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野菜や果物は糖尿病を予防できない?たくさん食べてもダメでした

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野菜をたくさん食べることは糖尿病予防に効果的でしょうか。あるいは果物をたくさん食べることは糖尿病を防ぐ効果があるのでしょうか。

欧米での研究では、野菜や果物に含まれる成分が、糖尿病リスクを下げてくれるという可能性を報告しているものもあります。しかし欧米全体として見た場合、一致した結果が出ていないのも事実なのです。

今回日本で行われたこの研究、どのような傾向を示したのかを見てみましょう。

野菜や果物には糖尿病を予防してくれる栄養素がいっぱい・・・

野菜や果物には食物繊維が多くカロリーが低いので、肥満を防止する効果があり、肥満によるインスリン抵抗性の発現から糖尿病になるのを防いでくれるとよく言われています。

さらに食物繊維には血糖値の急上昇を防いだり、満腹感をもたらしてくれて、食べ過ぎを防いだりする効果があると言われています。食べる順番を考えようと言うのはこうした効果を期待したものです。

野菜や果物にはビタミン・ミネラル・抗酸化物質が多いので、これらの成分が身体の酸化や糖化を抑えて、糖尿病を予防してくれるとも言われていますね。

緑黄色野菜の疾病予防要素はカロテン類

緑黄色野菜という言葉の意味をご存知でしょうか。なんとなく色の濃い野菜かなと思いますが、少なくとも現在ではちょっと違うんですよね。

ニンジンやピーマン、かぼちゃ、ほうれん草などは緑黄色野菜です。ではブロッコリ、サニーレタス、かいわれだいこん、芽キャベツのうち、緑黄色野菜はどれでしょう。

実は全部緑黄色野菜なんです。緑黄色野菜とは100g中カロテンが600μg(マイクログラム:100万分の1g)以上含まれている野菜を指します。カロテン類が多いと黄色系は濃くなるものの、見た目の色とはあまり関係ないんですよ。

一部例外として、たくさん食べることができる野菜は600μgに満たなくても緑黄色野菜にカウントしているものもあります。ピーマンとかトマトがそうですね。

ピーマン(緑)で400μg、トマトで540μgです。でも…トマトはともかく、ピーマンってそんなにたくさん食べられるのか、個人的にはちょっと疑問です。

調べて見たところ、どうやら、色で決めていた時代の緑黄色野菜の伝統を引き継いだようですね。それにカロテンの含有量で決めた緑黄色野菜をリストに加えたようです。

このβカロテンやリコペンを含むカロテン類は抗酸化作用を持つと同時に、βカロテンのように、必要に応じて体内でビタミンAに変換される物質・プロビタミンAとしての働きを持つものもあります。

こうした機能性が糖尿病予防に一役買っているのではないかという期待はありました。

緑の濃い葉物野菜はビタミンCやカロテノイドが有効成分

緑黄色野菜と一部かぶるのですが、緑の葉物野菜も期待された食物でした。特に抗酸化作用を持つビタミンCやカロテノイドの効果が期待されたようです。

ビタミンCは優れた抗酸化物質で、活性酸素4種類のうち、スーパーオキシドラジカル(超酸化物)・ヒドロジェンペルオキシド(過酸化水素)・シングレットオキシジェン(一重項酸素)の3つを除去できるものです。

最も反応性(毒性)が高いヒドロキシラジカル(遊離水酸基)は除去できませんが、これを除去するビタミンEの働きを助けます。

カロテノイドはカロテン類のほかキサントフィル類を含めた抗酸化物質です。みかんのβクリプトキサンチンや目に良いと言われるルテインなどを含んでいます。

こうした抗酸化効果が糖尿病予防に一役買ってくれるのではないかと考えられていました。特にこれらの物質単位での疫学研究では、多く摂る人は糖尿病リスクが低いという報告もあります。

アブラナ科の有効成分はがん予防作用も期待されている物質

アブラナ科の野菜についても統計がとられました。アブラナ科の野菜についてはこの健康生活でも何度か取り上げられていますが、特にがん予防の効果が期待される野菜でもあります。

この効果はアブラナ科の野菜に多く含まれるイソチオシアネートによるものなのですが、同じ物質が糖尿病にも効果があるのではないかと考えられていました。やはり優れた抗酸化作用がある物質です。

アブラナ科の植物に多く含まれる辛味成分にかかわる物質ですね。大根おろしが辛いのはこの物質が多すぎたときに起こる現象です。

からし油という成分があります。聞いただけで辛そうですよね。これに糖が結合した配糖体がグルコシノレートです。その中でもシニグリンという物質が代表と言えるでしょう。

このシニグリンを含む野菜が、大根おろしのようにおろされたりしたときに酵素の働きで分解されてできるのがアリルイソチアシネートです。

イソチアシネートのグループには、健康食品で有名なスルフォラファンも属しています。ブロッコリもアブラナ科の植物ですよね。

しかし!野菜や果物の摂取量だけでは糖尿病に影響が見られなかった

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これだけ健康によさそうな成分があるにもかかわらず、この研究で得られたデータは実に残念なものでした。

結論から言うと、野菜や果物を食べる量と糖尿病リスクの間には、統計的に意味のある関係が見いだされなかったのです。

女性では野菜も果物も糖尿病に影響なしだった

この研究データは、研究開始時と5年後のいずれにおいても糖尿病・がん・循環器疾患にかかっていなかった40歳~69歳の人、およそ5万人をさらに5年間追跡した結果です。

まず女性から見てみましょう。食べた量ごとに4グループに分けて検証しています。それによると、一番少なく食べていた人で1日当たり野菜100g、果物74g(中央値)です。この人たちの糖尿病リスクを1とします。

一方、最も多く食べていた人は野菜407g、果物487gです。かなりの開きがありますね。この間に2段階加えて4グループにしています。中央値ですから、一番多く食べていた人って相当な量だったんじゃないでしょうか。

厚生労働省は野菜を食べる量などについて、国民に対する啓発を行っています。

厚生労働省が2000年に策定した「健康日本21」では、野菜摂取の目標量を「1日350g以上、そのうち緑黄色野菜を120g以上」としています。

カロテンは脂溶性で、油類といっしょに摂取した方が吸収されやすいため、料理を工夫しましょう。

一番多く食べていたグループの人は、楽勝でこの目標量を超えちゃってますね。

さて、その結果ですが、野菜に関してはほとんど全く影響がなかったとも言えるデータが集まりました。リスクの平均値ではグループごとに多少のデコボコがあるものの、データのばらつきを見れば差はないといえるレベルです。

しかも、最も少なく野菜を食べた人と最も多く野菜を食べた人の糖尿病リスク平均値はどちらも1です。

一方、果物について見てみても、やはり特に差は見られませんでした。

ただ、最も少ない方から2番目のグループでは、平均で0.75くらいのリスクであり、データのばらつきの最大値も1から微妙に出るかどうかというレベルでした。

ですので、私がグラフを読んだ個人的な意見ですが、1日に200g弱の果物を食べるのは悪くないのかもしれないですね。

そして、そのような結果でしたので、果物と野菜の量を合わせた傾向で見ても、全くリスクに影響はないという結果となったのです。

男性でも野菜や果物は糖尿病に影響を与えていなかった

男性の場合は、一番少なく食べていた人で1日当たり野菜75g、果物36g(中央値)です。女性の場合と同じようにこの人たちの糖尿病リスクを1とします。一方、最も多く食べていた人は野菜355g、果物362gです。

やはりイメージ通り男性の方が野菜や果物を摂る量が少ないようですね。特に最も少ない人の果物は女性の半分以下ですよ。それでも、一番多いグループではかろうじてではあるものの、健康日本21の目標量はクリアしてます。

でも、得られた結果は女性のものと大差ありませんでした。多少のデコボコはあるものの、データのばらつきを考慮に入れれば統計的に意味のある数字ではありません。

しかしながら、野菜を食べる量についてみてみると、データのばらつきの範囲を含めて、多く食べるほどリスクが低下してゆく傾向は見られるようです。

一方、果物や野菜と果物を合わせた量との間にはそうした関係は見られません。

世の男性諸氏、「野菜や果物は糖尿病と関係なかったんだ」なんて喜んでいないで、野菜は多めに食べましょうね。第一、世の中の病気は糖尿病しかないわけじゃないんですから。

野菜の種類ごとに見ても特段の傾向は見られなかった

イメージとして、もやしやキャベツをたくさん食べても、緑黄色野菜ばっかり食べても「野菜の量」に変わりはないから影響が見えなかったんじゃないか、という考えは出てきますよね。

特に今回のデータは逆に見た場合「野菜や果物を食べなくても糖尿病リスクは上がらない」と読むことすらできるわけですから。

緑黄色野菜・緑の葉野菜・アブラナ科のいずれも影響なし

最初の方で、さまざまな健康効果が期待できる野菜の種類を紹介しましたが、今回の研究ではそうした野菜の摂取量と糖尿病リスクについても分析が行われています。

しかし、残念ながらどの野菜においても、男女とも糖尿病リスクとの間に統計的に意味のある差は見られなかったのです。

ただ、さらに突っ込んだ分析の中で、BMIが25kg/m2以上の過体重または肥満の人やたばこを吸う人に対してアブラナ科の野菜や野菜全体を多く食べる人に、糖尿病リスクの低下傾向が見られたそうです。

つまり「不健康な生活習慣を持つ男性には野菜が効果的」と言える傾向はあるようですね。でも、一番野菜を嫌いそうな人たちのような気もしますけれど。

さらに、男女とも緑の葉野菜を多く食べたグループでは、若干糖尿病リスクが低下する傾向が見られました。これについては、緑の葉野菜のインスリン感受性を高める働きが原因ではないかと推定されていますね。

なぜ野菜や果物と糖尿病との間に関係が見られなかったのか

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この点について研究グループは、これ以上突っ込んだ検討を加えていません。

でも、一般の生活者である私たちにとって、野菜や果物が糖尿病リスクと関係がないというのは、感覚的に納得できない部分がありますよね。

生活習慣全体で見れば関係があるかもしれない

ここからはあくまで私の個人的な感想ですので、学問的な意味はありません。それを踏まえてお読みください。

こうした研究は、ある事柄にどの程度接したかということと、それによって健康にどう影響があったかということを絞り込んで研究します。

もちろん、そのデータに影響する他の要因は統計的な手法を用いて、可能な限り排除されています。それでも統計的に数値化しにくい要素なども含まれているでしょう。

例えば、糖尿病に最も大きな影響を与える体格についても、BMIは身長と体重から割り出せるのでアンケート形式の調査で入手できます。

しかし、体脂肪率や骨格筋率については、対象の人全員が把握していることは考えにくいです。同じBMIでも体脂肪率、特に内臓脂肪率が高いとインスリン抵抗性が高まることはよく知られています。

ですので、こうしたデータをそろえたグループの中で比較しないと正確なデータは取りにくいんですよね。

でも、多くの研究ではそのあたりを無視しても、はっきりとした傾向が見られます。つまり、それだけその研究が睨んでいた要素に影響力が強かったということになるわけです。

今回の研究でこのような結果が得られたことから、私たちが知っておかなければいけないのは「野菜や果物を食べる量と糖尿病リスクに関係はない」という事実だけではないのです。

最も大事なのは「野菜や果物をたくさん食べておけば、他の生活習慣を気にしなくても良いと言うことはあり得ない」という風にデータを読み取る力なのですよ。

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