健康生活TOP 糖尿病 砂糖でなくブドウ糖でないと低血糖を回復できない場合の糖尿病薬

砂糖でなくブドウ糖でないと低血糖を回復できない場合の糖尿病薬

shutterstock_81027358

健康診断などで血糖値が高いと診断されると、まずは食生活に気をつけ運動するように、と指導されます。それでも血糖値が下がらないと、状況に応じた糖尿病薬を飲んで血糖値を下げることになります。

血糖値を下げる薬を飲むと、まれに血糖値が下がり過ぎて「低血糖」になってしまうことがあります。低血糖になったらすぐ砂糖や糖分を多く含むジュースなどを摂るように、と薬をもらう時に指導されるでしょう。

低血糖時、通常は砂糖やジュースなどで血糖値は元に戻ります。ただ糖尿病薬の種類によっては、砂糖ではなくブドウ糖を摂るように言われることがあります。なぜ薬によってブドウ糖でなくてはいけないのでしょうか?

ブドウ糖摂取が必要な薬はα-グルコシダーゼ阻害薬

一言に糖尿病薬といっても、その作用のしかたにはいろいろなタイプのものがあります。例えばインスリンの分泌を増やすようにさせるもの、インスリンを十分に働くようにさせるもの、尿への糖の排泄を増やすことで血糖値を下げるもの…などなど。

低血糖時にブドウ糖を摂取する必要のある薬は、「α-グルコシダーゼ阻害薬」に分類される薬です。

この薬は二糖類を単糖類に分解する酵素を邪魔することでブドウ糖の吸収を遅らせて、血糖値上昇を抑えます。

  • アカルボース(商品名グルコバイ)
  • ボグリボース(商品名ベイスン)
  • ミグリトール(商品名セイブル)

がこれに当たります。

なぜブドウ糖が必要なのか?

ではα-グルコシダーゼ阻害薬を服用中に低血糖になった場合、なぜブドウ糖を摂取する必要があるのでしょうか?まず、この薬の作用の仕方から説明しましょう。

食後の急激な血糖値の上昇を抑えてくれる

食事で摂った炭水化物は、体内に入るとα-アミラーゼという酵素により分解されます。それによりデンプンなどの炭水化物は、二糖類という単糖2分子が結合した糖にまで分解されます。

しかし二糖類のままでは、体内に吸収することができません。単糖類という、もっと細かい単位にまで分解されないと体内に吸収されないのです。

ここで働くのがα-グルコシダーゼという酵素です。この酵素によって二糖類はブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)といった単糖類にまで分解され、小腸から吸収されていきます。

ブドウ糖が小腸から吸収されて体内に入ると、血糖値は上昇し始めます。ブドウ糖が一気に吸収されてしまうと、血糖値も急激に上がってしまうのです。そして血糖値が急激に上昇すると、血管へのダメージも大きくなります。

食後の急激な血糖値上昇を抑えるのがこの薬です。このα-グルコシダーゼ阻害薬は、二糖類を単糖類に分解する酵素であるα-グルコシダーゼの働きを邪魔します。酵素が働かないと、二糖類は分解されません。

二糖類の分解が遅れるとブドウ糖がなかなか作られず、体内への吸収も遅れていきます。ブドウ糖の吸収が遅れるということは、つまり血糖値が急激に上昇してしまうのを抑えられるということです。

これがこの薬の作用のしかたです。二糖類がブドウ糖へと分解されるのを遅らせることでブドウ糖がゆっくり吸収されるようになり、食後の急激な血糖値の上昇を抑えるのです。食事の直前にこの薬を飲むことで、効果を発揮します。

低血糖とは?

shutterstock_177879974
次に、低血糖についてです。α-グルコシダーゼ阻害薬との関係を語る前に、少しおさらいしておきましょう。

低血糖とは、血液中のブドウ糖が極端に少なくなってしまった状態です。ブドウ糖は生き物のエネルギー源となる重要な物質です。それが少なくなってしまっては、生命活動を行うことができなくなってしまいます。

人にとってのブドウ糖は、車にとってのガソリン(最近は電気や水素なども燃料になっていますが)のようなものだと思って下さい。ガソリンがなくては車は動きません。人もブドウ糖がなくなっては生きていけないのです。

低血糖になると

  • 冷や汗が出る
  • 手足が震える
  • 動悸がする
  • 脈が早くなる
  • 異常な空腹感を覚える
  • 集中力がなくなる
  • 眠くなったり意識がもうろうとしたりする

などの症状が出ます。

このような時にはすぐに糖を摂れば大丈夫です。血糖値が元の状態に回復して、低血糖症状はなくなります。α-グルコシダーゼ阻害薬以外の糖尿病薬を使われているのでしたら、身近にある砂糖や甘いジュースなどをすぐ摂りましょう。

低血糖に砂糖が効かないワケ

しかしα-グルコシダーゼ阻害薬を服用している場合には、砂糖では血糖値を上げられません。砂糖(二糖類)を分解する酵素であるα-グルコシダーゼが働けなくなっているために、砂糖を分解してブドウ糖にすることができないのです。

この薬を飲んでいる人は低血糖時に砂糖を摂ってもすぐに血糖値を回復することができません。そのため「低血糖時にはブドウ糖を摂るように」と言われるのです。ブドウ糖ならすでに分解された状態なので、速やかに血糖値を上げることができます。

ただこの薬だけを飲んでいる場合には、あまり低血糖になる心配はありません。他の糖尿病薬を一緒に飲んでいる場合に、低血糖の心配が出てきます。

また砂糖が全く効かないというわけではありません。もしも近くにブドウ糖がなければ、とりあえず砂糖でもよいので口にするようにしてください。一番大切なことは、低血糖になったと感じたらすぐに対処するということです。

この薬の良い点、悪い点

shutterstock_168702206
このα-グルコシダーゼ阻害薬の良い点と悪い点(副作用)もみておきましょう。

良い点は?

このα-グルコシダーゼ阻害薬は特に、空腹時の血糖値はそれほど高くないのに食後に急に上がってしまいやすいという人に向いています。食事をしてもインスリンがなかなか分泌されないタイプの人などです。

通常は食事をすると、膵臓のβ細胞というところから自然にインスリンが分泌されます。そのインスリンの働きによって血糖値が上がり過ぎるのを抑えて、血糖値をちょうどよい状態にコントロールできます。

しかし糖尿病になると、インスリンがタイミング良く働いてくれなくなるのです。このような時にα-グルコシダーゼ阻害薬なら、体内へのブドウ糖の吸収を遅らせてくれるためインスリンがなかなか分泌されないという場合にもよいのです。

よく使われる糖尿病薬の中には、膵臓のβ細胞に働いてインスリンをたくさん分泌するように命令するものもあります。血糖値をしっかり下げてくれますが、欠点としては膵臓のβ細胞に負担がかかり過ぎてしまうということがあります。

α-グルコシダーゼ阻害薬は膵臓のβ細胞に負担かけることなく、血糖値の上昇を防げるのです。また体重も増加しにくい薬です。

悪い点は?

悪い点ももちろんあります。

α-グルコシダーゼ阻害薬に特徴的な副作用としておならが出やすくなる、お腹が張る、下痢や便秘をしてしまうということがあります。

二糖類が単糖類へと分解され吸収されていくのは、小腸の比較的入り口の辺りです。α-グルコシダーゼ阻害薬を飲むと、二糖類は分解されず吸収もされないままに小腸を通り過ぎ、大腸へと流れていきます。

すると大腸へは大量の二糖類が流れ込んでくることになります。その二糖類は大腸にいる腸内細菌によって分解、発酵されてガスが発生します。そのためにおならが出やすくなったりというような副作用が起きてしまうのです。

ただしこのような消化器症状は、しばらく薬を続けているうちに気にならなくなってきます。

本来二糖類が分解、吸収されるのは小腸の入り口辺りだったのですが、ここで吸収できないと次第に小腸の真ん中や出口の辺りでも分解、吸収されるようになってくるのです。

こうして薬を続けていくうちに二糖類の分解、吸収は小腸全体でゆっくり行われるようになり、大腸へ流れてしまう二糖類は減ってきます。大腸へ流れる二糖類が減れば、おならが出たりといった副作用は改善します。

このように消化器症状の副作用が改善されるまでの期間は人によっても違います。1週間くらいで気にならなくなる人もいますし、数ヶ月かかる人もいます。

飲んでみてどうしても気になるようなら医師に相談してみてください。量を減らしたりして様子を見ることもありますし、あまりにひどければ薬を変えることもできます。

早食いをすると、血糖値が急に上がってしまいます。また満腹感を感じられるまでにも時間がかかるため、つい食べ過ぎてしまいがちです。早食いしないで、ゆっくりよく噛んで食べることをこころがけるようにしましょう。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る