健康生活TOP 浮腫 たかがむくみ、じゃない!むくみの原因の裏に隠れた病気とは

たかがむくみ、じゃない!むくみの原因の裏に隠れた病気とは

足をもむ女性

むくみと言うのは割合一般的な症状ですが、どちらかと言うと中年女性に多い症状です。これは、原因になる疾患がなく、むくみだけが症状として発生する「特発性浮腫」と言う物が中年女性に多いからなんです。

しかし、むくみには基礎疾患を持つ二次性のものが多いので、むくみが気になったら、一度は受診して検査を受けておきましょう。目安になるのは朝と夕方の体重差です。何日間かにわたって起床直後に体重を測り、夕方の体重と比較します。

夕方の体重は起床直後より重いものなのですが、その増えた分が1.5kgを超えていたら、むくみによるものだと考えて良いでしょう。

また、その増えた分が翌朝に解消していない場合もむくみが原因と考えられるのです。そうした場合は必ず受診して下さい。

むくみは身体の中に増えてしまった余計な水分

人間の身体は60%が水でできています。そのうち2/3は細胞の中に、残り1/3は細胞の外にあります。そして、細胞の外にある水分の2割が血液やリンパ管の中のリンパ液で、残り8割が細胞の間を満たす間質液と言う物です。

この間質液が多くなってしまって、皮下組織に溜まるものをむくみ(浮腫)と呼んでいます。一方、体腔にこの水分が溜まると腹水や胸水などの症状になりますし、間質にたまると肺水腫などのように水腫と呼ばれるものになります。

むくみの水分はどこからやってくるのか

むくみの水分は、主に血管からやってきて汗や尿・便に排泄されないために余ってしまったものです。

全身に血液を送り届ける血管は、一番末端では壁の厚さが0.5μm(1万分の5mm)と言う、ほとんどが内皮細胞だけで構成された管になっています。この薄い膜には微小な穴が開いているため、水や小さな分子は通しますが、たんぱく質などの大きな分子は通しません。

こうした膜のことを半透膜と呼びます。血液中にはいろいろな成分が溶けていますので、血液の方が間質液より「濃い状態」になっています。半透膜を挟んだ両側に濃度の差がある場合、濃度が濃い(浸透圧が高い)側を薄めようとする水分子の動きが起こります。

血管には心臓からの圧力、つまり血圧がかかっているので、水分は血管からにじみ出して間質液側に移動しようとする働きがあります。しかし、血圧の低い部分では浸透圧で水分が血管に戻ってきます。

概ね、動脈側の毛細血管では浸透圧より血圧の方が高いので水分は血管から間質へ移動し、静脈側の毛細血管では血圧より浸透圧の方が高くなるため間質から血液の方へと水分が移動します。

他にも関係するメカニズムはありますが、このバランスが崩れて間質の側に水分が多くなってしまうのが「むくみ」の原因なのです。

リンパでの水分回収が追い付かないとさらにむくむ

リンパ液と言う言葉もよく耳にしますが、これについても簡単に説明を加えておきます。リンパ液と言うのは、先にお話しした間質液と同じものです。これが細胞の間にある時には間質液と呼ばれ、リンパ管の中にある時は狭義のリンパ液と呼ばれます。

間質液は先にお話しした通り、水分などが静脈から回収されますが、たんぱく質のように大きな分子は血管壁を通過できませんので、壁の穴が大きいリンパ管の方から水分と一緒に回収されるようになっています。

そして、リンパ管は首の近くで静脈に合流して血液と一緒に心臓へと回収されます。ですので、リンパの流れの方にトラブルが起こっても水分が充分回収されないためむくみとなって現れることがあるのです。

女性の場合、美容の面からも顔のむくみは避けたいののですし、下肢のむくみも避けたいものですよね。でも、むくみだけを抑えようとする前に、病気が隠れていないかどうかを知ることが重要なのです。

むくみは心臓と腎臓の病気が原因になることが多い

むくみと言うのは、その症状の鬱陶しさばかりに目が言って、うしろに隠れているかもしれない病気については見過ごされがちです。

しかし、身体の中に余計な水分があると言うのは、どこかでその水分が処理できなくなっていると言う事ですから、その原因をしっかり探って危険がないかどうかを確認する必要があります。

心不全は腎臓での水分排泄が減ることからむくみを生じる

心臓が全身に必要な血液を送り出せなくなってしまう状態を、うっ血性心不全と言います。充分な血液を送り出せないため全身に様々な症状が出ますが、腎臓での血液のろ過流量が減るため、水分の排泄が不充分になってむくみを生みます。

また、そうした状態では腎臓から水分とナトリウムの再吸収量が増えます。そうなると静脈の血圧が上昇します。静脈の圧力が上がってしまうと、浸透圧によって間質液から吸収されるはずの水分が吸収されなくなるため、さらにむくみになります。

この現象は全身に血液を循環させている心臓の右側のトラブルで発生します。左側は肺循環系なので、肺水腫で呼吸困難が発生することもあるので、心不全によるむくみは大変危険なシグナルなのです。

心不全は心臓の弁に病変が起こったり、拡張型心筋症や肥大型心筋症のように、心筋自体の病気で起こることがあります。

さらに、狭心症や心筋梗塞の虚血性心疾患や腎臓病が引き金になる腎性高血圧も心不全の原因になります。腎臓の病気についてはどちらが原因になるにせよ、心臓とは切っても切れない関係がありますから、尿検査の結果などは注意して見ておいて下さい。

感染症が腎臓に影響してによってむくみが現れることがある

急性糸球体腎炎によって腎臓の機能が低下すると、先の項目で紹介した心不全による場合と同じように、再吸収量が増えることで水分やナトリウムの排泄量が減ってしまい、腎性高血圧が引き起こされます。

その結果、血液の量が増えるとともに、毛細血管の透過性が亢進して水分が間質液に流れ出しやすくなります。これがむくみとなって表れてくるのです。

急性糸球体腎炎は多くの場合A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に伴う合併症として現れることが多い病気です。細菌感染症ですので抗生物質が有効な病気です。学齢期の子供に多い病気ですが、大人でも感染しますので注意して下さい。

急な発熱と身体のだるさ、のどの痛みによって発症します。一週間ぐらいで軽快しますが、状況によっては猩紅熱に移行することもあります。

この病気にかかって4週間後くらいまでの間に血尿が出たり、尿の量が減ったり、むくみが出たりした時は発熱を伴う主症状が治まった後であってもすぐに受診して下さい。

多くの場合、この急性糸球体腎炎も一過性で終わることが多いのですが、時々慢性の腎臓病に移行してしまうこともあるのです。

その場合、急性糸球体腎炎によって引き起こされる高血圧は全身に悪い影響を与えますし、最悪の場合生命にもかかわりかねないため、急いで対応する必要があるのです。

腎臓が原因のむくみは心不全と連動しないこともある

腎臓の病気として良く知られるネフローゼ症候群では、腎炎や心不全とは異なるメカニズムでむくみが現れます。

ネフローゼ症候群とは、腎臓自体のさまざまな病気や糖尿病性腎症、膠原病、がんなどを原因として、腎臓からたんぱく質が尿に漏れ出てしまう病気です。

たんぱく質が尿に出てしまうため、血液中のたんぱく質が不足して浸透圧が下がる「血漿膠質浸透圧低下」と言う現象が起こります。その結果、間質液から血液へ水分が回収できなくなって、皮下組織にたまってしまうため強いむくみとなって現れます。

ネフローゼ症候群は様々な原因によって起こりますので、しっかり診断してもらって治療することが必要です。ネフローゼ症候群の治療はお薬ですが、それ以上に安静と塩分制限が重要になります。

ネフローゼ症候群で尿にたんぱくが下りると、尿が泡立ちやすくなります。泡立ったから必ずそうであると言うわけではありませんが、むくみや多めの体重増加に伴って尿が泡立ったらすぐに病院に出かけて下さい。

心臓病も腎臓病も厄介なものですが、その兆候がむくみであるなら、気になったら即受診と言う判断で、早期発見早期治療も可能だと思います。病気が治ればむくみも消えてくれるはずです。

肝臓病や栄養失調によってもむくみは引き起こされる

肝臓病と言うと、かなり症状が進んできた時に見られる腹水が有名ですね。お腹がカエルのお腹のように膨れ上がってしまう症状で、ひどくなると物理的に抜かざるを得なくなるものです。

実はこの腹水は、腹腔に溜まっているから腹水なのであって、基本的には皮下組織に溜まっているむくみと同じものであるという言い方もできるのです。

肝臓病ではアルブミンと言うたんぱく質が体液に影響を及ぼす

血液中に多く含まれるたんぱく質にアルブミンと言う物があります。腎臓病のネフローゼ症候群で言う「尿にたんぱくが下りた」と言う時のたんぱくの多くはこのアルブミンのことです。

先にもお話しした通り、このアルブミンが不足すると血漿膠質浸透圧低下と言う現象が起こります。この浸透圧が低下すると間質液から血液への水分の吸収が減るため、余った分がむくみとなって現れます。

アルブミンは肝臓で作られるたんぱく質です。肝硬変の中でも、まだ生き残っている肝臓の細胞が肝臓の役目をはたしている代償期や慢性肝炎では、アルブミンの不足はほとんど起こりません。

肝硬変が進んで、もう残った肝臓の細胞だけでは充分役目を果たせなくなってくる非代償期に入ると、アルブミンが作られる量が減ってしまいます。そうなると血漿膠質浸透圧低下が発生します。

また、肝硬変が進むと、肝門脈と言う部分の血管で血圧が上昇します。それに伴って静脈の血圧も上がるため、血漿膠質浸透圧低下とともに血管への水分の吸収が行えなくなる原因になります。

こうして余った水分はむくみとなって全身に現れたり、腹水となって腹腔内に溜まったりするようになるのです。

肝臓病で腹水やむくみが出るようになったと言うことは、かなり悪化していると言うことです。そうならないように、健康診断でALT・AST・γ-GTPなどの異常を指摘されたら、むくみなどが現れないうちに、すぐ治療を開始しましょう。

もしむくみや腹水が現れてしまった場合は、お医者さんの指示に従って、利尿薬や安静で対処します。腹水で食事ができないほどになったら、針を刺して物理的に腹水を抜きますが、むくみに対してはそういった対処はありません。

下肢のむくみに対しては弾性加圧ストッキングなどが有効ですが、これはむしろ心不全などの場合に有効なものです。

アルブミン不足によるむくみは低栄養状態でも現れる

肝臓がそれほど悪い状態ではなくても、アルブミンを作るための原料が足りなければ血漿膠質浸透圧低下は発生します。つまり、低栄養状態になるとむくみが出る場合があるのです。

これは非常に皮肉な状態で、低栄養になると当然体重は減るのですが、血漿膠質浸透圧低下が起こってしまうと、むくみによる水分で見かけの体重だけを見れば太って行く方向になることもあるのです。

つまり、誤ったダイエットによって低栄養状態になると、見かけの体重の上では太ってしまうと言うことですね。そんな時にさらにカロリーを落としたりすると、著しく健康を害する恐れがあります。

こうした低栄養状態のリスクは、そうなる前の体重減少から予測できますので、普段からチェックしておきましょう。

まず、通常体重の範囲であってもBMIが20kg/m2を下回ると低栄養リスクがあると判断されます。そのレベルでは死亡率が上昇したり、要介護になる確率が上がります。

目安として、身長150cmで45.0kg、160cmで51.2kg、170cmで57.8kg以下になると低栄養リスクが高くなります。さらに体重の変動によってもリスクが割り出せますので、ダイエットの際を含めて体重の変動には注意しておきましょう

低栄養リスクの目安

体重が6か月間に2~3kg減少した

 または

1~6ヶ月間の体重減少率* が3%以上である
(体重減少率が1か月に5%未満、3か月に7.5%未満、6か月に10%未満の場合は、適切な栄養補給によって体重改善の可能な段階として低栄養の中リスクとされ、体重減少率がそれを上回る場合は低栄養の高リスクとされています。)

*体重減少率は以下の計算式で求めます。

体重減少率(%)=((通常の体重-現在の体重)÷通常の体重)×100

例:通常の体重が45kgの人が3か月間で3kg減って42kgになった場合、体重減少率は(45-42)÷45×100=6.7%
(3か月で3%以上7.5%未満の体重減少率なので、低栄養の中リスクです。もし1か月で3kg減った場合は高リスクになります。)

なお、何らかの病気で、お医者さんから減量を指示されている場合は当てはまりませんので注意して下さい。

この他、血液検査によって血清アルブミン濃度が3.8g/dL以下である場合や、総コレステロール値が150mg/dL未満である場合、そして貧血が見られる場合などに低栄養の可能性があります。

低栄養によるむくみの場合は、正しい食生活を行うことで自然に治癒できるでしょう。但し、高度な低栄養の場合は受診して治療を受ける必要が出るかもしれません。

お薬の副作用によるむくみと言う物も少なくない

例えば高血圧のお薬であるアダラート(一般名:ニフェジピン・ジェネリック多数)は副作用としてむくみがあります。このお薬は、血管の筋肉にあるカルシウムチャンネルに働きかけて血管を拡張させることから、カルシウム拮抗剤と呼ばれることもあります。

炎症を抑え痛みを止めるNSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)として良く用いられるインドメタシン内服薬(現在ジェネリックのインテバンだけが存在します)や、ブルフェン(一般名:イブプロフェン・ジェネリックあり)にもむくみの副作用があります。

こうしたお薬はかなり広く用いられるものですので、意外に身近なむくみの原因かもしれません。もしこうしたお薬を使っていて、むくみがひどいようであれば処方して下さっているお医者さんに相談して下さい。

その他にも抗うつ薬の一般名イミプラミン塩酸塩や、高血圧のお薬である一般名ヒドララジンなどもむくみの副作用をもっています。

誤ったダイエットでむくみによる体重増加って皮肉すぎますね。それに気づかずさらにカロリー制限をしても、どんどんむくみがひどくなるわけですから、気を付けなければいけません。

身体の一部に見られるむくみは特殊な原因で起こることがある

例えばがんの手術が原因で起こるむくみと言う物があります。また、脳下垂体にできる腫瘍が原因の難病でも顔に強いむくみが現れます。

さらに、普通は押したらへこんだままになるのがむくみなのですが、そうならずにすぐに跳ね返ってきたり、そもそもへこみにくいと言う現象が起こるむくみも存在します。

がんの手術に伴うリンパ節郭清がむくみの原因になる

がんを切除手術を行った場合、近くのリンパ節に転移している可能性を考えて、リンパ節を切除してしまうことが良く行われます。

リンパ節郭清と言うこの手術によって、血管からしみ出した水分を回収してくれるルートの一つがなくなりますので、リンパ節郭清によって無くなったリンパ節の近くの部位がむくむことが良くあります。

わが国で起こるリンパ浮腫の大半が、がんの手術に伴うリンパ節郭清によって発生しています。

難病・クッシング病は下垂体腺腫が原因のことが多い

それほど多い病気ではありませんが、いわゆるムーンフェイスと言う真ん丸な顔になることで知られるクッシング病の場合、約半数に強いむくみが現れます。

クッシング病はは副腎に原因がある場合もありますが、脳下垂体に腺腫ができることが原因の場合が大半であると言われています。

下垂体腺腫が見つかったら手術で取り除くのですが、身体の状態が元に戻るには1~2年ぐらいかかりますし、必ずしも手術で完治するものでもありません。難病とされるのはこうしたことも理由なのです。

甲状腺機能低下症は特殊なむくみが現れる

甲状腺の機能が低下すると粘液水腫と呼ばれる硬いむくみが現れます。これは例えばすねの部分を押してみると、普通のむくみならへこんだままになることでむくみと判断できるのですが、この場合はすぐに元に戻ってしまいます。

この病気にはさまざまな原因がありますが、一過性のものである可能性がある場合は、対症療法で様子を見ます。例えばヨウ素を多く摂取した可能性がある場合などですね。

そうではない場合、甲状腺ホルモンの内服薬を長期にわたって飲み続けることになるでしょう。

下肢静脈瘤が脚のむくみを呼ぶ

脚に血管のボコボコした形が浮かび上がることで知られる下肢静脈瘤。見た目にも悪いですが、かゆみや痛みを伴うことも少なくありません。

そして、下肢静脈瘤は多くの場合むくみを伴います。この病気に関するハイリスク群は次のような人です。

  • 女性
  • 親族に静脈瘤のある人がいる
  • 高齢
  • 立ち仕事に携わる人
  • 妊娠・出産
  • 肥満
  • 便秘

下肢静脈瘤にもさまざまなタイプがありますが、軽度の場合弾性加圧ストッキングで対応できることが多いですし、これは同時にむくみ対策にもなります。

何か他の病気があって静脈瘤ができている場合を除けば、下肢静脈瘤によって脚の切断に繋がったりすることはありません。しかし、そうした他の要因を確認するためにも一度受診はしておいた方が良いでしょう。

特に症状が重い場合には必ず受診しておいて下さい。

むくみ自体の治療にはよく利尿薬が使われますが、安易に利尿薬に頼るだけではなく、原因となっている病気について良く調べてもらって、その治療を優先するようにして下さい。
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