健康生活TOP 糖尿病 運動とご飯の順番は関係ない!運動せずよく食べる女性は糖尿病に

運動とご飯の順番は関係ない!運動せずよく食べる女性は糖尿病に

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今回のタイトルにある「ご飯」ですが、食事のことを指していると同時に「米飯」に重きを置いたタイトルだと思ってお読みください。

お米のご飯を良く食べる女性は2型糖尿病に罹りやすいと言うことが、国立がん研究センターの予防研究グループの研究から浮かび上がってきたのです。

必ずしも糖質だけが原因じゃないかもしれない

糖尿病の治療方法として、糖質制限に興味を持たれている方なら「ご飯は糖質が多いからそんなのは当然だ」とお思いになるかもしれませんね。

しかし、驚くべきことに男性ではそうした傾向が見られなかったのです。そしてさらに男女を問わずパンや麺類でも、こうした傾向が見られなかったのです。

ご飯を食べる量は性別に影響されていない

この研究ではお茶碗1杯のご飯を140gとしてカウントしています。糖尿病の食品交換標方式ではお茶碗1杯は100gです。このことからもカロリー制限だけに頼った食事療法はストレスが原因で失敗しやすいことが想像できますね。

この研究対象となった人たちは、1日に食べるご飯の量で4つのグループに分けられています。そして、一番少なく食べている人たちのグループが糖尿病に罹るリスクを1として、他のグループと比較したものです。

そのご飯の量ですが、女性の場合一番少ないグループでは一日にお茶碗1.2杯弱(165g:中央値)、そこから2.25杯(315g)、3杯(420g) で、最も多く食べた人たちで1日にお茶碗4杯(560g)でした。

一方男性の方に目をやると、一番少ないグループでは一日にお茶碗2杯(280g)、そこから3杯(420g)、4杯(560g) で、最も多く食べた人たちで1日にお茶碗5杯(700g)でした。男性は女性の1.34倍程度ご飯を多く食べてるんですね。

そこで、40代前半の体重の男女比を見ると、男性の体重は女性の約1.33倍です。つまり、体重あたりのご飯を食べる量には男女差はないと言うことが見て取れます。

研究の方法と得られた結果

まず、40歳~69歳の男女合わせて約6万人の人を対象に研究はスタートしました。そして5年後、その段階で糖尿病やがん・循環器疾患にかかっていなかった人を選び出して、さらに5年間の追跡調査に入ります。

追跡調査期間が終わった段階(研究開始から10年後)で、追跡調査期間中の食生活について調べました。この段階では1100人余りが糖尿病を発症していました。

女性についての結果ですが、最もご飯を食べた量が少なかったグループの糖尿病リスクを1.00とすると、2番目に少なかったグループではリスクが1.15になっていました。しかし、これはデータのばらつきの範囲です。

さらに2番目に多く食べていたグループでは1.48、最も多く食べていたグループでは1.65と、データのばらつきを考慮に入れても明らかにリスクが高くなっていたのです。

一方男性では、少ない方からリスク比率は1.00・1.24・1.25・1.19と、データのばらつきの範囲に収まってしまっている上、特段の傾向も見られませんでした。

運動は糖尿病リスクを下げることがここでも観察された

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全体としてのデータはこのようなものでした。そこで今度は運動習慣について調べ、筋肉労働や激しいスポーツを1日1時間以上行った人と、1時間未満だった人に分けてリスクを比較したのです。

すると、全体としては一定の傾向が見られなかった男性においても、運動せずに米飯をよく食べる人は糖尿病リスクが高まると言う傾向が見られたのです。

運動をよく行っている人にはリスクに傾向が見られなくなった

運動をよく行っている男性に注目すると、ご飯を食べる量が最も少ない人のリスクを1.00として少ない方から1.00・1.49・0.83・1.20と、全く傾向が見られませんでした。

しかも個人差によるばらつきが大きくなっていて、統計的に意味のある数字も出ていません。

一方、もともと全体で見ても傾向が見られなかったのに、運動量が少ない方の男性では傾向が表れてきたのです。

同じように少ない方から1.00・1.26・1.58・1.36です。最も多く食べた人のリスクが下がっていますが、この部分には大きなデータのばらつきが含まれていたので、統計的には有意ではありません。

女性の場合は運動量が少ない人の場合、少ない方から1.00・1.23・1.39・1.55と、全体で見た場合と同じく、ご飯を食べる量が多い人ほどリスクが高くなる傾向に変わりはありません。

一方、運動量の多い女性に目をやると、1.00・0.57・1.27・1.13と大きなばらつきと共に、一定の傾向と言うものが消滅しています。

1日1時間以上の運動はご飯を食べる量によるリスクを軽減する

ここで、「筋肉労働や激しいスポーツ」の定義が明確ではありませんので、ちょっと参考にしづらい部分があると思います。

一応筋肉労働と言う目安があるので、これを身体活動表(METs表)に当てはめてみると「11.3kg以下の物を持ってやや速足で歩く」と言うのが一番軽いレベルになるかと思います。

これは4.5METsになりますので、それ以上のものと考えても良いかもしれません。だいたい以下のようなスポーツや家事が4.5~6.0METsに当てはまります。

  • フラダンス
  • ベリーダンス
  • フラメンコ
  • バレエ
  • ジャズダンス
  • タップダンス
  • エアロビクス
  • ソフトボール
  • 自転車エルゴメーター(100W)
  • ウォーキング(時速6km以上)
  • ジョギング
  • アイススケート
  • 水泳
  • 室内運動全般
  • 子供と遊ぶ(一緒に走るなど)
  • 松葉づえで歩く
  • 家財道具の移動
  • 自転車
  • 荷物を持って階段を上がり降りする

ただ、研究対象になった人で最も高齢の人は研究終了時には79歳、最も若い人でも50歳だったわけですから、これほど激しい運動をしていたとは考えにくいですよね。

ですので、「本人にとって激しい運動や筋肉労働をした」と感じたかどうかで決めても良いのかも知れません。

単純に糖質のせいとも言い難いのかも知れない

お米のご飯を多く食べると糖尿病になりやすいと言うことは、糖質の摂取量によって血糖値の急激な上昇を招くから当然だと言う考え方もあるでしょう。

しかし、性差があることや他の糖質、パンや麺類でこうした傾向が見られなかったことについては説明がつきません。

食物繊維はある程度有効かもしれない

この研究の中では、ご飯に雑穀などを混ぜて食べている人と、純粋な白ご飯を食べていた人についても統計的に処理したようです。

具体的な数値は示されていませんでしたが、純粋な白ご飯派の人では、食べる量に比例して糖尿病リスクが高まる傾向が、より強くなったと示されています。

と言うことは、雑穀に含まれる食物繊維やRS1に分類されるレジスタントスターチ(硬い殻につつまれているため、消化酵素が届きにくく消化されにくいでんぷん)などが血糖値の上昇を防いだ部分があるのでしょう。

ですので、食物繊維が糖尿病予防に有効だと言うことは、この研究でも示されていると見て良いでしょう。

参考までに、最近注目を集めている冷ごはんのレジスタントスターチはRS3に分類されています。

謎は麺類やパンでリスクが上昇しなかったこと

これについては、明快な理由が示されていません。パンの場合、油脂が使われているためGIが少し低くなっていることや、麺類の場合では素うどんなどで食べることが少なく、具によってGIが下がっているからかもしれませんね。

GI値についての世界的研究機関、オーストラリア・シドニー大学のGI検索によると、白ご飯で89、パンで72前後、製品としての麺類で46~62くらいです。麺類は完成品としてスープや具込みの評価なので低めのようです。

ただ、これだけでは十分な説明とは言い難いので、もう少し突っ込んだ研究成果が見つかったら、またの機会にご紹介することにしましょう。

研究グループによる白米のリスク分析

研究グループでは、白米による糖尿病リスクについて、本来は糖尿病に対して予防的に働く食物繊維やマグネシウムが、精白時に失われたからではないかと分析しています。

また、運動によってエネルギー需給バランスが良くなることからリスクが回避されるのであろうとも言っています。

ですので、雑穀などを上手く混ぜることで、糖質の摂取量に対して血糖値の上昇を抑えつつ、運動によって消費しましょうと言う、私たちが常識的に持っている知識を裏打ちしてくれた格好です。

特に女性において傾向が顕著になった理由は明らかではありませんが、女性は糖質を多く摂ると糖尿病になりやすいと言うことははっきりしたわけですので、運動と食事には注意しましょうね。

自分の食事量に対する意識の男女差

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この研究は多目的コホート研究と言う方法で行われています。コホート研究と言うのは、「何らかの影響にどの程度晒されたか」を元にします。この研究の場合は「米飯をどの程度食べたか」と言うことですね。

そして、その結果「どのような影響があったか」について統計的に結果を分析するものです。この場合は「どの程度の人数が糖尿病を発症したか」を分析したわけです。

アンケートを使うと大規模研究が楽だが結果は断定的にならない

コホート研究でよく使われ、この研究でも用いられた食物摂取頻度アンケート調査は、食事量の範囲ごとに影響を分析するには適していますが具体的に正確な個人個人の値を評価するには適していません。

さらにアンケートを取られた地域以外の情報は含まれませんから、得られたデータを例えば日本全体に当てはめると正確でなくなることもあります。

ですので、飽くまでこうした研究は「だいたいこの程度が目安量だ」と言う、比較的漠然としたものになるのです。

でも、「このような傾向がある」とか「この程度が目安量になる」と言う参考値としてはかなり使えるデータなのです。

そして、こうしたデータと現実の正確な値を近づけるため、参加者の一部を抜き出し実際の食事量を正確に測って、アンケートに答えた数値とのずれを見ると言うことも行われています。

この研究でのそれを見ると、ちょっとおもしろい傾向が見られたそうです。それは自分の食事量について、男性では実際に食べた量より9%多く、女性では4%少なく見積もっていたと言うことなのです。

これを仮に最初にお話しした数値に当てはめてみると、一番多く食べていたグループでは女性で596g(申告値560g)、男性で642g(申告値700g)だったと言うことになります。

体重あたりで見た場合、平均して女性の方がたくさん食べていたと言うことになります。意外とリスク要因はこの辺りにも隠れているかもしれません。

参加者の年代から考えて「大ぐらいの女だと思われたくない」とか「食の細い男は格好が悪い」と言う意識下のバイアスがかかったのかもしれませんね。

こうした心理学的な部分での研究が行われると、さらに私たちの食生活に対する意識の向上に繋がるかもしれません。期待したいものです。

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