健康生活TOP 食生活 ワインや加工食品の酸化防止剤は危険?食品添加物の役割と安全性とは

ワインや加工食品の酸化防止剤は危険?食品添加物の役割と安全性とは

食品添加物

食の安全を考える時に何かと取りざたされることの多い食品添加物ですが、私たちがよく目にするものに「酸化防止剤」があります。文字通り食品の成分が酸化されることを防いで、栄養や見た目、風味などが劣化しないようにするものです。

基本的に、現在使われている酸化防止剤の健康に対する危険性は、無視できるレベルであると考えて差し支えありません。むしろ食品の酸化による健康リスクの方が大きいと考えられます。

また、例えばワインの酸化を防止するために加える亜硫酸塩ですが、果実からワインになるまで一貫したラインで醸造する場合、酸化防止効果だけではなく伝統的な製造技術としても添加せずに作ることは不可能です。

例外的に、タンニンが非常に多い渋味系ワインの場合、タンニン自体が酸化防止剤として働くので添加する必要はありません。また、酸化防止剤無添加ワインと言う物をたまに見ますが、あれは日本独自のもので、欧米では製法上の問題からワインとは認められません。

酸化防止剤はなぜ使われる?食品が有害にならないようにしてくれる

酸化防止剤と言うと、食べ物が傷まないように入っているのだろうと言うことは何となく想像がつきますね。そうなってくると、微生物による腐敗から食品を守る「防腐剤」(保存料)のようなイメージがあるため、なんだか身体に悪そうな気がするのでしょう。

もちろん腐敗した食べ物は食中毒につながりますが、酸化した食べ物も身体に対して良い影響を与えません。判りやすいのは「酸化した食用油」ですね。酸化防止剤はこうした害を防ぐ目的でも使われます。

酸化防止剤の使われ方は目的に応じて変わる

例えば、リンゴを切った時、切り口が茶色に変色するのは酸化によるものです。これはリンゴに含まれるポリフェノールが、同じくリンゴに含まれるポリフェノール酸化酵素に触媒されて、空気中の酸素と結びついて酸化されることで起こります。

これを防ぐために、切り口に塩水を付けたり、レモン果汁をつけたりすることは皆さん行っておられることでしょう。

この塩水はポリフェノール酸化酵素の活性を下げるために使っています。しかし、酵素に触媒されなくても酸化はゆっくりと進みますので、あまり長時間置いておくと、そのうちに切り口は茶色くなってきます。

また、レモン果汁の場合はそこに含まれるアスコルビン酸(ビタミンC)の抗酸化作用によって、直接酸化を防止しているために色が変わらないのです。しかし、これもそのうち効果が切れますので、切ったまま放置するのはやめて早く食べましょう。

皆さんはリンゴの切り口の変色防止にはどちらを使っておられますか。もちろん変色なんか気にせずに食べちゃうとか、変色すると嫌だから丸かぶりするという人もおられるでしょうね。それらは、どちらかと言うと色止めするより正しい方法かも知れません。

と言うのも、塩水を付けるとリンゴの味がしょっぱくなっちゃいますし、レモン果汁をつけるとリンゴの味とは違う酸っぱさが混じりこんでしまいます。自宅で食べる分にはそれも許容範囲かもしれません。

しかし、加工食品などの商品として製造販売するものは、酸化防止剤によって味が変化してしまうと商品価値が下がってしまいます。ですので、味に影響が出ないような内容の酸化防止剤を選ぶことになります。

酸化防止剤を使うのにもお金がかかる

酸化防止剤を含めて、食品添加物は使っても良い量が定められていますから、何かの事故がない限りそれを超えて含まれていることはありません。

しかし、それ以前に酸化防止剤もタダではないということが商業的には重要になります。商品価値が下がらないように酸化防止剤を使っているわけですが、同じ効果が得られるなら少しでも使う量を減らした方が、メーカーは経費が少なくて済みます。

酸化防止剤はそれ自体が酸化されてどんどん効力がなくなってゆく性質のものですから、未開封で賞味期限まで残存しているぎりぎりの量を見切って添加しているでしょう。

そういう意味では、食品添加物全体について、それほど摂取量について過敏になる必要はないのかもしれませんね。

食品添加物については、終戦直後から昭和50年代ぐらいにかけて、さまざまな害が見つかったために今でも印象が良くありませんね。でも、ほとんどの害はそのころまでに出尽くした感があるのもまた事実です。

酸化防止剤の効果とは?酸化防止剤の働き方にはいくつかタイプがある

酸化防止剤と言うのは食品だけに使われるものではありません。例えばプラスチック製品は酸化によって劣化しボロボロになりますし、車のエンジンオイルなども酸化によって潤滑性能が失われます。

ですから、そうしたものにも酸化防止剤は使われます。車のエンジンオイルは食べるわけではないので、皮膚についても大丈夫なら、それほど強い規制はありません。しかし、シール容器のようなプラスチック製品は、食べ物と直接触れるため様々な規制があります。

そして、もちろん食べ物に添加されるものは、最も厳しく規制されています。しかし、酸化防止剤の基本的な働き方はどの分野においても共通する部分があるのです。

食品用で多いのは身代わりに酸化される物質

加工食品などは、製品ができたときに密封されることが多いので、そのあとからは外部からの酸素の供給がありません。多少空気の出入りがある容器でも、常に新鮮な空気が供給されることはないので酸素の量は限られてきます。

ですから、酸化を防止したい食品には、それよりもっと酸化されやすいものを添加しておくと、そちらが先に酸化されることで酸素を消費してくれて、食品を参加から守ってくれるという効果が期待できるのです。

こうしたものの代表はビタミンCとビタミンEです。清涼飲料水や加工食品の原材料表示を見ると、この二つが酸化防止剤として加えられていることが多いことはよく知られているでしょう。

健康に興味のある方はお気付きだと思いますが、この2つは体内で抗酸化物質として働く重要な栄養素ですね。つまり、抗酸化物質は酸化防止剤でもあり、自分自身が酸化されやすい物質であるということです。

例えば、お茶飲料を見てみましょう。ビタミンCが酸化防止剤として添加されていることが多いですね。でも、そもそもお茶は酸化されるのでしょうか?

実は、お茶の健康成分の1つ、カテキンは酸化されやすい物質で、酸化されて大きな分子である渋味成分のタンニンになるものなのです。タンニンが増えてしまうとお茶の味が損なわれますので、ビタミンCを入れて長期保存に対応しているという訳です。

カテキン自体も抗酸化作用を持つ物質ですので、酸化されやすいということなんですね。

酸化防止剤は複数の役目を持っていることも少なくない

例えばワインを作る時に使う亜硫酸塩または二酸化硫黄(まとめて亜硫酸と呼びます)ですが、これはワイン原料であるブドウ果汁の酸化を抑えることが主な目的です。ブドウ果汁の酸化はポリフェノール酸化酵素によって発生します。リンゴの変色と同じですね。

この時、亜硫酸はポリフェノール酸化酵素を不活性化する働きを期待されて添加されています。ワインの健康成分である色素のアントシアニンもポリフェノールですので、酸化防止剤は健康成分を守る働きがあると言うことです。

一方、ワインはその年のぶどうの出来によって、醸造の際に様々な工夫が行われます。例えば、酸味が強すぎるブドウで赤ワインを作る際には、アルコール発酵が終わったあとで、乳酸菌を利用してワインの中のリンゴ酸をさらに発酵させます。

最近では、酸味の強弱にかかわらず、ワインの味わいをまろやかにするために、乳酸菌による追加発酵を行うことが多くなっているそうです。

これをマクロラクティック発酵と言うのですが、あまりこの発酵が進みすぎると、また違う味になってしまいますので適当なところで亜硫酸を加えて乳酸菌を殺して発酵を止めるのです。この亜硫酸の投入タイミングはワイナリーの腕の見せ所なのです

つまり、酸化防止剤としての亜硫酸には複数の働きがあって、ちゃんと作られたワインには、酸化防止剤などの働きを期待して亜硫酸が添加されていることの方が普通だということなのです。

この亜硫酸の添加については、醸造蔵の中であらかじめ硫黄を燃やしておいてから仕込みにかかるという手法で、古代ギリシャや古代ローマ時代から行われていたようですね。

酸化防止剤として使われる添加物は非常に多い!何が危険で安全か?

食品添加物には、古来から使われてきて経験則的に食品に使っても大丈夫とされる「既存添加物」と、厚生労働大臣が法律に基づいて使用を許可した「指定添加物」があります。指定添加物には天然由来のものも含まれます。

こうしたものは、食品衛生法で使用量や使用法が定められていて、その基準に従っている範囲では危険性はないものと考えて差し支えありません。ただし、何事にも100%と言う安全性が保障されるものはありません。

言い換えれば「酸化防止剤を使っていない食品において酸化による健康被害は起こらない」と言うことも100%の安全性を保障されたものではないのです。あくまでどちらのリスクが低いかを自分で判断すべきなのです。

主な酸化防止剤

酸化防止剤についても、他の食品添加物と同じく使用基準が定められています。物によって何に使われるかの規制があるものもありますが、ビタミンCのように「何に使ってもよい」と言うものもあります。

  • L-アスコルビン酸(ビタミンC)
  • L-アスコルビン酸ナトリウム
  • L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル
  • L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル
  • エリソンビン酸
  • エリソルビン酸ナトリウム
  • dl-α-トコフェロール(ビタミンE)
  • 二酸化硫黄
  • 亜硫酸ナトリウム
  • 次亜硫酸ナトリウム
  • ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)
  • ブチルヒドロキシアニソール(BHA)
  • ピロ亜硫酸カリウム
  • ピロ亜硫酸ナトリウム
  • エチレンジアミン四酢酸カルシウムニナトリウム
  • エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
  • クエン酸イソプロピル
  • L-システイン塩酸塩
  • 没食子酸プロピル
  • グアヤク脂

これらがよく使われる酸化防止剤です。エリソルビン酸はアスコルビン酸の立体異性体です。ビタミンC活性は持っていませんが、抗酸化能力はビタミンCであるアスコルビン酸より上ですね。栄養目的で使ってはならないという以外に使用規制はありません。

食用油は酸化すると害が出るので酸化防止剤が使われる

こう言う小見出しで書き始めたものの、実は酸化防止剤を使っていない食用油脂は少なくありません。実際に我が家にあった、スーパーで売っている普通の食用油脂についてはどれも使ってありませんでした。

ラードなどには使われていることもあるようですが、これは高温の場所に置かれることが多いことを予想しての対処かもしれませんね。

とは言え、エゴマ油やアマニ油のように3価の不飽和脂肪酸を多く含むものは、酸化防止剤が使ってあった方が酸化されにくくて良いかもしれません。酸化した油の害については別の記事に詳しいのでそちらをご覧下さい。

酸化した油の害は下痢からがんまで!中でも要注意は脂肪肝

悪役にされやすいBHTとBHAはそれほど悪者じゃない

上のリストにもあるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)とブチルヒドロキシアニソール(BHA)と言うのは、名前からしていかにも化学合成物質と言うイメージで、なんだか身体に悪そうと思われるかもしれません。

実際、この2つについては、インターネット上のさまざまな情報を見る限り、あまり評判が良くないような印象も受けますね。

もともとはBHTの方がよく使われた酸化防止剤ですが、発がん性はないものの遺伝子に傷をつける恐れがあり、奇形につながるかもしれないとして危険性が指摘されています。

一方で、BHTによる抗酸化効果はがんの発生を抑制するとして、海外ではカプセルに入れてサプリとして売られていたりもします。

こうした議論があるために、代用品としてBHAが良く使われるようになりました。現在、日本では両方とも食品添加物として認められていますが、使用量はかなり低めに抑えられているためまず危険性はないと言って良いでしょう。

例えば、BHAの一日摂取許容量は、動物実験で発がん性が見られた量の0.04%くらいにすぎません。ですので、事実上発がん性はないと考えても差し支えないと思われます。

「わずかでも発がん性があるなら危険だ」と言う意見もよく見られますが、これは乱暴な意見です。例えば、スティックシュガー1本(3g)をコーヒーに入れて飲むことが危険だという思う人はいないでしょう。

もちろん、糖尿病で制限している人は別かもしれませんが、それでも3gくらいなら大勢に影響は出ないと思われます。でも、3gのお砂糖と言うのは、「お砂糖の致死量の0.04%」に対して、7.5倍にも相当する量なんですよ。

参考までに、BHAをバターに酸化防止剤として添加できる量で、BHAの一日許容摂取量まで摂ろうと思うと、バターを150g食べなくてはいけません。それでも発がん性が疑われる量の2500分の1に過ぎないのです。

この酸化防止剤は脂溶性だから身体に蓄積されるという考え方もできますが、それでも7年間にわたってバターを毎日150g(約1120kcal)をとらないと届きません。発がん性以前に別の病気になりそうですね。

酸化防止剤について基本的には健康への悪影響はないと考えていい

このように、酸化防止剤については特に気にする必要はないと言って良いでしょう。どうしても気になるという方は、ビタミンC・ビダミンE・亜硫酸塩の3種類以外のものを避けておけば安全性が高まるといえます。

例えば、BHA・BHTについてはビタミンE(dl-α-トコフェロール)で置き替えることが可能な場合が少なくありません。ワインの亜硫酸塩は先にもお話しした通り、伝統的なものです。

ワインの酸化防止剤は飲みすぎの言い訳に使われている?

実は、ワインは正しく作ろうと思うと、タンニンがすごく多いものを除いて亜硫酸塩を酸化防止剤に使わないとまともに作れないのです。

酸化防止剤として用いられている亜硫酸は、酸化による香味の劣化を防止する以外に、赤ワインの色の成分であるアントシアニン色素の果皮からの抽出の促進及び安定化、微生物に対する抗菌作用による有害微生物の増殖の抑制等の役割も果たします。

(中略)

亜硫酸を使用しているワインは頭痛になったり、悪酔いする。」というまことしやかな噂もありますが、「頭痛などの原因は飲みすぎによるもの」というのが通説のようです。

また、亜硫酸は他の食品でも使用されていて、食品衛生法で各食品別に使用量が定められています。そのため、製造者は定められた範囲内で必要最低限の使用を行っています。

このように、酸化防止剤を使ったワインで悪酔いをするとしたら、それは単なる飲みすぎです。節度ある飲酒量を守っていれば大丈夫ですよ。ワインの場合、ワイングラス2杯、208mLぐらいが上限です。

食品添加物無添加に隠された危険性にも敏感になろう

酸化防止剤は非常に判りやすい添加物です。酸化を防止するわけですから、他の方法で酸化が防止できるなら使わなくても良いと言うことになりますね。

その代表がレトルト食品です。例えばレトルトカレーなどには、あまり酸化防止剤が使われていません。これはレトルトパウチが酸素を通さない容器だから、酸化防止剤が必要ないことが多いためです。

また、食べ物の外に置く酸化防止剤もあります。個包装されたお菓子などに入っている脱酸素剤です。あれは、実は使い捨てカイロのミニチュア版なのです。使い捨てカイロの熱源は鉄の酸化熱です。

ですから、密封した袋の中に小さな使い捨てカイロを入れておくと、少し熱が出る代わりに袋の中の酸素を消費してしまうという効果で、食品の酸化を防止できるのです。

一方、先に紹介したマクロラクティック発酵を行ったワインの場合、亜硫酸塩を使って乳酸菌を殺菌してしまわないと、どんどん発酵が進んでワインとは違うものになってしまいます。

従って、他の方法で乳酸菌を殺さないとワインとして成立しなくなるわけです。それには火入れをすると言う、日本酒と同じ技法が使われることもあります。しかし、ワインの火入れは、少なくともワインの本場フランスでは違法行為です。

また、無添加ワインは日本で醸造したものがほとんどですが、ブドウから作っていないものが少なくありません。海外から濃縮果汁を輸入して、それを水で薄めてブドウの代わりに使うのです。

もちろん、それでもブドウ果汁ですから、ワインに近いものはできます。しかし、水を入れた段階で、多くのワイン生産国では違法行為になってしまうのです。

また、濃縮果汁で醸造をスタートすると、酸化を抑えるための加工がいろいろできますので、無添加ワインが作りやすいということにもなります。多くは酸化されやすいものや酵素を物理的なフィルタで取り除くものだとは思いますが、詳細は判りません。

そうした「酸化防止剤は使っていないアルコール飲料」か「ワイン」かのどちらを選ぶかは消費者の嗜好と言うことになります。

国税庁は、平成30年10月30日以降からワインについて濃縮果汁や輸入原料の使用についての表示を義務付けます。そうした情報も合わせて商品選びの基準にして下さい。

日本では酒税法で果実酒と言う大雑把なくくりしかありません。識者からはワイン法の制定を求める声が上がってるようです。そうした法制を持つEUでは亜硫酸塩の使用は当然のこととして表示義務すらないのです。
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