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蓄膿症(慢性副鼻腔炎)の症状と原因は?治療法は吸引、薬、手術

鼻に関する病気はいろいろありますが、だいたい「鼻風邪」などと言われるように、「風邪のときに鼻水が出たり鼻づまりが起こったりする」のが鼻にまつわるトラブルであると考えられることが多いです。

しかし中にはけっこう重い症状が現れることもあり、場合によっては手術をしたり、入院加療が必要になったりすることもあるので、なんでもかんでも「鼻風邪だろう」ではすまないケースもあり得ます。

鼻にかかわる重い症状のひとつに、「蓄膿症(ちくのうしょう)」が挙げられます。蓄膿症は「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」という疾患の一種です。もしかしたら蓄膿症という用語のほうが耳慣れているという人も多いかもしれませんね。

蓄膿症というと、いつも鼻がつまっていて、においがしないという症状が思いだされますが、その原因に関しては意外と知られていない印象があります。今回はその蓄膿症の症状のおさらいや、原因、対処法などにも言及したいと思います。

蓄膿症とは?蓄膿症の症状と特徴

それでは、さっそく蓄膿症の症状についてお話していきますが、その前に、蓄膿症が含まれる副鼻腔炎という鼻の疾患について簡単にお話しておくことにしましょう。そのためには、副鼻腔という用語を知っておく必要があります。

蓄膿症は副鼻腔炎の一種

「副鼻腔炎は蓄膿症の正式名称ですよ」などと説明する人もときおり見かけますが、そうではありません。すでにお話しているように、副鼻腔炎と呼ばれる鼻特有の疾患があり、その中でも特定の症状を指して特に蓄膿症と呼びます。

そのためには、副鼻腔炎がどんな病気であるのかを理解していただき、その上で蓄膿症を知るとスムーズに蓄膿症を理解できると思います。まずは下のイラストをご覧ください。「副鼻腔(ふくびくう)」と呼ばれる部位の図です。

副鼻腔の場所

医学的に言えば、副鼻腔は「頬、顔、目などのまわりの空洞」と定義されます。要は顔にあるいろいろな骨で囲まれてできた空洞が副鼻腔です。上の図で言えば、赤で描かれたスペースが副鼻腔になります。

この図は、すでに蓄膿症が起こっている状態の副鼻腔です。「鼻腔(びくう)」というのは、鼻の穴(鼻孔・びこう)から入ってそこまで広いエリアを指しませんが、副鼻腔は図のように、顔のかなりのエリアを占める空間です。

空間というくらいですから、本来であれば副鼻腔はからっぽなのですが、何らかの影響によってこの副鼻腔が炎症を起こした状態を、副鼻腔炎と呼びます。その炎症がきっかけとなり、膿(うみ)を分泌、蓄積した状態が、蓄膿症なのです。

上の図では、赤で描かれた副鼻腔の内部に、なんとなく汚らしい黄色っぽい色(いわゆる黄土色?)で描かれているのが、副鼻腔の炎症によって分泌・蓄積した「膿」です。この状況は、蓄膿症を発症した副鼻腔炎です。

それでは、いよいよここからは蓄膿症に特化してお話を進めていきます。

まずは、蓄膿症を厳密に定義しておきましょう。

蓄膿症とは
副鼻腔の炎症(副鼻腔炎)により膿が分泌し、蓄積する鼻(副鼻腔)の病気およびその症状

蓄膿症というと、「ひどい鼻づまり」というイメージがあるかもしれませんね。もちろん副鼻腔の炎症によって「ひどい鼻づまり」が起こりますが、それだけだと副鼻腔炎のみであって、まだ蓄膿症とは言えないのです。

それでは、蓄膿症の患者さんにみられる症状を具体的に確認してみたいと思います。

蓄膿症でみられる症状:とにかく鼻がつまる

蓄膿症の代名詞ともいえる「鼻づまり」が慢性的につきまとうのが大きな特徴です。慢性化した鼻づまりは「鼻茸(はなたけ)」という病気の原因にもなり、実際蓄膿症の患者さんには鼻茸を持つ人が多いです。

蓄膿症でみられる症状:鼻をかんでもまだ残っている感じがする(鼻をかみきれない)

膿がたまっているため、いくら鼻をかんでもまだ中に残っている感じがするのが蓄膿症の特徴です。そのため、何度も鼻を強くかもうとし、それによりさらに副鼻腔の炎症が悪化するという悪循環を招きやすくなります。

蓄膿症でみられる症状:鼻汁の色と形質が異常

蓄膿症の患者さんの鼻汁は、黄色っぽいドロリとした色・形質の物質を分泌します。重度な蓄膿症になると、分泌する鼻汁が緑色に変わる場合もあります。ふつうの風邪やアレルギー性鼻炎では、透明に近く水っぽいサラリとした「鼻水」です。

蓄膿症でみられる症状:鈍い頭痛などの異変

鈍い頭痛や頭が重い感じがするのも蓄膿症の大きな特徴であり、弊害でもあります。火照ったようにぼーっとすることが多く、何をしても集中できない、疲れやすいといった特徴から、仕事や勉強をはじめとする日常生活にも支障をきたします。

蓄膿症でみられる症状:のどのほうまで鼻汁が流れ込む

風邪やアレルギー性鼻炎でものどのほうに鼻汁が流れ込む(この症状を特に「後鼻漏(こうびろう)」と呼ぶ)ことがありますが、蓄膿症のほうがその頻度が高く、しかも鼻汁はドロリとして粘つき、イヤなにおいを伴い、強い不快を感じることが多いです。

重度化すると変声、声が出ない、咳などの症状がみられることもあります。

蓄膿症でみられる症状:顔の痛み、歯、目、鼻の周りなどにも痛みを感じる

副鼻腔の炎症が進むと、副鼻腔の痛みを伴うことがあります。そのレベルにまで副鼻腔炎が進行していると、すでに膿がたまった蓄膿症を発症している可能性が極めて高くなります。

また、蓄積した膿が神経を圧迫することで、顔全体、歯、目、鼻の周囲などに鈍い痛みを伴うこともあります。

蓄膿症でみられる症状:どこからともなく悪臭を感じる

蓄膿症の患者さんが分泌する鼻汁は悪臭を伴うことが多く、鼻汁の悪臭を感じることがあります。

しかしにおいの感覚が鈍っている蓄膿症患者さんは、それがどこから漂うにおいなのかわからなかったり、あるいは自分の口臭のせいだと感じたりすることもあります。

蓄膿症でみられる症状:においがしない、食べ物の味がしない

蓄膿症の患者さんは、においの感覚が鈍っていることが多いです。そのため、鼻ではなく口からにおいを感知するという不思議な感覚器官のつかい方をする患者さんもいます。においの感覚が鈍ると、食べ物の味がしなくなることも多いです。

以上からもわかるとおり、蓄膿症は非常に不快な症状を伴う重い疾患なのです。しかしどういうわけか、これだけ不快な症状でも「仕方ないこと」とあきらめてしまう患者さんが多いのも蓄膿症です。

上記の症状を自覚しているのであれば、できるだけ早く医療機関で検査・治療すべきです。

(この節の参考:ちくのう症(副鼻腔炎)とは-チクナイン(小林製薬株式会社)より)

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蓄膿症の原因は風邪!他にもアレルギーや鼻の構造的欠陥も

蓄膿症のような厄介な病気にどうしてかかるんだろう?何かよほど難しい事情でもあるんじゃないの?と思う人もいるかもしれませんね。しかし蓄膿症の原因は意外とシンプルなところに求められるのです。

大きく分けると、「風邪」、「アレルギー」、そして「鼻の構造的欠陥」、この3つのファクターが蓄膿症の原因であると考えられます。なぜこれらが蓄膿症の原因になるのか、以下にまとめます。

蓄膿症の原因:風邪

風邪の菌やウイルスが鼻に入り込むと、鼻の粘膜が炎症を起こします。その炎症がやがて副鼻腔にまで広がると、副鼻腔炎を経て蓄膿症を発症するリスクが高まります。

風邪の症状である鼻水、鼻づまりが長期化したら要注意。副鼻腔炎と蓄膿症のリスクはますます高まります。

蓄膿症の原因:アレルギー症状

アレルギー性鼻炎や花粉症などのアレルギー症状が原因となって蓄膿症を発症するケースは多いです。蓄膿症発症のメカニズムは風邪による発症と似通っています。

風邪の場合は菌やウイルスがトリガー(発病・発症のきっかけ)でしたが、アレルギー症状が原因の場合、当然花粉などのアレルゲン(アレルギーの原因物質)がトリガーになります。

蓄膿症の原因:鼻の構造的欠陥

鼻の中心を対象の軸として鼻は左右シンメトリックに分かれます。鼻が前に飛び出しているのが鼻中隔(びちゅうかく)と呼ばれる鼻骨の一種(軟骨)です。これが左右のどちらかに曲がっていると、鼻づまりの原因になります。

鼻づまりを起こすと鼻を強くかもうとする回数が増え、鼻の粘膜の炎症の原因になります。その炎症が副鼻腔まで広がると、上記と同じく副鼻腔炎、蓄膿症という悪循環が起こります。

いかがでしょうか?蓄膿症というかなり重い病気の原因は、誰もが経験する風邪だったり、あるいは非常に症例が多いアレルギー症状、そして実は95%もの人が曲がっているといわれる鼻中隔の問題だったのです。

ということは、蓄膿症という重い響きのイメージとは異なり、この病気、意外と私たちの身近なところにその原因が潜んでいることを意味するのです。あなたにとっても私にとっても、蓄膿症は「要警戒」な病気なのです。

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蓄膿症の治し方を知りたい!蓄膿症の治療法は?

蓄膿症の治療方法は、大きく分けると2つの方法(の方向性)に分けることができます。1つが内科的治療、もう1つが外科的治療(手術療法)です。それぞれについて、簡単にご紹介しましょう。

蓄膿症の内科的治療方法は?

蓄膿症の内科的治療の方法にはいくつかの専門的な方法が採用されます。何しろ膿がたまっているのが蓄膿症ですから、ブドウ球菌などによる悪影響は十分に考えられますので、膿の吸引と滅菌(抗生物質投与)、抗炎症が前提となります。

そのどちらも同時に実施することができるのが、ネブライザーと呼ばれる専門的な医療機器です。以下の図をご覧いただくと、耳鼻科などで見たことがある人も多いかもしれませんね。

ネプライザー機器の写真

一般的なネブライザーは、抗炎症剤や抗菌剤、抗生剤などを口と鼻から吸入するタイプのものが多いですが、これに先立って、蓄膿症の最大のリスクである膿の吸引を必ず行います。

ですからネブライザー治療で膿の吸引と投薬のどちらも実施されることになるのです。家庭用のネブライザーも家電ショップなどで購入できることがありますが、家庭用のものだと「膿の吸引」ができない可能性が高く、その意味ではあまりおすすめできません。

ただし、事前に耳鼻科などで膿の吸引をしてもらってから自宅でネブライザーを実施するという方法もなくはありません。しかしそれならば、より高性能な耳鼻科のネブライザーを採用したほうが効果的であるといえるでしょう。

副鼻腔の炎症が深刻な場合には、ネブライザー治療と併用して抗生物質の服用が推奨されるケースもあります。ですから蓄膿症の内科的治療は、ネブライザー治療と投薬治療が軸になることが多いです。

手術で蓄膿症を治すケースも多い

かつて、顔にメスを入れて切開し、蓄膿症を治療した・・・などという手術療法が頻繁に行われてきましたが、しかし現在そこまでする治療は多くありません。というよりも、蓄膿症の治療レベルが格段に進歩しているため、手術自体が減ってきているのです。

とはいえ、上記の内科的治療でもなかなか改善が見られないケースは、やはり外科的治療(手術療法)で打開を図るのは今も昔も同じです。ただし、今は手術療法も進歩していますので、顔の切開はほとんど行われません。

ということは、当然「内視鏡」を用いた精神的にも肉体的にもダメージを最小限にとどめられる外科的治療が、蓄膿症治療にも行われることになります。そういった意味では、昔の体験談はあまり鵜呑みにはしないほうが無難です。

蓄膿症に効く市販薬ってあるの?

基本的には、蓄膿症を含む副鼻腔炎は病院で治療することが望ましいといえます。とはいえ、仕事に学校にと忙しくしている人からすると、鼻の不具合で会社や学校を休むとは言いづらいところも正直あるでしょう。

大前提として病院での治療をおすすめしますが、しかし初期的な蓄膿症、もしくは蓄膿症をまだ発症していない段階での副鼻腔炎であれば、市販薬を試してみるのも悪くはないかもしれません。

ということで、ごく簡単にではありますが、初期の蓄膿症を含む副鼻腔炎の治療薬のうち、市販されている代表的なものをいくつかご紹介しておきましょう。以下の表にまとめます。

治療薬名(用途) メーカー名 主成分 効能・副作用など備考
チクナイン(のみ薬) 小林製薬株式会社 辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ) 膿の排出を促し膿を抑える(主成分が漢方なので副作用はほとんどない)
ベルエムピL錠(のみ薬) クラシエホールディングス株式会社 荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ) 蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび(主成分が漢方なので副作用はほとんどない)
ナシビンMスプレー(点鼻薬) 佐藤製薬株式会社 オキシメタゾリン塩酸塩 急性鼻炎、アレルギー性鼻炎又は副鼻腔炎による鼻づまり(漢方薬ではないが眠くなる成分は含まれていない)

(上表の引用・参考:チクナイン-小林製薬株式会社ベルエムピL錠-クラシエホールディングス株式会社ナシビンMスプレー-佐藤製薬株式会社より)

上表の説明からもわかるように、初期の蓄膿症を含む副鼻腔炎治療薬のうち「のみ薬」のタイプのものは、漢方薬のほうが多いようです。もちろんどんな成分にしろ、用法用量は厳密に遵守してご利用いただきたいと思います。

それと、ちょっと注意していただきたい点があります。というのも、少し調べてみたところ、いろいろなサイトで「蓄膿症に効く」とする上記以外の市販薬がたくさん紹介されていましたが、すでに販売中止、製造停止になっている商品が多かったからです。

やはり蓄膿症のレベルまで副鼻腔炎が進行してしまうと、正直市販薬に頼るのではなく、病院で治療してもらったほうがよいという意味合いが、そこに含まれているような気がしないでもありません。

ということで、しばらく市販薬を使用しても効果が見られないようであれば、できるだけ早目に迷わず病院に行っていただきたいと思います。とにかく症状を悪化させないことが、蓄膿症治療では重要なのです。

かかると厄介!蓄膿症・副鼻腔炎を予防しよう!

上記の「症状」のところをご覧いただいて、「蓄膿症には絶対にかかりたくない!」と痛感した人も多かったかと思います。蓄膿症は、かかるとほんとうに厄介で、できることならかからないように日々の生活を送りたいものですよね。

そこで、蓄膿症を予防する方法を大きなくくりでご提案しつつ、今回のテーマのまとめとしたいと思います。

副鼻腔炎にならないことが蓄膿症の最大の予防!

副鼻腔炎の場合、「慢性副鼻腔炎」と「急性副鼻腔炎」の2種類があるので、急性的に副鼻腔炎を発症する可能性があります。しかし、ある日突然急性的に蓄膿症を発症したということはありえません。

つまり、副鼻腔炎にならなければ蓄膿症にはならないのです。ということは、蓄膿症を予防するためには、副鼻腔炎を予防を優先するほうが理に適っているといえるのです。では、副鼻腔炎を予防するためにはどうしたらよいでしょう?

上の「原因」のところでもお話しましたが、菌やウイルスが副鼻腔炎の原因になるケースが非常に多いので、風邪をひいたり花粉症にかかったりしたら、ガマンせずこまめに鼻をかんで、菌やウイルスを外に出すことが重要であるといえます。

ただし、不快なのはわかりますが、強く鼻をかみすぎると逆に炎症を誘発し、場合によっては耳へのダメージを大きくしてしまいます。耳が詰まらない程度に軽く鼻をかむことをこころがけましょう。

万一副鼻腔炎を発症したら、そこから症状を悪化させないという意識が、蓄膿症の予防につながります。

免疫力アップも重要!

炎症が起こっているということは、ある意味それだけ免疫が機能しているということにはなります。ただし、免疫力をもっと強くすることで、炎症が起こる前に菌やウイルスを身体が退治してくれるようになります。

ですから、免疫力をアップする生活を送るのも、副鼻腔炎や蓄膿症の予防になるのです。もちろん規則正しい生活を送り、負荷の少ない生活習慣を身につけることは重要です。手洗いやうがいをこまめに、しっかりすることも忘れないでくださいね。

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