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眼瞼下垂は市販の鎮痛薬の使い過ぎによる中毒・副作用でも起こる

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眼瞼下垂(がんけんかすい)は、何らかの原因によって上まぶたが開きにくくなる症状です。片側だけに起こることも、両方同時に起こることもあります。

原因はさまざまですが、はっきりした原因がつかめない場合、手術による対症療法的な治療になることもある病気です。一方、原因が判明した時は、それを取り除けば簡単に治る場合もあるのです。

眼瞼下垂はコンタクトレンズやアイメイクが原因になることが多い

これまでにもこの健康生活のサイトでもご紹介しているように、近年の眼瞼下垂はハードコンタクトレンズの長期使用や、アイメイクのやりすぎで瞼に負荷がかかりすぎたことに起因することが多いようです。

眼瞼下垂の最も多い原因は、瞼を上下させる筋肉の端にある腱膜が伸びたり緩んだりすることで起こります。上に挙げた原因もその腱膜におこるトラブルですが、その他、加齢や目の手術などでも起こることがあります。

腱膜が伸びた場合は手術によって回復させることになる

眼瞼下垂の程度にも寄りますが、瞳孔を覆ってしまって視界が遮られたり、覆わないまでも瞳孔にかかって無理に瞼を開いたり、顎を上げないと前が見えなかったりする場合は健康保健適応の手術対象です。

一方、瞼は下がっているけれど、瞳孔にかかってはいない場合、美容目的扱いになるので保険が効きません。

ただし、徐々に下がってきたときはともかく、ある日突然瞼が上がらなくなった場合、後ろに重い病気が隠れている場合がありますので必ず受診しましょう。

疑われるのは脳梗塞や脳動脈瘤、糖尿病による動眼神経麻痺などです。必ず検査を受けて、裏に隠れている病気を見落とさないようにしてくださいね。

手術も万能ではなくトラブルも比較的多い

腱膜が緩んだり伸びたりして起こる眼瞼下垂は、まぶたを持ち上げる筋肉の働きが残っていることが多いので、手術で矯正することで比較的うまく治ります。

しかし、先天性であったり筋肉の病気であったり、あるいは神経の病気から回復した後の後遺症であったりした場合は、まぶたを持ち上げる筋肉が働かなくなっていることが多いのです。

こうした場合、手術で矯正は可能ですが、充分に矯正できなかったり、逆にまぶたが閉じなくなったりして再手術と言うことも珍しくありません。

得られる利益(ベネフィット)とトラブルに遭う危険(リスク)について、主治医の先生の説明を充分理解した上で治療に臨みましょう。

眼瞼下垂のうち予防できるものは予防しよう!

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先天性の眼瞼下垂は予防することができません。出生直後から眼瞼下垂がある赤ちゃんの場合は、お医者様とよく相談して治療に臨みましょう。

後天性で厄介なのは、難病指定されているミトコンドリア病の1病態に眼瞼下垂があることなんですね。これは主に母親から受け継ぐミトコンドリアDNAに異常が起こったり、ミトコンドリア自体が変異したりして起こります。

このため、いつ発病するかわからない難しい病気なんですよ。ミトコンドリアはエネルギーを作り出す器官ですから、異常が起こった部位に応じて、全身さまざまな個所でトラブルが起こる可能性があります。

その中でも慢性進行性外眼筋麻痺と言う症状がメジャーな病態です。眼瞼下垂もこの症状に含まれます。

一方、腱膜性の眼瞼下垂や合併症としての眼瞼下垂は予防可能なことが多い病気です。先に紹介した脳梗塞や糖尿病などの影響で起こる動眼神経麻痺は、そうした病気にならないよう注意することで予防可能です。

つまり、眼瞼下垂には生活習慣病の合併症としての性格もあるんですね。加齢によって起こることもあるんですが、そうした生活習慣病によって老化が進むことを考えれば、やはり生活習慣の見直しは重要です。

そして、もう一つは目のこすり過ぎによって腱膜が伸びてしまって起こる眼瞼下垂は、完全に予防可能です。目をこすらなければ良いんですね。

この目をこすると言う動作ですが、アレルギーなどでかゆみがある場合は医薬品で炎症を抑えることで、ある程度は控えることができるでしょう。

問題はアイメイクですね。アイメイクはメイクを乗せる時も、落とす時もまぶたに力学的負荷をかけることになります。

言ってみれば、アイメイクに力を入れ過ぎて、まぶたを支えている組織が伸びきってしまったと言う状態ですね。

できるだけアイメイクは洗い流せるタイプのものを選ぶなどして、まぶたに負荷をかけないようにしましょう。

頭痛薬が引き起こした眼瞼下垂は薬物中毒の一種!

20世紀初頭から使われ続けている鎮痛剤があります。ブロムワレリル尿素、あるいはブロモバレリル尿素と呼ばれる医薬品で、解熱鎮痛剤・催眠剤として使われています。

もちろん処方箋薬もあるんですが、意外と市販薬にもまだまだよく使われているお薬なんです。ちょっと危険性のあるお薬なのに、第2種の医薬品として薬店でも販売されています。

ブロムとは猛毒の臭素のこと!用法用量を絶対厳守で使いましょう

長野県の病院で、眼瞼下垂を訴えて受診された40歳手前の女性がおられます。診断の結果、喫煙習慣があり、高血圧状態(上が200mmHg以上)を5年くらい放置していたらしいと言うことで、最初は脳血管障害が疑われました。

しかし、幸いなことにCT、MRIの検査でも脳に異常は見つからなかったそうです。血液検査やさまざまな内臓の検査でも異常はなく、結局たどり着いたのはこの人が頭痛持ちであったと言うことです。

そのせいで、市販の頭痛薬を規定量より多く飲み続けていると言う事が判りました。(1日6錠のところ、1日10錠を服用)

このお薬には鎮痛効果を高めるブロムワレリル尿素が使われていたことから、主治医の先生は臭素(ブロム)中毒を疑われ、血中濃度の測定を行ったところ、基準値の60倍近い数値が出たそうです。

臭素は周期表で塩素の下、ヨウ素の上にある第17族元素、通称ハロゲンです。ハロゲンはいずれも毒性を持っていますが、臭素は特に猛毒なのです。

もちろん化合物として市販薬に配合されている物には、急性毒性はほとんどありませんので、定められた用法用量を守っている限り危険性はありません。

しかし、臭素として身体の中に蓄積されることで毒性が現れてくるのです。そこで、この市販薬を中止させて、古典的鎮痛薬のアセトアミノフェンに切り替えたところ2週間とたたずに症状は治まりました。

アセトアミノフェンはいわゆるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とは異なり、解熱鎮痛効果しかありません。副作用も少なく、しかも19世紀の発明品ですから、そもそも先発医薬品がないため、全製品がジェネリック状態で安価なのも魅力です。

詩人が自殺に使ったことで知られる市販薬

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ある童謡詩人として有名な女性は、わずか26歳にして自らの生涯を閉じたのですが、その時に用いられた市販薬がこのブロムワレリル尿素を主成分とするものでした。

その後事故も数々あったので、現在ではこのお薬を使って自殺しようと思うと、数百錠以上一気に飲まないと間に合わない程度しか含まれないよう製薬会社が配慮しています。

医薬品としてはすぐに代謝されるが、慢性障害の原因になる

このお薬の特徴は、早く効き早く消えると言うものです。ですのでこの医薬品そのものが体内に蓄積されて害を及ぼすことはありません。

服用して20~30分で鎮痛剤としての効き目が表れ、肝臓で速やかに代謝されてしまいます。ですので毒性が低いのですが、長期連用すると臭素の害が目立ってくるのです。

一回大量に飲んだだけでは、ブロムワレリル尿素としての毒性の方が問題になるだけで、臭素自体はそれほど問題になりません。しかし、臭素は排出されるのに時間がかかるため、長期連用すると臭素が身体の中に溜まるのです。

先に紹介した眼瞼下垂の患者さんも慢性の頭痛に苦しめられていたため、市販薬を規定量の1.67倍を、しかも長期連用したため副作用が出てしまったと言うわけです。

ブロムワレリル尿素は意外と広く使われている

このお薬に限らず、すべての医薬品は規定量を守って服用しないと、必ず何らかの副作用があると考えて差し支えありません。また、こうした長期連用に関わる害も、多くの医薬品に見られる現象です。

しかし、今回はたまたま臭素と言う普段耳にしない元素が関わる体内蓄積の問題でもありましたので、私が調べた範囲ですがOTC(薬店で買える)医薬品の商品名を紹介しておきましょう。

  • グレランエース錠
  • サリドンエース
  • ヒロリン頭痛薬
  • ナロンエース
  • ウット
  • 奥田脳神経薬
  • シャドーゲン
  • トリブラサイム

下の二つは乗り物酔いのお薬ですから、長期連用はないと思いますが、子供さんが飲むときには特に用量に注意が必要ですね。

レアケースだが大量服用で重症の肝炎・膵炎を引き起こすことも

昭和の終り頃、このお薬を使った自殺未遂があったのですが、その患者さんは重症の肝炎・膵炎を併発したと言う報告が上がっています。

お薬ですから肝炎はそれ以前にも報告されていたようですが、このブロムワレリル尿素で膵炎が引き起こされたのは、これが第1例目であったようです。

もちろん、普通の飲み方じゃないので、私たちの参考にはしにくいですが、こういう例もあると言うことでご紹介しました。

中毒例が結構多いお薬です

自殺などの特殊な例だけではなく、先の女性のように慢性の頭痛に苦しんだせいで、よく効くお薬として常用、だんだん量を過ごしてしまって中毒に陥ることも多いのでしょう。

日本中毒学会もそうした情報を公開しています。

ブロムワレリル尿素は、古くから催眠鎮静剤として用いられており、医療薬として処方されるだけでなく、催眠鎮静薬や解熱鎮痛薬、鎮うん薬の成分として配合され、一般薬(OTC薬)としても販売されている。

入手の容易さから,現在,ブロムワレリル尿素による中毒は,わが国の代表的な薬物中毒の一つである。

(中略)

治療:ブロムワレリル尿素と臭素の両方を考慮に入れる必要がある。アセトアミノフェンを含有する場合は、これにも注意しなければならない。ただし、1回摂取の急性中毒の場合、臭素が問題となることは少ない。

上の引用文に出てくる「鎮うん薬」とは「鎮暈薬」、つまり「めまいのお薬」のことです。

一般薬であっても用法用量は絶対厳守!健康を守るのは自分です

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繰り返しになりますが、たとえ一般薬であっても説明書に書かれている

  • 用法(食前・食後など)
  • 用量(1回何錠・1日何回など)
  • 使用上の注意(併用の禁忌・連用してよい期間など)

は決して無視しないで下さい。

説明書の中身は、医薬品メーカーが試験管内実験・動物実験・人間に対する臨床試験を経て決定した、安全を保障できる内容なのです。

逆に言えば、この内容を守らなかったら健康被害が出ると医薬品メーカーが警告していると思って読んでほしい文書なんです。

気を付けなくてはいけないのは、良く「やってはいけない、薬の飲み方」的に紹介される、ビールで風邪薬を飲んだり、お茶で貧血薬を飲んだりすることだけではありません。

一番やってはいけないのは、説明書の内容を理解せずに薬を飲んだり、一読したからと説明書を捨てたりすることなんです。お薬は基本的に身体にとって異物です。

ですから、何らかの異常が2回目以降の服用で出ることもあります。そのお薬を全部飲み終わるか、飲む必要がなくなって残りを捨ててしまうまで、お薬の説明書は決して捨てないようにしておきましょうね。

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