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糖尿病予防のウォーキングは時間が大事!30分未満じゃダメ

men Walking

糖尿病の予防やすでに糖尿病の方の改善方法としてウォーキングが効果あるのは有名ですよね。エクササイズマシンなどの器具は必要ありませんし、どこでも手軽に行えるというメリットがあります。

しかし、このウォーキング。今まで歩数や運動量に関する研究はよく目にしてきましたが、最近の研究で歩行時間と糖尿病リスクに驚くべき関係があることが発表されました。

なんと1日の歩く時間が30分未満の人は、それ以上の人に比べて糖尿病になるリスクが目に見えて上がっているんです。

今回は最新の研究で明らかになった正しいウォーキング方法と、効果的な糖尿病対策について紹介しましょう。

大規模研究の結果は歩く時間に意味があることを示していた

2016年1月、JPHC-Studyと言う日本で行われている多目的コホート研究から、歩行時間と糖尿病リスクについて研究した結果が発表されました。

これまで運動量や歩数などの研究は良く目にしましたが、歩行時間と言うところにターゲットを絞ったところがポイントですね。

客観的なエネルギー消費などは歩数や歩く速さなどの運動量で測ることができますが、それでは逆に個人個人の身体の状態に合わせた運動負荷の比率が見えません。

歩く時間で見た場合、運動量を数値化した場合大きなばらつきが出ますが、「その人にとっての運動負荷」と言う意味では歩いた時間で見た方が意味のある数字が採れる可能性が高くなります。

自分が糖尿病だと気付いていない人は意外に多い

この研究の面白いところは、最初に「自分は糖尿病だと自覚していない人」26488人を研究対象にして、統計を取ったと言うことです。

検査して糖尿病かどうかを調べるのではなく、自己申告で「自分は糖尿病じゃない」と思っている人を選びだしているわけですね。

この自覚していないと言うのは、血液検査で血糖値やHbA1cを測定して初めて糖尿病だと判るレベルで、口の渇きや傷の治りの遅さなどの自覚症状がないため、自分では気が付いていない人と言うことです。

だいたい男女比率が1:2程度のこの集団を対象に、普段の歩行時間を回答してもらい、血液検査を行って糖尿病の判定を行いました。その結果、1058名の参加者が糖尿病であることが判明してしまいました。

自分が糖尿病じゃないと思っていたのに糖尿病だった人の割合は、なんと4%、25人に1人がそれに当てはまってしまったと言うわけです。でもこの人たちはラッキーかもしれません。ここから治療を開始できるんですものね。

あまり歩かない人のリスクはやはり高かった

さて、この人たちから普段の運動習慣、歩く時間について尋ねたデータと、自覚していない糖尿病があったデータを解析して、リスクがどのように関係するかがまとめられました。

graph of walking time and diabetes risk

このように、毎日2時間以上歩く人を基準に比較した場合、1~2時間の人や30分~1時間の人のグループではリスクに差が表れませんでした。一方、歩く時間が30分未満の人では明らかにリスクが上昇しています。

このデータから読み取れることは、第一に「一日に30分未満しか歩行時間がない人は糖尿病に罹りやすい」と言うことですね。そして「長時間歩いたからと言って、糖尿病リスクがそれにつれて下がるわけではない」と言うことです。

注意しなければいけないのは「30分歩いておけば糖尿病にならない」と言うことではないと言うことです。でも、どんなに忙しくても30分以上の歩行時間は確保すると言う、ベースラインの目標を設定するのには役に立つデータですね。

思ったより短い時間の所に境目が来ていますね。でもこのことは幸いかもしれません。

まずは30分以上と言うのであれば、運動習慣を身に付ける敷居も、比較的低くなるでしょう。

エネルギーの使われ方と血糖の関係はグリコーゲンが握っている

糖尿病を予防するのに、歩く時間が毎日最低30分以上必要であることは判りました。おそらく既に糖尿病を持っている人でもこの習慣は改善に役立つことでしょう。

そこで、実際に身体の中ではどのようにエネルギーが作り出され使われているのか、そしてなぜ運動すると血糖値が下がるのかを見てみましょう。

グリコーゲンと言う栄養貯蔵物質の存在が鍵

グリコーゲンと言う名前は皆さん聞いたことがあると思います。ブドウ糖がたくさん集まって構成される多糖類です。ブドウ糖が集まってできる多糖類と言うと、私たちの身近には植物の栄養貯蔵物質である「でんぷん」がありますね。

実はこのグリコーゲン、動物性でんぷんとも呼ばれるでんぷんとよく似た物なのです。でんぷんには枝分かれが多くて速く消化され、血糖値を押し上げてしまいやすいアミロペクチンと、枝分かれの少ないアミロースがありました。

グリコーゲンはアミロペクチンよりもさらに多くの枝分かれがあります。その結果、でんぷんの一つであるアミロペクチンよりもずっとブドウ糖に分解されるのが早いのです。

このグリコーゲンは食事をした時に、余った血糖から合成されて筋肉と肝臓に貯蔵されます。面白いことに、肝臓に貯められたグリコーゲンは全身の臓器で使えますが、筋肉のグリコーゲンは筋肉でしか使えないと言う特徴があります。

ですので絶食した時、肝臓のグリコーゲンはどんどん減りますが、筋肉のグリコーゲンは運動しない限り減らないのです。

グリコーゲンをいかにうまく利用するかがポイントになる

運動には無酸素運動と有酸素運動があって、ダイエットには有酸素運動が良いんだと言うことは皆さんよくご存知ですね。ではもう少し詳しく運動と栄養のメカニズムを見てみましょう。

まず、瞬発力勝負の短時間運動の場合です。これには筋肉の中のグリコーゲンだけが使われます。しかも、かなりもったいない使い方をしてるんですよ。

その中でも、本当に短い時間、数秒と言った運動ではグリコーゲンや糖は使われません。クレアチンリン酸と言う物質だけが使われて終わりです。ただし、この物質は10秒分もあるかないかと言うレベルしか筋肉に含まれません。

世界記録レベルであれば、100m走をこれで走り切ることができるのかも知れませんね。でも実は、このクレアチンリン酸の重要な働きは時間稼ぎなのです。これが働いている最初の数秒間でグリコーゲンがブドウ糖に分解されると言うわけです。

効率は悪いが短時間で爆発的にエネルギーを取り出せる無酸素運動

そしてグリコーゲンから分解されたブドウ糖は、解糖系と言うエネルギー取出しの入り口部分に入ります。ここでは酸素を全く必要としないエネルギー代謝が行われ、ブドウ糖はピルビン酸へと代謝されます。

この方法は決して効率が高くありませんが、短時間の運動では筋肉への酸素の供給が間に合わないため、とりあえず酸素なしでエネルギーを取り出せるこの方法が用いられるのです。

解糖系のエネルギー生産は有酸素運動の100倍のスピードを持っています。このメカニズムを有効に使って行っているのが、瞬発力や強大な筋力を出すタイプの無酸素運動と言うわけです。

とは言え、酸素の供給が間に合わないまま激しい運動を続けると、ピルビン酸は疲労物質である乳酸へと変化します。また、グリコーゲンの在庫量はそれほど多くないので枯渇してしまうんですね。そうなるともう運動を続けることはできません。

こうしたことから無酸素運動は良くないような言われ方をすることもありますが、必ずしもそうではありません。運動を終えてから血糖が筋肉に取り込まれ、グリコーゲンに合成されて枯渇した分が補充されます。

運動した時はブドウ糖輸送担体-4(GLUT-4)が筋肉細胞の表面に出てきていますから、インスリンの分泌の多少にかかわらず効率よく血糖を取り込んでくれるんですよ。

酸素をたくさん使って長時間エネルギーを取り出せる有酸素運動

一方、無酸素運動に比べて負荷の低い運動であれば、今度は酸素の供給が追い付いてくるので、酸素を利用したピルビン酸以降の代謝経路「TCAサイクル」が動き出します。

別名クエン酸回路とも呼ばれるTCAサイクルでは、糖質から得られたピルビン酸の他、脂肪から得られた脂肪酸やたんぱく質から得られたアミノ酸もエネルギー代謝に参加します。

このため、非常に効率の高いエネルギーの取り出しができると言うわけです。しかし、いずれにせよ筋肉中のグリコーゲンは必須ですので、枯渇すれば動けなくなって運動はそこまでと言うことになります。

TCAサイクルは酸素をたくさん利用して非常に効率よくエネルギーを取り出しますので、長時間にわたって運動ができます。また、ピルビン酸も消費されてしまうため、疲労物質の乳酸も貯まりにくいと言うわけです。

この部分を有酸素運動と呼んでいます。有酸素運動ではエネルギーが脂肪やたんぱく質からも作り出されるので、グリコーゲンは消費されながらも、血糖から作り出され補充されてもいるんですよ。

ちょっと難しい話でしたが、こうした働きを理解しておくと運動が適切に行えるようになるでしょう。

そして、有酸素運動も無酸素運動も意味のある運動なのだと言うことを知っておきましょうね。

スポーツに見る適切な運動習慣と食事の内容やタイミング

diet and exercise

そこで、同じ30分以上の歩く習慣を持つなら、どのようなタイミングで歩くのが一番効率が良いのかを見てましょう。それにはスポーツで研究されている内容が参考になりそうですね。

特に長時間運動を行うマラソンが参考になりそうです。

脂肪は効率の良いエネルギー源だが燃焼には糖質が必要

一般の人が健康のためにウォーキングをする場合、それほどエネルギー効率を意識することはありません。しかし、マラソン選手の場合、いかに効率よくエネルギーを使うかが勝負を分けるだけにいろいろ研究されています。

脂肪は大変エネルギー効率の高い物質であることは、脂肪を食べると簡単に太ってしまう事からもよく判りますよね。マラソンやウォーキングのような長時間の運動では、この脂肪をエネルギーに使う有酸素運動が行われることになります。

この脂肪をエネルギーとして使う場合、先にお話ししたTCAサイクルが回り始めることが必要ですが、それには解糖系でブドウ糖から作られるピルビン酸が必要になります。

このため、常にある程度の糖質は必要になるのですが、それには筋肉の中のグリコーゲンが使われます。ですので、いずれは枯渇して限界が来るのですが、無酸素運動だけに比べるとずっと長く持つんですね。

スペシャルドリンクは給水所ごとに異なる内容のものが置いてある

マラソンの場合、はじめの方で糖分の多いドリンクを摂ってしまうとエネルギー切れを起こすので、スタート地点に近い給水所には無糖に近いドリンクが用意してあることが多いようです。

これは、糖質を摂るとインスリンが分泌されるからなんですね。インスリンは血糖値を下げると同時に脂肪の分解を抑制します。脂肪が分解されないとエネルギーとして使えないので、エネルギー切れになってしまうんですね。

一方、ゴール近くになるほど糖分の多いドリンクが置いてあります。これは、運動を続けると交感神経が活性化するためインスリンの分泌が抑制されるからなんです。

マラソンも後半になってくると、糖分を摂ってもインスリンはほとんど出ませんから、脂肪の分解に支障はありませんし、グリコーゲンを消費した分を糖質として補給できると言うことなんです。

糖尿病の予防改善には食後の運動を避け食前に歩こう

このマラソンの例を、私たちの生活に当てはめてみましょう。食後にはインスリンがたくさん分泌されています。つまり食後は脂肪が分解しにくい状態になっているわけですね。

そんな状態で歩き始めると、筋肉のグリコーゲンはすぐに枯渇してしまい、歩くのがつらくなってしまいます。その結果30分のウォーキングですら苦痛になり、長続きしなくなると言うわけです。

一方、食事の前に歩くと筋肉のグリコーゲンが消費されると同時に、交感神経が刺激されることで脂肪の分解も進み、ウォーキングのエネルギーとして使われますから疲労感も少ないと考えられます。

ただし、糖尿病の人でお薬を使っている人は、効率よく血糖が使われることで低血糖発作が起こる可能性は否定できませんので、飴やブドウ糖などを必ず持って行って下さい。気分が悪くなったらそれを少しずつ摂りましょう。

さらに、ウォーキングから帰って一息ついても、ブドウ糖輸送担体-4(GLUT-4)はまだ筋肉細胞表面にいますので、インスリンの分泌が少なくても食事で入ってくる糖質を吸収してくれますから血糖値の上昇は穏やかになりますね。

余りゆっくりしすぎるとGLUT-4が筋肉細胞の奥に沈んでしまいますが、その時には交感神経の興奮も収まってインスリンが分泌されるため、血糖値を下げてくれるでしょう。

と言うことで、ウォーキングは腹ごなしではなく、食欲を呼び覚ます運動として行うのが良さそうですね。

でも食べ過ぎにはご注意を!

ウォーキングは思ったほどダイエットにならない

中には減量目的で歩いておられる方もおいででしょう。しかし、思ったより歩くことと言うのはカロリーを消費しないのです。

もちろん運動としての効果、例えば心肺機能の維持向上や筋力低下を防ぐ効果はありますし、歩くことで気分転換を図ったりできる部分はありますので、歩くこと自体は良い事なんですよ。

1時間歩いてご飯半膳分のカロリー消費

運動と消費カロリーは、METs表から概算することができます。METsとは運動強度のことで、別の項目で少し解説していますのでそちらをご覧ください。
健康には中強度メッツ!最も効率的な身体活動「メッツ」って何?

このMETsをまとめた表に示された運動強度から消費カロリーを概算する簡易計算式があります。

消費カロリー=(METs-1)×体重(kg)×運動時間(時間)×1.05

例えば、体重60kgの人が時速4kmで1時間歩いた時の消費カロリーは、METsが3.0ですので次のようになります。

(3.0-1)×60×1×1.05=126(kcal)

1時間で白米のご飯75g分(約半膳相当)のカロリーしか消費できないことになりますね。これが運動目的の散歩になるとMETsは4.3に上がりますので、消費カロリーは約208kcal、ハンバーガー0.8個分くらいですね。

マクドナルドの最もシンプルなハンバーガー1個分のカロリーを消費しようと思うと、体重75kgの人で1時間、体重60kgの人なら1時間15分の間、運動目的で歩かないといけないのです。

歩数で見た場合どうなるだろう

歩幅には個人差がありますが、時速4km程度で歩いている場合、身長×0.37が歩幅の目安になります。体重60kgの人が標準体重だった場合、身長は約165cmですから歩幅は61cmくらいです。

と言うことになると、1時間歩いて6557歩。1万歩で1時間半あまり必要になります。これに先ほどのカロリーを掛けると190kcalくらいしか消費できていません。

190kcalの見本になるような食べ物を探してみたところ、セブンイレブンの紅鮭はらみおにぎりがヒットしました。1時間半歩いて消費できるのは、これ1個分のカロリーです。

先にお話ししたMETsですが、興味がある方は国立健康・栄養研究所が一覧表を公開していますから、そちらをご覧下さい。
2012年4月11日改訂・改訂版「身体活動のメッツ(METs)表」(pdf)- 国立健康・栄養研究所

このように、歩くことだけでは短期的な減量は難しいですが、筋肉がつき心肺機能が上がることで基礎代謝の向上が見込めます。

それによって長い目で見ると体重減少に役立つ部分もあるでしょう。

忙しい毎日でそんなに歩く時間が取れない時はどうすればいい?

毎日忙しい社会生活を送っているのに、歩くために毎日1時間半も費やせないと言う人がほとんどじゃないでしょうか。実際問題として通勤や買い物の一部を徒歩に振り向けることにも限界があります。

そうなってくると、一万歩歩きましょうと言うことが、単なる掛け声に終わってしまいかねません。

時間を半分にすると言う考え方はあまり良くない

例えば、先の例で1時間はおろか30分の時間も取れないと言う人が、とにかく6000歩でいいから歩こうと、倍の速さの時速8kmの速歩で28分間歩いたとしましょう。歩数的には6000歩に届きます。

時速8kmのMETsは9.5とかなり大きくなりますから、運動時間が半分に減ったにも関わらす、消費カロリーは一気にほぼ2倍の250kcalくらいに増えます。時間当たりにすると4倍と言うことですね。

短時間集中で運動できて、何となくお得な感じもしますよね。でも、これは必ずしも良い事ばかりじゃないんです。

筋肉や心肺機能だけでなく体内にもウォーミングアップが必要

スポーツにはウォーミングアップが必要です。それと同じで、身体の中にある活性酸素除去機能のスイッチを入れるためには低負荷の運動を最初に行わなくてはいけません。

運動は体内に活性酸素を作り出すため、身体に傷害を与えます。一方、その活性酸素を取り除く機能も運動によって動き始めるのです。詳しいことは運動と活性酸素と老化についての記事に詳しいので、そちらをご覧下さい。
【老化防止運動】活性酸素をうまく除去できる画期的な運動法

時間については各論ありますが、概ね20分程度のウォーミングアップが好ましいようですね。

一方、時速4km程度の歩行であれば、特に足腰にトラブルのない人であればそれ自体が低負荷運動ですので、気にせず歩き続ければいいと言うことになります。

忙しさから、どうしてもせっかちになりがちな日本人ですが、慌てるとかえって体を傷めることになりますから注意しましょうね。
キャラクター紹介
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