健康生活TOP 精神障害

【精神障害の種類】それぞれの症状と特徴

病気の多くは「自分にしかわからない」ものかもしれませんが、精神障害(精神疾患)こそ、ほんとうの意味で「自分にしかわからない病気」といえるのかもしれませんね。

自分にしかわからないどころか、精神障害の場合「自分にもわからない」、「自分だけがわからない」といった障害も起こりえます。それだけに治療が難しくなることが多いです。

というのも精神障害の中には、「自分はどこにも異常がないのにどうして病院なんかに行かなければならないのか」という疑問を払拭できず、結果治療が遅れてしまうこともあるからです。

自分が異常であるといわれると激昂し、大切な家族に対し暴力をふるうような疾患もあります。もちろんそのことさえ患者さんご自身では「異常」と認識できません。

そうした特殊な疾患以外にも、どこかはっきりしない精神障害はたくさんあります。今回はそういった病気、もしくは精神的な問題についてスポットを当ててお話ししていきます。

「ほんのちょっとのちがい」が起こるからこそ厄介な精神障害

アイツはちょっとおかしいとか、あの人はなんかヘンだとか、そういったウワサめいた話は日常でも比較的よく持ち上がるのではないでしょうか。あなたの周りにも、そういった違和感が漂う人がいると思います。

しかし多くの「おかしさ」や「違和感」は、ほんのちょっとしたレベルにしかすぎません。ということは、その違和感が果たして「精神障害」と呼べるものであるのか否か、その判断さえ私たち素人には本来許されないことでもあるはずです。

医学的見地で明確な根拠があれば、それは「精神障害」と定義されるのかもしれません。しかし医学的に見て何ら問題がない、あるいは現在の医学では根拠と呼べるファクターが見出せない場合、それは「個性」に置き換えられます。

つまり、精神障害であるか否かの線引きは非常にデリケートな問題であり、私たち素人にはとても簡単に扱える種類のものではないことは事実です。実際お医者さんでも判断に悩むことはあります。

今回は、できるだけ「医学的根拠」の部分をはっきりさせながら、その根拠をイメージしやすくなるよう努めつつ、お話ししていきます。そのためには、個々の精神障害について簡単にでも触れておく必要があるでしょう。

ここからは、特に若い世代を中心に増え続ける精神のトラブルのうち、代表的な精神障害(疾患とまではいかない?←微妙なところです)のそれぞれについて触れていくことにしましょう。


(出典…年齢階層別障害者数の推移(精神障害者・外来)-内閣府)

さまざまなカタチで日常に潜む・・・「恐怖症」

精神障害というと、一般には理解されづらい異常性が指摘されることが多いです。しかし世の中には、わりと多くの人が当てはまるタイプの精神障害もあります。それが「恐怖症」です。

たとえば、高いところがキライだからといって、それは確かに「高所恐怖症」という一種の精神障害と認識されがちですが、しかし高所恐怖症の人をつかまえて「あなたには精神障害がある!」とは誰もいいませんよね?

そういった意味で、精神障害の明確な指摘が行われにくい分、恐怖症は比較的身近な精神障害であるといえるのかもしれません。ただ、実際にはそう簡単に誰もかれもが恐怖症にかかることはありません。

地上なん百メートルもあるビルの屋上の吹きっさらしにたった1人で取り残されれば、誰だって恐怖を覚えます。しかしこれは「恐怖症」には当たりません。恐怖症というのは、以下の状況に当てはまる精神障害です。

限局性恐怖症
特定の対象(限局対象)に過度な恐怖を感じることで、生活に支障をきたすことがある症状

(参考…恐怖症とは?-医療法人和楽会)

つまり、「高いから怖い」というだけでは「恐怖症」には分類されないのです。高いところが怖すぎて、マンション最上階の自宅に帰れなくなったり高層オフィスに行けなくなったりすると、これはもう完全に「高所恐怖症」です。

▼関連記事
スカイツリーの展望台もOKに!高所恐怖症の克服ポイント

恐怖症はいくつかのパターンに分類されます。ただ怖いだけでなく、眠れなくなるなど、いずれも「生活に支障がおよぶレベルの恐怖」であることがポイントになります。

恐怖症の分類 対象
状況型 高所、閉所、暗所、飛行機、エレベータなど
動物型 ヘビ、クモや昆虫類、イヌ、ネコなど
血液・注射・負傷型 自他の血液、注射針・注射器、傷口、自分が負傷するイメージなど
自然環境型 雷、台風、地震など
その他の恐怖症 窒息、嘔吐、失笑、尖端(先端)、放屁(おなら)など多種多様

(参考:医療法人和楽会ページへのリンク”>恐怖症の主な症状は?-医療法人和楽会より)

最後の「その他の恐怖症」は、次の「社会不安障害」と密接に関係する内容です。

▼関連記事
葬式などシリアスな場面で笑ってしまう…失笑恐怖症の原因と治療法
おならは病気?心と腸を元気にしておなら恐怖症を克服しよう!

視線が怖い、ことばが出てこない・・・「社会不安障害」

上でお話しした恐怖症は、比較的身近に感じられる精神障害だというお話しをしました。しかし実は、恐怖症以上にトラブルをかかえやすい精神障害があります。「社会不安障害」と呼ばれるトラブルです。

社会不安性障害
人から注目されるような場面や恥ずかしい思いをするかもしれない状況に対し、社会生活に支障をきたすことがあるレベルの強い不安や恐怖を感じる症状

(参考:社交不安症(社交不安障害)とは?-医療法人和楽会)

社会不安障害は、実に「10人中1~2人」という高い割合で何らかの精神的トラブルをかかえるといわれる障害です。ストレス社会と呼ばれる現代ですが、社会不安障害とストレスは双方向の原因(たがいが原因であり結果でもある)になります。

人から注目される場面は誰でも多少なりとも緊張を覚えます。何も感じないという人のほうが、障害の有無は別としてもむしろ多少奇異な印象を与えるくらいです。

大勢の視線を一身に受ければ誰だってひるみますし、少人数であっても注目度が大きければ緊張からことばが出てこないことだってあります。誰にでも。しかしこれは「正常」です。

人の視線が怖い、あるいは注目されたくないという理由から、学校や会社に行けなくなってしまう、さらには、自分と関係性が希薄な街中にも出ていけなくなる状況に至ると、これは社会不安障害にあたります。

社会不安障害にもいくつかのタイプがあります。いずれも「社会生活に支障をきたすレベル」であることが前提になります。社会不安障害は「社交不安症・不安障害」などとも呼ばれるようですね。

社会不安障害の分類 対象
スピーチ恐怖 強度の重圧からことばが出ない、声が異常に震えるなど
赤面恐怖 人前、異性の前など特定の場面で赤面するのではないかという意識過剰
電話恐怖 オフィスなどで電話に出る、電話をかける際、周囲の目が異常に気になる(女性に多い)
会食恐怖 自分が食べている様子、食べる際に出る音に対する周囲の反応への恐怖
視線恐怖 他人の視線が怖い、あるいは自分の視線が他人に悪い印象を与えることに対する恐怖から、目を合わせることができなくなる
書痙(しょけい) 文字を書いているところを見られる、あるいは見られて手が震えてしまう(書痙)ことに対する恐怖
振戦(しんせん)恐怖 手が細かく震えてしまう(振戦)、あるいは手の震えを察知されることに対する恐怖
発汗恐怖 対面・対話の緊張から発汗する、あるいは発汗したことに気づかれることに対する恐怖

(参考:社交不安症(社交不安障害)の主な症状は?-医療法人和楽会)

社会不安障害が多い理由は、不安や恐怖を招きやすい状況(学校や会社など)に自身を置かなければならないことが挙げられます。学校も会社も「不安だから」という理由で休むわけにはいきません。

それが、社会不安症にまつわるトラブルをより深刻にしてしまうこともあるのです。不安が強いあまり恐怖に近い感覚に陥ることからも、社会不安障害は「広域・広義の恐怖症」と解釈されることもあります。

また、強度の「あがり症」も、広義の社会不安障害に分類されることがあります。

▼関連記事
人前で話せない…それは精神障害かも?社会不安障害の症状とチェック
カウンセリングとは違う?恐怖症克服に効く認知行動療法って?

治療の手法が確立されていない精神障害、「パーソナリティ障害」

精神障害は決して研究が進んでいない分野ではありません。しかし原因があまりにも多様であるため、なかなか正しい治療の方向性が見出せない分野でもあります。

「社会性」ということばをひと言で表現するならば、「個性が尊重されるべき社会の性質」とでもなると思われます。その意味では、精神障害を語る上で他者との比較はあまり大きな意味を持たないことのほうが多いです。

しかしここでお話しする「パーソナリティ障害」は、そんな必要がない部分まで他者と比較してしまうことが原因の一端となる精神障害の1つでもあります。

パーソナリティ障害
他人と視点や感じ方が違い、社会や他人を恨んだり、適応し難い考えに偏ることで自分目線になりやすく、衝動的になりやすい症状

(参考:パーソナリティ障害-医療法人和楽会)

少々解釈しづらい精神障害ですよね・・・そこでまずは、「パーソナリティ」ということばの意味を少し掘り下げてみることにします。パーソナリティは”personality”で、「個性、人柄」などという日本語の意味を持ちます。

パーソナリティ障害は「人格障害/個性障害」となります。これではますますわかりづらいですが、わかりやすくするためにあえて曲解するならば、「社会性を持たない個人的な世界観がもたらす障害」とでも表現できるでしょう。

▼関連記事
パーソナリティ障害を克服するために本人や家族が取るべき適切な対応

パーソナリティ障害には次の2つの種類があります。

パーソナリティ障害の種類 説明
境界性パーソナリティ障害 対人関係、自己像、感情などの不安定および著しい衝動性の広範にわたるパーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害 空想や行動における誇大性、賞賛されたいという強い欲求、共感の欠如の広範にわたるパーソナリティ障害

(参考:パーソナリティ障害(境界性/自己愛性)について-医療法人秀明会杉浦こころのクリニック)

どんな病気でも、基本的には「個人的なもの」ではあります。しかし「(臓器障害などの)個人的な疾患」という不具合には一般性が備わっていますが、「個人的な精神障害」は一般性を失ってしまう場合のほうが多いです。

それだけに、パーソナリティ障害の明確な治療法は、現在確立していないというのが実際のところです。事実、パーソナリティ障害を守備範囲とする病院は多くありません。

なかなか難解で厄介な精神障害ですが、現在可能な治療や対処はしっかりと行うべきではあるでしょう。

▼関連記事
人間関係が苦手…悩みを抱える人の原因は不安定型愛着という病

自分というオトナの中にいるコドモ・・・「アダルトチルドレン」

今回は精神障害についてお話ししていますが、「アダルトチルドレン」は、精神障害であるといえばいえるし、否定すれば否定もできるという、精神神経科の分野においてもやや難しい位置にある問題です。

アダルトチルドレンということばについて、いろいろ誤解があるようなので、まずはこの問題をしっかりと定義しておきます。

アダルトチルドレン
機能不全家庭(正常な機能を果たしていない家庭・詳細は後述)で育ったことにより、成人してからもこころに傷を抱えている人

(参考:アダルトチルドレン(AC)とは-せせらぎメンタルクリニックより)

機能不全家庭は、概ね以下のような家庭を指します。

機能不全家庭の要素
  • 親が虐待を行っている
  • 親がアルコール依存症である
  • 夫婦仲が険悪なレベルで悪く、その状態が継続している
  • 継続する子供への過保護・過干渉

アダルトチルドレンは精神疾患でないことは間違いありません。それゆえ、たとえ病院で治療しようとしても、診断基準などが設けられているわけではありません。

ただ、上記の家庭環境を経験し、それが原因となって何らかの影響が成人してから及んでいる場合、その人はアダルトチルドレンにあたる可能性が高くなります。

アダルトチルドレンにもいろいろなタイプがあります。トラウマとなった子供時代の要因によって、タイプが異なります。アダルトチルドレンには大きく分けて5つのタイプがあります。

アダルトチルドレン5つのタイプ トラウマになる子供時代の要因
生真面目なタイプ 真面目にがんばっていないと自分が見捨てられるのではないかという恐怖に駆られてがんばる(親に見捨てられたくなかった)
自己顕示欲が過剰なタイプ 良いこと悪いことにかかわらず、何らかの行動をとって注目をひきたい(親に自分を認めて/理解してもらいかった)
目立たず存在感がないタイプ ひたすら苛まれる孤独感に耐えている(家庭内の不和緊張をできるだけ刺激しないようにしていた)
過度に明るくふるまうピエロタイプ 気が利きすぎたりあえて失敗して見せたりして周りの目を気にしすぎる(家庭内の不和緊張を少しでも和らげたかった)
兄貴・姐御肌 他人の面倒見がよく頼られがちだが、その分自己犠牲が激しい(きょうだいの面倒を見ることで、家庭で継続的に起こる問題を大ごとにしたくなかった)

(参考:アダルトチルドレン(AC)とは-せせらぎメンタルクリニックより)

アダルトチルドレンにまつわる問題は非常に多様ですが、主に、「自己性が希薄である」という特徴があります。パーソナリティ障害とは反対に近い問題が起こるのが、アダルトチルドレンなのです。

▼関連記事
AC(アダルトチルドレン)は病気?セルフチェックで症状を予防
自分が嫌い!は病気?アダルトチルドレンのセルフチェック法と克服法

ダイエットが思わぬ落とし穴になることも・・・「摂食障害」

摂食障害というのは、たとえば拒食症(神経性無食症)や過食症(大食症)に代表される「異常なほど食べ過ぎたりまったく食べなくなったりする症状が現れる精神障害」です。

摂食障害が起こってしまう原因にはいろいろなファクターが考えられます。というよりも、あまりにも原因が多すぎて考えにくくなってしまうくらい、原因は多様です。

多くは、いろいろな要因によるストレスが原因になりますが、その「いろいろな要因」の部分が非常に多様なのです。もちろん人間関係や社会適応の問題は代表的な原因です。

ただ、摂食障害の原因として近年増加しているのが、「ダイエットによる影響」です。あまりにも厳しいダイエットを自身に課すことにより、摂食障害は割と簡単に身体と精神をむしばみはじめます。

ダイエットはあくまでも「健康的に痩せる」ことが大前提となります。であるにもかかわらず、痩せる(体重を減少させる)ことばかりに気を取られてしまう人(特に若い世代の女性)が多いです。

「食べる=体重増加」というあまりにも安直な発想が、食べることを「悪」と定義づけてしまい、食べることに恐怖を覚えるようになります。その結果が拒食症(神経性無食症)です。

▼関連記事
思春期・成長期のダイエットは無月経や不妊症、骨粗しょう症を招く!

これとまったく逆に、ダイエットをはじめてから食欲とは別の衝動(この部分が精神障害によるもの)により、猛烈にものを食べはじめる事例も比較的多いです。これが過食症(大食症)です。

過食症になると、もう自分の胃袋に食べ物が入りきらないのにそれでも詰め込み、これ以上入らないとなると、自ら嘔吐をしてまで詰め込もうとします。食べる、吐く、そしてまた食べるという悪魔的な繰り返しがはじまる怖い精神障害です。

拒食症にしても過食症にしても、食欲不振や大食いなどといった個性とは明確に異なる「精神障害」であるため、現象としては真逆ですが、実はこれら両者は非常に似通ったメカニズムで発症します。

▼関連記事
大食いと過食症は何が違う?むちゃ食い障害とも呼ばれる摂食障害とは

近年にわかに増加の傾向がある摂食障害・・・大事な時期の過度なダイエットは、できるだけ避けていただきたいものです。

無性に「氷」をかじりたくなる!?・・・「異食症」

ヒトの三大欲求について言われることがあります。ヒトの三大欲求とは、食欲、睡眠欲、性欲です。三大欲求というのはなんとなく都合のいいように後付けされた印象もありますが、理にかなっているともいえます。

これらの欲求が人間から消え失せてしまえば、人類はあっという間に滅亡するからです。そして、これらの欲求それぞれについても、人類が種を絶え間なくつなげるための「理」を追及した形であるといえます。

たとえば「食欲」に関して。人間が生きるために栄養を補給するための欲求が「食欲」です。ところが、食欲が栄養とは無関係の方向に向いてしまう精神障害があります。

いくら食べても栄養にはならない種類の「物」を口にし、胃袋に収めたくなる衝動を伴う精神障害を「異食症(いしょくしょう)」と呼びます。精神障害とはいっても、生後間もない乳幼児に起こりやすい特徴があります。

その後一旦は寛解に至っても、時間が経過して大人になってから症状が再発するケースが多いです。大人の異食症患者の多くが、乳幼児期の既往を持っているのです。

たとえば、氷をガリガリとかじりたくなる衝動を抑えきれなくなる精神障害は、異食症の中でも最も代表的なタイプです。このタイプは特に「氷食症(ひょうしょくしょう)」と呼ばれます。

▼関連記事
【氷食症】氷をバリバリ食べる癖、実は病気のサイン!?
氷を食べる病気、氷食症!異食症の原因と引き起こされる危険な病気

氷以外にも、土や髪の毛、プラスチック、ガソリンなどなど、通常では考えられない「物」を食べたり飲んだりする衝動を抑えられないのが異食症の怖いところです。

ときどきテレビで放映される「びっくり人間」的な番組で、鉄の玉を飲む中国のおじさんが登場したりしますが、異食症は、ああいった行動とは明確に異なる「精神障害(疾患)」で、かなり重篤なものが多いです。

何しろ、テレビの前で鉄の玉を飲むだけでなく、ふだんから土や髪の毛、ガソリンのような「栄養価ゼロ」のものを人知れず黙々と飲食し続けるわけですから、貧血をはじめ重大な疾患の原因にもなります。

▼関連記事
氷だけじゃない!髪の毛や土まで食べる「異食症」とは?
鉄分不足だけじゃない、貧血の様々な原因とその治療法

理由なき強烈な不安と疑心暗鬼がもたらすつらい症状・・・「強迫性障害」

あれっ!?鍵かけたっけかな・・・という自身への猜疑が不意に浮上し、出かけてすぐに踵を返して玄関ドアの鍵を確認することって、きっと誰にでもあると思います。

幸いにもそういうときはだいたい「なんだ、ちゃんと鍵かけてたんだ・・・」と事なきを得るものです。これ自体は、多少粗忽な面はあるかもしれませんが、精神障害でもなんでもありません。

問題は、この「確認作業」を繰り返し行わずにはいられなくなる精神状態です。人間ですから、経験を踏まえれば学習をします。さっきだって鍵の確認をしているのだから、かけ忘れのはずがないではないか・・・

そう頭で理解していながら、何度も何度も繰り返して確認しなければならないとなると、これはさすがに何らかの障害があると判断せざるを得ません。このタイプの精神障害を、「強迫性障害(強迫症)」と呼びます。

強迫性障害は、以下の「強迫観念」と「強迫行為」という対になる要素から成ります。

強迫性障害
  • 不合理な考え(観念)が自分の意思に反して際限なく繰り返し頭に浮かび、ふり払おうとしても頭の中にこびりついて消すことができない(強迫観念)
  • 強迫観念を打ち消すために、都度繰り返される行動(強迫行為)

(参考:強迫症(強迫性障害)の主な症状は?-医療法人和楽会)

玄関の鍵以外にも、ガスの元栓や手洗い、うがい、はみがきなどの「自分の行動に対する強い不安」を覚えるケースが多いです。ほかにも、他人が触ったものに触ることができないケース(いわゆる「潔癖症」)も見られます。

▼関連記事
潔癖症or綺麗好きチェック!潔癖症になる原因と5つの治し方

あとは、迷信を妄信するタイプの人も強迫性障害の可能性があります。たとえば、「死」をイメージする「4」という数字だけは絶対に許せないといった激しい偏りがある考え方を正しいと思い込んでしまうことがあります。

強迫性障害は非常にストレスが大きい障害です。というのも、自分で「そんなはずはない」と否定していながらも、その事実を信じることができずに繰り返したり、避けたり、いわれのない説を信じたりしなければならないからです。

そんなはずはないのに・・・と思いながらの確認、回避の行動により、予定通り物事がはかどらないことも多く、その結果、自己嫌悪に陥らなければならない患者さんも多いです。

▼関連記事
神経質な性格と病気の境目はどこ?強迫性障害のチェックと治療法

強迫性障害の一種である潔癖症(不潔恐怖症)に関連する症状については、以下の記事もご覧ください。

▼関連記事
除菌や消毒のやり過ぎに注意!勘違いが感染症のリスクを高める
異常に自分の匂いが気になるのは病気?こんな人は自臭症の治療を

皮膚病じゃないのに皮膚がボロボロに・・・皮膚むしり病(衝動制御障害)

精神障害を抱えるようになると、一般ではなかなか想像できないような行動に走る患者さんが多くなります。上記の「異食症」のように、食べ物ではないものを食べたり、自身の髪を引き抜いたり(抜毛症)する患者さんもいます。

一般には奇行のように見えますが、精神障害の中では割と典型的な症状のひとつに、「皮膚むしり症」があります。思春期にニキビつぶしが止まらなくなってしまった・・・というのも、皮膚むしり症の一種である可能性があります。

ただ、皮膚むしり症が深刻化してくると、徐々にニキビなどの異物ではなく、正常な皮膚をむしりとるようになっていきます。やめよう、やめなければならないと思いながらもやめることができません。

こうした患者さんにとってのつらさは、上記の強迫性障害に通じるところがあります。実際近年、皮膚むしり症や抜毛症は、強迫性障害の関連疾患(衝動制御障害)と位置付けられるようになりました。

ただ、厳密な話をするなら、皮膚むしり症と強迫性障害とは別の精神障害と解釈されます。このあたりの判断基準は、難しい「脳」のお話しになりますので、ここでは割愛します。

皮膚むしり症は、思春期~青年期にかけて多くみられ、全体のおよそ75%が女性です。一見「くせ」のように見えますが、皮膚むしり症はくせというような生易しい行動ではありません。

▼関連記事
やたらに皮膚をかきむしる癖は心の病気?皮膚むしり症を治すには

皮膚むしり症や抜毛症のほかにも、「爪をかみ続ける」、「かさぶたをはがし続ける」などといった自傷行為に通じる行動が、衝動制御障害(強迫性障害関連症候群)に分類されます。

▼関連記事
女性に多いと言われる抜毛症!その原因と慢性化する前の対処法とは
爪を噛む癖は意外に危険?自力で治すにはハンドクリームが効果的

やめたくてもやめられない・・・このつらい思いを感じながらもひたすら皮膚をむしり続けなければならないという、ちょっと考えると胸が苦しく、患者ではなくてもつらくなってしまう精神障害です。

あるはずのない音が聞こえる・・・「統合失調症」

精神疾患にはいろいろな種類がありますが、中でも代表的な疾患といえるのが、「統合失調症」です。比較的新しい精神疾患であるように感じられるかもしれませんが、これは「統合失調症」という病名がごく新しいからです。

かつては「精神分裂症(病)」と呼ばれていました。確かにこちらの病名は、最近めっきり耳にしなくなりました。ですから病気自体は新しくはありません。「統合失調症」の病名だけが新しいのです。

さて、統合失調症の症状についてですが、数ある精神疾患の中でもかなり特異的です。統合失調症の主な症状は、

幻聴、被害妄想(失調症患者に見られる言動はかなり特徴的)、奇妙な言動、思考障害など

いずれも特有の行動を伴う症状として現れます。統合失調症というと、年齢差や性差が小さい精神疾患であるように思われるかもしれません。中でも、幼少期の統合失調症も近年は問題視されるようになってきています。

しかし実際のところ、統合失調症は「症候群(複合的な症状)」です。症状に明確な特徴(傾向)があって、その特徴に向かった直接的な治療が採用できないこともある精神疾患です。

一般的にはかなり特徴的な症状が現れる統合失調症ですが、これはあくまでも「陽性症候群」であって、「目に見えづらい統合失調症(陰性症候群)」もあります。

統合失調症の症状の種類 症状
陽性症候群 妄想
幻聴
混乱した思考、まとまりのない会話
落ち着きのない行動
まとまりのない知覚
不安定な感情
陰性症候群 情緒性・感情反応の消失、道徳性の低下
思考内容の貧困化
思考・意欲減退
閉じこもり
注意・集中力の障害

(参考:おもな症状-平林メンタルクリニック)

難しい疾患ではありますが、改善のためには、できるだけ早いタイミングでの治療が望まれます。

▼関連記事
統合失調症の症状「妄想」!家族の正しい対応とは?
【統合失調症とは】独り言は精神障害の症状かも?原因とチェック方法

身体の傷がこころの傷へと移行し増幅する・・・心的外傷後ストレス障害(PTSD)

おそらくPTSDとしての病名のほうをご存じであるという人が多いと思います。心的外傷後ストレス障害の一般略称であるPTSDは、”Post Traumatic Stress Disorder”の頭文字を採用したものです。

ご自身が死の恐怖を味わう経験をした、あるいはご自身の身近な人がそのような目に遭ったその現場に遭遇した・・・などというケースでは、たとえ時間が経過してその外傷が癒えたとしても、こころの傷が残ってしまうことが多いです。

これがいわゆる「トラウマ」の典型ですが、PTSDの場合、こころの傷が深く残り、症状が深刻化しやすい特徴があります。

PTSDの主な症状 説明
再体験症状(フラッシュバック) なんの脈絡もないタイミングで、トラウマが再現され、あたかも自身が今その恐怖を体験しているかのような錯覚にとらわれる
回避 トラウマと関連するあらゆる状況や情報を断絶しようとする(現場や現場への通り道を避ける、トラウマに関連するワードを黙殺するなど)
過覚醒 トラウマの影響で普段から緊張が抜けず、眠ること、安息することができない

(参考:PTSDの主な症状は?-医療法人和楽会より)

もちろん治療は必要ですが、薬を飲んだから治りましたといった簡単なものではありません。症状にもよりますが、ある程度時間をかけ、一歩ずつ改善を目指す以外にありません。

事故ならまだしも、事件に巻き込まれた場合は自分にまったく瑕疵がないにもかかわらず、外部から瑕疵を強要され、激しいPTSDの症状に悩まなければならず、ほんとうにつらい疾患です。

いろいろな精神疾患の原因となる精神障害・・・「適応障害」

精神疾患というと、「うつ」や「双極性障害」など、比較的イメージしやすい疾患がいくつか思い出されます。そのため、ある日突然そうした精神疾患を発症したかに感じられるかもしれませんね。

ところが実際には、そうした明確な病名を持つ精神疾患にかかるまでには、いろいろなプロセスを経ることが多いです。便宜的に「いろいろな」といっているわけではありません。ほんとうに「いろいろ」あるのです。

その「いろいろ」をうまくクリアできないでいると、私たちは誰でも「ストレス」を抱えることになります。そのストレスが原因で発症する精神障害が、「適応障害」です。

ですから「うつ」の症状をはじめとする精神的、身体的なストレス性の疾患の中には、適応障害に含まれるものいくつかあるのです。

適応障害の具体的な症状には、ストレスによる憂うつ感、不安感、自暴自棄になる(逸脱行動)などが挙げられます。問題となるストレスの原因は、おそらくみなさんもよく知るところかと思います。

特別なことではなく、誰もが感じるストレスが、適応障害の根本的な原因になります。つまり適応障害は、私もあなたも、誰もがかかるかもしれない精神障害なのです。

▼関連記事
知らずに適応障害が悪化!対処のカギはストレスを見つける事

従来のうつではなく、近年注目されるようになってきている「新型うつ」などは、適応障害の最も典型的な症状であると考えられています。うつにもいろいろな症状があります。

適応障害に見られるうつは、「甘え」、「怠惰」と誤解されがちです。誤解されやすい適応障害は、ご本人にとってはほんとうにつらい精神障害なのです。

▼関連記事
適応障害セルフチェック!甘えと勘違いする症状一覧、克服法と治療法

また、必ずしも女性だけというわけではないのですが、適応障害は男性にくらべると(特に独身の)女性のほうに多くみられる精神障害であることも事実です。

▼関連記事
独身女性に多い適応障害を克服する!日頃から心掛けたい3つの習慣

誰にでも起こりうる精神障害だからこそ、「自分のこと」として受け止めたい

精神障害は、その種類によっては男性に多い、女性に多い、年少者に多い、高齢者に多いなどの何らかの傾向が不随することは事実です。しかし基本的には、「誰にでも起こりうる障害」であるといえます。

精神障害は、確かに特異な部分も大きい障害ですから、悪意がなくても場合によっては差別的な分類をしなければならないケースも生じます。ただ、いつか自分もなるかもしれない障害であることは忘れるべきではありません。

精神障害の患者さんの気持ちを理解しようとしても、簡単に理解できるものではありません(ご家族はそんな甘いことを言っていられないとは思いますが・・・)。

ですから、無理に理解しようとするのではなく、温かくみてあげることが大切なのかもしれませんね。

新着記事はこちらになります!気になる記事は要チェック!

キャラクター紹介
ページ上部に戻る