健康生活TOP 糖尿病 糖尿病薬の一部で造影剤併用が禁忌!緊急検査は受けられる?

糖尿病薬の一部で造影剤併用が禁忌!緊急検査は受けられる?

メディカルバンド

ひとくちに「糖尿病のお薬」と言っても、飲み薬だけでも大変たくさんの種類があります。そのうちの一つに、ビグアナイド系と呼ばれるお薬があるのをご存知でしょうか。良く処方されるお薬ですが、意外と知らずに飲んでいる人も多いでしょう。

値段が安く、体重増加の副作用がないことから大変よく利用されていますが、このお薬とCT検査などで使われる造影剤の同時投与に危険性があることが判っています。

慢性病である糖尿病のお薬は常に飲み続けるのが原則ですから、何かの急病や事故で検査が必要になった場合、これを服用している人は造影剤を使った検査を受けることができないのでしょうか。

あなたはどんなお薬を飲んでいるか理解・把握していますか?

もはや国民病とまで言われている2型糖尿病。成人男性で6人に1人、成人女性で11人に1人が糖尿病有病者だと言う統計があります。さらに、40歳以上に目を向けると男性で5人に1人、女性で9人に1人にまで増加します。

しかもこれは検査結果からの統計ですから、検査や治療を受けていない人は反映されていません。そうなってくると、実際にはもっと糖尿病を持っている人が多いであろうことは想像に難くありません。

慢性病のお薬はしっかり把握して飲むべきです

糖尿病と言えば食事療法と運動療法が入口ですが、おそらくすぐに投薬を受けることになる人も少なくないでしょう。

風邪薬や胃腸薬と違って、糖尿病治療薬は何年にもわたって飲み続けることが珍しくありません。場合によっては一生付き合うことになる人が大変多いと考えられます。

糖尿病の治療薬には種類も多いです。自分がどんな薬を飲んでいるかと言うのは、たとえ3日だけ飲むお薬であっても把握しておくに越したことはありません。そして、慢性病の治療薬ほど良く理解しておかないと、思わぬ事故に繋がったりするのです。

糖尿病治療薬(飲み薬)一覧

糖尿病の治療薬と言えばインスリンと言うのが一番有名ですが、インスリン製剤とGLP-1受容体作動薬はともにペプチドホルモンですので、口から入れると消化されてしまうため飲み薬にはならず、注射薬だけですので今回は外します。

飲み薬として処方される物を並べてみましょう。商品名ではなく一般名です。

  • αグルコシターゼ阻害薬
  • スルホニルウレア剤・SU剤
  • ビグアナイド系血糖降下薬・BG剤
  • グリニド系血糖降下薬
  • グリタゾン系インスリン抵抗性改善薬
  • DPP-4阻害薬
  • SGLT2阻害薬
このお薬の中には組み合わせて使えるものと、組み合わせてはいけない物があります。

その都度お医者さまが最適と思われる組み合わせで処方して下さいますが、自分の飲んでいるお薬がどれなのかは把握しておきましょうね。

今回の話題はビグアナイド系血糖降下薬・BG剤

糖尿病の治療の第一段階は食事療法と運動療法ですが、改善が見られない場合や糖尿病と診断された段階での血液検査の結果が悪いと飲み薬が処方されます。

最初に処方されることが多いのはスルホニルウレア剤です。これは膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促すお薬です。

その人の生活パターンに合わせてこのお薬の代わりに、より速効短時間型のグリニド系のお薬が処方されることもあります。

場合によっては、小腸でのブドウ糖の取り込みを抑えるαグルコシターゼ阻害薬と組み合わせて処方されることもあります。

これで充分な効果が得られない場合は、ビグアナイド系血糖降下薬が処方されます。特に現在ではメトホルミン塩酸塩製剤の「メトグルコ」(大日本住友製薬の先行医薬品・ジェネリックあり)が処方される事が多いと思います。

メトホルミンはリスクに比べてベネフィットの多いお薬

お薬を人に対して処方する時、期待できる効果をベネフィット、予測しておかなければいけない危険性をリスクと言います。

ベネフィットは有効性とよく似た意味ですが、有効性が「お薬の効き目」と言う医薬品の性能を示すのに対して、ベネフィットはそれを飲んだ人の病気がどのように改善するのかを表しています。

リスクと危険性についても、危険性が「お薬の持っている副作用」と言う医薬品の欠点であるのに対して、リスクはそれを飲んだ人が副作用に見舞われる可能性を示しています。

つまり、リスクもベネフィットも、それを飲む人の立場から見た言葉なのです。

メトホルミンは、インスリンに依存することなく血糖値を下げます。これは例えばSU剤のように、膵臓に負担を掛けて血糖値を下げるお薬に比べると、長期に使用した場合の膵臓に対するリスクがありません。

また、多くの糖尿病治療薬には「飲むと太る」と言うリスクがあります。糖尿病患者にとって体重増加は困りますよね。一方、メトホルミンには体重増加のリスクもないのです。

そして、メトホルミンには3つの有効性があります。

  • 小腸で糖吸収を抑制する
  • 末梢組織で糖取込みを促進する(インスリン抵抗性の改善)
  • 肝臓において糖新生を抑制する

これらの働きで、飲んだ人には「糖分を食べた段階」「使う段階」「体内で作る段階」の3つの段階で、糖尿病が改善されると言うベネフィットが得られるのです。

ビグアナイド系のお薬にも副作用の可能性はある

最初に登場したビグアナイド系の糖尿病治療薬は1957年にデビューしたフェンホルミンでしたが、これには強い副作用があることが判ったため、デビューから20年あまりで姿を消しました。

その後、ブホルミンが、そして現在主流であるメトホルミンが使われるようになりましたが、現在でもごくまれに副作用が起こることはあります。

まれに起こる乳酸アシドーシスは危険な副作用

人の血液は健康な状態では中性を表すpH7.0に対してpH7.4と、ごくわずかにアルカリ性に偏っています。それが酸性に偏ろうとする病的な状態のことをアシドーシスと言います。

逆にpH7.4より大きな数値に、つまりアルカリ性が高くなる病態をアルカローシスと言います。血液のバランスは、健康な状態に対して酸性・アルカリ性のどちらに偏っても具合が悪いのです。

ビグアナイド系のお薬の副作用で起こるアシドーシスは、体内の乳酸が上手く処理できなくなって血液が酸性に偏ろうとしてしまう状態で、重症になると半数が致命的になると言う重大な症状なのです。

しかし、現在用いられているメトホルミンでは、使ってはいけない患者さんに投与したとか、組み合わせてはいけない物と組み合わせてしまったとかで発症するのが大半で、正しく使われている場合ほとんど発生しません。

大酒飲みの人にはとても危険なのでお酒は控えよう

乳酸アシドーシスを起こしやすいと言う理由で、メトホルミンを使ってはいけない患者さんとは次のような人です。

  • 過度のアルコール摂取者
  • 重度の肝機能障害のある人
  • 中等度以上の腎機能障害のある人
  • 人工透析を受けている人
  • 乳酸アシドーシスの既往のある人
  • ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等心血管系、肺機能に高度の障害のある人
  • その他の低酸素血症を伴いやすい状態にある人
  • 脱水症、脱水状態が懸念される下痢、嘔吐等の胃腸障害のある人
  • 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある人

メトホルミンの添付文書から抜粋しましたが、私たち一般人にとって判り易く、また影響の大きそうな順に並べ替えました。

注目すべきは最初の項目ですね。大酒飲みの人は、このよく効く糖尿病治療薬が使えないと言っても良いでしょう。一方で、良くお酒を飲む人には糖尿病の人も少なくありません。

ここには「過度のアルコール摂取」と書いてありますが、具体的な量は示されていません。これは肝臓においてアルコールの分解が優先されてしまい、乳酸の代謝が遅れるからです。

ですので、個人差が大きいわけですね。でも、普段からお酒を良く飲んでいる人は少なからず肝機能に問題がある人が多いでしょう。

このお薬について、絶対に投与してはいけない禁忌ではないまでも、軽い肝臓障害の人でも慎重に投与しなければならないとされているのです。

お酒と糖尿病治療薬で死んじゃったらつまらないですよね。

やめるならお酒の方をやめた方が、多分お得ですよ。

ビグアナイド系の薬と併用してはいけないヨード系造影剤

このお薬と併用してはいけない物には、一部の抗生物質や利尿剤、別の一部の糖尿病治療薬など、腎臓に影響を与えるお薬があります。

これは乳酸の排泄が遅れてしまったり脱水症状になったりする事から、乳酸アシドーシスを引き起こしてしまう恐れがあるからなんです。

ヨード系造影剤は緊急の検査の際にも使われる

メトホルミンの添付文書を見ると、できれば造影剤を使った検査の2日前から薬をいったん休み、検査後2日間も飲まないようにとされています。

しかし、X線CTやアンギオグラフィーなど、血管の状態を調べる場合にヨード系の造影剤が使われます。そんな中でも、例えば心筋梗塞や脳卒中などは一刻を争いますよね。

交通事故で頭にけがをした場合にも使われることがあります。このお薬を使っている人は、そうした緊急検査が受けられないのでしょうか。

実は少し前まではその可能性があったのです。副作用情報があいまいだったため、現場での判断にばらつきが起こってしまっていたんですね。

現在では、「ただし、緊急に検査を行う必要がある場合を除く」となっていますから、緊急検査が受けられないと言うことはありません。

そうした状態の場合はお医者様の監督下にあるので副作用が出てもすぐに対処してもらえるので安心だと言うことでしょう。

万が一の時に備えて糖尿病患者であることを知らせる手段を持つ

一方、せっかくお薬の方で対応ができたとしても、自分がそのお薬を服用していることを緊急の際に医療関係者に伝えられなければ意味がありません。

糖尿病の人の中には、お薬による低血糖発作などに備えてIDカードなどを常備している人もおられますから、そうしたものに追加情報として書き加えておくのも良いですね。

もし、IDカードを持っていないのであれば、この記事を読んで頂いたのをきっかけに入手しておかれるのも悪くないですよ。

日本糖尿病協会のIDカードを利用してみる

公益社団法人日本糖尿病協会は、糖尿病患者のために療養グッズを無料で配布してくれています。もし使っておられない糖尿病患者の人がおられたら、これを機会に入手しておくのも悪くないでしょう。

療養グッズは全部で4種類、必要に応じて使い分ければOKです。病院で申し込めばくれますが、病院に在庫がなかったら、協会に82円切手を同封して申し込めば送ってくれます。

糖尿病患者用IDカード(緊急連絡用カード)

糖尿病の患者さん、とくに薬物療法をされている方は、常に身につけていただきたいカードです。低血糖や交通事故などの緊急時に、周囲の人や医療関係者に糖尿病であることを知らせ、適切な処置を促します。

プラスチック製ですから、折れたり破れたりしません。胸ポケットなどのわかりやすい所にいつも携帯しておいてください。

糖尿病カード

今回の内容に対応できるのはこれですね。クレジットカードサイズなので一枚持っておくと良いでしょう。

メディック・アラートは欧米では常識のアイテム

常に身に付けるアイテムとして、ブレスレットやペンダント、あるいは軍用の認識票のような形で自分の医療情報を刻印したものを「メディック・アラート」と言います。

樹脂製のリストバンドのようなものから、貴金属でできたバングルまで、様々な種類があります。ここに自分の氏名や連絡先、医療情報を刻印してずっと身に着けておくものです。

万が一の事故や急病で、本人の意識がない状態でも救急隊員などに重要な情報が伝えられると言う物です。先ほどのIDカードと同じ狙いですが、カードの場合財布に入れてしまっていたりすると救急隊員の目に留まりません。

このメディック・アラートには必ず「スター・オブ・ライフ」あるいは「アスクレピオスの杖」と言うマークが付けられているので、救急隊員の目に留まりやすくなっているのです。

アスクレピオスの杖

救急車にも良く描かれているこのマークは救急医療のシンボルなので、救急隊員たちにはすぐにわかると言うわけですね。アスクレピオスの杖は、この中に描かれている蛇の巻き付いた杖のことで、医学のシンボルマークです。

国連旗の上に、このアスクレピオスの杖を配したのが世界保健機関WHOの旗です。注意して見ていると、この杖は様々なところのデザインに使われていますね。

メディックアラート1

メディックアラート2

(大切な情報を刻印するアクセサリー(ブレスレット,ペンダント) MEDIC INFO より)

残念ながら日本にはメディック・アラート財団の拠点はありませんが、MedicInfoと言う商標で制作を請け負っているメーカーはあるようです。

税別2000円くらいからあるようですので、こうしたものを利用してみるのも悪くないと思いますよ。

キャラクター紹介
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