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健康茶のはずのスギナ茶でビタミンB1欠乏症の「脚気」が起こる

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最初に「ツクシ誰の子スギナの子」なんて懐かしい詩を持ち出してお話を始めましょう。早春の味覚の一つツクシ。指が真っ黒になるのでハカマ取りが面倒ですが、食べると苦労も忘れますね。私は卵とじが好きです。

さてそれはさておき、胞子を作って飛ばすための繁殖茎がツクシで、光合成を行うための栄養茎がスギナと言うわけですが、最近このスギナをサプリやお茶で摂ることがあるそうです。

はたして健康に良いのでしょうか?今回はスギナ茶の効果やその副作用についてお話しましょう。

スギナ茶はネット上で万能茶扱いでも…効果には疑問符が付く

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いわゆる民間療法的なもの、利尿作用やむくみ取り、ミネラル補給としてスギナ茶が有名ですね。その他、若葉の炒め物やつくだ煮なんてものも見受けられます。

またお酒に付け込んだり、生の葉を外用に用いる例も紹介されています。

しかしながら、国立健康・栄養研究所の調査によると、有効性を証明した論文などは見当たらなかったようです。

少しネットで検索してみたところ、

  • ガン予防
  • 糖尿病
  • 肝臓病予防
  • 骨粗鬆症予防
  • アトピー性皮膚炎改善
  • 便秘改善
  • 高血圧予防

と、まるで万能薬扱いのサイトもあります。

ここまで網羅されるとさすがにマユツバだと思いますが、それでも信じてしまう人がいないとも限りません。特に慢性病で悩んでいる人などは、藁にもすがる思いで…と言うことがままありますからね。

花粉症に対する効果も未確認

8~9年前に花粉症に有効かもしれないと言う新聞発表があったそうですが、その後公的な裏付けが得られないまま現在に至っているようです。

海外でもスギナはハーブとして利尿剤などの使われ方をしている反面、やはり使用制限のあるハーブとして取り扱われています。

昔は多くの死者を出していた脚気の原因と症状

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脚気(かっけ)と言う病気、最近ではあまり耳にしなくなりましたね。膝の下あたりをゴムのハンマーで叩いて、脛がぴくんと跳ね上がるかどうかをチェックする膝蓋腱反射は脚気の神経炎症状を見るためのものでした。

当時の子供たちも学校での検査があったため、この跳ね上がりが面白くてよく真似をしたものです。

脚気の原因はビタミンB1の不足

今でもビタミン剤の代名詞ともいえる武田薬品工業のアリナミン、これは軍人たちの脚気に悩まされた大日本帝国陸軍から、治療薬の開発を依頼されたことから開発が始まり、戦争が終わってからやっと製品化されたものです。

アリナミンの主成分はビタミンB1誘導体です。つまり脚気の原因はビタミンB1不足なんですね。

脚気の症状

脚気の症状と言えば下記の3つが主です。

  • 神経炎
  • 浮腫
  • 心不全

もちろん重症になると生命に係る病気です。戦後を見ても昭和25年には4000人近くが亡くなる病気でしたが、アリナミン普及後の昭和40年には100人以下になっています。

浮腫は心不全に伴う症状ですが、実はこれがスギナ茶の副作用と絡んで危険性を発生させているんです。

なぜスギナで脚気が起きてしまうのか?

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スギナにはチアミナーゼと言う酵素が含まれています。植物に含まれるチアミナーゼは耐熱性のものが多いので、加熱しても壊れない酵素です。

この酵素はチアミン(ビタミンB1)を2つの分子に分解してしまいます。このため、誘導体などになっていて酵素による分解を受けにくいもの以外は、ビタミンB1が破壊されて不足してしまうのです。

スギナ茶をはじめとする民間薬としてのスギナは利尿効果を持っているとされています。実際、学術論文としてはまとまっていないものの、利尿薬として古くから数多くの実績があります。

ですので、むくみがある人などはスギナ茶を利用する可能性もあります。しかし、これが大変問題のある悪循環を引き起こしかねないのです。

むくみが出る

スギナ茶を飲む

チアミナーゼが働く

ビタミンB1が壊れる

脚気になる/悪化する

(先頭に戻る)

と言うことですね。へたをすると生命に係りかねません。

スギナの薬効とその成分

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学術論文にはなっていなくても、古くからの実績で認められている薬効も存在します。しかし先にお話ししたように、その薬効は副作用によって悪い方に働くこともあります。

利尿効果以外に、どの程度の薬効が実際に期待できるのかを見てみましょう。

スギナに含まれる成分

スギナにはさまざまな成分が含まれています。もちろん植物としては割合当たり前のものばかりでどの程度含まれているかのデータがないので、薬効についてこれだけで判断することはできません。

それでも、何が入っているかと言うのは気になりますよね。そこで、この下に羅列してみましょう。

  • エキセトニン(サポニンの一種)
  • ケルセチン(玉ねぎの健康成分、フラボノイド)
  • ルテオリン(ブロッコリーの健康成分、フラボノイド)
  • アピゲニン(赤血球に毒性を持つフラボノイド)
  • ケンペロール(がん予防が期待されるフラボノイド)
  • イソケルシトリン(効果不明のフラボノイド)
  • エキセトリン(効果不明のフラボノイド)
  • ニコチン(アルカロイド、微量)
  • パルストリン(アルカロイド、微量)
  • パルストニリン(アルカロイド、微量)
  • ケイ素(ミネラル、多量)
  • マンガン(ミネラル)
  • カリウム(ミネラル)
  • 硫黄(ミネラル)
  • マグネシウム(ミネラル)
  • タンニン類
  • チアミナーゼ(ビタミンB1分解酵素)
  • 脂肪
  • 炭水化物
  • アミノ酸
  • ビタミンC

フラボノイドの種類が豊富なのが特徴的ですね。一方、微量とは言え植物毒であるアルカロイドが3種類、しかもニコチンまで入っていると言うのも気になるところです。

海外の研究で認められたスギナの薬効

スギナはヨーロッパにおいても古くから炎症性疾患の民間薬として用いられてきました。原因が特定できず、身体のどこかの部位に炎症が起こる病気ですね。

例えば難病のクローン病などもこれに含まれるのかもしれません。しかしそのメカニズムについて、特に炎症性疾患に重要な関係を持つ免疫機能との関係が研究されてきませんでした。

そこでドイツの名門校・アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクと、オーストリアの最大最古の名門校・ウィーン大学との共同研究が行われたのです。

内容は難しいので省くとして、結論としては「エキスとして製剤されたスギナについて、試験管レベルにおいては、伝統的な炎症性疾患の治療用としての利用を肯定する免疫系のデータが得られた」としています。

ただし、この研究は飽くまで方向付けで、さらなる研究の積み重ねが必要だとも付け加えていますね。動物実験や臨床実験も期待されているのでしょう。

一方、この論文の中で引用された論文を見ると、スギナについて次のような効果は認められていると言うことになっていました。

  • 肝臓保護機能
  • 利尿機能
  • 抗菌作用
  • 抗酸化作用
  • 抗炎症作用

日本では生薬としてのスギナ、つまりスギナ茶や野菜扱いしたスギナを対象に研究されているので、利尿以外のこうした効果が認められていないのかもしれません。

この研究で用いられたのは煎剤エキスとして製剤されたものと、ヨーロッパスギナの生の葉から成分をアルコール抽出したものが用いられています。

そして、残念ながら論文中にではビタミンB1の破壊について研究される部分がなかったため、チアミナーゼ活性を失わせてあるかどうかは判りませんでした。

脚気の原因、ビタミンB1不足を回避するために摂りたい食べ物

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一番の危険性は先に挙げたチアミナーゼと言う酵素の存在です。さきにもお話しした通り、これはビタミンB1を破壊します。

ビタミンB1が欠乏することで起こる脚気、今では名前すら忘れられがちになっていますが、ビタミンB1に関する知識がなかった明治大正期には、毎年数万人単位の死者を出していた病気です。

ビタミンB1の摂取推奨量は成人女性で1.1mg/日くらい、男性で1.4mg/日くらい、そして成長期にはより多く必要になります。

にもかかわらず、実際の平均摂取量は女性で0.77mg/日、男性で0.93mg/日です。脚気と言う形では現れてこなくても、多少の欠乏症状を持っている人がいてもおかしくない数字ですね。

でも、ビタミンB1はそれほど摂るのが難しい栄養素ではありません。特に豚肉には豊富に含まれています。肉の種類にもよりますが、脂身の少ない赤身肉であれば女性で100g、男性でも130gくらい食べれば一日量に届きます。

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植物性のものでは、胚芽や豆類に多く含まれますが、水溶性なので調理の際に失われやすいのが欠点と言えるでしょう。
また、ビタミンB1(チアミン)の状態ではスギナの酵素チアミナーゼやアルカリ環境下で分解されやすいと言う弱点もあります。重曹であく抜きするとビタミンB1も壊れると言うことですね。

さらに、そのままでは吸収されにくいビタミンでもあります。その対策として、皆さんもよくご存知の通り、油とニンニクを使った料理が最も効果的にビタミンB1を摂れるのです。

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ビタミンB1はニンニクのにおい成分であるアリシンと出会う事でアリチアミンと言うビタミンB1誘導体になります。これはスギナの酵素でもアルカリ環境下でも分解されにくく、しかも吸収が早いのです。

人間の体内に吸収されると、そこでビタミンB1にもどって働くと言う、とっても便利な成分です。そしてアリチアミンが最初のアリナミンの主成分だったのです。

その後、さらに油との相性が良くなるように改良されたビタミンB1誘導体、テトラヒドロフルフリルジスルフィドチアミン(通称:フルスルチアミン)が発明され、現在ではこれがビタミン剤の主力になっています。

お酒を飲む人はさらに危険!治らない記憶障害を起こしてしまうかも

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ビタミンB1欠乏症は脚気だけではありません。特にアルコールを飲む人がビタミンB1欠乏状態になると、ウェルニッケ脳症と言う欠乏症になります。これはビタミンB1欠乏だけでも起こりますが、お酒を飲むとより起こりやすいそうです。

症状としては目が動かなくなります。外側へ動かなくなるため、いわゆる「より目」になるんですね。ですから、お酒を飲む人でビタミンB1不足が気になっていたり、スギナを服用している人は注意ですね。

もし誰かに「より目になってるよ」と言われたら、お酒とスギナをやめて豚肉のニンニク炒めでも食べて下さい。一回じゃだめですよ。何か月かは意識しましょうね。

その他記憶が飛んだり、身体の動きが悪くなったりもします。この辺りまでだと、ビタミンB1の補給で元に戻りますが、さらに怖い状態がその先にあります。

「コルサコフ症候群」…アルコール依存症レベルのお酒の飲み方と、ビタミンB1不足によって引き起こされる症状です。

専門的な内容は省きますが、「今が何時で、ここがどこなのか」が判らなくなります。そして記憶にも障害が出ます。しかしよく言う「ここはどこ?私は誰?」にはなりません。

発症した時から、先に向けて新しいことが覚えられなくなるのです。そして、最も恐ろしいのは、この症候群に罹ると元には戻らなくなることです。

お酒の飲み過ぎに注意するのはもちろんですが、ビタミンB1欠乏に陥らないようにしっかりとものを食べましょう。お酒をよく飲む人はむくみが出やすいですが、その解消法としてのスギナは極めて危険です。

ニコチンが含まれているので子供やニコチンに過敏な人は注意!

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先の成分紹介でお話しした通り、スギナには微量ながらニコチンが含まれています。そして、その他のアルカロイドも2種類存在しているのです。

健康な大人なら問題にならない量のようですが、子供がスギナをかじってニコチン中毒症状を出したことが報告されています。

ですので、子供やニコチンに過敏な体質の人はスギナは避けましょう。タバコのニコチンは製品となった「枯れた葉のタバコ」にもしっかり含まれていますので、スギナもスギナ茶だからと安心はできません。

腎臓病に良いという世間の誤解も怖い!スギナを避けるべき人の特徴

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国立健康・栄養研究所のまとめによると、次のような人にはスギナは禁忌(患者の予後を著しく悪化させる治療や投薬などの行為・行ってはならない)であるとされています。

  • 心臓病の人
  • 腎臓病の人
  • ニコチンに過敏な人
  • スギナや近縁種にアレルギーのある人

世間によくあるサプリ紹介サイトレベルであれば多少誤った紹介でも仕方がないのですが、農業従事者のための専門新聞レベルですら「腎臓病、ぼうこう炎を持病に持つ人にお勧め」などと書いています。

このような事態はややもすると健康被害をもたらしかねない事ですので、私たちは一人一人が口に入れるものの有効性や危険性を知っておきたいものですね。

ちょっと考えてみましょう…敢えてスギナを使う事はない

このように、伝統的民間薬としての効能はある程度認められているものの、普段口に入れるものとしてみた場合、結構リスキーではないかと思えますね。

個人的にとても気に入っているとか、スギナを使っていると体調が良いと言う人にまで「おやめなさい」とは言いません。

しかし、このような危険性もあることだけは知っておいていただいて、身体に変調があった時は、一時休薬することも躊躇わないでいただきたいと思います。

繰り返しになりますが

大切な情報ですので、もう一度まとめておきましょう。

  • 妊娠中や授乳中の人は避けて下さい
  • 長期間摂り続けることは危険です
  • 子供にはたとえ一回でも与えないで下さい
  • 心臓病の人は絶対摂ってはいけません
  • 腎臓病の人は絶対摂ってはいけません
  • スギナにアレルギーのある人は絶対摂ってはいけません
  • ニコチンに過敏な人は絶対に摂ってはいけません
  • お酒をよく飲む人は注意して下さい
  • 不調が出たらスギナを中止、ビタミンB1誘導体を含む製剤を摂って下さい

健康茶で健康を損なわないよう、気を付けて下さいね。

キャラクター紹介
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