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高齢者の嚥下障害を予防しよう!飲み込みやすくする食事の工夫

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日本の65歳以上の高齢者は3384万人で過去最多を更新、高齢者が占める人口の割合も25%を超え高齢化が進んでいます。健康で長生きできることは、とてもすばらしいことですね。

そんな健康長寿を目指す人が日常で注意しなければならないことの1つに嚥下障害があります。高齢になるほど食べ物や飲み物が飲み込みにくくなっていくのです。

高齢社会を迎え、全ての高齢者が気をつけなければならない嚥下障害の予防法についてご紹介します。

食べることは生きること!高齢になるほど起こりやすい嚥下障害

食べ物を口に入れ、噛み砕いて飲み込む。当たり前のことのようですが、高齢になると、この当たり前のことでさえできなくなることがあります。口に入れた食べ物や飲み物がスムーズに胃に運ばれない状態のことを嚥下障害といいます。

嚥下障害が起こると食べやすい食べ物しか食べなくなるため栄養不良の状態になったり、食べ物が食道ではなく気管の方へ入り誤嚥性肺炎という病気を引き起こしたりする原因になります。

そもそも高齢者は体力や免疫力が低下していることが多いため、栄養不足や誤嚥性肺炎を起こすと命に関わる事態になることもあります。日本人の死亡原因の4位は肺炎ですが、その中には誤炎性肺炎による死亡も少なからず関わっているのです。

それだけでなく、食べることは生きることそのものである、ともいえますので、食べること自体が不自由な状態になれば、生きることの意味や価値に満足を得られないことにもつながります。こうした状態であれば決して健康長寿とはいえません。

食べることを楽しみ、長生きすることの意味や素晴らしさを感じ続けるためにも、嚥下障害を防ぐことはとても重要なことなのです。

柔らかくすれば良いわけではない!嚥下障害の正しい予防法

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嚥下障害を予防するためには、大きく分けて次の3つのポイントがあります。それぞれの部分で嚥下障害を起こさない方法で食材を選んだり調理したりすることが重要です。

  1. 食べ物をしっかり噛みくだけること
  2. 無理なく飲み込めること
  3. 食べ物がスムーズに胃に運ばれること

1.食べ物を自分の力でしっかり噛み砕けること

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口に入れた食べ物をしっかり噛み砕くことができなければ、飲み込みにくくなるだけでなく、食べ物が唾液と十分に混ざり合わず、飲み込んだ食べ物の消化や吸収にも負担がかかり胃腸の障害を引き起こす原因にもなります。

そうすると、食べ物はできるだけ柔らかくして流動食のようにすれば良いのか、というとそうではありません。

高齢になれば誰でも、歯が弱くなったり抜け落ちたり、入れ歯や義歯を使用したりする影響もあるので、食べ物を噛み砕きにくくなることも現実です。

しかし、高齢者の食事で重要なことは、単に楽に噛めるということではなく、噛みごたえを感じながら食べられるということです。食べるという本能的な行為そのものによって、生きているという実感が感じられるからです。

つまり、食べ物はただ柔らかく調理すれば良いのではなく、咀嚼の状態に合わせて食べ物の食感をできるだけ感じられる程度に調理することが大切なのです。

その上で、嚥下障害を予防する食事のポイントをあげていきましょう。

① 高齢者の嚥下障害を防ぐには、その人が食べやすい柔らかさに調節してあげることが基本ですが、柔らかすぎてもいけません。本人の意見をよく聞いて、ある程度噛みごたえを感じられる程度に調節してあげることが大切です。

② 肉、魚、野菜、米など、いずれの食材でも煮込むなど加熱する時間が長いほど柔らかくなります。食材を歯で噛んだり上あごと舌ですりつぶすことができるくらいの適度な硬さにするには、加熱時間で調節すれば良いのです。

③ ほとんどの野菜は立て方向に繊維が走っているので、真横か斜めに包丁を入れるようにすると繊維が断ち切れ柔らかくなります。野菜の場合は切りかたで柔らかさを調節できます。

④ 食材の大きさで硬さを調節することもできます。角切り、さいの目切り、みじん切りの順に小さく柔らかくなります。どの程度がちょうど良い硬さなのか、食べる人の意見をききながら調節してあげましょう。

⑤ 好きな食べ物であれば、少しくらい硬くても食べる意欲が沸くものです。時々は好きなものを少し硬めに調理して食べさせるようにしましょう。その食べ物の硬さをみて他の食材の硬さの基準にすると良いのです。

2.無理なく飲み込めること

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高齢者に出す食事は単に柔らかくすれば良いのではなく、噛み応えを感じる程度に硬さを調節することが大切なわけですが、あまりにも飲み込みにくいようであってはいけません。次のようなことに注意しましょう。

① 噛む力と飲み込む力は別なので、噛むことに関して程度な硬さであっても、飲み込みにくいということもあります。噛むこととは別に、飲み込みにくくないか、についても必ず確認するようにしましょう。

② 食事中や食事後にむせたり咳き込んだりする場合は、嚥下障害を起こしている可能性が高いので注意して観察しましょう。そのままにしておくと、食べ物が気管のほうへ入り、誤嚥性肺炎を起こす場合もあります。

③ 高齢になると唾液の分泌が少なくなるので、パンやイモ類などパサパサした食感のものには注意して下さい。また、食材は焼くと水分が飛ばされパサパサするので、焼いて作る料理は避けるか、ホイル焼きや照り焼きで調理しましょう。

④ 酢の物は体に良いので積極的に摂りたいのですが、酢が強すぎるとむせてしまい飲み込みにくくなるので、酢は強すぎない程度にして下さい。最近では、酸味を抑えた食酢も市販されていますので、こうしたものを利用するのも良い工夫です。

3.食べものがスムーズに胃に運ばれること

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食べ物を無理なく飲み込めたとしても、誤嚥を起こさずに食道から胃のほうへスムーズに食べ物が流れていかなければいけません。誤嚥しないように、次の点に注意しましょう。

① 調理の方法に関わらず熱いものは誤嚥が起こりやすくなります。お年寄りの分だけ、先に器に入れておくなど、十分冷ましてから食べてもらうようにしましょう。

② 味噌汁など汁物は誤嚥が起こりやすいので注意です。家族に高齢の方がいるような場合は、その人の器だけに片栗粉などを入れ、とろみをつけるようにしましょう。他の人は普通の汁物で、高齢者だけとろみをつけるように工夫すると良いのです。

③ 麺類などすすって食べる食事も誤嚥が起こりやすいといえます。麺はあらかじめ5cmくらいの長さに切ってから調理しましょう。また、つゆやスープにもとろみをつけましょう。そうすれば、味は全く変わらず誤嚥を防げます。

④ 食後にお茶やコーヒーを飲む場合は、飲むときにアゴがあがるほど誤嚥しやすくなります。湯飲みやカップはできるだけ底が浅くて、飲み口が広いものを使いましょう。

家族の中で一人だけ高齢者がいるような場合でも、調理の仕方を工夫すれば、嚥下障害を防ぐことはそれほど難しいことではありません。食べることは生きる喜びでもあります。健康長寿を実現するには家族の手助けも必要なのです。

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