健康生活TOP 糖尿病 がんリスク上昇!糖尿病に届かなくても血糖値が高いのは危険

がんリスク上昇!糖尿病に届かなくても血糖値が高いのは危険

risk of cancer

日本人で40歳以上の4~5人に1人が2型糖尿病だと言われる時代、血糖コントロールはもはや大人のたしなみと言ってもいい時代になったのかもしれませんね。

それと言うのも糖尿病の人は、そうでない人に比べてがんにかかるリスクが高いということが判ってきたからです。しかも最新の研究によれば糖尿病でなくても危険性が高まるケースがあるそうです。

いまや日本人の死因No.1のがんと国民病ともいわれる2型糖尿病。この関係をしっかり把握して私たちが意識すべきことを知っておきましょう。

糖尿病患者はがんにかかりやすい

過去の大規模研究によって、糖尿病患者はそうでない人に比べて、約1.2倍がんに罹りやすいことがわかっています。

さらに、その中でも肝臓がんや膵臓がん、子宮内膜がん、大腸がんについてはさらにリスクが高くなり、JPHC-Studyと言う研究では、最大で4倍にもなるケースがありました。

前立腺がんを除くほとんどのがんで糖尿病はリスクを高める

糖尿病とがんの関係について世界的に関連が認めらている一方で、そのハザード比については、欧米人とアジア人との間にはかなりの差が見られます。

そこで、日本人についての研究がありましたので数値を見てみましょう。

cancer incidence rate of diabetes patients

このように、前立腺がんではほんのわずかにリスクが下がっていますが、これは誤差の範囲と言っていいのかもしれません。一方、海外での研究ではもっとはっきりリスクの下がっているものもありました。

また、胃がんや乳がんに関しても、それほど影響があるようには見えませんね。これも海外の研究ではもっとリスクが上がっているというデータがあります。

欧米人とは異なり日本人では、この3つのがんについて、あまり糖尿病に影響されないのかもしれません。

一方、そのほかのがんでは大きくリスクが上がっていますから、いずれにせよ糖尿病は改善しておく必要があると言えるでしょう。

肝臓がんと膵臓がんについては因果関係が逆の場合もある

膵臓がんは、インスリンを作り出す膵臓の内分泌機能を損ねますので、膵臓がんによって糖尿病が引き起こされたケースもデータの中には含まれています。

つまり、グラフに現れている数値より、糖尿病が原因で膵臓がんになるリスクはもう少し低いのかもしれないということです。

一方、肝臓がんに進む可能性の高い肝臓の病気になると、実際の血糖値に比べて検査数値としてのHbA1cの値が低くなることがあります。

これは、肝硬変になると脾臓での赤血球の破壊が進み、赤血球の寿命が短くなるからです。また、アルコール性肝疾患では赤血球そのものの膜が弱くなって寿命が短くなることもあります。

HbA1cは糖化ヘモグロビンですので、赤血球の寿命が短くなると糖化される時間が短くなるため、血糖値の状態を反映せず低い値が出てしまうことがあるんですね。

肝硬変やアルコール性肝疾患は肝臓がんの一歩手前ですので、糖尿病と肝臓がんの関係が正確に割り出せなくなっている可能性があります。

つまり、実際にはもっと糖尿病によって肝臓がんのリスクが高まっているはずなのに、過小評価されている可能性があるということです。

以上のようなことから、上のグラフでは膵臓がんと肝臓がんのグラフは色を変えておきました。

こうした代謝系の病気は特に民族による差が出やすいものです。それでもがん全体で見た場合糖尿病がリスクを高めますから、予防改善に努めましょう。

糖尿病ががんを引き起こす原因は炎症とインスリンにあった

特に初期の糖尿病では、健康な人より血中インスリンの濃度が高まることがあります。これが細胞のがん化を引き起こす重要な要因になっています。

また、肥満や酸化ストレスは糖尿病と同時にがんの発生を引き起こします。いずれにせよ、糖尿病的な要因ががんを引き起こすことは間違いありません。

インスリンが多くなりすぎるという糖尿病の症状

糖尿病と言えば不足するインスリンを注射で補うイメージから、糖尿病でインスリンが多くなりすぎると言うと、なんとなく意外な感じがするかもしれません。

もちろん、何らかの事情でインスリンが不足して発症することもあります。また、自己免疫反応でインスリンを分泌する細胞が破壊されてしまう1型糖尿病では、インスリンの過剰は起こりえません。

しかし、生活習慣病である2型糖尿病の初期の段階では、血中インスリン濃度の上昇は珍しくありません。これは次のようなメカニズムによるものです。

最初は肥満によって、インスリン抵抗性と言う「インスリンの効きが悪くなる状態」が発生します。そうなると血糖値は上昇しますね。身体はそれを感じ取って、インスリンの分泌を多くします。

つまり、身体の方が自動的に「下手の鉄砲も数撃ちゃ当たる」と言うことをやってしまうんですね。そうなると血液中のインスリン濃度は正常時に比べて高くなります。

こうした状態は代償性の、つまり「効きの悪さを量でカバーする」と言う状態の、高インスリン血症と呼ばれています。

高インスリン血症が引き起こすさまざまながん

この高インスリン血症は、体内の細胞に悪い影響を与えます。図で見ていただきましょう。

effects of high insulin has on the body

このように、血液中の高いインスリン濃度は、正常な細胞に働きかけてがん細胞に変化するようなきっかけを与えてしまうのです。

また、インスリン抵抗性が現れたときには、多くの場合糖尿病を発症していることが多いのですが、インスリンをどんどん分泌して血中濃度を上げている膵臓は、やがて負荷に耐えられず機能を落としてゆきます。

そうなると、今度はインスリンが不足して血糖値が上がるという、糖尿病の次のステップに進んでしまうのです。この頃までにしっかり血糖値をコントロールしておかないと、お薬を飲むだけでは追いつかなくなります。

つまり、インスリンの自己注射の導入と言うことになるわけですね。

インスリンの自己注射やインスリン分泌促進薬はがんを増やす

インスリンの自己注射ががんを増やすという研究はまだ結論が確定したわけではありませんが、がんが増えたという結果も複数報告されています。

(抜粋翻訳)

研究の方法:私たちは完全な大腸内視鏡検査を完了した、50歳台から80歳台の2型糖尿病患者について、大腸がんとインスリン投与の関係について横断的な研究を行いました。

結果:インスリン投与を受けていない対照群と比較して、インスリン使用が12ヶ月では、大腸がんは有意に増加しませんでしたが、投与期間がが18ヶ月以上になると有意に増加しました。

さらに24ヶ月以上、及び36ヶ月以上になると、インスリン投与と大腸がんの発生にはより高い関連性が見られました。

結論:長期にわたるインスリン療法は、2型糖尿病患者における大腸がんのリスク増加と関連しています。

また、インスリンの分泌を促進するお薬も、断定こそされていないものの、がんに悪影響を及ぼす可能性はあります。

現在のところ、糖尿病のお薬でがんに対する影響が確実視されているのは、メトホルミンと言うインスリン抵抗性改善薬です。最近寿命を延ばすお薬だという報告が出て話題になったものですね。

これはがんのリスクを大きく下げるという報告が複数上がっています。メカニズム的には、上の図でご紹介した、がん化の一つ手前のステップで、細胞増殖と細胞死減少を抑制するからだと考えられています。

他にも糖尿病とがんを結びつける要素が存在する

これもまたインスリン抵抗性と関係するのですが、血中インスリン濃度が高まることが、活性型の女性ホルモン(エストロゲン)を増やしてしまうことによって、女性特有のがんを引き起こすリスクが考えられています。

乳癌については最初のグラフの通り、日本人ではあまり影響がないようですが、子宮内膜に発生するがんもこのメカニズムで発生するとされています。

さらに、肥満から糖尿病が引き起こされることには、脂肪細胞が分泌する炎症にかかわる生理活性物質が関わっているのですが、この生理活性物質ががん細胞を産みだしているという現象もあります。

つまり、同じ原因から糖尿病とがんが同時に産みだされているということですね。この場合、厳密には糖尿病ががんの原因になっているわけではありませんが、糖尿病に注意することでがんを予防できることには変わりありません。

思ったよりがんと糖尿病の関係は深いのです。

そこで、2型糖尿病は生活習慣病ですから、生活習慣を改めるだけでがんの予防もできるとポジティブに考えて生活を見直しましょう。

糖尿病でなくてもがんのリスクが高まる血糖値の状態がある

糖尿病の診断基準には様々なものがありますが、最も代表的なのは境界型を含めて、空腹時血糖110mg/dL以上でHbA1c6.5%以上の両方を満たすものです。

しかし、実際にがんのリスクを見た場合、必ずしも糖尿病と診断されなくてもかなり高くなる状態があることが判りました。場合によっては糖尿病患者の方がましなことすらあるのです。

HbA1cは5.0%から6.0%の間が良い

がんとHbA1cの関係を探った、日本国内での大規模研究の結果が2015年12月に発表されました。その中ではもちろん、単純に全てのがんとHbA1cの関係を見たものの存在しています。

しかし先にお話しした通り、肝臓がんのハイリスク群はHbA1cが低くなることがありますので、肝臓がんを除いた全がんと、HbA1cの関係を探った報告もありましたので、そちらから見てみましょう。

risk of HbA1c and cancer

このように、HbA1cが5.0%から6.0%の間に収まっているグループではほとんどがんのリスクに差がありません。一方で、6.0%から6.5%のグループでは、糖尿病と診断された人たちよりわずかながらリスクが高くなっています。

さらに、糖尿病の診断を受けてはいないけれど、HbA1cだけを見れば糖尿病型だという人ではリスクが跳ね上がっています。

詳しい原因の分析などは行われていませんでしたが、一般的に考えて、6.5%超の人は事実上「治療を行っていない糖尿病患者」とみなしてもいいのではないでしょうか。

ですので、すでに糖尿病と診断されて治療を行っている人たちよりもハイリスクになってしまった可能性がありますね。

また、6.0%から6.5%のグループも、糖尿病ではないけれど、ことがんのリスクについては糖尿病患者と同じだと考えておくべきでしょう。

HbA1cは低ければいいと言う物でもない

血液検査で測定するHbA1cですが、人間ドック学会や糖尿病学会では5.5%以下を正常値とし、6.5%以上を糖尿病型としています。その間は要注意域と言う扱いですね。

しかし、この研究のグラフを見ると、むしろ5.0%~6.0%が正常値で、6.0%以上や5.0%未満を要注意域と考えた方が妥当かもしれません。もちろん他の合併症についての分析も必要だとは思いますが。

実際、それぞれの病院の基準で4.7%~6.2%くらいを正常値として考えている医療機関も結構多いようです。

先にお話しした通り、肝臓に異常があった場合、HbA1cは低く測定されます。その場合、肝臓の検査数値が悪化しているでしょうから、お医者様はそのあたりを勘案して診察されるとは思います。

空腹時血糖の数値が今一つよくないのに、HbA1cだけが正常な場合、肝臓の状態がかなり悪くなっている可能性は否定できませんので、お医者様の診察をしっかり聞いて治療に当たってくださいね。

血液検査の検査結果にHやLの異常フラグが立っているのって、あんまり見たくないのが人情です。ですから肝臓が悪いと言われても、HbA1cにHの記号さえついていなければ「糖尿は大丈夫だ」と思いたくなるものです。

でも、悪い数値は治療のチャンスですから、怖がらずに正面から向き合ってください。

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