健康生活TOP 糖尿病 糖尿病こそ早期発見!メタボリックメモリーの性能と絶大な効果

糖尿病こそ早期発見!メタボリックメモリーの性能と絶大な効果

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糖尿病が怖いとされる理由は、糖尿病そのものではなく合併症にあるとよく言われています。

その合併症を防ぐ上で大事なのは血糖コントロールですが、従来予測されていたより早期からコントロールすることが非常に重要だと言う事が判ってきました。

一方でコントロールの開始が遅れると、それを取り戻すのは容易ではないと言う事も示されています。

ですから糖尿病と診断されたらすぐに厳格な治療を開始しましょう。

糖尿病の合併症は血管に現れる

糖尿病の合併症と言うと、皆さんがイメージされるのには次のようなものがあるでしょう。

  • 糖尿病性網膜症とその悪化による失明
  • 糖尿病性腎症とその悪化による人工透析の導入
  • 糖尿病性神経障害による感覚麻痺やしびれ
  • 脳卒中などの脳血管障害
  • 心筋梗塞などの虚血性心疾患
  • 糖尿病性壊疽とその悪化による四肢の切断

こうして並べてみると怖い病気ばかりですよね。
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上のリストの他にも、慢性の感染症や高脂血症の併発、胆石や白内障などもありますが、主なものはリストアップした6種類と言っても差し支えないでしょう。

そしてそれらはすべて高血糖によって血管が痛めつけられた結果発症するものなのです。

上の三つは主に毛細血管がダメになることで起こる細小血管障害、下の三つは太い血管が壊されることで起こる大血管障害と呼ばれています。

大規模追跡研究

欧米で行われた糖尿病治療薬に関する長期追跡研究では予測された結果だけではなく予測に反する結果もあったと言います。

血糖をコントロールするように患者さんたちに指示することを「介入」と言いますが、最初1年から2年の間介入を行って、その後11年以上、現在もなお経過観察が続けられています。

まず、網膜や腎臓、神経に悪影響を及ぼす細小血管障害は、介入終了直後において、どの糖尿病患者に対しても厳格な血糖管理を行う事で減らすことができると同時に、行わなかった場合症状が悪化したと言うデータが得られています。

ところが、大血管障害、つまり脳卒中や心筋梗塞、四肢の切断などに至る障害に対する、厳格な血糖コントロールによる抑止効果はどの研究でも介入期間中やその直後には現れなかったのです。

大血管障害の謎

いくつもある研究のうち、「糖尿病における心血管系リスクをコントロールするための行動」と言う研究では、さらに驚くべき結果が得られました。

それは、既に心血管系にリスクを持ってしまっている糖尿病患者に対して厳格な血糖コントロールを行ったところ、介入直後の死亡率が明らかに高まったと言うものです。

また、他の研究でも死亡率が上がることこそなかったものの、介入直後においては死亡率を下げる効果がなかったと言う研究結果が出ています。

細小血管障害の例外

似たような例として、細小血管障害の合併症のうち、糖尿病性網膜症の悪性に分類される症状では、あまりにも急激な血糖値の改善はかえって悪化を招くと言う研究もあります。

また、同じ悪性の網膜症では運動によって硝子体出血を起こす可能性があるため、行ってはならないともされています。

ですので、糖尿病性網膜症の合併症を持っている人は、必ず眼科の先生と相談の上で運動療法や血糖コントロールを行いましょう。

これは血糖値を厳格にコントロールしてはいけないと言うのではなく、急激に改善させると危険があると言う意味ですので誤解されないようにして下さい。

治療は必要です

こうした研究結果を聞いて、「私はもう長く糖尿病を患っているから、早死にしたくないので血糖コントロールはしないよ。」などと言わないで下さいね。

20世紀に開始されたこの研究結果は、飽くまで「標準的な血糖コントロール(HbA1c 7.5%)」に対して「厳格な血糖コントロール(HbA1c 6.4%)」と言う比較です。

ですから血糖コントロールをまったく行わないと言う選択肢は論外で、血糖コントロールの程度の比較なんですよ。これは食事や体重の管理の他、どれだけの投薬を行ったかと言う比較でもあります。

この比較は20世紀のものですから今とは基準がちょっと異なります。現在の基準に照らせば「標準的」とされる方は現在の「合併症予防」より甘く「治療強化が困難な人向け」よりは厳しい、その中間くらいですね。

また「厳格」とされる方は、現在の基準で言えば「血糖正常化を目指す(事実上糖尿病ではないレベルにする)」と「合併症予防」の中間くらいです。

現在では原則としてHbA1c 7.0%以下で、血糖値の正常化を目指す場合は6.0%以下です。

他の病気などで強化治療が行えない人の場合のみ8.0%以下となっていますが、これはある程度の合併症は覚悟の上と言うイメージだと思って下さい。

ですから、どんな場合であってもHbA1cが8%を超えているようでは必ず怖い結果が待っていると言う事を忘れてはいけません。

厳格なコントロールがだめな理由

実はまだその原因は完全には解明されていません。でも、ヒントになることは見つかったらしいと言う事です。

10年後の効果

先にお話しした通り、研究グループは血糖コントロールを行っていた患者さんたちについて、介入期間が終わった後もずっと現在に至るまで健康状態をチェックしています。

その結果、このコントロール期間が終わった10年後の調査において、驚くべきことが確認されたのです。

血糖値を厳格にコントロールしたグループも、標準的にしかコントロールしなかったグループも、10年後の血糖値は同じぐらいになっており、両方のグループの間で差はなくなっていました。

しかし、厳格にコントロールしていた経験を持っているグループの方が、はっきりと細小血管障害の発生率が低かったのです。

さらに、コントロール期間の終わりごろには差がなかったり、むしろ死亡率が上昇していた大血管障害についても、10年後には厳格にコントロールしていたグループでの発生率が明らかに少なくなっていたそうです。

記憶される高血糖

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なぜ10年後にこれだけの差が現れたのか。その原因が、コントロールを実施していた時期の大血管障害に対する効果がなかったことにもつながるのではないかと考えられています。

詳しく書くと難しい上に長すぎますので、かいつまんでお話ししますが、それでもちょっと複雑になるのはお許しください。

細胞が覚えている

高血糖状態になると、老化の原因とも言われる糖化最終産物の原料になるMGOと呼ばれるものが作り出されます。

これは細胞の中でエネルギーを生み出すミトコンドリアと言う器官を糖化させてしまい、その反応は一度行われると元には戻らないそうです。

糖化されたミトコンドリアはMGOを糖化最終産物へと作り変え、それらが活性酸素を大量に生み出して血管を傷つけて行くと言うキャッチボールのような流れになります。

そして、ミトコンドリアが糖化されてしまうと、そのあとから血糖値が改善しても影響されず、ずっと身体に悪影響を及ぼし続けるのです。

研究者たちはこれをメタボリック・メモリー(代謝の記憶)と呼んでいます。

まるで侵食されるように

以上のようなことから、一度高血糖状態が起こると、その段階から細胞の内部が糖化されてゆくわけですが、一度に全部やられてしまうわけではありません。

その時の血糖値と、高血糖であった時間に比例して徐々に浸食されてゆくと言うわけです。

ですから、この研究で大血管障害がかえって増えた理由はまだわかっていませんが、効果がなかったとする理由は、すでに細胞が高血糖状態の悪影響を十分に記憶してしまっていたからだと考えられています。

細小血管障害も同じように起こっているはずですが、大血管障害は発生すると一気に生命の危機に繋がりかねない大きな症状ですが、細小血管障害は徐々に悪くなるので目立ちにくいと言う事もあるでしょう。

しかし、コントロール実験段階で無事だった人の10年後は明らかにコントロールしていてよかったなと言う結果になっていますから、やはり血糖コントロールは大事です。

一日でも早く

研究者たちの今後の課題は、メタボリック・メモリーをクリアすることにあると考えているようです。今の段階では一度記憶されたら消えない記憶だからですね。

でも、私たちの世代はその課題が解決されるのを待っているわけにはいきません。その技術が完成するとしても、早くて明日以降に生まれてくる赤ちゃんたちのためのものになるでしょう。

悪い記憶は少ない方が良い

もし糖尿病予備軍だと言う指摘を受けたら、身体の中ではメタボリック・メモリーに高血糖による障害の予定が記憶され始めているかもしれません。

研究者たちは、厳密な血糖値管理もさることながら、「早期の血糖値管理」が合併症を防ぐ非常に重要な要素になると考えています。

ですから、健康診断や病院で受ける検査などで血糖値やHbA1cの異常や危険性を指摘されたら、その日から食事に注意を払うようにしましょう。

また、既に糖尿病になっている人は常に主治医と相談しながら、低血糖や発症の危険性がある合併症に注意しながら血糖値を下げる努力をしてください。

一日でも長く高血糖状態が続けば、そのあとで高血糖が解消しても、過去にその事実があったことは細胞の記憶から消せなくなっていると言う事がはっきりしてしまいました。

一方、少しでも早く血糖値のコントロールを開始できれば、細胞がそのことを記憶してくれますので、10年後、20年後に同レベルの血糖値の人よりずっと合併症の危険が少なくなっていると言う事でもあります。

尿検査では遅すぎるかも

早くコントロールを開始するには糖尿病の早期発見が重要になってきますね。

しかし、尿糖が陽性になるレベルと言うのは糖尿病であった場合、かなり症状が進んでからの場合が多いです。

だいたい血糖値が180mg/dLを越えたあたりから尿糖が出始めると言われていますが、糖尿病を持っていない人であれば食後すぐでもない限りなかなかその数値にはいきません。

いわゆる空腹時血糖が110mg/dL未満、食べ始めから2時間後の血糖(正確にはブドウ糖75g摂取後2時間時血糖です)が140mg/dL未満が正常ですから、尿糖が出ていたら本当に危ないです。

ですから、人間ドックや任意の健康診断など、できれば定期的に血液検査を受けましょうね。

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