

顔を横向きにすることで口の中の嘔吐物や唾液が外に流れやすくなり、窒息を防ぐことができます。

またてんかん患者が発作を起こしても、症状を止めるために抗てんかん薬を飲ませてはいけません。発作中に水や薬を飲ませようとすると窒息するおそれがあります。

入浴中・水泳中に発作が起こったら

入浴中に発作を起こすと二次的な事故として「溺死」が起こりやすいので、てんかん患者が入浴する時はさらに注意が必要です。

もしも湯船につかっている時に発作を起こしたら、湯に顔がつからないよう頭部や体を湯から引き揚げてください。それが難しいようであれば、すぐに栓を抜いて排水します。

すでに溺れて意識がなくなっている場合は、すぐ救急車を呼ばなければなりません。

水泳中に発作が起こった時も、溺れないよう同じように水中から体を引き揚げます。

ただし、水泳中は気が張っていて発作を起こすこと自体が少ないといわれます。お風呂は湯船につかってリラックスすると、気がゆるんで発作が起こりやすいのです。

3.医師に伝えるために発作の様子を観察・記録する

てんかんの様子を観察・記録することも重要です。

医師がてんかんの診断を正確に行なったり適切な薬を処方したりするためには、てんかんの発作が起こった時の情報が必要です。

本人は発作時の記憶を覚えていません。また病院に行く頃にはもう症状がおさまっているので診察をしても発作の様子を知ることができません。そこで、発作を目撃した人の情報が大変有効な手がかりになるのです。

「介抱する人が観察に集中して発作が悪化しないか」と心配する必要もありません。発作が起こった時には、なるべく細かく様子を観察・記録したほうが感謝されます。慌てずに発作の状況をじっくり観察してください。

観察しておきたいこと

まず、時計を見て発作にかかった時間を測ることが重要です。次に挙げる発作の様子もなるべく観察してください。

  • 発作のきっかけになる物はなかったか
  • どのような症状で始まったか
  • けいれんがあったかどうか
  • 意識はあったか
  • どの部位からけいれんが始まったか
  • 顔色・唇の色
  • 眼球や体がどのように動いたか
  • 怪我をしていないか
  • 発作後の様子(眠ったか、動き回っていたか)
  • …など

観察して分かったことは、後で本人や医師に渡すため紙にメモをしておきます。

スマートフォンを持っている場合は、発作の様子を動画に撮影しておくのもひとつの手です。

どのようなメモをとれば良いか

メモはどのような形でも構いません。一例としてチェック表を挙げておきます。こちらは、てんかんセンター(静岡てんかん・医療センター)のWEBサイトで公開している付添者用のチェック表を参考に編集したものです。

例えばこのチェック表のように、患者の様子を説明したり選択紙の中からひとつ選んで記入したりする形をとっても、必要な情報をスムーズにまとめることができるかと思います。

患者の様子 メモすること
発作が起きた場所
発作が起きた時刻
何をしている時に発作が起きたか
倒れたか ・倒れた ・ 倒れなかった ・ 横になっていた
発作の様子 ・力が入っていた ・力は入ってない ・震えていた
・ボーッとしていた
発作が強かった側 ・左半身 ・右半身 ・左右とも
発作が目立った場所 ・ 顔や口・上半身・下半身 ・全身
発作中の顔色 ・青白い・普通 ・やや赤い
発作中の体の位置 ・同じ位置にいた・左右に動いた・転げまわった
・歩いた
まぶたは開いていたか ・開いていた・閉じていた・不明
いつ発作がおさまったか ・救急車を呼ぶ前 ・救急車が来る前
・救急車の中・止まらない
発作によるケガの有無 ・口内や舌に傷ができた・身体にケガをした
・ケガはなし
失禁の有無 ・尿や便を失禁した・失禁していない・不明
その他、気がついた事

参照…てんかん情報センター「発作観察チェック表(付添者用)」

患者に発作中の意識があった場合は、患者が覚えている感覚や出来事を聞き出してメモしておきます。また発作中の意識がなかった場合も、発作の前後に何か変わった事があればそれもメモしておくと一層役立ちます。

4.病院に連れて行く(必要に応じて救急車を呼ぶ)

発作が落ち着いたら、病院へ連れて行って診察を受けさせます。

ただし、てんかんの様子を観察した上で発作が重くすぐに治療が必要だと判断した場合は、すぐ救急車を呼ばなければなりません。

すぐ救急車を呼ぶ必要のあるケース

  • 発作が15分以上続く
  • 激しいけいれんが5分以上続く
  • 発作がおさまった後に意識が戻らない
  • 短い周期で発作を繰り返す
  • 意識がないまま発作を繰り返す
  • 妊婦・負傷者の発作
  • 乳児の熱性けいれんが5分以上続く
  • 溺れて意識がない
  • いつもの発作と様子が異なる
けいれんが止まらない場合や意識が戻らない場合は重積を起こしている可能性があるので、一刻も早く救急車を呼んでください。

5.後で本人に発作の様子を伝え、病気のコントロールに役立てる

てんかんの発作を目撃した人は、てんかんを起こした人にも発作の様子を伝えてあげてください。

どのような病気でも、自分の病気をコントロールしていくためには病状をきちんと把握しておくことが重要です。特にてんかんは本人の記憶がはっきりしないので、目撃者の情報が救いになります。

どのようなきっかけで発作が起こるのか、どのような症状を起こすのかを知ることは、発作の予防や治療に役立ちます。目撃者が教えてくれた情報に基づいて早期治療を適切に行ったおかげで、てんかんの発作が起こらなくなった人もいます。

てんかんの予防と治療には周囲の協力が必要です

ほとんどのてんかん患者は、抗てんかん薬を飲んで発作を抑えながら通常の生活を送っています。誤解されやすいのですが、てんかんは特別な病気ではないのです。

てんかんの予防と治療には周囲の協力が欠かせません。また発作時の適切な対処も大きな意味を持ちます。

もしもてんかん発作を起こした人に遭遇したら、臆せずに今回紹介した5つの対処法を実践してくださいね。どのような病気か正しく理解していれば、落ち着いてスムーズに対処できるはずです。

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