健康生活TOP 耳に関する病気や症状 イヤホンで音楽を聴くと耳が悪くなる?難聴にならないための予防法

イヤホンで音楽を聴くと耳が悪くなる?難聴にならないための予防法

「イヤホンやヘッドホンをして音楽を聞くと耳が悪くなる」といいます。さて、これは実際に起こることなのでしょうか。それとも行儀や勉強の習慣に関係する、しつけのための方便なのでしょうか。

こうした問題は往々にして子供時代の親の指導と、それに反発した子供時代の経験が原因で、妙なバイアスがかかって記憶されていることも少なくありません。

この機会に一度、客観的に、イヤホンやヘッドホンで音を聞くこと、耳の健康と病気について考えてみましょう。

イヤホンでもヘッドホンでも耳に良くない場合はある!

いきなり結論ですが、イヤホンやヘッドホンで音楽を聞くことは、耳に悪影響を与える可能性は存在します。しかし、どんな条件下でも耳に悪いというわけではなくて、やはりそれには条件が存在するのです。

もちろん、大人でも子供でもそうした悪影響は受けますし、大人だから大丈夫とか、若いから平気とか言ったアドバンテージは、少なくとも耳に関しては存在しません。

大音量で聞くことはもちろん耳に悪い

例えば、花火で遊んでいる時に、何かの手違いで爆竹が耳元で破裂した場合には、一瞬で難聴が発生します。同じように、たとえあさっての方向を狙ったものであっても、銃を耳の真横で発射されると同レベルの音で耳がやられます。

なので、音の反響が強い室内の射撃訓練場では、ヘッドホンのような形のイヤーマフ(プロテクター)を必ず装着して訓練していますね。

あれで、耳元での爆竹の爆発の音を、だいたい電車の走る音を踏切の直前で聞いている程度の騒音にまで軽減できます。

一方、職場での安全基準とされている騒音の、上限レベルの音を8時間連続で聞くと聞こえに悪影響が出てきます。これは、電話の呼び出しベルの音量に相当します。

このように、非常に大きな音では一瞬、普通の音であっても長時間連続で聴き続けると聴力に異常をきたします。こうした現象を「音響外傷」と呼びます。

もちろん、大音量では鼓膜が損傷することもあるので、爆発音などが予測されるときには、イヤーマフなどで防御しておくことが大切です。実際に大口径の猟銃を使った狩猟では、発射音による衝撃波で鼓膜を傷めることすらあるのです。

一度失った聴力は元には戻らない

こうした音響外傷による騒音性難聴は、爆発音などによる急性難聴の場合、耳の安静に加えて内服薬による治療で治る場合もあります。もちろん、受傷時の重症度に応じて治療期間や完治の可否は変わってきます。

一方で、ヘッドホンなどによる長時間の音にさらされて、徐々に症状が進行する慢性的な騒音性難聴では、耳の中の損傷を治す方法がありませんので、一度聞こえが悪くなったら元には戻りません。

この慢性的な騒音性難聴は、音量と聞いている時間によって傷害の度合いが変わってきますので、「大きな音で聞かない」、「長時間聞かない」ということが大切になります。

言い換えれば、銃の発射音よりヘッドホンの音楽のほうが、弱い音で徐々に耳を破壊するため、より危険である可能性があると言うことです。

また例えば、耳に障害を受けない音量と時間の組み合わせで言うと、海外のサッカーの応援でよく使われるブブゼラと言うラッパがありますが、あの音量の場合、5秒から9秒くらいが限界です。

さらにパワーの有る人が吹いた場合、一瞬で聴力を持って行かれるぐらいの大音量です。日本ではそれほど一般化していないとは思うのですが、サッカーや野球などで鳴り物の応援があるスタジアムに行く時は、耳栓を準備した方がいいでしょう。

金管楽器でも、近い距離で聞き続けると音響外傷が起こりうる可能性は示されています。

将来、再生医療で耳の中も再生可能になれば、慢性の騒音性難聴も治療できるようになるでしょうけれど、それは今後生まれる世代に対する医療ということになるでしょうね。

どのくらいならイヤホンなどで音楽を聞いても大丈夫なのか?

これは音量にもよりますから難しい問題なのですが、世界保健機関WHOは「音楽を聴く時間を1日に1時間以下にするべきである」と示しています。これは主に若い世代に向けてのものですが、「1日に1時間はひどい」と思われる人も多いでしょう。

実際、私自身も自家用車での通勤の、往復約2時間は音楽を聞いています。しかし、この場合、車外の音が聞こえる程度に音量を絞っていますので、おそらく害はないでしょう。もちろんスピーカーからの音ですよ。

音楽を聞きたいから音量を上げてしまう

まず、音量の問題ですが、イヤホンから音楽を聞いている時に、他人と会話ができないようであれば危険な音量になっていると考えていいでしょう。職場の騒音の安全基準である85dB(デシベル)の目安は「会話ができない程度」とされています。

ですので、聞いている音楽によって、目の前の人との会話が聞き取れないようであれば、それは騒音の環境基準である85dBを超えているということになります。

この85dBの音量では、8時間聞き続けると音響外傷を受けるとされています。

一方、1時間で音響外傷を受けるとされている騒音レベルは、94dBです。これは一般的に「大音量で聞いている」と言われるヘッドホンの音量の約半分の音量です。

また、一般的なポータブル音楽プレーヤーやスマホなどが出せる限界の音量は105dB程度だとされていますから、それに比べると8%程度の音量ですね。

ちょっと難しいのですが、デシベルでの計算は、10dB=10倍と計算できますので、3dB小さいと半分、6dB小さいと1/4くらいになります。1デシベルの差は約1.26倍と覚えておいても良いでしょう。

音楽に没入したいという人では、このレベルの音で音楽を聞くことが多いために、1日に1時間にしましょうと呼びかけているのだと思われます。

音楽を切った時の耳鳴りは危険信号

音楽を聞いている時は良いのですが、その音楽を止めた時に、かすかな耳鳴りが聞こえるようであれば危険です。誰かと出会った時にイヤホンを外した瞬間や、スピーカーで聞いていた時はトイレに立った時などですね。

そうした際に、小さな耳鳴りが聞こえたら、音響外傷を受けている可能性がありますから、耳鳴りか完全に消えるまでは、絶対に音楽などの大きな音量のものを聞かないで下さい。

一方、イヤホンの話題からは少し外れますが、大音量のロックコンサートなどに行った場合は、コンサート終了後からひどい耳鳴りがする場合があります。これはもう急性の音響外傷ですから、程度に応じて受診して下さい。

フェスやスタジアム、アリーナライブでは、スピーカーの近くにいない限り比較的ましでしょう。一方、ホールのライブではかなり耳に負担がかかることがあります。

個人的な経験ですが、ライブハウスでのメタルのライブは、行くたびに1週間は耳鳴りが消えませんでした。若いときでも年に1回が限度でしたね。

一方、同じライブハウスでのライブでも、ブルーグラスの演奏では耳鳴りが出ることはありませんでした。ブルーグラスの楽器は大きな音が出ますが、電気楽器を使わないので、耳に負担が少ないのでしょう。

一度や二度、こうした大音量のライブに行ったからと言って、永続的な難聴が残ることは少ないと思いますが、できるだけ間隔を開けたほうがいいですし、長時間のライブは避けたほうが安全でしょう。

ライブなどに関して、どの程度の間隔を開けたら良いとか、どの程度の長時間が危険なのかとか言う基準はありません。

ただ、音響外傷はその名の通り怪我の一種です。もし、転んで膝を怪我することがあったとして、それが一週間で治る程度だったとしても、月に一回同じところを怪我するようであれば、何か問題があるのかなと考えますね。

それと同じで、「前に、耳鳴りがするような大きな音のライブに行ったのは、いつだったか思い出せない」と言うくらいの間隔を開けておくのが適当ではないかと思います。

WHOの呼びかけによると、世界で11億人が音楽の音量のせいで難聴の危険にさらされているといいます。特に、大量の音楽が保存できるプレーヤーが普及したのが原因だともされていますね。

音響外傷による難聴を防止するための具体策

いくら難聴の可能性があるからと言って、大好きな音楽を制限するのも辛いものがあります。しかし、我慢するべきときには我慢すると言う大人の態度はやはり大切ですね。

少なくとも自宅以外では、「外部からの音」が全く聞こえなくなるような聞き方は絶対にしないで下さい。これは難聴以前に、事故によって生命を奪われるリスクが非常に高くなるからです。

難聴を防ぐ音量設定の行い方

これはスマホやポータブルオーディオプレーヤーを前提にお話します。まず、窓を締め切った静かな部屋の中で、イヤホンを着けて音楽を流します。その際に普通に音楽が聞こえる音量に設定して下さい。

おそらくそのレベルであれば数時間程度音楽を聞いても、耳に対する悪影響は出にくいでしょう。そして、屋外に出てもその音量を維持して下さい。おそらく屋外に出ると、環境からの騒音で音楽は聞こえにくくなると思います。

この時に、音楽が聞こえるように音量を上げてしまうのが、慢性的な音響外傷による難聴の原因になるのです。

そうした場合、有効なのは遮音性の高い密閉型のヘッドホンや、最近人気のノイズキャンセリングヘッドホン(イヤホン)です。密閉型のヘッドホンは、騒音を防ぐイヤーマフの内側に音楽を流している状態ですから、小さな音でも音楽はよく聞こえます。

また、ノイズキャンセリングヘッドホンは、外来の騒音と逆位相の音を流すことで騒音を打ち消していますから、やはり小さな音でも音楽がよく聞こえるため、耳への悪影響が出にくくなっています。

しかし、外来の騒音が聞こえないということは、音によって危険を察知することもできなくなっていますから、自転車に乗っていたり歩いていたりするときに使ってはいけません。

つまり、自転車に乗っていたり歩いていたりするときに、周囲の音が気にならない音量で音楽を聞いてはいけないと言うことでもあるのです。もちろんBGM的に静かな音楽を流しておく程度のことは良いでしょう。

また、自動車やオートバイを運転中にイヤホン・ヘッドホンをするのは違反です。絶対にしないで下さい。また、スピーカーからの音量も、充分絞っておいて下さい。踏切の警報機の音が聞こえないなどというのはもってのほかです。

一方、公共交通機関に乗っているときなどは、こうした騒音防止用のヘッドホン・イヤホンは耳の健康のために有効ですね。特に地下鉄の場合騒音が大きいので、値打ちを感じられるでしょう。それでも、置き引きや痴漢には注意しておいてくださいね。

耳に悪影響のある生活の場

私たちが普段使う可能性がある生活の場で、騒音が比較的大きめなのは地下鉄の中と飛行機の中です。しかし、地下鉄の中で75dB程度、飛行機の中で80dB程度と、不快な音量ではあっても特に耳に悪影響が出るほどのレベルではありません。

環境省の資料によると、耳に悪影響が出そうなのは、ゲームセンターの店内とパチンコ店の店内です。ゲームセンターでは83dB程度と、ぎりぎり環境基準以下ですが、ゲーム機の内容によっては大音量の出る機械を使うかもしれませんね。

一方、パチンコ店は90dB程度と、完全に環境基準を超えています。別の資料では、90dBと言う騒音レベルにおいて、2時間半ぐらいで音響外傷に見舞われる可能性が示されています。

(参照:騒音の目安(全国環境研協議会 騒音小委員会)|環境省)

ですので、パチンコ店にいるのは2時間以内にしておいたほうが無難ですね。

最近ではパチンコをやる人も激減しているといいますが、たばこの煙だけでなく騒音も悪かったんですね。でも、静寂に包まれたパチンコ店というのも、なんだか気持ち悪いです。

耳の聞こえが気になったら耳鼻咽喉科を受診する

大音量のライブのあとに耳鳴りがひどかったら受診という選択肢が採りやすいですが、普段からヘッドホンを使用する習慣がある人の場合でも、なんとなく耳が聞こえにくいと言った場合、受診されることをお勧めします。

もちろん慢性的な音響外傷による難聴は治りませんが、もし少しでも改善の可能性があるなら、受診は早いに越したことはありません。

耳鳴りを受診のきっかけにする

耳鳴りが気になったら、まずは受診です。そして聴力検査を受けて下さい。その結果如何によっては、さらなる検査を勧められることもあります。

また個人的な話ですが、少し前に耳の聞こえが悪くなったような気がして、耳鼻科に行きました。純音を聞いてボタンを押す標準的な聴力検査では、「同じ年齢の人より遥かによく聞こえてますよ」という結果だったので、大病院を紹介されました。

実は、聴力に異常がなくて聞こえに異常を感じる場合は、脳にトラブルが存在する可能性もあるんだそうです。MRIで頭の中を検査してもらって、結果は異常なし。とどのつまり、原因不明の一過性の難聴だったということでした。今はもう平気です。

でも、健康保険を使った検査で、ついでに頭の中も元気であることがわかったので、ちょっと得した気分でした。画像もDVDに焼いたのをもらえましたから、コレクションしてあります。

さて、実際の診察ですが、問診と聴覚検査によって、音響外傷による難聴が疑われる場合は、飲み薬の服用と耳の安静ということになるでしょう。イヤホンなどの使用を控え、スピーカーの音も絞って、騒音の少ない環境で過ごすことを指示されます。

お薬は、プレドニゾロン(商品名:プレドニンなど先行医薬品多数・ジェネリックなし)と言うステロイド薬がよく使われます。最も標準的なステロイド薬なのですが、他に飲んでいる薬があったり、慢性病を持っていたりする場合には、事前に必ずお医者さんに伝えて下さい。

また、アデノシン三リン酸二ナトリウム(商品名:アデホスコーワなど・ジェネリックあり)と言う、体内でエネルギー物質として使われ、血流を良くするお薬も合わせて使われることが多いです。

さらに、メコバラミン(商品名:メチコバールなど・先行医薬品なし・ジェネリックのみ)と言う、ビタミンB12製剤も合わせて処方されるでしょう。

難聴はそれ以上進行させないことが重要

慢性の音響外傷による難聴は、耳の一番奥の内耳にある蝸牛(うずまき管・かたつむり管)で起こっています。耳に届いた音は外耳道を通って鼓膜を振動させます。

鼓膜の振動はつち骨・きぬた骨・あぶみ骨と言う3つの耳小骨で、面積比やテコの原理を使って、機械的に20倍以上の振動に増幅されます。

そして、増幅された音は蝸牛に伝わり、その中にある有毛細胞を振動させます。この有毛細胞の働きで、音の振動が電気信号に変換され、蝸牛神経に伝わって、第8脳神経である聴神経を通り脳に届きます。

この有毛細胞の毛は、大音量にさらされると折れ曲がってしまい、元に戻らなくなります。有毛細胞は手前ほど高音に、奥の方ほど低音に対応しています。傷むのは手前側からになるため、加齢で音の聞こえが悪くなるのは高音からということになります。

音響傷害で耳鳴りがする場合、キーンと言う高い音が聞こえるのも、この手前側の有毛細胞が傷んでいるからです。

もちろん、一度や二度の大音響で全部の有毛細胞がダメになるわけではありませんから、機能的には維持されるでしょう。しかし、長期間イヤホンなどで音を聞き続けていると、気づかないうちに、だんだん有毛細胞の機能が劣化して行きます。

言い換えれば、イヤホンなどで音楽を長時間聞くと、若いうちから耳の中だけが老化してしまい、お年寄りと同じように耳が遠くなってしまうと言うことになります。

そうなった場合、失われた部分の聴力を回復することは、現在の医学では不可能なのです。ですから、聞こえに異常を感じたら、すぐに受診して、それ以上聴力を失わないようにするのが非常に重要なのです。

イヤホンの危険性は音が逃げないこと

例えば、家の中でもスピーカーから大きな音を出すと、コップの水面が揺れたり、家具が共振したりすることがあります。こうした場合、スピーカーから出た音の一部がコップや水面に伝わっていて、全部が耳に届いているわけではありません。

それに比べると、ヘッドホンやイヤホンの場合、出た音のほとんどが耳の中に伝わってしまいます。つまり、減衰しない音が鼓膜に届くという危険性を持っているということになります。ですから、そもそもイヤホンなどから出てくる音を絞らないといけないのです。

また、イヤホンなどを耳につけてからプレーヤーのプレイボタンを押してはいけません。必ず音が出てから耳に装着する習慣をつけましょう。これはボリューム調整の誤りや、イヤホンケーブルの断線によって大音量が出る危険性を避けるためです。

万が一、イヤホンからとんでもなく大きな音が出ていても、後から装着する習慣があれば耳を傷めずにすみます。今ではCDプレーヤーを使う人も少なくなりましたが、CDではこの習慣は特に必要だったのです。

パソコンなどで使うデータ用のCDを、誤ってオーディオ用のプレーヤーに装填すると、とんでもない大音量が出て、耳を傷めることがあったんですよ。もちろんデータの種類が問題なのであって、データ用のCDに音楽だけが入っている場合には問題ありません。

イヤホンを耳に入れていて、うっかりケーブルを抜くと、すごい音がしてびっくりすることもありますね。イヤホンは、そうした衝撃がダイレクトに耳に来るので要注意なんです。

音とは耳に加わる衝撃だと意識しておく

アルプス補聴器によると、大音響のヘッドホン(97dB)で、30分が耳の耐えられる限度だとしています。ロックコンサート(103dB)では7分が音響外傷を追わない限度だということです。

また、聴衆としてではなく、演者の場合でもリスクは同じですから、耳栓などで音響外傷を予防するよう呼びかけています。

(参照:音響外傷と騒音性難聴|アルプス補聴器)

その他、お仕事で大きな音にさらされる人や、大口径の猟銃を使うハンターの人は絶対に耳を守る手立てを準備して下さい。射撃用のイヤーマフは1万円以下で購入できます。それが聴力を守りますので、ぜひ利用してくださいね。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る